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審決分類 審判 査定不服 商4条1項11号一般他人の登録商標 登録しない Z37
管理番号 1134518 
審判番号 不服2003-2449 
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-01-09 
確定日 2006-03-20 
事件の表示 商願2001-95251拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、平成12年8月25日登録出願の商願2000-93510を原出願とし、商標法第10条第1項の規定に基づく分割出願として、平成13年10月24日に登録出願され、その構成は後掲(1)のとおり、やや図案化した「SHInWA」の欧文字とその下段に小さく「COOLING TOWER」の欧文字とを表してなり、第37類「冷却塔の設置工事,冷却塔の修理または保守」を指定役務とするものである。

2 引用商標
原査定が本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、その拒絶の理由に引用したものは、次の(1)及び(2)に示すところの登録商標である。
(1)登録第3171721号商標(以下「引用A商標」という。)は、平成3年法律第65号による改正商標法附則第5条第1項による使用に基づく特例の適用を主張する出願(特例商標出願)として、平成4年9月9日に登録出願され、その構成は後掲(2)のとおり、青色で着色したモノグラム様図形とその下段に赤色で着色した「SHINWA」の欧文字とを表してなり、第37類「土木一式工事,とび・土工又はコンクリ―トの工事,水道施設工事,さく井工事」を指定役務として、平成8年6月28日に商標権の設定登録がされたものである。
(2)登録第4235627号商標(以下「引用B商標」という。)は、平成8年12月6日登録出願、その構成は後掲(3)のとおり、太い二重の黒塗り輪様図形とその下段に「SHINWA」の欧文字とを表してなり、第37類「暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守」他、当該商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、平成11年1月29日に商標権の設定登録がされたものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、その構成後掲したとおり、やや図案化した「SHInWA」の欧文字とその下段に小さく「COOLING TOWER」の欧文字とを二段に併記してなるものであるところ、その「SHInWA」の欧文字が下段の文字より圧倒的に大きく顕著に表されてなり、構成各文字は、視覚上自ずと分離して看取されるばかりでなく、下段の「COOLING TOWER」の欧文字は「冷却塔」の英語表記と容易に理解できるものであって、この欧文字表記からは本願商標に係る指定役務との関係からしても、主として冷却塔のすえ付け基礎工事、冷却塔のすえ付け、組立、解体などの工事に係る役務であること及び専ら冷却塔についての修理又は保守に係る役務であることを表示したとみて差し支えないものであり、これらを常に一体のものとして把握しなければならないような格別の事情は存しない。
してみると、本願商標は、構成中のやや図案化した「SHInWA」の欧文字部分が独立して役務の出所を識別する標識として機能し得るものというべきである。そして、その構成文字中の「n」は小文字様で表すほか本願商標構成文字は全体をやや図案化してなるとしても、近時、需要者の注意を惹くための視覚的効果を持たせる方法として、各種のレタリング文字が広告等に広く使用されている実情よりすれば、「SHInWA」の綴り字をやや図案化して表したものと容易に理解し得るものである。
そうすると、本願商標をその指定役務「冷却塔の設置工事,冷却塔の修理または保守」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、「COOLING TOWER」の文字部分は、その取り扱う機械器具自体を表したものと容易に認識し、構成中のやや図案化した「SHInWA」の文字部分をもって役務の出所を示す識別標識と捉え、これより生ずる「シンワ」の称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないというのが商取引の実際に照らしても相当である。
したがって、本願商標は、「シンワ」の称呼を生ずるものといわなければならない。
(2)引用商標について
引用各商標は、それぞれ後掲のとおりの構成よりなるところ、引用A商標は、後掲(2)に表示するとおり、上段の青色で着色したモノグラム様図形とその下段に赤色で着色した「SHINWA」の欧文字とを表してなり、その図形部分はモノグラム様の図形といえる以上に、直ちに特定の称呼、観念を生じ得ないものであって、その図形部分と文字部分とを、常に一体不可分のものとしてのみ把握しなければならない格別の事情が存するものとは認められないものであり、それぞれが独立して役務識別の機能を果たし得るものといわなければならない。
そうすると、引用A商標構成中の赤色で着色した「SHINWA」の文字部分をもって役務の出所を示す識別標識と捉えるばかりでなく、簡易迅速を旨とする商取引の実際においては、適宜親しみ易く、馴染み易い文字部分を抽出し、簡便に取引に資する場合があることも決して少なくないというのが実情である。
したがって、引用A商標は、「シンワ」の称呼を生ずるものといわなければならない。
また、引用B商標は、後掲(3)に表示するとおり、太い二重の黒塗り輪様図形とその下段に「SHINWA」の欧文字とを表してなり、その図形部分は何ら特定の事物を想起し得ない一種幾何学的図形というべきものであり、特定の称呼、観念を生じ得ないものであって、その図形部分と文字部分とを、常に一体不可分のものとしてのみ把握しなければならない格別の事情が存するものとは認められないものであるから、それぞれが独立して役務識別の機能を果たし得るものといわなければならない。
そうすると、引用B商標は、上述の引用A商標と同様に「SHINWA」の文字部分をもって役務の出所を示す識別標識と捉えるばかりでなく、その文字部分をもって取引に資されるものというべきである。
したがって、引用B商標は、「シンワ」の称呼を生ずるものといわなければならない。
(3)本願商標と引用商標の類似について
