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審判番号(事件番号) データベース 権利
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不服20035262 審決 商標
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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y30
管理番号 1138088 
審判番号 不服2004-5930 
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-25 
確定日 2006-06-05 
事件の表示 商願2002-110158拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、2002年7月3日アメリカ合衆国出願に基づくパリ条約による優先権を主張して、平成14年12月27日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の理由
原査定は、「本願商標の指定商品に係る菓子等においては、各種形状のものが製造、販売されていることからすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、単に商品の形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、表面に顆粒がまぶされたゴルフのティー(球座)に似た形状の立体的形状よりなるものであるから、これを本願の指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品「菓子及びパン」の形状を表示するにすぎないものとして理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものというのが相当である。
(3)この点について、請求人(出願人)は、「ゴルフのティーの形状をした菓子は、今までに存在せず、斬新な形状といえることから、強い印象を与えるものであり、需要者は、これを単なる商品の形状と認識するに止まらず、この形状を目印に請求人(出願人)の商品と他人の商品とを区別することができる。そして、この形状は、アメリカ意匠特許登録第425286号となっている。」旨主張している。
しかしながら、本願指定商品を取り扱う業界においては、商品そのものの形状に特徴をもたせたもの、例えば、種々の動物や物品等の形状を模したものを採択し、販売していることが一般に行われていることは顕著な事実であるところ、本願商標の形状は、物品(ゴルフのティー)に模して形づくられたものであることを表す範囲のものというべきであり、上述のとおり、当該業界の実情からして、本願商標が殊更その形状をもって商品の出所識別標識として機能するとはいえないものである。
このことは、例えば、以下のインターネットのホームページの掲載情報の(a)ないし(d)においても見出すことができる。
(a)ベルメゾンネットの商品詳細「ゴルフボールチョコ」の項(http://www.bellne.com/shp/srvlt/PBelProductDisplay?storeId=10001&catalogId=10001&langId=-10&productId=501186358)の、ゴルフボールと同様の包装、形状をしたチョコレートの写真と販売に関する掲載情報。
(b)ぐるなび食市場の「プチリングキャンディー」の項(http://shop.gnavi.co.jp/Mall2/155/3591.html#1320)の、指輪の形状をしたキャンディーの写真と販売に関する掲載情報。
(c)株式会社ディー・エヌ・エー運営のオンラインマーケット、ビッターズの「ぴったりハマる、ボルトとナットのチョコ」の項(http://www.bidders.co.jp/dap/sv/nor1?id=26512789&p=y)の、ボルトとナットの形状をしたチョコレートの写真と販売に関する掲載情報。
(d)Yahoo!ショッピングの「白神ワールド 食&作」の項(http://store.yahoo.co.jp/akitasirakami/bsts04.html)の、犬の足裏の肉球と、骨の形状をしたパンの写真と販売に関する掲載情報。
したがって、本願商標は、前記認定のとおり、商品の形状の一形態を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであって、本願商標は、その形状に特徴をもたせたことをもって自他商品の識別力を有するものとは認められず、この点に関する請求人(請求人)の主張は採用できない。
また、本願商標と同一のものからなる商品の形状がアメリカ意匠特許登録されたことと、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとして取引者、需要者に認識されるか否かとは直接関係のないことである。
(4)なお、請求人(出願人)は、「本願商標に係る商品は、アメリカ合衆国において賞を受賞し、各種新聞、雑誌に取り上げられ、広告、宣伝がされており、現在は、アメリカ合衆国、メキシコ、カナダ、韓国、イギリス領ケイマン諸島でも販売されており、本願商標は、請求人(出願人)の業務に係る商品を表すものとして、需要者の間に広く認識されるに至っている。日本においては、近時、発売を開始する予定である。」旨主張している。
しかしながら、提出された甲各号証によっては、使用に係る商標の具体的な形状や外観の状態を把握することが困難であり、本願に係る商標との同一性を判断することができず、また、本願に係る商標と同一の形状からなる商品が、具体的にどの程度製造、販売され、どの程度、宣伝、広告されていたのかを示す証拠は提出されていない。また、甲各号証は、甲第19号証を除いては、いずれも海外の新聞、雑誌等を内容とする英語表記のものであり、日本国内において、広く一般に頒布されていたものとは認めがたい。
してみれば、請求人(出願人)提出の甲各号証をもってしては、本願商標に自他商品識別力が生じていたものと認めるに十分なものとはいえず、請求人(出願人)の主張及び甲各号証を総合してみても、本願商標それ自体が自他商品の識別標識としての機能を有するものとはいえないから、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(5)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。
よって、結論のとおり審決する。


【別掲】










審理終結日 2006-01-10 
結審通知日 2006-01-13 
審決日 2006-01-25 
出願番号 商願2002-110158(T2002-110158) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 幸志鈴木 斎 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 高野 義三
岩本 和雄
代理人 谷 義一 

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