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審決分類 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Y09
管理番号 1136397 
審判番号 無効2005-89084 
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-06-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-07-01 
確定日 2006-04-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第4773178号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4773178号の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4773178号商標(以下「本件商標」という。)は、「MOPRI」の文字を標準文字で書してなり、平成15年12月2日に登録出願、第9類「理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,写真複写機,自動販売機,電池,通信ケーブル,光ファイバーケーブル,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として、同16年5月21日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由の要旨を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)引用商標の使用経緯について
請求人が無効の理由に引用する商標「MOPLY」(以下「引用商標」という。)は、請求人がその業務に係る電子計算機用プログラム及びその提供などについて、本件商標の出願日前から現在に至るまで継続して使用している商標である(甲第2号証、甲第4号証ないし甲第10号証(枝番を含む)など)。
(2)引用商標の構成について
引用商標は、一般的な書体のローマ字によって「MOPLY」と一連に横書きされた商標であり(甲第2号証、甲第8号証など)、「モプリ」の称呼を生じる。また、引用商標は造語であって、特定の観念を生じさせない。
(3)引用商標の周知・著名性について
請求人は、2000年2月(平成12年2月)に設立され、インターネットを利用して静止画や動画を配信するための電子計算機用プログラムやサーバシステムの研究・開発・販売・貸与などを主な業務とする法人である。
請求人開発による製品の一つである携帯端末向け画像変換配信サーバー(商品名「snaprec」)は、国内最大級の検索サイトを運営・管理しているヤフー株式会社(東京都港区六本木6-10-1)が運営・管理するウェブサイト「モバイル版 Yahoo!オークション」に全面採用されている。また、上記「snaprec」は、書籍やDVD等のレンタルや販売などを行う店舗を全国に約1000店舗以上展開している「TSUTAYA」のFC本部であるCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)の子会社「株式会社ツタヤオンライン」が運営するウェブサイト「TSUTAYA online」、凸版印刷株式会社(東京都台東区台東1-5-1)が運営する携帯端末向けウェブサイト「クラブビットウェイ」、エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社(東京都千代田区大手町2-2-2)が運営するウェブサイト「モバイルGoo」における画像変換システムなどにも正式採用されている。このように、請求人は国内において急成長を遂げると共に、中国の「北京方正国際有限公司」と総代理店契約を締結するなど、海外展開をも行っている企業であり、IT業界、特に画像配信の分野において広く知られるに至っている法人である。
請求人は、本件商標の出願日前より、自己が開発した画像配信用プログラム及びそのプログラムを含む画像配信システムを表示する商標として引用商標を継続的に使用しており、現在も使用している。請求人による上記継続的使用の結果、引用商標は、本件商標の出願時において、既に請求人の業務に係る画像配信用プログラム及びそのプログラムを含む画像配信システムを表示する商標として需要者・取引者に周知・著名となっていた。また、引用商標の周知性・著名性は、本件商標の査定時を経て現在においても維持されている。かかる事実を証すべく、以下に引用商標の使用状況及び証拠資料を示す。
(ア)請求人は、インターネットを介して画像データを配信するための新規な電子計算機用プログラム及びそのプログラムを含む画像配信システム(以下、前者を「プログラム」、後者を「システム」と略すこともある。)を開発した。このプログラム及びシステムは、特定のプラグインプレーヤーがインストールされていないコンピュータ上であっても動画を視聴可能(ストリーミング可能)とすることを最大の特徴とするものである。かかる特徴故に、当該プログラム又はシステムの主な需要者・取引者は、動画データの受信側の人々ではなく、専ら送信側の人々である。換言すれば、所謂一般消費者ではなく、デジタルコンテンツを配信する配信業者、デジタルコンテンツが配信されるネットワークを構成するソフトウエア及びハードウエアに携わる者、配信されるデジタルコンテンツを制作するコンテンツ制作者などが主な需要者・取引者である。
