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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z0321
管理番号 1134737 
審判番号 取消2004-30164 
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-05-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-02-06 
確定日 2006-03-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第4306123号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4306123号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年5月1日に登録出願、「CINEMA」の欧文字を横書きしてなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,染み抜きベンジン,つや出し剤,研磨紙,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」及び第21類「なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),アイスペール,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),シェーカー,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,食品保存用ガラス瓶,水筒,栓抜き,なべ敷き,はし,はし箱,魔法瓶,ようじ,レモン絞り器,清掃用具及び洗濯用具,化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。),洋服ブラシ,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,小鳥かご,小鳥用水盤,じょうろ,せっけん用ディスペンサー,貯金箱(金属製のものを除く。),トイレットペーパーホルダー,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(金属製のものを除く。),花瓶(貴金属製のものを除く。),香炉,水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴」を指定商品として、同11年8月13日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録は、その指定商品中、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,染み抜きベンジン,つや出し剤,研磨紙,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」について取消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
1.請求の理由
本件商標は、その指定商品中、取消請求に係る上記指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても、使用された事実はないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2.答弁に対する弁駁
(1)被請求人の主張の第1は、被請求人は実質的な意味において株式会社ヴィーナスフォートに対し、本件商標に係る商標権についての通常使用権を設定しており、通常使用権者である株式会社ヴィーナスフォートは、乙第6号証の2ないし9に示す広告宣伝を平成15年11月7日以降継続的に掲載したから、平成15年11月7日以降、本件審判請求の登録日までの間に、日本国内において、本件商標をアイシャドウに使用しているというものである。
しかしながら、かかる主張は、証拠に基づかず、全く理由が無い。
(a)被請求人は、乙第2号証と乙第4号証とに基づいて、株式会社ヴィーナスフォートが被請求人の本件商標に対する商標権の通常使用権者であると主張するが全く理由が無い。
(ア)第1に、乙第2号証及び乙第4号証の成立は否認せざるを得ない。
