• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない Y0941
審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効としない Y0941
管理番号 1134647 
審判番号 無効2005-89045 
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-05-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-03-30 
確定日 2006-03-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第4801121号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4801121号商標(以下「本件商標」という。)は、「フラッシュ暗算」の文字を標準文字で表してなり、平成15年7月1日に登録出願、第9類及び第41類に属する別掲のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同16年7月14日に登録査定、同年9月10日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第6号証の4(枝番を含む。)を提出した。
請求人は、フラッシュ暗算に関する出版物を頒布し、フラッシュ暗算の検定試験の主催を業とする株式会社であり、被請求人は、そろばん練習用ソフトの作成を業とする株式会社である。
(1)普通名称化について
「フラッシュ暗算」とは、珠算式暗算の練習のために開発された方法であって、スクリーン(パソコンの表示画面等)上に順次に数字を表示し、看者がその数字を加えて答えを出す暗算の練習方法をいうものである。この方法は、昭和59年頃に提案され、平成5年頃からは、各地のそろばん教室での指導科目となり、検定試験や各種の珠算大会の種目としても採用されるようになってきた。
したがって、「フラッシュ暗算」の呼称は、本願の登録出願日には、既に普通名称化している。以下、例を挙げて説明する。
(ア)2000年12月24日開催の「そろばんクリスマスカップ」(浦和珠算連盟主催)の記念誌の「大会次第」に「フラッシュ暗算」の文言を見ることができる。また、同記念誌の日本珠算連盟会長の祝辞文の上から6行目に「フラッシュ暗算」の文言を見ることができる(甲第1号証)。
(イ)2001年12月5日(水)フジテレビの「100%キャイン!団地でバンゴ 大阪決戦スペシャル」の番組紹介のウェブページにも「フラッシュ暗算」の文言を見ることができる(甲第6号証の1)。
(ウ)2001年12月26日(水)フジテレビの番組「年末年始スペシャルバラエティ」を紹介するウェブページにも「フラッシュ暗算」の文言を見ることができる(甲第6号証の2)。
(エ)2002年5月6日放送のTBSテレビ「ニュースの森」の特集コーナーで、フラッシュ暗算全国大会の2000年度の勝者を追跡レポートしている(甲第6号証の3)。
(オ)2002年7月30日開催の「第22回全国珠算学校珠算競技大会」(社団法人全国珠算学校連盟主催、後援/文部科学省、愛知県、NHK名古屋放送局、中日新聞社)のパンフレットの大会プログラムに「フラッシュ暗算」の文言を見ることができる(甲第2号証)。
(カ)2003年5月1日発行の雑誌「SunRise」の33頁の左欄に「フラッシュ暗算もどきの・・」という文言を見ることができる(甲第3号証)。
(キ)2003年7月のKAWACHISYUZANKAI主催の「第2回フラッシュ暗算フェスティバル」を案内するウェヴページにも「フラッシュ暗算」の文言をみることができる(甲第6号証の4)。
(ク)2003年7月20日の日本珠算連盟主催の「あんざんソロピカ杯2003」の開催要綱に競技種目として「フラッシュ暗算」の文言が見られる(甲第4号証)。
(ケ)2004年7月1日発行の雑誌「SunRise」の第3頁の掲載記事「Code number 001」(神林そろあん教室 神林茂氏投稿)には、「私の教室では10年ほど前から『フラッシュ暗算検定』を実施しています。」とあり、フラッシュ暗算の導入に関する諸問題を記述している(甲第5号証のl)。更に、同誌第6頁の「Code Nuber 007」(桂珠算道場 樅野毅氏投稿)(甲第5号証の2)、第7頁の「Code Nuber 008」(TAスクール 高笠広治氏投稿)(甲第5号証の3)、第9頁の「Code Nuber 010」(南が丘数理学院 加山和男氏投稿)(甲第5号証の4)等の記事によると、平成6年には既に、「フラッシュ暗算」の文言は普通名称となっていたと考えられる。