(イ)請求人は、本件商標の出願日(平成15年12月2日)よりも前の平成13年12月6日に、上記プログラム及びシステムのプレス発表会を開催した。このプレス発表は、上記需要者・取引者を含むIT業界関係者、同業界紙記者及び一般紙記者を含む約200人を集め、QFRONTビル(東京都渋谷区宇田川町21-6)において行われ、引用商標が付された資料(甲第2号証)が全出席者に配布された。配布資料の表紙には引用商標が顕著に表示されていると共に、配布資料中にも請求人が提供するプログラム及びシステムを表示する商標として、引用商標が繰り返し使用されている。
(a)甲第3号証は、上記プレス発表会出席者の一部(102名)より受領した名刺から得られたデータである。また、甲第4号証の1ないし甲4号証の5は、上記プレス発表会出席者のうちから無作為に抽出した5名の出席者による証明書である。これら証明書によれば、少なくとも、上記プレス発表会にIT業界関係者、雑誌記者、新聞記者を含む200名程度が出席していたこと、出席者全員に甲第2号証に示す資料が配布されことが明らかである。
(b)甲第5号証は、株式会社日経BPにおいて、同社の総合ニュースサイトの編集長を務めている田邊俊雅氏による証明書である。この証明書によれば、上記プレス発表会に関する記事が同社ホームページ上で本件商標の出願日よりも前の平成13年12月6日に公開された事実が明らかである。さらに、株式会社日経BPのホームページ上で公開された上記記事中では、請求人が提供するプログラム及びシステムを表示する商標として引用商標が繰り返し使用されている。さらに、証明書に明記されている通り、平成13年当時、上記総合ニュースサイトヘは、一日平均50万件、月間約1030万件のアクセスがあった。全てのアクセス者が上記プレス発表会に関する記事を閲覧したとは断定できないが、当該サイトヘのアクセス数からして、上記記事の閲覧者数が相当数に登ることは容易に推測される。
(c)甲第6号証は、上記プレス発表会の紹介記事が載せられた株式会社毎日新聞のホームページのスクリーンコピーである。この紹介記事の冒頭には、上記プレス発表会の開催日(2001.12.06)が示されていると共に、紹介記事中では、請求人が提供するプログラム及びシステムを表示する商標として引用商標が多数回にわたって使用されている。
(ウ)甲第7号証は、平成13年12月14日に、請求人の代表取締役である上田拓右に面会し、上記プログラム及びシステムに関する取材を行ったチアーズ合資会社の矢野壮一氏による証明書である。矢野壮一氏が勤務するチアーズ合資会社は、インターネットベンチャービジネスやブロードバンドビジネスに関する情報提供を主たる業務の一つとする法人であって、上記取材記事は同社によって管理・運営されているインターネットサイトにおいて、平成14年1月15日に公開されている。そして、インターネット上で公開された上記取材記事中には、請求人が提供するプログラム及びシステムを表示する商標として引用商標が繰り返し使用されている。
(エ)甲第8号証は、請求人が上記プログラム及びシステムの宣伝広告を行うために、株式会社青丹社(当時の社名は「株式会社青潭社」)に依頼して制作したカタログである(甲第9号証)。甲第8号証に示すカタログの表面右側には、引用商標が大きくはっきりと表示されおり、同左側の説明文中でも引用商標が繰り返し使用されている。このカタログは、少なくとも3000部制作され(甲第9号証)、平成15年5月項から現在に至るまでの間に、少なくとも2500部が請求人の役員及び社員によって上記プログラム及びシステムの需要者・取引者に配布されている。
甲第10号証の1ないし甲第10号証の10は、甲第8号証に示すカタログを実際に受け取った需要者・取引者による証明書である。
(オ)さらに、請求人と、伊藤忠商事株式会社(東京都港区北青山2丁目5番1号)の宇宙・情報・マルチメディアカンパニーとは、平成13年12月17日に、上記プログラム及びシステムの共同マーケティングに関する覚書を締結し、同覚書に基づいて平成13年12月17日〜平成14年1月31日まで共同でマーケティング調査を行っている。加えて、請求人は、放送およびインターネットに関連した新規事業の企画・投資、グループ傘下にある事業会社の経営支援、管理を目的とするソフトバンク・ブロードメディア株式会社(東京都中央区日本橋箱崎町24番1号)と、上記プログラム及びシステムの拡販を目的として事業提携を行っていた。
(カ)甲第11号証は、社団法人パーソナルコンピュータユーザ利用技術協会(東京都港区芝大門1-15-1)が定期発行している協会紙「パソコンリテラシ」の2002年9月号(2002年9月10日発行)の一部写しである。社団法人パーソナルコンピュータユーザ利用技術協会は、パソコンユーザの利用技術の向上とコミュニケーションの場を提供し、社会、家庭の情報化の進展と情報リテラシの涵義を図ることを目的に、経済産業省の認可により設立された全国組織である。同協会の2003年3月時点における個人正会員は1162名、法人正会員は71社である。また、同時期における上記協会紙「パソコンリテラシ」の発行部数は2000部である。甲第11号証によれば、本件商標の出願日よりも前に発行された上記協会紙「パソコンリテラシ」において、請求人が開発した上記プログラム及びシステムが「MOPLY(モプリ)」の名称で紹介された事実が明らかである。さらに、その紹介は、読者の注意を引きやすい特集記事の一つとしてなされたものであることも明らかである。尚、2000部という発行部数は、当該協会誌が特定の会員向けに発行される刊行物であることや、その内容がコンピュータ関連技術に特化したものであること等の事情を考慮すれば、決して少ない数ではない。
(キ)これまで説明した請求人による引用商標の使用実績や各種メディアによる紹介などにより、引用商標は、請求人の業務に係る上記プログラム及びシステムを表示する商標として、本件商標の出願前に需要者・取引者の間で既に周知・著名となっていた。
