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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y0109
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y0109
管理番号 1136694 
異議申立番号 異議2004-90466 
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2006-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-08-06 
確定日 2006-04-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第4768292号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4768292号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第4768292号商標(以下「本件商標」という。)は、「HiRes」の欧文字を標準文字により書してなり、平成15年1月17日に登録出願、第1類「化学品」及び第9類「半導体素子」を指定商品として、平成16年3月29日に登録査定、同年4月30日に設定登録がなされたものである。

第2 申立人の主張する取消理由
これに対し、本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、以下の国際登録第806569号商標(以下「引用商標」という。)を引用して、本件商標は商標法4条1項11号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきものであると申し立て、証拠方法として甲第1号証ないし同第7号証を提出している。
<引用商標>
「HIREF」の欧文字を横書きしてなり、2002年11月14日ドイツ国においてした商標登録出願に基づきパリ条約4条による優先権を主張して、第1類及び第9類に属する次のとおりの商品を指定商品として、2003年4月17日に国際登録、我が国においては、平成17年1月28日に設定登録されたものである。
指定商品 第1類
「Silanes; hydrochloric acid; conductive and semiconductive, doped and undoped organic polymers; inorganic elements and compounds in the form of hyperpure crystals; gallium-gadolinium garnet; doped and undoped, polycrystalline and monocrystalline inorganic semiconductor material, particularly in the form of crystals, granules and powders, in sawed, lapped, polished, etched, and coated form; doped and undoped, polycrystalline and monocrystalline inorganic semiconductor material, particularly in the form of rods, tubes, sheets (wafers) and moulded bodies, in sawed, lapped, polished, etched and coated form (included in this class); substrates coated with semiconductor material in the form of sheets (wafers), rods, tubes, granules and powders; substrates coated with semiconductor material in the form of moulded bodies (included in this class); hyperpure silicon for the electrical and electronic industries; monocrystalline silicon in the form of rods, blocks, sheets (wafers) and powders; polycrystalline silicon in the form of powders and granules; polycrystalline silicon in the form of blocks, sheets and moulded bodies (included in this class). 」
(「和訳」シラン,塩酸,導電性及び半導電性の不純物を添加したもの及び添加しない有機高分子,高純度結晶形の無機の要素及び無機化合物,ガリウムガドリニウムガーネット,不純物を添加した及び添加しない多結晶及び単結晶の無機半導体材料(特に結晶状・粒状及び粉末状のもの,切断・ラップ仕上・研磨・エッチング及び被覆した形態のもの。),不純物を添加した及び添加しない多結晶及び単結晶の無機半導体材料(特に棒状・チューブ状・シート(ウエハー状)状及び成形体形状のもの,切断・ラップ仕上・研磨・エッチング及び被覆した形態のもの。)(本類に属するもの。),シート(ウエハー)状・棒状・チューブ状・粒状及び粉末状の半導体材料で覆われた基板,成形体状の半導体材料で覆われた基板(本類に属するもの。),電気工業用及び電子工業用高純度けい素,棒状・ブロック状・シート(ウエハー)状及び粉状の単結晶けい素,粉末状及び粒状の多結晶シリコン,ブロック状・シート状及び成形体形状の多結晶シリコン(本類に属するもの。)) 指定商品 第9類
「Silicon wafers and other semiconductors.」
(「和訳」シリコンウェハー及び他の半導体)

第3 本件商標に対する取消理由の要旨
当合議体は、商標権者に対して、平成17年7月28日付け、要旨下記内容の取消理由を通知した。

本件商標と引用商標との類否についてみるに、本件商標からは「ハイレス」、引用商標からは「ハイレフ」の称呼をそれぞれ生ずるものと認められる。そして、この両称呼の差異は、語尾における「ス(su)」と「フ(fu)」の音の差異にすぎないところ、これとても、母音(u)を共通にし、その子音の「s」と「f」は、いずれも響きの弱い無声摩擦音であるから、この差異が両称呼全体に及ぼす影響は大きなものとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼したときは、その語調・語感が近似し、彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。
そして、両商標は、外観及び観念上の明瞭な差異により区別して認識し得る等の格別な事情も見当たらない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼において類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法4条1項11号に違反してされたものである。