(2)商品との関係について
以上のように、本件商標の登録出願日以前あるいは、本件商標の登録査定日以前には、「フラッシュ暗算」の文言がスクリーンに表示される数字を順次演算(たし算)する意味として普通名称化していたことは極めて明白であり、本件商標を以下の商品に使用する場合は、商品の品質、あるいは役務の質に混同誤認を生じさせることになり、商標法第4条第1項第16号に該当する。
例えば、業務用テレビゲーム機に本件商標を使用した場合には、フラッシュ暗算の正確さを競うためのテレビ用ゲーム機であるとの誤認を需要者に生じさせることになる。家庭用テレビゲームおもちゃについても同様であり、小型の家庭用テレビゲームおもちゃは、特定のゲームをするために特化されており、フラッシュ暗算をするためにのみ製造されたテレビゲームのおもちゃの販売も当然考えられ、その場合は、商品の普通名称を示すことになり、それ以外のゲームをする家庭用テレビゲームおもちゃに使用する場合は、需要者に品質の混同誤認を生じさせることになる。
また、携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROMにあっては、そのプログラムがフラッシュ暗算を実行するためのプログラムである場合は、商品の普通名称を表したことになり、それ以外のプログラムである場合は、商品の品質の誤認を生じさせることになる。
さらに、映写フィルム、スライドフィルム、録画済みビデオディスク及びビデオテープの各商品に使用した場合は、録画された映像がフラッシュ暗算をするための数字を順次表示する場合は、普通名称をそのまま表すことになり、また、録画された映像がそれ以外の映像である場合は、品質の誤認を需要者に生じさせることになる。
また、第41類の「技芸又はスポーツの教授」について使用されると、例えば、体操教室に「フラッシュ暗算」が使用された場合には、需要者に役務の混同誤認を生じさせることになり、教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作の役務に本件商標が使用された場合(特に教育用ビデオの制作)を想定すると、フラッシュ暗算に関するビデオを制作する役務を提供するものとして需要者に混同誤認を生じさせることになる。
さらに、教育研修のための施設の提供において使用する場合は、フラッシュ暗算の研修のための施設の提供をする役務との混同誤認を生じさせることになり、レコード又は録音済み磁気テープの貸与、録画済み磁気テープの貸与、放送番組の制作においても同様の混同誤認を生じさせることになる。
(3)結 語
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号もしくは商標法第4条第1項第16号に該当し、無効にされるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第10号証を提出した。
本件商標「フラッシュ暗算」は、「フラッシュ」と「暗算」という言葉を結合した造語であり、「フラッシュ暗算」の語から「モニターの画面に出てくる数字を瞬時に計算する暗算方法」の意味合いが当然に生じるものではない。「フラッシュ」の語の意味は、「(1)閃光。特に、写真撮影で、被写体に当てる閃光。(2)映画・テレビでごく短い場面」(三省堂『大辞林 第二版』)である。「暗算」は、「筆算や珠算によらず、頭の中で計算すること」(三省堂『大辞林 第二版』)であり、この語と「フラッシュ」との結合が直ちに特定の意味合いを生じるものではない。「フラッシュ」という言葉に数字や算数、暗算等との関連性がないことは明らかであり、通常、暗算や暗算の方式と自然に結びつく言葉ではないため、「フラツンユ」することで「暗算」するとは、具体的に何を意味するのか把握できないのが一般的な感覚である。
さらに、「数秒という短い時間に、スクリーンに相次いで表示される数字を暗算で足していく珠算式暗算(コンピュータを用いてする暗算)」の存在から、その一般名称として直ちに「フラッシュ暗算」の用語が採用されるとも考えられない。「フラッシュ」の語は、その想起される意味合い、イメージが上記のとおり多岐にわたる一方で、珠算や暗算の世界とは関係の無い用語であり、「暗算」の語と結びつきやすい用語とはとても考えられない。「フラッシュ暗算」の語の代わりに「コンピューター式珠算暗算」、「シグナル暗算」、「そろばん瞬間暗算」等の他の内容表示的な用語が使用される可能性が充分考えられる。
実際に、この暗算方法が考案された頃より、「コンピュータ暗算」の語が普通名称的に使用されてきている(乙第3号証ないし乙第9号証)。
