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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y11
管理番号 1133099 
異議申立番号 異議2004-90731 
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2006-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-11-29 
確定日 2006-02-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第4798596号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4798596号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4798596号商標(以下「本件商標」という。)は、「inox304」の文字を書してなり、平成16年2月20日に登録出願され、第11類「加熱器,調理台,流し台,浴槽類」を指定商品として、同16年8月27日に設定登録されたものである。

2 申立人の主張する取消理由
これに対し、本件登録異議申立人は(以下「申立人」という。)、本件商標は、商標法4条1項11号及び同法4条1項10号若しくは同15号、又は同19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきものであると主張している。

3 本件商標に対する取消理由の要旨
当合議体は、商標権者に対して、平成17年8月22日付で、本件商標が商標法4条1項11号に該当するとして、要旨下記の取消理由を通知した。 記
(1)引用商標
登録異議申立人の引用する登録第1910235号商標(以下「引用商標」という。)は、「INAX」の欧文字を横書きしてなり、昭和59年7月25日に登録出願、第19類「台所用品(電気機械器具、手動利器および手動工具に属するものを除く)日用品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同61年11月27日に設定登録され、その後、平成9年4月18日に商標権存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(2)本件商標と引用商標の類否
本件商標は、その構成中「inox」の文字部分より単に「イノックス」の称呼をも生ずるものである。
他方、引用商標は、「INAX」の欧文字を書してなるものであるから、これより「イナックス」の称呼を生ずるものである。
そこで、本件商標より生ずる「イノックス」の称呼と引用商標より生ずる「イナックス」の称呼は、いずれも5音よりなるものであり、そのうち第2音において「ノ」と「ナ」の音の差異を有するのみであって、他の音はすべて共通するものである。そして、それぞれの称呼を一連に称呼した場合には、その語調、語感が近似したものとなり、相紛れるおそれがあるというのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標は、称呼上類似する商標といわなければならない。
また、引用商標の指定商品中には、本件商標の指定商品と同一又は類似の商品が含まれるものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものというべきである。

4 商標権者の意見の要旨
商標権者は、要旨下記の意見を述べると共に、乙第1号証ないし同第13号証を提出した。
(1)本件商標は、「inox304」の7文字を同一の書体で一体不可分に結合したものであり、商標権者により創造された造語である。したがって、この商標に接する取引者や需要者は、「inox304」という視覚的印象を受けるか「イノックスサンゼロヨン」という聴覚的印象を受けるに止まる。「304」の部分に数字が用いられているからといって、「inox」の部分のみを取り出し、そこから「イノックス」という称呼を生じせしめることが、取引の経験則に合致しているものとは考えられない。
(2)最近の商取引においては、著しい迅速化が求められるだけではなく、取引の正確性が強く求められている。とりわけ指定商品は簡単に持ち運びできるものではなく、需要者が日々購入するような商品でもないため取引の正確性は極めて重要なものである。このような取引事情は、乙第3号証のとおりいずれの取引書類においても「inox304」が用いられていることからも明らかである。
(3)乙第4号証ないし同第13号証に示す登録例からも本件商標と引用商標は、非類似の商標である。

5 当審の判断
本件商標は、「inox」の欧文字と「304」の数字を一連に横書きしてなるものであるところ、その構成中の「inox」の文字部分と「304」の数字部分は、外観上分離して看取されやすいばかりでなく、「304」の数字部分は、商品の規格、品番等を表示する記号、符号等を表したものと理解され、それ自体自他商品の識別機能は弱いものといえるから、造語と認められる「inox」の文字部分に強い自他商品の識別力を有するとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、「inox」の文字部分より単に「イノックス」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
これに対し、引用商標は、前記のとおり、「INAX」の欧文字を書してなるものであるから、これより「イナックス」の称呼を生ずるものであって、特定の語義を有しない造語よりなるものと認められる。
そこで、本件商標と引用商標の類否についてみるに、本件商標より生ずる「イノックス」の称呼と引用商標より生ずる「イナックス」の称呼は、いずれも5音よりなるものであり、そのうち第2音において「ノ」と「ナ」の音の差異を有するのみであって、他の音はすべて共通するものである。そして、上記差異音は、同行に属する音であるばかりでなく、それぞれの音が帯有する母音「o」と「a」は、母音三角形の隣同士に位置し、母音の中でも調音方法の似た近似した音として聴取されるものであるから、それぞれの称呼を一連に称呼した場合には、その語調、語感が近似したものとなり、相紛れるおそれがあるというのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標は、称呼上類似する商標といわなければならない。
また、引用商標の指定商品中には、本件商標の指定商品と同一又は類似の商品が含まれるものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものというべきである。
なお、商標権者は、本件商標は、「inox」の欧文字と「304」の数字が一体不可分に結合したものである旨主張するが、本件商標を構成する「304」の数字は、商品の型式、品番等を表す記号、符号等を表したものとして認識、理解されるとみるのが相当であり、「inox」の欧文字部分に自他商品の識別力が生ずる場合も少なくないこと上記のとおりであり、その主張は、採用することができない。
また、商標権者は、本件商標の指定商品は、取引事情に正確性を要するから略称されることなく「イノックスサンゼロヨン」の称呼のみを生ずるに止まる旨主張するが、商標権者が提出した乙各号証を精査するもその主張を裏付けるに十分とはいえないものであり、当該指定商品の分野の業界における取引の迅速性を否定することはできないものである。よって、「inox」の文字部分に照応して「イノックス」の称呼をも生ずるというべきである。
さらに、商標権者は、他の登録例を挙げて、本件商標と引用商標は、非類似の商標である旨主張するが、商標権者が引用する各登録例は本件と事案を異にするものであり、その主張は、採用することができない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたと認められるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2005-12-21 
出願番号 商願2004-15344(T2004-15344) 
審決分類 T 1 651・ 262- Z (Y11)
最終処分 取消  
前審関与審査官 矢代 達雄 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 水茎 弥
山本 良廣
登録日 2004-08-27 
登録番号 商標登録第4798596号(T4798596) 
権利者 株式会社三輪
商標の称呼 イノックスサンゼロヨン、イノックスサンビャクヨン、イノックス 
代理人 中村 知公 

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