乙第2号証の署名欄(5頁)に「Susan Krasner President」と記載された署名欄があるが、署名はかすれて殆ど読めない。 加えて、乙第2号証に「Susan Krasner」の署名として付されているものの筆跡は、乙第4号証の署名欄に「Susan Krasner」の署名として付されているものの筆跡と明らかに異なる。かかる筆跡の相違は、仮に「Susan Krasner」が被請求人の社長であった者であるとしても、同人が乙第2号証にも乙第4号証にも署名していないことを示すものである。
したがって、被請求人は、乙第2号証及び乙第4号証の契約の当事者ではない。
更に、乙第2号証にも乙第4号証にも、「Susan Krasner」なる者のイニシャルがない。乙第2号証には、「SM」のイニシャルが付されており、乙第4号証には、「MS」のイニシャルと「NN」のイニシャルが付されているのみである。尚、「NN」なるイニシャルの人物は、乙第4号証の署名欄に署名者として表示された者の中にいない。
このことは、乙第2号証及び乙第4号証に、被請求人の社長であると表示された「Susan Krasner」が乙第2号証にも乙第4号証にも署名していなかったことを意味する。
したがって、被請求人は、乙第2号証及び乙第4号証の契約の当事者ではない。
加えて、乙第4号証の1枚目には「September 8th」を手書きで消し、「November 2nd,1999」を手書きで書込んだ跡があるが、余白には「MS」のイニシャルと「NN」のイニシャルがあるのみである。そして、「MS」のイニシャルは、署名欄の「Megumi Saita」と表示された者のイニシャルであると一応解することが出来るが、署名欄に「Shigeki Matsumoto」と表示された者及び「Susan Krasner」と表示された者のイニシャルはない。尚、「NN」なるイニシャルを有する者は署名欄に表示された者の中にもない。
かかる事態は、「September 8th」の「November 2nd,1999」への変更は、乙第4号証への署名者として表示された者のうち「MS」なるイニシャルを付した者のみによってなされたものであり、他の者に無断でなされたものであることを意味する。
したがって、このことは、乙第2号証及び乙第4号証は、被請求人の社長として表示された「Susan Krasner」により署名されたものでないことを示すものであり、同時に、乙第4号証の訂正は、「Megumi Saita」と表示された者により無断でなされたものであり、乙第4号証の当事者の何人をも拘束するものでないことを意味する。
したがって、ナチュラルビクトリーは、乙第2号証により被請求人の独占的販売店となったものではなく、株式会社ヴィーナスフォートは、乙第4号証の契約により、ナチュラルビクトリーの独占的販売店の地位を承継したものではあり得ない。
よって、ナチュラルビクトリーはもとより、株式会社ヴィーナスフォートも被請求人の製品(乙第2号証に定義するProducts)の独占的販売店ではあり得ない。
したがって、既にこの点において、被請求人の主張は理由が無い。
(イ)第2に、予備的に主張するに、乙第2号証の契約は、被請求人とナチュラルビクトリーというカリフォルニア州法人との間の独占的販売店契約である。乙第2号証の第1条から明らかなように、乙第2号証の契約は、被請求人がナチュラルビクトリーを被請求人の商品の独占的卸販売店に指定するものである。即ち、乙第2号証の契約は、被請求人の略称「Cinema Beaute’」(注.「CINEMA」ではない)に対する使用権を付与する契約ではあり得ても、本件商標に対する商標権はもとより、およそ商標権について使用権を付与する契約ではあり得ない。仮に、乙第2号証の契約が商標権について通常使用権を付与する契約であったと仮定するとしても、乙第2号証の契約に規定した商品(Products)に付された商標は、「Cinema Beaute’」であるから、「Cinema Beaute’」という商標に対する商標権を付与する契約であったとしても、本件商標に対する商標権につき使用権を付与する契約ではあり得ない(乙第4号証の調印日とされている1999年11月2日当時、本件商標に対する商標権者は株式会社バネットであったのであるから、これは当然である)。なお、被請求人は、当該株式会社バネットはヴィーナスフォートの関連会社であると主張するが、かかる主張は証拠が無く、全く理由がない。
したがって、仮に、株式会社ヴィーナスフォートがナチュラルビクトリーの地位を承継したと仮定しても、株式会社ヴィーナスフォートは、如何なる商標についても通常使用権者ではなく、仮に何らかの商標についての通常使用権者であるとしても、それは「Cinema Beaute’」であり、本件商標ではない。