上記のとおり、本件商標「フラッシュ暗算」は、暗示性に富んだ極めて造語性の強い語であり、そのため、看取される意味合いが具体的ではなく、本件商標に初めて接した一般の需要者・取引者に容易に理解されることのない語であるといえる。
この点について、請求人は、甲第1号証ないし同第6号証を普通名称化の証左であるとして提出しているが、ある用語が物や事柄の普通名称であるためには、その物や事柄を表すために常に、又は多くの場合に、その用語が使用され、一般の人々がその用語の意味するところを明確に知っている状況でなければならない。
しかるに、「フラッシュ暗算」の語が普通名称であるならば、「コンピュータ暗算」等の言葉が併存することはないし、また、「フラッシュ暗算」の用語の使用例もさらに多数存在しているものと考えられるが、提出に係る証拠は、「フラッシュ暗算」の語が普通名称といえる程に普及していた証拠としては、質的にも量的にも充分なものとはいえない。
以上のとおり、「フラッシュ暗算」の語は、普通名称ではなく、「フラッシュ暗算」の語の造語性及びその認知度が低いことから、この語に接した需要者・取引者がその具体的に意味するところを間違いなく直ちに理解するとは考え難いものであり、本件商標の指定商品・役務の分野において、品質を表示するものとして普通に使用されている例も見受けられない。
そうとすれば、本件商標は、商品の品質や役務の質を表示するものとして普通に使用される品質表示用語ではなく、品質誤認を生ずるものでもない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではない。

4 当審の判断
請求人は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨主張しているので、この点について検討する。
(1)本件商標は、前記に示すとおり、「フラッシュ暗算」の文字を書してなるところ、三省堂発行「大辞林 第二版」によれば、「フラッシュ」の語は、「(1)閃光。特に、写真撮影で、被写体に当てる閃光。(2)映画・テレビでごく短い場面」等を表す語であり、また、「暗算」の語は、「筆算や珠算によらず、頭の中で計算すること」を表す語である。
しかして、上記した各語の意味合いからみれば、「フラッシュ暗算」の語は、「フラッシュ」の語自体に数字や暗算等との関連性を見い出すことができないことから、全体として、自然な意味合いを理解・認識し得るものではなく、また、「フラッシュ暗算」の語から直ちに、請求人が主張している「スクリーン(パソコンの表示画面等)上に順次に数字を表示し、看者がその数字を加えて答えを出す暗算方法」を想起し得るものともいい難いものである。
そうとすれば、「フラッシュ暗算」の語は、その構成全体をもって、特定の意味合いを認識させることのない一種の造語からなるものというのが相当である。
(2)この点について、請求人は、上記暗算方法についての「フラッシュ暗算」の呼称は、本件商標の登録出願日には既に普通名称化していたものである旨主張している。
そこで、甲各号証をみるに、甲第1号証は、2000年12月24日開催の「そろばんクリスマスカップ」(浦和珠算連盟主催)の記念誌であり、その「大会次第」に「フラッシュ暗算」の記載がある。
甲第2号証は、2002年7月30日開催の「第22回全国珠算学校珠算競技大会」(社団法人全国珠算学校連盟主催、後援/文部科学省、愛知県、NHK名古屋放送局、中日新聞社)のパンフレットであり、大会プログラムに「フラッシュ暗算(余興)随意参加」の記載がある。
甲第3号証は、2003年5月1日発行の雑誌「SunRise」であり、その33頁には、「・・当時のベーシック言語で、プログラムを組んで、フラッシュ暗算もどきの問題を自分で作ったこともありました。・・」との記載がある。
甲第4号証は、2003年7月20日の日本珠算連盟主催「あんざんソロピカ杯2003」の開催要綱であり、競技種目として「フラッシュ暗算」の記載がある。
甲第5号証のlないし4は、2004年7月1日発行の雑誌「SunRise」であり、その3頁の神林そろあん教室神林茂氏の記事には、「私の教室では約10年ほど前から『フラッシュ暗算検定』を実施しています。」とあり、6頁の桂珠算道場樅野毅氏の記事には、「6,7年前になると思います。・・・ゲームとしてみんなでフラッシュ暗算をすることを提案しました。・・・」とあり、7頁の神奈川県藤沢市・TAスクール高笠広治氏の記事には、「フラッシュ暗算は、教室にコンピュータを導入したとき(7年ほど前)からやっています。・・」とあり、9頁の東京都練馬区・南が丘数理学院加山和男氏の記事には、「私の教室では、10年以上前からフラッシュ暗算を導入しています。・・・」と記載されている。
