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審判番号(事件番号) データベース 権利
審判199835464 審決 商標
無効200135481 審決 商標
審判19951811 審決 商標
審判199911793 審決 商標
無効200235271 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 120
管理番号 1129358 
審判番号 無効2001-35482 
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-02-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-10-29 
確定日 2006-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第2721956号商標の商標登録無効審判事件について平成15年8月5日にした審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成15年(行ケ)第564号平成16年9月6日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2721956号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第20類「家具、畳類、建具、屋内装置品、屋外装置品、記念カップ類、葬祭用具」を指定商品として、平成4年1月17日に登録出願、同9年6月6日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、登録第2721956号商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように主張し、証拠方法として甲第1号証ないし同第22号証を提出した。
(1)本件商標は、甲第1号証に示すとおり登録されたものであるが、以下に述べるとおり請求人が本件登録出願前より使用し著名となっている標章と混同をきたすものである。
(2)請求人の使用する「POLO」標章及び「馬に乗ったポロプレーヤーの図形」標章など所謂「POLO」ブランドの歴史及びその著名性について(ア)請求人は、米国ニューヨーク州所在のリミテッド パートナーシップであり、被服や眼鏡、フレグランスその他のファッション関連商品について、関連会社やライセンシー及び販売店を通して世界的な規模で製造及び販売に携わっているものである。
請求人がライセンシーや販売店等を通じて製造販売している商品は、請求人の主な構成員であり世界的に著名なデザイナーであるラルフ・ローレンによってデザインされたものである。英国の伝統を基調としそれに機能性を加えたデザインと、卓越した製造技術並びに一貫した品質管理による良質の製品は、本拠地である米国のみならず、日本を含む数十カ国に及ぶ世界の国々において、多くの消費者から高い評価を得ており、現在では世界的規模でファッション関連事業を展開している。
(イ)請求人商品のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1939年米国ニューヨーク州ブロンクスで生まれ、学業を終えたのち手袋やネクタイ等のセールスを経験し1967年(昭和42)ネクタイ製造販売会社である「ボー・ブランメル」に入社した。そこで自らデザインしたネクタイを販売する新しい会社を任されるようになり、彼のデザインした幅広のネクタイに「POLO」のラベルを付すとともにその会社名を「ポロ・ファッションズ」とした。それはポロ競技が当時の裕福な階級に限定された排他的なスポーツであり、そのスタイルにおいても高級・高雅性をイメージさせたからである。そして彼のデザインした幅広のネクタイが評判となり、1968年(昭和43)「POLO」標章を付したラルフ・ローレンのネクタイがニューヨークの大手百貨店であるブルーミングデールで販売され高価であったにもかかわらず大好評を博した。因みに当時ブルーミングデールで商品にデザイナーブランドが付けられて販売されていたのはクリスチャン・ディオールのみであった。
ラルフ・ローレンは1968年(昭和43)独立し「ポロ・ファッションズ社」を新たに設立しその年自らデザインしたスーツを発表した。以後精力的にメンズウエアのデザインを発表し、1970年(昭和45)には早くもファッション界のアカデミー賞とも称される「コティ・アメリカン・ファッション・クリティックス賞」のベスト・メンズウエア・デザイナー賞を受賞した。そしてその後は順調に業績を伸ばした結果、当時はデパートのメンズ部門がデザイナーに個人のブティックを与えることは前例にない時代であったがブルーミングデールを初めとする全米の有名デパート等に自らのブティックを出店していった。
また、婦人用商品は、1971年(昭和46)婦人用のシャツブラウスのデザインをかわきりに1972年(昭和47)には婦人服のフル・コレクションを発表してメンズウエアでの高い評価と並んで小売業者や顧客たちの間で爆発的な人気を呼ぶに至った。そして、紳士用の商品には「POLO」又は「POLO by RALPH LAULEN」の標章を使用していたが婦人用には「Ralph Lauren」と「馬に乗ったポロプレーヤーの図形(以下「ポロプレーヤーマーク」という。)」の標章を使用することにした。なお、1972年(昭和47)頃からメンズウエアも含めラルフ・ローレンの全商品に「ポロプレーヤーマーク」を付すようにした。