即ち、株式会社ヴィーナスフォートは、本件商標に対する商標権についての通常使用権者ではない。
(b)被請求人は、乙第6号証ないし乙第9号証の宣伝・広告を平成15年11月7日以降継続的にウェブサイトに掲載していると主張し、これをもとに、通常使用権者である株式会社ヴィーナスフォートが本件商標を化粧品であるアイシャドウに使用していると主張する。
しかしながら、かかる主張は、全く理由がない。
(ア)第1に、仮に、乙第2号証の契約が有効であると仮定し、乙第2号証の契約が何らかの商標について通常使用権を付与する契約であると仮定しても、乙第2号証は、「Cinema Beaute’」という商標について通常使用権を付与する契約であるから、仮に、乙第4号証の契約が有効であると仮定しても、株式会社ヴィーナスフォートは、「Cinema Beaute’」という商標についての通常使用権を有するのみであり、本件商標について通常使用権を有するのではない。したがって、乙第6号証に示された「CINEMA」の株式会社ヴィーナスフォートによる使用は通常使用権者としての使用ではない。
(イ)第2に、同号証に示された「CINEMA」の使用態様は意匠としての使用であり、商標としての使用ではない。
(ウ)第3に、同号証に示された商品が被請求人の製造販売による商品であるとの証拠はない。
(エ)逆に、同号証に示された商品は、被請求人の製造販売に係る商品ではない。このことは、そもそも、上記の通り、被請求人の商品に付される商標は「Cinema Beaute’」であって、本件商標「CINEMA」ではないことから明らかである。
そればかりでなく、乙第2号証の第1条に規定する如く、乙第2号証の契約は、被請求人がナチュラルビクトリーをProductsに卸売(at wholesale)する独占的販売店に指定する契約であるから、株式会社ヴィーナスフォートは、被請求人のProductsを卸売する独占的販売店の地位を承継したにすぎず、契約上小売はできないのである。然るに、乙第6号証に示す「CINEMA」なる標章を付した商品の販売態様は小売であり卸売ではない。したがって、株式会社ヴィーナスフォートの販売は、乙第2号証に違反するものである。よって、乙第6号証に示す商品が被請求人の製造販売に係る商品であることはあり得ない。
即ち、乙第6号証に示された商品は、被請求人の製造販売に係るものではないから、被請求人の主張する乙第6号証の2ないし9の広告・宣伝なるものは、株式会社ヴィーナスフォートが被請求人の通常使用権者としてなした広告・宣伝ではない。
(c)その上、乙第6号証の日付は2004年3月8日であり、本件審判請求の登録日後のものである。
被請求人の通常使用権者である株式会社ヴィーナスフォートは、平成15年11月7日以降、本件審判請求の登録の日までの間、本件商標を化粧品であるアイシャドウについて使用したとの主張に全く理由が無いことは明白である。
よって、被請求人の主張する通常使用権者による本件商標の本件審判請求の登録前3年以内のアイシャドウへの使用は全く理由が無く失当であること明白である。
(2)被請求人の主張の第2は、被請求人は、上記独占的販売店契約において、被請求人が自社商品のアイシャドウの宣伝・広告を株式会社ヴィーナスフォートに委託し、それを受けて、株式会社ヴィーナスフォートが広告・宣伝を行なっているというものである。
しかしながら、かかる主張も全く理由が無い。
(a)乙第6号証の示すウェブサイトへの掲載は、株式会社ヴィーナスフォートが自らのため行なう掲載であって、被請求人が行なう広告宣伝ではあり得ない。
このことは、乙第2号証の契約において、同契約にいうProductsの引渡の条件は原地渡であり(第8条「Products shall be shipped Ex Manufacture.」)、Productsに対する所有権は、被請求人の工場又は倉庫から出荷された時点で株式会社ヴィーナスフォートに移転しており、株式会社ヴィーナスフォートは、乙第2号証の契約の第6条の規定「DistributorはテリトリーにおいてProductsを販売促進し販売するため最善の努力をしなければならない」に基づいて、自らが小売する自らの所有する商品を自らのために販売促進及び販売のため、ウェブサイトに掲載しているのであり、乙第6号証のウェブサイトへの掲載は、株式会社ヴィーナスフォートの広告・宣伝であり得ても、被請求人の広告・宣伝ではあり得ない。
(b)乙第7号証は、本件審判請求書が被請求人に送達された後、本件答弁書が提出された平成16年5月26日の2日前の平成16年5月24日に作成されたものである。後日付であれば、如何なる内容の証明書も作成できる。しかも、乙第7号証は、作成者名も含めて全部タイプしてあり、本人の署名も無く、作成日の欄のみ空欄であるから、作成者として表示された者以外の何人かが作成用意し、印のみ貰ったものであることが明らかである。
