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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z30
管理番号 1129308 
審判番号 無効2004-89007 
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-02-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-04-12 
確定日 2006-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第4621807号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4621807号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4621807号商標(以下「本件商標」という。)は、「NEAL’S YARD PASTRY」の欧文字を横書きしてなり、平成13年2月16日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同14年11月15日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、請求の趣旨を「結論同旨の審決を求める。」と申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第96号証(枝番号を含む。)を提出した。
請求の理由
1 本件商標の無効理由1
本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであり、商標法第46条第1項第1号により、無効とされるべきものである。
(1)請求人の商標・商号・商品の周知・著名性
請求人は、昭和63年9月ころから代理店などを通じて、「NEAL’S YARD」あるいは「ニールズヤード」という商標を使用し、請求人の製造に係る製品を日本において販売してきた。請求人のこれらの商号の略称と商標、あるいは、これらの商号の略称及び商標を使用した商品は、平成2年(1990年)以後、次々と我が国の雑誌等のメディアにとりあげられ、広く我が国の一般需要者に紹介されたものである。この結果、「NEAL’S YARD」及び「ニールズヤード」の商標は、遅くとも平成12年8月初めには、請求人の商号の略称あるいは商標として、我が国の一般需要者に広く認識され、周知・著名となったものである(甲第3号証ないし甲第58号証)。
平成7年9月12日、請求人は、ニールズヤードジャパン有限会社に対し、商号使用の禁止等を求める裁判を2件提起した(甲第93号証)。
上記2件の訴訟、すなわち、平成七年(ワ)第一八〇四一号商号使用禁止等請求事件と平成八年(ワ)第二四六七一号商品の継続的供給等請求事件においては、判決に至る前に被告が原告の請求を受け入れた結果、原告完全勝訴の内容での和解が成立し終結したものである(甲第95号証ないし甲第97号証)。
上記2件の訴訟とは別の仮処分申請事件においても、原告側全面勝訴の内容の和解が成立した(平成9年12月19日)ことから、その時点において、「ニールズヤード」の表示が我が国において、請求人の営業表示として周知・著名になっていたことを如実に物語るものである。
2000年(平成12年)1月1日自由国民社発行の「現代用語の基礎知識2000」(甲第92号証)の171頁の「ニールズヤード」の項には、「Neal’s Yard エッセンシャルオイルやエッセンシャルオイルを使ったヘアコンディショナーや化粧品を扱う店。一九八一年、ロンドンのコベントガーデンにロミー・フレイザーという女性が第一号店を開店。日本は青山などに店がある。」との記述がある。このことは、2000年1月1日以前に、「ニールズヤード」が著名であったことを示す証左以外の何物でもない。
2001年以後においても、「NEAL’S YARD」及び「ニールズヤード」の商標は、請求人の商号の略称あるいは商標として、我が国の一般需要者に広く認識され周知・著名であり続けている(甲第59号証ないし甲第91号証)。
(2)混同の有無
本件商標を「練り粉(paste)で作ったパイの類の菓子」に使用する場合は、「NEAL’S YARD」が識別の要部であり、請求人が使用してきた商標「NEAL’S YARD」あるいは「ニールズヤード」と同一であり、その類似性の程度は極めて高い。
請求人が使用してきた商標「NEAL’S YARD」あるいは「ニールズヤード」は、遅くとも、平成13年2月には、請求人の商標として著名性を獲得したものである。
本件商標の指定商品は、「菓子及びパン」であり、企業間取引の対象となる商品ではなく、いずれも若い女性を需要者層に含む一般消費者が直接購入する商品である。一方、請求人が取り扱う商品としてである化粧品・アロマセラピーに関する商品も、若い女性を需要者層に含む一般消費者が直接購入する商品であり、取引者及び需要者を共通にするところ多とするものである。企業経営が多角化する現在、有名ブランドにおいては、著名な商品等の表示を使用する者の正当な利益を保護するためには、商品等を超えていわゆる「広義の混同」を生ずるおそれがある商標をも商標登録を受けることができないものとすべきである。本件商標と、請求人の著名な商標は、取引者及び需要者も共通しているものであり、本件商標は、これに接した取引者及び需要者に対し、請求人の著名商標である「NEAL’S YARD」「ニールズヤード」を連想させ、商品の出所につき誤認を生じさせるものであり,その商標登録を認めた場合には、請求人の著名商標の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)やその希釈化(いわゆるダイリュージョン)を招くという結果を生じかねないものである。すなわち、本件商標は、商標法4条1項15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」に当たるものである。