そして、ラルフ・ローレンは、1973年(昭和48)に映画「華麗なるギャツビー」の衣装を担当したことから広く世界の人々にその名を知られるようになりデザイナーとしての名声が不動のものとなった。それとともに、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品に使用する標章「POLO」並びに「POLO by RALPH LAULEN」及び「ポロプレーヤーマーク」は、所謂「POLO」ブランドと称されるとともに(時には「Ralph Lauren」標章も含め称される場合がある。)、それら「POLO」ブランドを冠した商品は、被服に続いて眼鏡やフレグランスなどのファッション関連商品、ホーム・ファニシング、レザーグッズ、ゴルフ用品などに亘ってトータルに展開してきており、「POLO」ブランドは、請求人のブランドとして遅くても1970年代前半には米国はもとより全世界的に著名となっていた。
(ウ)以上から明らかなように、被請求人が本件商標を出願した当時、既に「POLO」ブランドは米国で成功を収めており、ラルフ・ローレンがデザインし「POLO」ブランドを付した商品が米国で盛んに販売されていた。
(3)「POLO」ブランドを付した請求人商品の日本における著名性
米国における成功を受けて「POLO」ブランドを付した請求人商品が、日本において展開されるようになった経緯は以下の通りである。また、その過程において請求人商品は「Polo」、「ポロ」と総称又は略称されることが多くなった。
(ア)日本における「POLO」ブランドの最初のライセンシーは、菱屋株会社であり1975年(昭和50)「POLO」標章を付したネクタイの製造販売を開始した。ついで、1976年(昭和51)株式会社西武百貨店がメンズウエアについてライセンス契約を結び、直ちに販売を開始し、以後1978年(昭和53)レディースウエア、1980年(昭和55)ボーイズウエア、1982年(昭和57)ガールズウエア及びレザーグッズ、1985年(昭和60)寝具等ホーム・ファニシング、1994年(平成6)ゴルフ用被服及び小物、1997年(平成9)幼児服及びジーンズ製品の販売を夫々開始し、精力的に請求人の商品を展開してきている。
(イ)西武百貨店は,上記ライセンス商品の展開にあわせて新聞・雑誌等のメディアを通じて請求人商品の広告宣伝に力を注いだ。すなわち、1977年(昭和52)から1987年(昭和62)まで毎年4000万円〜1億1800万円の宣伝・販促費を投じており、1988年(昭和63)西武百貨店の請求人商品を取り扱う部門が独立し、株式会社ポロ・ラルフローレン・ジャパンが設立されてからは毎年4億1100万円〜13億7700万円の宣伝・販促費を費やして請求人商品の普及に努めている。なお、かかる宣伝活動の際も「POLO」ブランドが使用されていることは勿論である。かかる広告宣伝活動の結果、日本における請求人商品の売上げは、1977年(昭和52)の5億6000万円を皮切りに毎年前年度を大幅に上回る伸びを示し、現在では年間900億円近い売上げを誇る日本でも有数の人気の高いブランドの一つとなっている。因みに、請求人の「POLO」ブランドが、請求入商品を示すものとして極めて短期間に日本における周知・著名性を獲得していることを示すものとして昭和63年から平成元年にかけて「POLO」又は「ポロプレーヤーマーク」を付した偽ブランド商品が第三者によって大量に販売され摘発されるという事件が発生したほどである。
(ウ)以上から明らかなように、被請求人が本件商標を出願した以前から既にラルフ・ローレンがデザインし「POLO」ブランドを付した商品が日本において盛んに販売されており「POLO」ブランド及びその略称「ポロ」の著名性は確立していた。
(4)本件商標が請求人の使用標章「ポロプレーヤーマーク」と混同を生ずる理由
(ア)本件商標は、図形と文字とから構成されたものであるが、図形部分は、圧倒的に顕著に表されており下部に配した文字との関連性もないところから、図形部分自体が独立して商品の出所を識別するための標識として機能し得ると言えるものである。しかして、該図形は、斜め右方に向いた馬に乗り上体を屈めてマレット(打球槌)でボールを捉えようとするポロプレーヤーを全体として動的なタッチでシルエット風に黒色で表してなるものである。一方、請求人が使用する「ポロプレーヤーマーク」は、斜め左方に向いた馬に乗り上体をやや屈めてマレット(打球槌)を振り下ろそうとするポロプレーヤーを全体として動的なタッチで黒色を基調に表してなるものである。しかして、両図形は、子細に見れば差異を有するが、ともに走るが如き馬及び馬に乗ってマレットを操っているポロプレーヤーを全体として躍動的動きを看取させる図柄で黒色を基調に描いてなる点において構成の軌を一にするものであり全体の外観において紛らわしいものと言い得るものである。