また、乙第7号証の文面自体にも不合理な点が多々あり、そもそも、仮に、乙第2号証及び第4号証の契約が有効であるとすれば、株式会社ヴィーナスフォートは、独占的販売店として、乙第2号証の契約の規定により、最善の努力をしてProductsを販促卸販売する義務を負っているのであり、被請求人がウェブサイトに掲載することを要請することなどあり得ないのである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標登録に係る商標権者又は通常使用権者は、商標法第50条第2項に規定されている期間内において、本件商標を指定商品である化粧品について使用している。
(1)先ず、乙第1号証に示すとおり、その商標権は平成15年11月7日まで、株式会社バネットが保有していた。
この株式会社バネットは、後に、本件審判の被請求人と独占販売代理店契約を締結することになる株式会社ヴィーナスフォートの関連会社である。
その株式会社ヴィーナスフォートが平成10年当時に、東京都江東区青海1丁目にショッピングモールVENUS FORTを立ち上げる際に、その中の化粧品関連事業部で取り扱う可能性がある海外の化粧品ブランドに係る商標を予め日本国内で登録しておく必要性があると考え、とりあえず、前記株式会社バネットが出願人となって本件商標の登録を得たという経緯があった。
そして、かなり遅れた時期となったが、株式会社ヴィーナスフォートの仲介のもとに、株式会社バネットから被請求人への前記商標権の移転登録申請手続がなされ、平成15年11月7日付けでその移転登録が完了し、以降、被請求人が商標権者となっている。
(2)一方、株式会社ヴィーナスフォートは、乙第2号証(英文)及び乙第3号証(和訳文)に示すとおり、関連会社(米国法人)であるNatural Victory Inc.を販売店として、平成11年(1999年)11月2日に、被請求人と日本国内における化粧品の独占販売代理店契約を締結させていたが、乙第4号証(英文)及び乙第5号証(和訳文)に示すとおり、平成12年(2000年)7月31日付けで、前記独占販売代理店契約がその第13条(e)の規定に基づいて補正され、株式会社ヴィーナスフォートがNatural Victory Inc.に替わって販売店となり、前記独占販売代理店契約を引き継ぐことになった。
(3)株式会社ヴィーナスフォートは、平成12年(2000年)からVENUS FORTの中でOTIMO VIVOという店名の化粧品店を運営し、被請求人の化粧品を含む幾つかの海外ブランドの化粧品を販売すると共に、インターネット上にOTIMO VIVOのウェブサイトを開設して、各ブランドの化粧品の宣伝・広告を行い、また同ウェブサイトを該化粧品のオンラインショッピングが可能な態様で運用している(乙第6号証の1ないし12)。
乙第6号証の1のホームページにおける「コスメブランドトップのシネマ」、「新商品のタブ」、「コスメトップのタブ」を端緒として順次案内されるページの内で本件商標が掲載されているページを乙第6号証の2ないし9に示す。
乙第6号証の2には、新商品の紹介記事として、本件商標と共に商品クリームアイシャドウの写真と説明が掲載されている。また、(6/2更新)とあることから、この掲載内容が少なくとも平成15年6月2日から既に存在したことが理解できる。
乙第6号証の3には、取扱ブランドの一覧として、本件商標と共に商品クリームアイシャドウの写真が掲載されている。
乙第6号証の4は、乙第3号証における「シネマ」の欄をクリックして得られるページであるが、本件商標と共に、CINEMAのブランド商品の詳細な紹介記事と商品アイシャドウの写真が掲載されている。更に、乙第6号証の4におけるアイシャドウのアイテムをクリックすると、乙第6号証の5ないし9に示されるように、ブランド:CINEMAの各種アイシャドウが写真入りで紹介されており、また右欄を利用して適宜入力操作を行うことにより、オンラインで注文できるようになっている。
また、そのページにおける「大きな画像」とある部分をクリックすることで、別ウィンドウにて、商標CINEMAの付されたパッケージの蓋とクリームアイシャドウの中身が拡大画像で鮮明に示され、更に詳細な説明も表示されるようになっている。