第4 商標権者の意見の要旨
上記第3の取消理由に対して、商標権者は、つぎのように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。
1 本件商標「HiRes」及び引用商標「HIREF」は、綴りの上では語尾における「s」対「F」の差異を有し、外観上区別し得るものである。しかも引用商標は、大文字を同じ大きさで表記した構成であるのに対し、本件商標は語頭の「H」と中間の「R」の文字が大文字で表され、他の文字は、小文字で表されているという特徴を有することから、両商標は外観上明確に識別される。
2 この外観上の差異は、両者の称呼にも影響を与えている。すなわち、引用商標は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で表されていることから、外観上一塊のものと容易に理解され、「ハイレフ」と何らの抑揚も無くスムーズな称呼を生ずるのに対し、本件商標は、前記特徴から称呼上、「Hi」と「Res」とに分離され、「ハイ・レス」と音節を伴った称呼が生じる。
しかして、両称呼の差異音である「フ」と「ス」の両音は、称呼の識別上、比較的重要度の引い語尾音に位置するものであっても、前者が上下の唇を用いて調音される両唇音で柔らかい音であるのに対し、後者は、舌端と上の歯茎の間で調音される刺々しい音であるから、両音は、その調音方法及び音質において大差を有する。
この両音の差異は、引用商標がなめらかに称呼されるのに対し、本件商標が「ハイ・レス」と中間で区切って称呼されることも相まって、両称呼全体に及ぼす影響は非常に大きく、両称呼は、その語調・語感において大差を有するものであって、時と処を異にして称呼しても相紛れるおそれはない。
よって、本件商標と引用商標とは、称呼においても非類似である。
3 また、両商標共に、一般需要者をして、特定の意味合いを想起させないものであるから、両商標は、観念上比較すべくも無い。
4 本件商標は、現実に我が国において使用(乙第1号証:英文パンフレット)されているが、今のところ、引用商標との間で出所の混同を生じた事実はない。このことからも本件商標が引用商標と類似するものではないことが推認できる。
5 以上から、本件商標は、引用商標とはその称呼、観念及び外観のいずれにおいても非類似であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないため、本件商標の登録は維持されるべきである。

第5 当審の判断
本件商標から生じる「ハイレス」と引用商標から生ずる「ハイレフ」の称呼をそれぞれ比較するに、先の取消理由通知において認定、判断したとおり、両称呼の差異は、語尾における「ス(su)」と「フ(fu)」の音の差異にすぎないところ、これとても、母音(u)を共通にし、その子音の「s」と「f」は、いずれも響きの弱い無声摩擦音であるから、この差異が両称呼全体に及ぼす影響は大きなものとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼したときは、その語調・語感が近似し、彼此聴き誤るおそれがある称呼上類似の商標といわなければならない。
商標権者は、両商標が称呼上、非類似であるとして、上記第4の2において、引用商標は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で表されていることから、外観上一塊のものと容易に理解され、「ハイレフ」と何らの抑揚も無くスムーズな、なめらかな称呼を生ずるのに対し、本件商標は、前記特徴から称呼上、「Hi」と「Res」とに分離され、「ハイ・レス」と音節を伴い、中間で区切って称呼される、と主張しているが、簡易迅速を旨とする商取引の実際においては、必ずしも外観の特徴を把握の上「ハイ・レス」と中間で区切って称呼するものとも認めるに足る証拠も見あたらず、一連に「ハイレス」と称呼する場合も充分考えられるとみるのが相当である。
また、商標権者は、両商標の外観の差異が、明確である旨主張しているが、両商標は、上記のとおり、称呼上類似の商標と認められるものであって、両商標の外観上の差異により、区別して認識し得る等の格別な事情も見あたらない。そして、観念においては、比較することができないこと明らかである。
さらに、商標権者は、本件商標は、現実に我が国において使用され、今のところ、引用商標との間で出所の混同を生じた事実は無いことからも両商標は類似しない旨主張しているが、両商標は上記のとおり、客観的認定、判断により類似の商標と認め得るものであり、商標法第4条第1項第11号の適用は、出所の混同を生ずるおそれがあれば足るものであることから、この点に関する商標権者の主張は前記認定、判断に影響を及ぼすものとは認められない。
したがって、本件商標と引用商標とは、その称呼において類似する商標であり、かつ、両商標の指定商品は、同一又は類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ず、商標法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2005-12-06 
出願番号 商願2003-2791(T2003-2791) 
審決分類 T 1 651・ 262- Z (Y0109)
T 1 651・ 261- Z (Y0109)
最終処分 取消  
前審関与審査官 松田 訓子 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 水茎 弥
山本 良廣
登録日 2004-04-30 
登録番号 商標登録第4768292号(T4768292) 
権利者 トプシル・セミコンダクター・マテリアルズ・エーエス
商標の称呼 ヒレス、ハイレス、レス、アアルイイエス 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 小出 俊實 
代理人 加藤 義明 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 石川 義雄 

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