本願商標は、その構成中のやや図案化した「SHInWA」の文字部分が独立して識別標識として機能し、これより生ずる「シンワ」の称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないこと上述のとおりであり、他方、引用各商標も同様にその構成中の「SHINWA」の文字部分が独立して識別標識として機能し、「シンワ」の称呼を生じるものであるから、かかる各欧文字にレタリング手法の相違があるとしても、その外観上の相違がその綴り字及びこれより生じる称呼の識別性を越えて常に取引に資されるとまでいい難く、その綴り字及びその称呼を同じくする点で互いに相紛らわしく、このほか全体からの外観の差異を考慮するとしても、これら各点を総合判断するになお両者はその出所について混同を生ずるおそれのある、類似の商標といわなければならない。
(4)本願商標と引用商標の役務について
本願商標に係る指定役務は、上記のとおり、第37類「冷却塔の設置工事,冷却塔の修理または保守」とするものである。
これに対し、引用A商標に係る指定役務は、第37類「土木一式工事,とび・土工又はコンクリ―トの工事,水道施設工事,さく井工事」とするものであり、また、引用B商標に係る指定役務は、同じく第37類「暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守」他、当該商標登録原簿に記載の役務とするものである。
(ア)建設、設置工事について
特許庁商標課編「商品及び役務区分解説」(社団法人発明協会発行)には、「土木一式工事ほか各種工事に係る役務は、建設業法第2条第1項の別表の上欄に掲げられた「建設工事」を参考にして例示し、日本標準産業分類順に従って、「1 総合工事」、「2 職別工事」及び「3 設備工事」に区分けしたものである」との解説、また、「《建築一式工事 土木一式工事》この役務は、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物又は土木工作物を建設する工事である」との解説がされているところである。
そして、日本標準産業分類(財団法人全国統計協会連合会発行 平成元年3月 6版)には、「大分類E-建設業」の「総説」において「建設工事とは、現場において行われる次の工事をいう。(1)建築物、土木施設その他土地に継続的に接着する工作物及びそれらに附帯する設備を新設、改造、修繕、解体、除去若しくは移設すること。・・・(3)機械装置をすえ付け、解体若しくは移設すること。」の記載、「中分類09-総合工事業」の「0911 一般土木建築工事業/各種の土木施設と建築物を、いずれも完成する能力を有する事業所をいう。完成する能力とは、・・・かつ現実に土木工事及び建築工事の双方を施行しているか、又は最近において双方を施行した実績を有することである。」との記載、「中分類11-設備工事業」の「1131 一般管工事業/主として冷暖房設備・温湿度調節装置・換気装置・空気調節装置・乾燥装置・冷凍冷蔵装置・製氷装置・冷却塔などの熱学施設及び給排水及び・衛生設備に関する工事をいずれでも施行する事業所をいう。 1132 冷暖房設備工事業/一般管工事業に属さないで主として冷暖房設備・温湿度調節装置・換気装置・空気調節装置・乾燥装置・冷凍冷蔵装置・製氷装置・冷却塔などの工事を施工する事業所をいう。」及び「119 その他の設備工事業 1194 機械器具設置工事業/主として機械装置のすえ付基礎工事、機械装置のすえ付け、組立、解体などの工事を施工する事業所をいう。」との記載がされているものである。
そうしてみると、日本標準産業分類が各種統計基準のために作成され必ずしも各種工事間における類似を示すものでないが、本願商標に係る指定役務中「冷却塔の設置工事」は、「商品及び役務区分解説」及び「日本標準産業分類」の解説等によると、「3 設備工事」に属し、「中分類11-設備工事業」の「1131 一般管工事業」、「1132 冷暖房設備工事業」ないし「1194 機械器具設置工事業」に分類されるといえるものであって、上記の各種装置設備工事はそれぞれ密接な関連性が認められ、このうち「冷却塔の設置工事」のみが特化しているものといえないばかりか、建築一式工事や土木一式工事が総合的ないし複合的な建設工事であり、冷却塔の設置には、コンクリ―トの基礎工事、電気配線工事なども関係し、冷却塔の設置を含め他の各種工事とを同一事業者が請負う場合があるとみて差し支えないものである。
そうすると、本願商標に係る指定役務中「冷却塔の設置工事」と引用A商標に係る指定役務「土木一式工事,とび・土工又はコンクリ―トの工事,水道施設工事,さく井工事」とは、「建設工事」の概念に含まれる類似の役務といわざるを得ない。
また、「冷却塔の修理または保守」にあっても、請求人(出願人)のホームページにおける冷却塔の説明文写しによれば、冷却塔が使用されるのは、ビル、マンション等の空調用と産業用であり、冷却塔は空調システム中の各種冷凍機の冷却水に使われ、産業用としては機械、電気機器、熱処理、食品関係等の冷却水その他各種産業の温排水冷却に広く使われており、そして、冷却塔だけで冷房するものでなく、他の機器と組合せ、システムで冷房し、その冷房システムは、空調機、冷凍機、冷却塔の3つのパートからなっている旨解説しているところである。
そうすると、本願商標に係る指定役務中「冷却塔の修理または保守」と引用B商標に係る指定役務中「暖冷房装置の修理又は保守、バーナーの修理又は保守、ボイラーの修理又は保守、ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守」とは、同一事業者により各種設備を総括して修理又は保守に当たる場合も決して少なくないといえるものであり、両役務は類似のものといわなければならない。
(5)まとめ
以上のとおり、本願商標と引用商標とは類似し、その指定役務も類似のものであるから、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本願商標



(2)引用A商標(色彩については原本参照)



(3)引用B商標



審理終結日 2006-01-23 
結審通知日 2006-01-24 
審決日 2006-02-08 
出願番号 商願2001-95251(T2001-95251) 
審決分類 T 1 8・ 26- Z (Z37)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 田村 正明
水茎 弥
商標の称呼 シンワクーリングタワー、シンワ 
代理人 山田 正国 

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