なお、乙第6号証の10ないし12は、乙第6号証の1における「レジへ行く」のタブの右側に隣接した「ご利用の案内」のタブ(乙第6号証の1では枠外になっている)をクリックした場合に表示されるページであり、その最終欄の記載により、前記OTIMO VIVOのウェブサイトが株式会社ヴィーナスフォートによって運営されていることが確認できる。
(4)上記のとおり、被請求人は、平成15年11月7日以降に、本件商標登録の商標権者となっており、株式会社ヴィーナスフォートは、平成12年7月31日以降に、乙第2号証と乙第4号証に基づいた独占販売代理店契約の販売店となっている。そして、その独占販売代理店契約の第5条の規定に基づいて、実質的な意味において、被請求人は、株式会社ヴィーナスフォートに対して、本件商標登録に係る商標権についての通常使用権を設定しており、株式会社ヴィーナスフォートは、OTIMO VIVOのウェブサイトにおいて、乙第6号証の2ないし9に示した宣伝・広告を少なくとも平成15年11月7日以降に継続的に掲載していることになる。
即ち、通常使用権者である株式会社ヴィーナスフォートは、少なくとも平成15年11月7日以降、本件審判の予告登録日までの間に、日本国内において、本件商標を化粧品であるアイシャドウについて使用していることになる。
(5)また、前記独占販売代理店契約に基づいて、被請求人が自社製品であるアイシャドウの宣伝・広告を株式会社ヴィーナスフォートに要請し、株式会社ヴィーナスフォートがそれを受けて前記宣伝・広告を行っているという位置付けでも捉えることができる。乙第7号証は、それを株式会社ヴィーナスフォートが証明したものである。
(6)したがって、本件商標登録に係る商標権者又は通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、請求に係る指定商品である化粧品について、本件商標の使用を行っており、請求人の主張は成り立たない。

第4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
乙第2号証は、本件審判の被請求人であり生産者であるCINEMA BEAUTE’INC.と販売店であるNATURAL VICTORY,INC.との間の1999年(平成11年)11月2日付の独占販売代理店契約書(英文)であり、乙第3号証はその翻訳文であるところ、これによれば、生産者は、化粧品の製造ビジネスを行っており、生産者の義務として、商号Cinema Beauteと全ての特許権が生産者に属し、製品は特許権や商標権の侵害無しに販売されることを信頼して、生産された製品であることを言明すること等が定められており、一方、販売店の義務として、販売店は、指定地域内において(本契約においては、日本)、商品の販売及び販売促進に努めなければならないこと、販売店は指定地域内において、生産者の商標、商号の保護に努めなければならないこと等が定められている。
乙第4号証は、2000年(平成12年)7月31日付の乙第2号証の契約の初回補正と題する契約書(英文)であり、乙第5号証はその翻訳文であるところ、これによれば、乙第2号証の契約当事者と販売店の権利と義務の譲受人Venus Fort,Inc.(株式会社ヴィーナスフォート)との間の契約であり、前記独占販売代理店契約がその第13条(e)の規定に基づいて補正され、株式会社ヴィーナスフォートがNatural Victory Inc.に替わって販売店となり、前記独占販売代理店契約を引き継ぐことになったことが定められている。
乙第6号証の1ないし12は、株式会社ヴィーナスフォート(本店 東京都江東区青海1丁目パレットタウン)がインターネット上において開設している化粧品店「OTIMO VIVO」のホームページであり、2004年3月8日に打ち出されたものであって、「CINEMA」の商標に係る商品をはじめとする幾つかの海外ブランドの化粧品の宣伝・広告が行われており、同ウェブサイトを通じて該化粧品のオンラインショッピングが可能な状態で運用されていることが示されている。
(2)上記において認定した事実によれば、被請求人は、乙第2号証及び乙第4号証の契約により、2000年(平成12年)7月31日に、株式会社ヴィーナスフォート(Venus Fort,Inc.)との間で、被請求人の製品の日本における独占販売代理店契約を結んでいたことが認められ、乙第6号証の1ないし12によれば、株式会社ヴィーナスフォートは、インターネット上の化粧品店「OTIMO VIVO」において、「CINEMA」の商標を表示した商品「アイシャドウ」の宣伝広告をしていたことを認めることができる。