そうとすると、上述した通り「POLO」ブランドの一である「ポロプレーヤーマーク」はラルフローレンのデザインに係る商品を表すものとしてその周知・著名性の程度は非常に高いものであり、また、本件指定商品中の家具や絨毯、カーテン等の屋内装置品等はデザインが重要な要素とされるものであるところ、請求人はそれらと同一又は近似する分野の商品であるホーム・ファニシング等をも取扱っていることから、取引者・需要者が本件商標に接した場合は、ラルフローレンのデザインに係る請求人の「ポロプレーヤーマーク」標章を想起すると言うのが相当である。
(イ)上記の主張は、最高裁判所平成12年(行ヒ)第172号事件、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第267号事件、同平成11年(行ケ)第333号事件の判決に徴して首肯できることである。さらに、本件商標と同一の図形部分を構成要素のー部とする構成からなる被請求人の商願平3-122109号(審判9‐3255、11行ケ418-訴取下)、商願平3一122108号(審判7‐1811、12行ケ309一訴取下)、商願平3一122113号(審判9‐3256、11行ケ419一訴取下)及び本件商標の図形部分のみを構成要素とする商願平1一26956号(審判6‐2334、11行ケ402-訴取下)は、何れも請求人の使用標章である「ポロプレーヤーマーク」と混同すると判断された審決が確定している。
(ウ)以上述べたとおり、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合は、取引者・需要者をして請求人または請求人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(5)答弁に対する弁駁
本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性を否定する被請求人の主張は、以下のとおり理由がない。
(ア)ポロプレーヤーマークの著名性が証明されていないと主張する。しかし、甲各号証によって「POLO」ブランドが著名性を有していること明らかであり、そのーつであるポロプレーヤーマーク自体についても甲3、4、5、13、14、15号証による使用事実および甲16号証ポロの偽物商品の新聞記事によって著名性を有すること明らかである。そして、「POLO」ブランドおよびその一であるボロプレーヤーマーク自体の著名性については最高裁、東京高裁判決(甲18、19、20号証)においても認められている。
(イ)本件商標とポロプレーヤーマークとは構成の軌を一にするとはいえないと主張する。しかし、両図形は、走っているごとき一頭の馬、一人のポロ競技者、競技者がマレットを携えているなどの共通する要素で構成されており、確かにマレットの立置に差異はあるが、両図形とも全体として馬に乗った一人のポロ競技者がプレーをしている様を動的動きを看取させる図柄でしかも黒色を基調に描かれている点においても共適している。
したがって、両図形は構成の軌を一にすると言い得えるものである。なお、例え構成の軌を一にするとまで言えないとしても、図形によって構成される商標については、取引者・需要者が必ずしも図柄の細部まで正確に観察し記憶して商品の出所を識別するとは限られず、商標全体の主たる印象によって商品の出所を識別する場合が少なくないところ、両図形は馬に乗った一人のポロ競技者がプレーをしている様を表してなる点で共通し、ポロプレーヤーマークの著名性に照らせば、本件商標をその指定商品に使用した場合、取引者・需要者において、「POLO」ブランドまたはその一であるポロプレーヤーマークを想起し、誤認することが十分に想定されるものである。
(ウ)本件商標の図形と同一の図形を含む商標が時計、眼鏡に登録されており、ラルフ商品との間で混同を生じていないと主張する。しかし、請求人がその出願の存在を看過した登録例をもって混同のおそれがないということはできない。そして、該登録商標が使用されている事実が立証されておらず、例え使用されているとしても「POLO」ブランドまたはその一であるポロプレーヤーマークとの混同を生じていないとの証拠もない。
(エ)本件指定商品は、引用標章が著名性を獲得していると考えられる被服、眼鏡と生産部門、販売部門、原材料、用途、需要者の範囲等を異にするから混同を生じるおそれはないと主張する。しかし、近時ブランドイメージをライフスタイル全般に反映させたいという消費者のニーズに応えピエールカルダン、ヴァレンティノ・ガラヴァーニなどの所謂デザイナーズブランドは商品を多岐に亘って取り扱っており、ラルフローレンのデザインによる請求人が取り扱う「POLO」ブランドも同様である。そして、現にホームコレクションとして室内装飾品を取り扱っており、本件指定商品に含まれる「カーテン」「テーブル掛け」「壁掛け」等の商品を取り扱っている。したがって、需要者をして請求人が本件指定商品分野に進出している事実、または可能性を認識している蓋然性は非常に高い。
(オ)被請求人は、米国ポロ協会とポロ競技及び被請求人のライセンスビジネスについて縷々説明している。しかし、ポロ競技の認識度が低い我が国において、米国ポロ協会や被請求人の存在がー般に知られているものではない。まして、本件商標との関連性を知る状況にない。また、各国で商標登録を取得しているとしてリストを提出している(本件商標と同一の商標が含まれているか不明であるが)が、我が国における「POLO」ブランドの著名性は顕著なものである上に我が国固有の取引事情というべきその著名性に便乗した偽ブランドの横行する状況等の実情はそれら外国における登録状況等をもってわが国も同列に扱うべき根拠とはならない。したがって、上記事情が請求人の取り扱いに係る商品と出所混同の生ずる可能生を減ずる根拠とはならない。
