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審決分類 審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない Y10
管理番号 1139554 
審判番号 不服2003-7119 
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-25 
確定日 2006-06-19 
事件の表示 商願2002-48404拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「THEORY」の欧文字を上段に、「セオリイ」の片仮名文字を下段に、それぞれ横書きしてなり、第10類「医療用器械器具」を指定商品として、平成14年6月11日に登録出願されたものである。
そして、願書記載の指定商品については、平成15年3月18日受付の手続補正書により、第10類「カテーテル」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法4条1項11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録第4069959号商標(以下「引用商標」という。)は、「THEORY」の欧文字を上段に、「セオリー」の片仮名文字を下段に、それぞれ横書きしてなり、平成7年7月28日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,医療用腕環,失禁用おしめ,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、平成11年4月23日に設定登録されたものである。

3 当審の判断
本願商標は、上記のとおり「THEORY」及び「セオリイ」の文字よりなるものであるところ、その構成中「THEORY」の文字は、「理論、学説」等の意味を有する英語と認められ、外来語としても一般に親しまれているところであり、また、「セオリイ」の文字は、該語の表音を片仮名表記したものと認められるものであるから、その構成文字に相応して「セオリイ」の称呼及び「理論、学説」の観念を生ずるものである。
他方、引用商標は、上記のとおり「THEORY」及び「セオリー」の文字よりなるものであるから、本願商標と同一の英単語とその表音を表したものと認められ、その構成文字に相応して「セオリー」の称呼及び「理論、学説」の観念を生ずるものである。
そこで、本願商標より生ずる「セオリイ」の称呼と引用商標より生ずる「セオリー」の称呼とを比較すると、両称呼は、称呼上重要な要素をしめる語頭音を含めて第3音までを、その配列を含めて同じくし、異なるところは、語尾音における「イ」の音と長音の差異に見られるところ、その長音とても前音「リ」の音節を構成する母音[i]の音に吸収された音節となって、極めて「イ」の音に近似した音となることから、当該差異音が称呼全体に及ぼす影響は少なく、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が極めて近似したものとなり、かれこれ聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。
また、本願商標及び引用商標は、上段に「THEORY」の欧文字と、下段に「セオリ」の文字を含む4文字の片仮名文字より構成されるものであるから、その構成文字綴りの大部分を共通にする点で、外観上近似した印象、連想等を生じさせるおそれがあることも否定できない。
してみれば、本願商標と引用商標とは、称呼において相紛らわしく、観念を同一にし、また、外観においてもその近似性を否定できないものであるから、互いに類似する商標というべきである。
次に、本願商標の補正後の指定商品「カテーテル」(以下「本件商品」という。)と引用商標の指定商品中の「医療用腕環」(以下「引用商品」という。)との類否を検討する。
本件商品の「カテーテル」は、体腔または膀胱・尿道・器官・食道・胃などに挿入して液体や内容の排出ないし薬液等の注入をはかるための管状の医療器具であることは、当庁における顕著な事実といい得るものである。
これに対して、引用商品の「医療用腕環」は、標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定第1条に規定する国際分類に基づく「商品・サービス国際分類表[第8版]特許庁商標課編」によれば、アルファベット順一覧表の第5類において、「Bracelets for medical purpose」の英語記載があり、その日本語訳が、「医療用腕環」となっているものである。
しかして、「医療用腕環」とは、その英語表記からも明らかなように、医療目的の商品に限定されるものと解されるものであって、例えば第14類「身飾品」の範疇に属する「ブレスレット」とは、その用途が異なる商品というべきであり、このことは、商品及び役務の区分解説国際分類第8版対応(特許庁商標課編)の、第5類「医療用腕環」の項に、「磁気を利用した治療用腕環等、専ら医療用のものに限られる。なお装身具としての腕環は、第14類身飾り品に属する。」と記載されていることからも、裏付けられるところである。
そして、「医療用腕環」は、商取引の実際にあっては、例えば磁気治療器の一種として「磁気ブレスレット,磁気療法の腕輪」等のように、取引されているものであり、さらに、これらの磁気治療器は、薬事法施行令(昭和36年1月26日政令第11号)の別表第1(第1条関係)機械器具の項八十一に、「磁気治療器」の記載があることから、厚生労働省から医療用具の製造承認を受けて製品化されるものである。
これらのことは、例えば、以下の新聞記事情報、インターネットのサイト情報からも、裏付けられるところである。
2001.03.13 日本工業新聞 17頁 ベンチャー 工中小
健康腕輪の「N・Sパワー」は、厚生省から医療用具の製造承認を受けて、九七年に発売した。
http://www.jiyu.co.jp/GN/cdv/backnumber/200304/topics02/topic02_13.html
磁石を用いて磁気の作用により血液の循環をよくしてコリを治す医療用具。昭和36(1961)年、薬事法施行令の改正のさい、正式に厚生省の審査を経て製品化されることになった。厚生省の認可したものは、その年度別に認可番号がつけてある。当初は指輪、腕輪、腰帯、マットレスなどが中心だったが、昭和40年代に磁気ネックレスが登場するに及びブームになった。
http://www.tdk.co.jp/tjbbh01/bbh14000.htm
医療機器 家庭用永久磁石磁気治療器
本ページの製品は、医療機器 家庭用永久磁石磁気治療器です。磁気ブレスレット エポールブレスレットα(家庭用永久磁石磁気治療器:承認番号 16300BZZ01907)
そうとすると、本件商品及び引用商品は、ともに薬事法によってその承認を要する医療用の特殊な商品であってみれば、その商品が、同一営業主によって製造される蓋然性を否定することができないものである。
してみれば、本件商品と引用商品とは、その使用目的、用途が、医療用のものに限定されるものであって、これらの商品に同一又は類似の商標を使用した場合には、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといえるから、これらの商品は、互いに類似の商品であるというのが相当である。
この点について、請求人は、本願商標の指定商品である「カテーテル」と引用商標の指定商品中の「医療用腕環」とは、製造部門、販売部門、商品自体の使われ方、購入者、販売方法等が全く相違するのであって、かれこれ相紛れることが全くなく、つまり出所の混同を生じることは、ありえない旨主張する。
しかしながら、商品の類否に関しては、「大判昭2.5.28」判決の後の最高裁判所の判決では、「指定商品が類似のものであるかどうかは・・・商品自体が取引上誤認混同の虞があるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞があると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずる虞がないものであっても、それらの商標は商標法・・・にいう類似の商品にあたると解するのが相当である。」(昭和33年(オ)第1104号判決 昭和36年6月27日判決言渡)、「両商品は互いに品質・形状・用途を異にするものであっても、それに同一または類似の商標を使用すれば同一営業主の製造または販売にかかる商品と誤認混同されるおそれがある場合には、これらの商品は、前記にいう類似の商品にあたると解すべきこと・・・は、すでに当裁判所の判例とするところである。」(昭和39年(行ツ)第54号判決 昭和43年11月15日判決言渡)などとしており、請求人が主張するような商品の属性で判断すべきとするのではなく、出所の混同という観点に立って判断しているところである。
そうとすれば、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と類似するものといわざるを得ない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-03-31 
結審通知日 2006-04-07 
審決日 2006-05-08 
出願番号 商願2002-48404(T2002-48404) 
審決分類 T 1 8・ 264- Z (Y10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大島 護 
特許庁審判長 柳原 雪身
特許庁審判官 山本 良廣
小出 浩子
商標の称呼 セオリイ、セオリー 
代理人 福村 直樹 

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