甲第12号証の1ないし甲第12号証の9は、平成14年(2002年)5月〜平成15年(2003年)11月にかけて受信された上記プログラム又はシステムに関する問い合わせメールである。これらメールの送信者(問い合わせ者)は、いずれも請求人が提供する上記プログラム又はシステムを「MOPLY」、「moply」又は「モプリ」と呼んでいる。かかる事実は、請求人が提供する上記プログラム又はそのプログラムを含む画像配信システムを表示する商標として、引用商標が需要者・取引者の間に広く知られていることを示すに他ならない。
(4)本件商標と引用商標との類似性について
本件商標は、ローマ字の「MOPRI」であり、「モプリ」の称呼を生ずる。一方、引用商標はローマ字の「MOPLY」であり、やはり「モプリ」の称呼を生ずる。よって、本件商標と引用商標とは、称呼を同一にする。
さらに、本件商標は、標準文字のローマ字で「MOPRI」と表されている。一方、引用商標は、一般的な書体のローマ字で「MOPLY」と表されている。加えて、両商標ともローマ字5文字から構成されている点、最初から最後まで大文字で構成されている点、各文字の間の間隔が一定である点で共通している。これらより、本件商標と引用商標は、類似した外観を有すると言える。
尚、両商標とも造語であって、特定の観念を生じさせないことから、観念は類否判断に影響を与えない。
以上より、本件商標と引用商標は、これを時と所を異にして離隔的に観察した場合はもとより、両者を対比観察した場合にも互いに相紛れるおそれのある程度に近似した類似商標である。
(5)商品について
本件商標の指定商品は、「理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,写真複写機,自動販売機,電池,通信ケーブル,光ファイバーケーブル,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」である。
一方、請求人が引用商標を使用している商品は、インターネットを介して画像データを配信するためのプログラムやそのプログラムを含む画像配信システムである。
類似商品・役務審査基準改訂第9版(編集:特許庁商標課 発行:社団法人発明協会)によれば、本件商標の指定商品中の「電子応用機械器具」には、引用商標が使用されているプログラム(電子計算機用プログラム)が含まれる。また、電子計算機用プログラムと電子計算機用プログラムの提供とは類似する。
(6)出所混同のおそれについて
ITやインターネットが広く普及した今日においては、インターネットを介して各種データの送受信を行うための機能を備えた機器が多数存在している。例えば、家庭用テレビゲームおもちゃや携帯用ゲームおもちゃでは、インターネットを介して画像データ、音声データ、テキストデータ等を交換する機能や任意のプログラムをダウンロードする機能等を備えたものが本件商標の出願時において既に広く普及していた。
さらに、ブロードバンド時代の到来によって、従来はビデオテープやCDなどの記録媒体を介して提供されていた映画や音楽などの大容量コンテンツをインターネットを介して気軽にダウンロードしたり、ストリーミングしたりすることが可能となった。かかるブロードバンドの実現には、電気通信機械器具や通信ケーブルの改良が極めて重要であることは自明である。さらに、近年では、末端の機器を光ファイバケーブル網に直接接続可能とするFTTH(fiber to the home)が一般化しつつあり、かかる光ファイバケーブル網では、光信号を合分波したり、増幅したりするための光学機械器具が伝送網上の随所に設置されることが知られている。
以上のような状況に鑑みれば、「電子計算機用プログラム」以外の本件商標の指定商品と、引用商標が使用されているプログラム及びシステムとは、密接な関連を有し、その需要者及び取引者の範囲が同一であるか、少なくとも一部において重複している。
(7)むすび
以上の通り、
(ア)本件商標と引用商標とは称呼を同一とし、類似した外観を呈する一方、両者とも特定の観念を生じさせないこと、
(イ)引用商標は、本件商標の出願時及び査定時において、請求人の業務に係る商品・役務を表示する商標として日本国内において広く知られるに至っていたこと、
(ウ)本件商標の指定商品中「電子応用機械器具」には、引用商標が使用されている商品「電子計算機用プログラム」が含まれ、同役務「電子計算機用プログラムの提供」と類似すること、
などを勘案すると、少なくとも指定商品「電子計算機用プログラム」に関しては、本件商標は、その出願時及び査定時を経て現在に至るまで、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品・役務に使用する商標に該当する。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであり、無効とされるべきである。
また、
(エ)引用商標が本件商標の出願時及び査定時において、請求人の業務に係る商品・役務を表示する商標として需要者・取引者に極めて広く知られていたこと、
(オ)本件商標の指定商品中「電子応用機械器具」以外の指定商品には、引用商標が使用されているプログラム及びシステムと密接な関係を有する商品が含まれていること、
などを勘案すると、本件商標の出願時及び査定時はもとより、現在においても、本件商標がその指定商品に使用されたときには、請求人又はこれと組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品・役務であるかのごとく商品・役務の出所について混同を生じさせるおそれがある。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであり、無効とされるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の前記主張に対し何ら答弁していない。