(6)以上述べたとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、無効にすべきものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のとおり主張し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)請求人は、引用商標として「馬に乗ったポロプレーヤーの図形」標章を挙げており上記の図形標章を含めて「POLO」ブランドと呼び、「POLO」ブランドの著名性を述べている。
しかしながら、その記載は文字商標「POLO」(正確には「Polo/by Ralph Lauren」)に関する記述であり、具体的に図形について触れられている部分は第4頁第11行目と第6頁第5行目だけであり、図形商標についての著名性がこれらの主張によって十分に証明されたとは考えられない。
また、混同を生ずる理由(第6頁第10行目から)について、図形が構成の軌を一にすると述べている。
しかしながら、本件商標の図形は、黒いシルエット図形で、右向きの馬の上にポロの競技者が下を見ながら真下にあるポロの玉を、下向きに降ろしたマレットで正に打たんとしている図であり、馬の足とマレットが混在し、全体として動きを感じさせる図形である。
これに対して請求人の図形は、やや左向きの馬の図形で、右足を上げた状態の馬の上にポロ競技のプレーヤーが体を伸ばしてマレットを右手の上方に高々と振り上げている図形であり、振り上げられたマレットは競技者の左肩上まで持ち上げられており、このマレットが上方に突出していることが他のポロに関する図形と比較して特徴的な部分である。
請求人は、「走るが如き馬及び馬に乗ってマレットを操っているポロプレイヤーを全体として躍動的動きを看取させる図柄」において構成の軌を一にすると述べているが、競技中のポロプレーヤーを表すかぎり、必ず「走るが如き馬及び馬に乗ってマレットを操っている」ものであり、それだけでは到底、「構成の軌を一にする」と言えるものではない。
本件図形では、馬の足とマレットが混在し、全体として動きを感じさせる点に特徴があり、引用図形では、マレットが右手の上方に高々と振り上げられ上方に突出していることに特徴がある。両者を対比すれば容易に区別される全く異なった図形であり、構成の軌を一にすると評価できるものではなく、時と所を別にして観た場合も混同を生ずる図形とは考えられない。
(2)図形商標の並存例
本件商標は、1992年1月17日付の出願であるが、本件商標の図形と同一の図形を含む商標が、旧第23類において、1991年10月31日付で出願され、商標登録第2657767号として登録され現在も権利が存続している(乙第1号証)。
上記の商標権は、商標法第4条第1項第15号の審査基準が変更される前の審査により登録されたものであるが、登録後においても、時計・眼鏡を指定商品とする上記の登録商標と、請求人の商品の間に出所混同が生じるているという事実は全く存在しておらず、現実の出所混同を軽視するような審査基準の変更が必要であったか疑問である。
上記の商標権は、登録後すでに8年を経過しており、本件商標と同一の図形について、被請求人の業務上の信用が化体しているものである。本件商標の図形に接する需要者・取引者は、容易に上記の商標登録権利者が商品を展開したと考えることはあっても、構成の軌を一にするものではない引用図形と関連ある商標であると考えることはない。被請求人が営々と築き上げた業務上の信用の保護が十分に考慮されるべきものである。
特に図形商標の類否では、本件商標の図形と引用図形では類似しないと判断するのが通例である。
さらに、従来の商標法第4条第1項第15号の判断では、商品が同一であれば、類似と判断される商標であって、商品が同一・類似の外側にあるときに「混同」を認定していた。これに対して、新審査基準では「類似」の概念を用いることなく混同を論じているが、従来「類似」とは考えられなかった図形商標同士において混同が生ずるおそれがあることは極めて稀であると考えられる。本件がそのような稀な例であるかは、市場における取引の実態を十分に考慮して判断されるべきである。
現実に混同が生じていないものについて「おそれ」があるとして、登録を拒絶する等は、真に産業の発達を目指しているとは言い難い。審査基準を改定によって現実に混同を生じない商標にまで、商標法第4条第1項第15号の適用をすべきものでないことは商標法の法目的から考えても明らかである。
(3)出所混同の不可能性
本件商標および引用商標はそれぞれ、ポロ競技者を表したものであり、ポロプレーヤーを表したこという共通点以上に両者が類似するものでないことは、両図形を対比してみれば、自ずと明らかである。