甲第6号証の1は、2001年12月5日(水)フジテレビの「100%キャイ〜ン!団地でバンゴ 大阪決戦スペシャル」の番組紹介のウェブページであり、「11/21(水)の放送で初公開となった『フラッシュ暗算』」の記載がある。
甲第6号証の2は、2001年12月26日(水)フジテレビの番組「年末年始スペシャルバラエティ」を紹介するウェブページであり、「モニターの画面に出てくる数字を瞬時に計算するフラッシュ暗算。『100キャイ暗算カップ』も、はやくも3回目を迎える。・・」との記載がある。
甲第6号証の3は、2002年5月6日放送のTBSテレビ「ニュースの森」の特集コーナーを紹介するウェブページであり、「フラッシュ暗算と呼ばれる驚異の計算方法があります。0.1秒を競い、想像を絶する早さで答えを計算する少年少女たち。・・」の記載がある。
甲第6号証の4は、2003年7月のKAWACHISYUZANKAI主催の「第2回フラッシュ暗算フェスティバル」を案内するウェヴページであり、「今年も昨年と同じ地元の夏祭り会場でフラッシュあんざんの大会を行いました。ビンゴ大会も同時に開催、大盛況でした。」との記載がある。
(3)上記において認定した事実によれば、「フラッシュ暗算」は、珠算競技大会の競技種目の一つとして行われており(甲第1号証及び甲第4号証)、珠算競技大会の余興として行われており(甲第2号証)、テレビ番組の中で行われており(甲第6号証の1及び2)、夏祭り会場において行われていたことが認められ(甲第6号証の4)、その他、甲各号証のいずれにも、「フラッシュ暗算」の文言のあることを認めることができる。
そして、請求人は、甲号証の中でも、特に、甲第5号証のlないし4(2004年7月1日発行の雑誌「SunRise」)に掲載されている記事をもって、平成6年には既に、「フラッシュ暗算」の文言が普通名称となっていたと考えられる旨主張している。
しかしながら、これらの使用例から直ちに、本件商標の登録査定がなされた当時において、「フラッシュ暗算」の語が請求人が主張している暗算方法の普通名称となっていたものと認めるのは困難である。
確かに、甲第5号各証の記事には、「私の教室では10年ほど前から『フラッシュ暗算検定』を実施しています。」、「6,7年前になると思います。・・・ゲームとしてみんなでフラッシュ暗算をすることを提案しました。・・・」、「フラッシュ暗算は、教室にコンピュータを導入したとき(7年ほど前)からやっています。・・」、「私の教室では、10年以上前からフラッシュ暗算を導入しています。・・・」と記載されていることが認められるが、この雑誌の当該各記事の前書き部分が乙第1号証として提出されており、これによれば、「今年はフラッシュ暗算検定元年。検定が技術を引き上げる動機付けの一つになることは間違いありませんから、パソコン未経験の先生方、フラッシュ暗算からパソコンに親しんでみるのも良いかもしれませんよ。今月のテーマは『フラッシュ暗算検定元年』です。」と記載されている。
そうとすれば、甲第5号各証により、これらの珠算塾等において、6,7年ないしは10年ほど前から、コンピューターを用いた暗算練習方法を行っていたことは認められるとしても、このような特定のテーマに基づく原稿依頼に対して寄稿された記事に、該テーマとなっている語(この場合は「フラッシュ暗算」の語)が意識的に使用されることは往々にして見受けられることであって、そうであるからといって、本件の場合、その暗算練習方法を「フラッシュ暗算」と称していたかどうかまでは必ずしも定かではないものというべきである。このことは、甲第5号証の4の記事には、「私の教室では、10年以上前からフラッシュ暗算を導入しています。きっかけは、東京都中野区の宮本暗算研究塾Max(宮本裕史先生)の授業を見学させていただいたことです。当時は『コンピューター暗算』という名称でしたが、・・・」と記載されていることからもいい得ることである。
加えて、被請求人の提出に係る乙第2号証(2003年5月1日発行の雑誌「SunRise」の広告頁)には、請求人である株式会社朝日プリント社の広告が掲載されており、その「お知らせ」の項に、「コンピュータ暗算検定試験として、長年ご利用いただいておりましたが、検定合格者数10万人突破及び個人検定ソフトの販売開始に伴い、名称をフラッシュ暗算検定試験に改めました。」と記載されている。