4 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
請求人の提出に係る甲第2号証のプレス発表会(平成13年12月6日)の資料及び甲第11号証の「パソコンリテラシ」(社団法人パーソナルコンピュータユーザ利用技術協会 2002年9月10日発行)によれば、請求人は、2000年2月に設立され、インターネットを利用して静止画や動画を配信するための電子計算機用プログラムやサーバシステムの研究・開発・販売・貸与などを主な業務とする法人であり、インターネットを介して画像データを配信するための新規な電子計算機用プログラム及びそのプログラムを含む画像配信システムを開発したこと、そして、請求人は、本件商標の出願日(平成15年12月2日)よりも前の平成13年12月6日に、前記プログラム及びシステムのプレス発表会を、QFRONTビル(東京都渋谷区宇田川町21-6)において開催し、商標「MOPLY」(以下「引用商標」という。)が付された資料が出席者に配布されたこと等の事実を認めることができる。
また、甲第4号証の1ないし甲4号証の5は、前記発表会出席者の一部の証明書であって、これら証明書によれば、少なくとも、発表会にIT業界関係者、雑誌記者、新聞記者を含む200名程度が出席していたこと、出席者全員に甲第2号証に示す資料が配布されこと、そして、甲第5号証の証明書は株式会社日経BPの総合ニュースサイトの編集長の証明書であって、この証明書によれば、上記発表会に関する記事が同社ホームページ上で本件商標の出願日よりも前の平成13年12月6日に公開された事実を認めることができる。
さらに、甲第8号証の商品カタログ及び甲第9号証の証明書によれば、そのカタログの表面右側には、引用商標が大きくはっきりと表示されおり、同左側の説明文中でも引用商標が繰り返し使用されている。このカタログは、平成15年5月頃、少なくとも3000部制作されているものと認められる。甲第10号証の1ないし甲第10号証の10の証明書は、前記商品カタログを実際に受け取った取引者、需要者による証明書であることが認められる。
しかして、請求人主張の理由及び請求人の提出に係る証拠を総合勘案すれば、引用商標は、本件商標の登録出願時には請求人の業務に係る「画像配信用プログラム及びそのプログラムを含む画像配信システム」(以下「請求人使用商品」という。)を表示する商標として、少なくも「電子応用機械器具」を取り扱う分野の取引者、需要者の間においてある程度認識されていたものと認められる。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、前記のとおり「MOPRI」の文字を書してなるものであって、その構成文字に相応して「モプリ」の称呼を生ずるものと認められる。
他方、引用商標は、前記のとおり「MOPLY」の文字を書してなるものであって、その構成文字に相応して「モプリ」の称呼を生ずるものと認められる。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観及び観念について考慮するとしても、「モプリ」の称呼を共通にする類似の商標といわざるを得ない。
また、本件商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」は、請求人使用商品と同一又は類似の商品と認められる。
してみれば、本件商標は、前記のとおり本件商標の登録出願時には請求人使用商品を表示する商標として、少なくも「電子応用機械器具」を取り扱う分野の取引者、需要者の間においてある程度認識されていたものと認められる引用商標と類似するものであって、その請求人使用商品に類似する商品について使用するものと認められる。
(3)商標法第4条第1項第15号について
請求人の提出に係る証拠を検討したが、前記のとおり引用商標が「電子応用機械器具」を取り扱う分野の取引者、需要者の間においてある程度認識されていたものと認められるとしても、引用商標が本件商標の登録出願時には請求人使用商品の商標として「電子応用機械器具」を取り扱う分野以外の取引者、需要者の間にまで広く認識されていたものとするに充分な証拠とは認められないから、本件商標は、これをその指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」以外の商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、引用商標を連想又は想起するとは認められず、その商品が請求人又は請求人と経済的もしくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
(4)以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
しかしながら、本件商標は、請求に係るその余の指定商品について、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものではなく、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-02-22 
結審通知日 2006-02-27 
審決日 2006-03-13 
出願番号 商願2003-106700(T2003-106700) 
審決分類 T 1 11・ 25- ZC (Y09)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 岩崎 良子
小川 有三
登録日 2004-05-21 
登録番号 商標登録第4773178号(T4773178) 
商標の称呼 モプリ 
代理人 石橋 政幸 
代理人 宮崎 昭夫 
代理人 緒方 雅昭 
代理人 岩田 慎一 

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