本件商標および、引用図形の表すポロ競技は既に映画や各種の宣伝活動で一般に広く親しまれている(乙第2号証の1)。なお、ポロ競技は「ペルシア起源の騎乗球技。現今のものは、四人ずつ二組に分れ、一個の木のボールを馬上から長柄の槌(マレット)で相手側のゴールへ打ち込み合って勝負を争う。」と岩波書店「広辞苑」にも紹介されている(乙第2号証の2)。
しかしながら、審査基準は「原則として推認して取扱う」としているだけであり、具体的には、ただし書きを設けて、現実に混同を生じないものについては商標法第4条第1項第15号の適用を排除している。ただし書きでは、「既成の語の一部となっているもの」「出所の混同のおそれがないことが明白なもの」を除く、と記載している(乙第3号証)。この審査基準に照らすと、本件商標は、他人の著名商標自体を含んでいるものではなく、他人の著名な商標と類似する商標でもない。また、その指定商品との関係において、引用図形が著名性を獲得していると考えられるのは、被服、眼鏡等である。なお、眼鏡については、本件商標と同一の図形の商標が被請求人により登録されている事実は、先に述べた通りである。
引用図形が被服・眼鏡において著名性を獲得したとしても、本件商標の指定商品は「家具、畳類、建具、屋内装置品、記念カップ、葬祭用具」であり、これらの商品は、生産部門も、販売部門も、原材料も、用途も、需要者の範囲においてもいずれも一致するものではないので、その商品は混同を生ずるおそれは全くない。
<先判決例>
特許庁の審査では「POLO」といえば、必ず「ザ ポロ/ローレン カンパニー」の著名商標と取扱っているが、東京高裁平成12(行ケ)40判決および同平成12(行ケ)41判決では、「ザ ポロ/ローレン カンパニー」は、「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン POLO by RALPH LAUREN」の形で商標を使用しており、「POLO」「ポロ」の商標を専ら使用しているのではないと判断されている(乙第4号証及び乙第5号証)。また、研究社「英和商品名辞典」においては「Polo/ポロ」の項目ではなく、「Polo by Ralph Lauren」の項目を立てて記載している(乙第6号証)。さらに、最高裁平成12(行ヒ)172判決の補足意見では、『「ポロ」は語源的には普通名称なので、商標の出所表示機能がある程度減殺されている。「ポロ」の語を含んでいるときでもラルフ・ローレンとの関連性を打ち消す表示が含まれているときは商標法第4条第1項第15号該当性が否定され、登録を受ける余地があるというべき』と真理を突く貴重な意見が判示されている(乙第7号証)。
これらの判決例は、いずれも「POLO」の文字商標に関するものであるが、ポロ競技者を表した図形商標においては、さらに図形としての類似性を厳密に検討して判断すべきものである。
著名商標の保護を考える余り、第三者の正当な商標権の登録を妨げることが無いように、あくまでも営利団体(会社)の利益の追求に混乱を生じさせないように取扱うことが肝要である。
(4)被請求人とポロ競技
(ア)被請求人の活動
被請求人(米国ポロ協会/United States Polo Association)は、「ザ ポロ/ローレン カンパニー」が「POLO」商標を採用する以前(1890年設立)から存在しているアメリカでも著名なポロスポーツの統括団体である(乙第8号証)。
U.S.Polo Associationは、1890年に創設されたアメリカ、カナダにおけるポロスポーツの統括団体である。
現在は、これらの団体は独自に、その協会名を使用して、スポーツ関連商品のライセンスビジネスを行い、それらの物販から得た利益を各スポーツの振興に役立てているのが実情である。従って、各スポーツ団体は、それぞれ、その協会名で商標の登録をしており、日本でも多くの公報に各団体からの申請が登録公告されている。
被請求人は下部組織を通じて積極的に商標等の活用をしている。日本国内において、現在、株式会社ユーエスピーエージャパンをマスターライセンシーとし(1997年以前においては、株式会社 ロスモーリ)、20社を越すサブ・ライセンシーを擁している(乙第9号証及び乙第10号証)。
上記のライセンス事業により得られた収益は、ポロ用具(ヘルメット、プロテクター等々)の改良や、大学のポロクラブに対する援助活動に使用されている。
(イ)各国登録の実情
被請求人は、自己の名前をはじめとする各種商標及び「US OPEN POLO CHANPIONSHIP」の商標権を基礎として各国においてライセンス事業を行っている。 世界各国での登録例は、乙第11号証のとおりである。
(ウ)ザ ポロ/ローレン カンパニーとポロ競技
ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップまたはラルフ・ローレン社は、ポロスポーツとは直接は一切関係がない団体である。従って、その売上がスポーツのポロ競技の発展等に直接関連しているとは考えられない。
ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップまたはラルフ・ローレン社がポロプレーヤーのマークを商標として選択し利用した経緯については明らかではないが、出願人等が長年に亘って培った伝統的なポロ競技の雰囲気やイメージを利用する意図から積極的にポロプレーヤーのマークおよび「POLO」の文字を商標として選択したものと考えられる。実際に、ニューヨーク周辺でポロ競技とは無関係に育ったラルフ・ローレン氏は、裕福な生活をしているポロ愛好者のライフスタイルまたはそのコンセプトをシンボルとして利用したものと推察される。