そして、乙第6号証の2によれば、「CINEMA」の商標を表示したアイシャドウを説明する欄には、(6/2更新)の表示があり、このホームページの打出日が2004年(平成16年)3月8日であることからみれば、該(6/2更新)の表示は、直近の日付でみても、2003年(平成15年)6月2日とみることができるから、2003年6月2日当時には、「CINEMA」の商標を表示したアイシャドウの宣伝広告記事がホームページ上に掲載されていたものと認められる。また、同じ頁の上段部分には、「Last Updated on 2004/1/19」の表示があることから、2004年(平成16年)1月19日には、このホームページ自体も更新され、少なくとも、その打出日である2004年3月8日までは、この状態が継続していたものと認められる。
そうとすれば、被請求人は、本件審判の請求の登録日(平成16年3月3日)前3年以内である2003年(平成15年)11月7日(本商標権の移転登録日)以降、被請求人の通常使用権者と認められる株式会社ヴィーナスフォートにより、インターネツト上の化粧品店「OTIMO VIVO」において、「CINEMA」の商標を表示した商品「アイシャドウ」の宣伝広告をしていたことが認められ、該商品を販売していたものと推認することができる。そして、使用に係る「CINEMA」の商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(3)この点について、請求人は、各契約書における署名や欄外のイニシャルの状態から、乙第2号証の契約も乙第4号証の契約も、被請求人の代表者が署名したものでなく無効である旨主張している。
しかしながら、確かに、乙第2号証の署名欄における被請求人の代表者の署名は、かすれていて読みずらいが、乙第4号証の署名欄の署名と字形が極めて近似しているものと認められるから、請求人主張の点から、直ちに、乙第2号証及び乙第4号証の契約が無効であるとはいえず、また、各契約書の欄外のイニシャルの有無等が直ちに当該契約の有効性に影響を与えるものともいえない。
更に、請求人は、そもそも、乙第2号証の契約は如何なる商標権についても通常使用権を設定する契約でないばかりでなく、乙第2号証の調印日とされている1999年(平成11年)11月2日当時は、被請求人は本商標権の商標権者ではなかったのであるから、本商標権について使用権を付与する契約ではあり得ない旨主張している。
確かに、乙第2号証及び乙第4号証の契約により、被請求人は、本商標権についての通常使用権を株式会社ヴィーナスフォートに許諾したものとみるのは困難である。
しかしながら、上述したとおり、乙第2号証及び乙第4号証の契約により、被請求人は、株式会社ヴィーナスフォートとの間で、被請求人の製品の日本における独占販売代理店契約を締結しており、2003年(平成15年)11月7日には本商標権の移転登録がなされている。そして、被請求人は、本件答弁書において、株式会社ヴィーナスフォートは被請求人の通常使用権者である旨述べているのであるから、通常使用権の許諾は口頭ないしは黙示の意思表示でも足りるものと解されていることからすれば、本商標権の移転登録がなされた以降においては、株式会社ヴィーナスフォートは、本商標権についての被請求人の通常使用権者とみるのが相当である。
そうしてみると、請求人の上記各主張は、いずれも採用することができない。
(4)してみれば、被請求人は、被請求人の通常使用権者と認められる株式会社ヴィーナスフォートにより、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標を本件審判の請求に係る第3類の指定商品中の「アイシャドウ」について使用していたものといわなければならない。
したがって、本件商標の指定商品中、請求に係る商品についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-04-01 
結審通知日 2005-04-06 
審決日 2005-04-19 
出願番号 商願平10-37147 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z0321)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 熊谷 道夫 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 富田 領一郎
小川 有三
登録日 1999-08-13 
登録番号 商標登録第4306123号(T4306123) 
商標の称呼 シネマ 
代理人 永井 利和 
代理人 古木 睦美 
代理人 佐藤 雅巳 
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