また、上記以外の乙号証においても、乙第3号証(森田珠算学園HPからの2005年7月1日打ち出し資料)には、パソコン学習の1つとして「コンピューター暗算」の語が記載されており、乙第4号証(KEIKYU Media info HPからの2005年7月1日打ち出し資料)には、牧野珠算研究塾(六郷土手)の紹介記事に「右脳を刺激して暗算力を伸ばすコンピューター暗算システム導入」と記載されており、乙第5号証(soroban.com HP「私の最先端珠算塾訪問日誌」からの2005年7月1日打ち出し資料)には、「宮本先生が作成された『あんざん力開発システム』(コンピュータ暗算)」との記述があり、乙第6号証(サンライズ2001年1月号に掲載の岩崎学園HP「ある日の指導日誌」からの打ち出し資料)には、「コンピューター暗算をやります」の記述があり、乙第7号証(雑誌「SunRise」2000年12月号掲載の請求人の広告の写し)には、あんざん力開発システムの一つとして「コンピュータあんざん」の語が記載されており、乙第8号証(日本珠算連盟HP「暗算能力コンピュータ検定試験」紹介部分からの2005年6月30日打ち出し資料)には、「『フラッシュ暗算』の名称でTV等にも度々登場しているこの検定試験の名称は『暗算能力コンピュータ検定試験』です。」と記載されており、乙第9号証(日本珠算連盟HPからの打ち出し資料「あんざんグランプリジャパン2005開催要項」)には、競技種目として「コンピュータ暗算」の語が用いられている。
これらの乙号証をも併せみれば、「フラッシュ暗算」の語が「スクリーン(パソコンの表示画面等)上に順次に数字を表示し、看者がその数字を加えて答えを出す暗算方法」を表す語として、一部の者の間において使用されていた事実は認められるとしても、一方において、該暗算方法を表す用語として、記述性の高い表現ということができる「コンピューター暗算」の語が相当広範に使用されていた事実も否定し難いところである。
そうとすれば、甲各号証をもってしては、本件商標の登録査定時において、「フラッシュ暗算」の語が該暗算方法の普通名称となっていたものと認めるにはその事例があまりにも乏しく、また、「フラッシュ暗算」の語が本件商標の指定商品の品質や指定役務の質を表す用語として、取引上一般的に使用されていたものと認めるにも充分なものとはいえない。
してみれば、「フラッシュ暗算」の語は、これを構成する語義上の観点からばかりでなく、取引の実情を併せみても、特定の意味合いを認識させることのない一種の造語からなるものというのが相当であるから、請求人の主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、特定の商品の品質や役務の質等を具体的に表示するものとして直ちに理解されるものとはいえないから、これを本件商標の指定商品及び指定役務に使用しても、自他商品・自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、また、その指定商品及び指定役務中のいずれの商品及び役務について使用しても、商品の品質、役務の質について誤認を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものということはできないから、同法第46条第1項第1号により無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲 (別掲)
本件商標の指定商品及び指定役務
第9類「電子応用機械器具及びその部品,耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」
第41類「技芸又はスポーツの教授,当せん金付証票の発売,献体に関する情報の提供,献体の手配,研究用教材に関する情報の提供及びその仲介,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,音声周波機械器具・映像周波機械器具の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,美術用モデルの提供,ニュースレポーターによる取材・報告」


審理終結日 2006-01-26 
結審通知日 2006-01-31 
審決日 2006-02-13 
出願番号 商願2003-54642(T2003-54642) 
審決分類 T 1 11・ 13- Y (Y0941)
T 1 11・ 272- Y (Y0941)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 寺光 幸子
小林 薫
登録日 2004-09-10 
登録番号 商標登録第4801121号(T4801121) 
商標の称呼 フラッシュアンザン、フラッシュ、アンザン 
代理人 広瀬 文彦 
代理人 福井 豊明 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