ポロ競技が、勇猛果敢な貴族のスポーツであるという認識は、現在では多くの日本人の間にも十分に認識されている。なお、日本において、ポロスポーツがどのように取り上げられているかについては、「ポロその歴史と精神」(乙第2号証)のとおりである。
営利を目的とする一会社の有する商標の存在をもって、ポロスポーツの純然たる団体に対して、その名称等を商標として使用させないということは、本末転倒である。むしろ「POLO」を商標として利用したザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ等がポロ競技にある程度の貢献する為に積極的に被請求人等のポロ競技支援団体関連商標の使用を許可すべきである。
(オ)結語
上記のとおり、本件商標は、請求人の商標を商標中に含むものではなく、また類似する商標を含むものでもない。本件商標は、引用商標の被請求人の業務に係る商品との間に出所混同を生ずるおそれはないから商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

4 当審の判断
請求人は、本件商標の登録が、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである旨主張しているので、この点について検討する。
(1)本件商標と引用商標との類似性の程度について
(ア)本件商標は、馬に乗ったポロプレーヤーがマレットを振り下げてポロ競技をしている黒塗りのシルエット図形と、その下に配した「U.S.P.A」の欧文字とから構成される結合商標である。他方、引用商標は、馬に乗ったポロプレーヤーがマレットを振り上げてポロ競技をしている図形(ポロプレーヤーマーク)のみから構成される図形商標である。
本件商標は、構成中の馬に乗ったポロプレーヤーの図形と「U.S.P.A」の文字部分とを別々に上下に配した構成であって、その外観上、図形部分と文字部分とが分離されないような態様で構成されているものではなく、また、図形部分と文字部分とが不可分のものとして一つの観念を形成しているものでもないから、両部分は、これを分離して観察することが取引上不自然と考えられるほど不可分一体に結合しているということはできない。また、「U.S.P.A」は、その文字のみによっては意味が不明であり、我が国において、特定の企業、団体等の名称を示す略称として知られていると認めるに足りる証拠もないから、本件商標は、「U.S.P.A」の文字部分を除いた図形部分のみによっても認識され、図形部分が分離して認識されて自他商品の識別標識として機能することもあるものというべきである。
(イ)そこで、まず、本件商標の図形部分と引用商標とを外観について対比すると、両者は、走る馬に乗ったポロプレーヤーがマレット(長柄の槌)を操作している様を表したものであるという点においては共通する。しかし、その共通性は、馬、マレット及びこれを操作する馬上のポロプレーヤーという多分に抽象的なレベルにとどまり、図形としての表現態様という観点から見るときには、馬の向き、馬及びポロプレーヤーの姿態、マレットの位置等、多くの点で異っている。すなわち、引用商標においては、馬は左向きに疾駆する状態で描かれ、馬上のポロプレーヤーは、上半身をややそり気味にして右手に持ったマレットを斜め後方(図の右上方向)に振り上げているのに対し、本件商標の図形部分においては、馬は右向きに描かれ、馬上のポロプレーヤーは、馬を制御しながら下向きにかがみ込む姿勢でマレットを振り下げて馬の足下の玉を打とうとしている。特に、引用商標においては、プレーヤーの上半身から右上に延びて長く描かれたマレットが図形全体に縦長の印象を与えるとともに、前足を蹴り上げて疾駆する馬の姿態と相まって、強い躍動感をもたらしているのに対し、本件商標の図形部分においては、ポロプレーヤーは上半身を下に向けており、マレットも下向きで、馬の4本の足の間に挟まれるように描かれていることが特徴的である。
本件商標の図形部分と引用商標との間に見られる上記のような違いは、両図形が与える印象を全体として異なったものとしており、見る者に異なる印象、記憶を生じさせるものというべきである。
(ウ)次に、称呼及び観念についてみると、本件商標の図形部分は、ポロ競技をよく知る者にとってはそこに表現されたものが英国に発祥するスポーツのポロ競技をするプレーヤーであることを感得させる態様のものであるが、その表現は、長柄の槌を持った人が馬上にいる姿をシルエットのみによって表わしたというものであり、我が国におけるポロ競技の認知度を考慮すると、本件商標の図形部分からは、スポーツとしてのポロ競技に関連したものという程度の漠然とした観念が生ずることはあり得るとしても、直ちに特定の称呼や商品の出所を識別させる程度に具体性を持った観念が生ずると認めることはできない。一方、引用商標も、その周知・著名性を考慮の外に置いて、図形として見たときには、スポーツとしてのポロ競技という程度の観念を生じさせるものにすぎない。したがって、本件商標の図形部分と引用商標との対比において、称呼及び観念は、両者の類似性を評価する要素としては捨象して差し支えないものというべきである。
そうすると、本件商標は、その図形部分を取り出して引用商標の「ポロプレーヤーマーク」と対比観察し、時と所を異にして観察した場合でも、図形部分において引用商標と類似するということはできず、また、本件商標は、図形部分と「U.S.P.A」の文字とからなるものであるから、これを全体として見ると、本件商標と引用商標とは非類似の商標というべきである。
(2)引用商標の周知・著名性について
(ア)請求人は、アメリカ合衆国ニューヨーク州所在のリミテッド・パートナーシップであり、同国のファッションデザイナーとして世界的に著名なラルフ・ローレンのデザインに係る商品を、関連会社やライセンシー及び販売店を通して世界的な規模で販売している。我が国においては、昭和51年に、西武百貨店が請求人とライセンス契約を結び、ラルフ・ローレンのデザインに係る男性用衣料品の取扱いを開始したのを皮切りに、婦人用衣料、ファッション関連商品等についてもラルフ・ローレンのデザインに係る商品が請求人のライセンシー、販売店等を通じ、全国の有名デパートや専門店等において販売されるようになり、今日に至っている。
(イ)ラルフ・ローレンのデザインに係るファッション関連商品には、文字商標として、横長四角形中に「Polo」、「POLO」の欧文字を配した標章(以下「POLO標章」ともいう。)、「POLO」、「Polo」の文字と「by RALPH LAUREN」、「by Ralph Lauren」の文字とを組み合わせた標章(以下「ポロ/ラルフローレン標章」ともいう。)、図形商標として、引用商標(ポロプレーヤーマーク)などが使用されてきた。これらの商標を付した商品は、ラルフ・ローレンの「ポロ」、「POLO」(Polo)(単に「ポロ」、「POLO」等と略称されることもある。)ないし「ポロ/ラルフ・ローレン」のブランド名で、需要者の間で高い人気を博しており、引用商標(ポロプレーヤーマーク)を含めた上記各標章は、そのブランド名と共に、遅くとも本件商標の登録出願時(平成4年1月17日)より前に、ファッション関連商品の分野において、取引者、需要者の間で周知・著名となっており、その周知・著名性は、登録査定時(平成9年3月19日)を経て今日まで継続している(なお、ファッション関連商品の分野における「ポロ」、「POLO」ブランドの周知・著名性に関して、これを認めた多数の審決例及び判決例がある。)。
(ウ)ラルフ・ローレンに係る商品に使用されている上記各標章における「POLO」、「Polo」ないし「ポロ」の語は、英国を発祥地とするポロ競技に由来するもので、ポロ競技のプレーヤーが着用するシャツが「ポロシャツ」と称されることもあるなど、それらの語自体としては、普通名称と認められるものである。また、引用商標(ポロプレーヤーマーク)は、ポロ競技をしているプレーヤーと馬の様子を写実的な筆致でやや単純化して表現したものであって、その図形自体としてそれほど独創性が高いものとはいえず、図形が想起させる「ポロ」ないし「ポロ競技」の観念も、それ自体としては一般的なものということができる。したがって、ファッション関連商品において引用商標(ポロプレーヤーマーク)が有する高い識別力、顧客吸引力は、標章自体が有する外観や観念の独創性ないし特異性に由来するというものではなく、むしろ、引用商標がラルフ・ローレンのデザインに係る「ポロ」ブランドの商品に使用され、「ポロ」ブランドの著名化とともに、ラルフ・ローレンの「ポロ」を表示するマークとして定着し、広く知られるようになったという事実によってもたらされたものであるということができる。
(エ)引用商標(ポロプレーヤーマーク)は、ファッション関連商品の分野においては周知・著名性が認められるものであるが、ファッション関連商品以外の、請求人が「ホームファニシング商品」と称する一群の商品の分野における周知・著名性については、これを認めるに足りる証拠がない。
(オ)以上のとおり、我が国におけるラルフ・ローレンのデザインに係るホームファニシング製品の販売状況に照らすと、引用商標(ポロプレーヤーマーク)が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ファッション関連商品以外のインテリア関連商品や寝具、食器等の生活用品、壁紙などの住宅関連用品等の商品の分野においてまで周知・著名性を獲得していたということはできない。
(4)商品の出所混同のおそれの有無について
(ア)上記のとおり、本件商標と引用商標(ポロプレーヤーマーク)とは類似するものとはいえず、また、引用商標は、ホームファニシング商品の分野においてまで周知・著名となっていたものとはいえないから、ホームファニシング商品の分野における引用商標の周知・著名性に基づく商品の出所混同のおそれを認めることはできない。
そこで、進んで、ファッション関連商品の分野における引用商標(ポロプレーヤーマーク)の周知・著名性に基づいて、本件商標をその指定商品に使用したときに、ラルフ・ローレンに係る商品であるかのように誤信されて商品の出所混同が生ずるおそれがあるか否かを検討する。
(イ)今日、ファッション関係のデザイナーが、ライフスタイルを提案し、あるいは生活全般をトータルにコーディネートするという見地から、ファッション関連以外の商品にデザインの領域を広げ、家具、インテリア用品、寝具、テーブルウエア等々、様々な商品をデザインし、販売する例があることは、よく知られたことである。このことは、デザイナーのラルフ・ローレンについても例外ではなく、同人がカーテン、クッション、寝装品、リネン類、食器等、生活全般にわたる多様な商品をデザインし、販売していることは、我が国の雑誌等にも紹介されている。そうすると、我が国においてラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして周知・著名なPOLO標章、ポロ/ラルフ・ローレン標章、引用商標(ポロプレーヤーマーク)、あるいは、これらに類似する標章がファッション関連以外の商品について使用された場合、それらの商品が、ラルフ・ローレンに係る商品のいわば延長線上にあると考えられるものであるときには、商品の出所混同の可能性がないとはいえない。本件商標の指定商品である旧別表第20類「家具、畳類、建具、屋内装置品、屋外装置品、記念カップ類、葬祭用具」の中には、ラルフ・ローレンがデザインしても不自然ではないと考えられる商品や、現に「ラルフ・ローレン ホームコレクション」として販売されている商品が含まれる。
しかしながら、本件において、ラルフ・ローレンに係る商品に使用される各種標章のうち、引用商標(ポロプレーヤーマーク)は、ホームファニシング商品の分野においてまで周知・著名であるとはいえない上、「ポロプレーヤーマーク」自体の独創性、特異性によって識別され周知・著名化したというよりは、むしろ、ラルフ・ローレンの「ポロ」(ポロ/ラルフローレン)ブランドに使用されるマークとして上記ブランド及びデザイナーのラルフ・ローレンの名とともに周知・著名となったこと、ラルフ・ローレンに係るホームファニシング商品は、「RALPH LAUREN」をブランド名として前面に押し出し、「RALPH LAUREN」の表示を使用して販売されていることなどの諸事情を総合考慮すると、引用商標とは非類似の図形に「POLO」(ポロ)や「RALPH LAUREN」(ラルフ・ローレン)とは全く別の欧文字「U.S.P.A」(ユーエスピーエー)を組み合わせてなる本件商標を付した商品が、ラルフ・ローレンに係る商品と誤信されて商品の出所の混同を生ずる可能性は極めて低いというべきである。
(ウ)商標の構成中に2ないし4文字程度の大文字の欧文字を組み合わせた文字表記が存在する場合には、これが何らかの名称を頭文字で表した略称であると理解する余地があり、その文字表記自体としては意味が明確でなかったり、特定の出所を積極的に表示しているとはいえない場合であっても、当該文字表記の存在が、図形部分から特定の出所が連想されることを打ち消すように機能する場合があるというべきである。
これを本件についてみると、引用商標(ポロプレーヤーマーク)は、ラルフ・ローレンの「ポロ」ブランドないしデザイナーのラルフ・ローレンと密接に結び付いたものとして著大な識別力を獲得するに至ったと認められるものであるから、本件商標のように、引用商標とは外見の異なる非類似の図形に、ラルフ・ローレンの「ポロ」や「ラルフ・ローレン」を想起させる余地のない「U.S.P.A」の欧文字を、ゴシック体で、図形に比肩する大きさで表示してなる結合商標については、その出所として「U.S.P.A」の名称ないし略称を有する業務主体が認識されるかどうかはともかく、ラルフ・ローレンの「ポロ」や「ラルフ・ローレン」への連想が妨げられ、少なくともラルフ・ローレンではない商品の出所が認識されることになることは明らかというべきである。
(エ)したがって、ファッション関連商品の分野における引用商標の周知・著名性を考慮に入れても、本件商標を指定商品に使用したときに、当該商品が、ラルフ・ローレン又は同人と密接な営業上の関係若しくは同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であるかのように誤信され、商品の出所混同が生ずるおそれがあるということはできない。
(5)結論
以上のとおり、本件商標の登録は商標法4条1項15号に違反してされたものとはいえず、請求人の主張は、採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本件商標(登録第2721956号商標)

(2)引用商標

審理終結日 2003-07-17 
結審通知日 2003-07-23 
審決日 2003-08-05 
出願番号 商願平4-2735 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (120)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 竹内 弘昌門倉 武則 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 高野 義三
佐藤 達夫
登録日 1997-06-06 
登録番号 商標登録第2721956号(T2721956) 
商標の称呼 ユウエスピイエエ 
代理人 岡田 稔 
代理人 広瀬 文彦 
代理人 黒岩 徹夫 
代理人 曾我 道照 
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