(3)商標「ニールズヤード」の使用状況
甲第91号証は、審判請求を提起する直前である2004年3月17日、インターネット上の検索サイトで検索した結果を示すものである。
ここに表示された検索結果496件中、4件のサイトは、請求人の商号の略称と商標とは無関係である。すなわち、「ニールズヤード」といえば、請求人の商号の略称・商標であるということが、我が国において広く知れわたっていること、すなわち、「ニールズヤード」が請求人の著名な商標であることを示すものにほかならない。また、請求人の著名な商標である「ニールズヤード」の商標にフリーライドする者は、被請求人「株式会社プレジィール」とアダルトビデオの制作会社以外にはない。
2 本件商標の無効理由2
本件商標は、「NEAL’S YARD」の文字と 「練り粉(paste)で作ったパイの類の菓子」を意味する「PASTRY」の文字を「NEAL’S YARD PASTRY」と普通に用いられる方法で書してなるものであり、「練り粉(paste)で作ったパイの類の菓子」以外に用いられる場合は、商品の品質の質の誤認を生ずるおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第16号に該当する。
3 結論
よって、請求人は、商標法第46条第1項第1号に基づき、本件商標の登録を無効とする、との審決を求める。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第28号証(枝番号を含む。)を提出した。
答弁の理由
1 請求人の主張とこれに対する被請求人の答弁
請求人は、無効理由1として、本件商標「NEAL’S YARD PASTRY」は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであり、商標法第46条第1項1号により、無効とされるべきものであると主張するが、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものではない。
また、請求人は、無効理由2として、本件商標「NEAL’S YARD PASTRY」は、商標法第4条第1項第16号に該当するものであり、商標法第46条第1項1号により無効とされるべきものであると主張するが、本件商標は商標法第4条第1項第16号の規定に該当するものではない。
以下、まず無効理由1に対して答弁し、終盤の項目で無効理由2対して答弁する。
(1)請求人は、「NEAL’S YARD」及び「ニールズヤード」の商標が、遅くとも平成12年8月初めには、請求人の商号の略称あるいは商標として、我が国の一般需要者に広く認識され、周知・著名となったと主張するが、これは事実に反し、本件商標の出願時(平成12月8月25日)において、上記「NEAL’S YARD」及び「ニールズヤード」の商標が請求人の商号の略称又は商標として、我が国の一般需要者に周知・著名であったとはいえない。
請求人は、甲第3号証から甲第58号証の雑誌等への掲載により、請求人製品が雑誌等のメディアに掲載されて、その結果「NEAL’S YARD」及び「ニールズヤード」の商標が請求人の商号の略称あるいは商標として周知・著名なものとなったと主張するが、甲第3号証の記事は、1990年(平成2年)、それから甲第4号証が1995年(平成7年)と5年もとんでおり、また甲第5号証から甲第21号証も1995年の記事であるが、そこに掲載された商品の出所表示の多くは、「ニールズヤードファーイースト/NEAL’S YARD FAREAST」又は「ニールズヤードリメデイ社」とか「ニールズヤードレメディーズ」であり、「NEAL’S YARD」や「ニールズヤード」ではない。
(2)また、甲第22号証から甲第56号証が挙げられているが、これらはすべて1996年(平成8年)のものであり、その商品の出所表示の多くもやはり「NEAL’S YARD」や「ニールズヤード」ではなく、「ニールズヤードファーイースト」や「ニールズヤードレメディーズ」である。そして、1997年(平成9年)、1998年(平成10年)、1999年(平成11年)、2000年(平成12年)の4年間で掲載雑誌は、一切無く、それ以降は、甲第59号証で2001年(平成13年)にとび、甲第60号証ないし甲第90号証の2は、2001年(平成13年)から2004年(平成16年)の記事であり、それらの商品の出所表示も「ニールズヤードレメディーズ」が圧倒的に多い。
(3)甲第23号証、甲第26号証ないし甲第28号証、甲第30号証ないし甲第34号証、甲第36号証、甲第37号証、甲第40号証、甲第42号証、甲第46号証ないし甲第49号証、甲第51号証ないし甲第53号証及び甲第55号証は、ロンドンの「ニールズヤードレメディーズ」の日本1号店が、東京の恵比寿にオープンしたという記事が、複数の雑誌に時期をほぼ同じくして掲載されたにすぎず、しかも、その商品の出所表示は、「ニールズヤードレメディーズ」が圧倒的に多いのである。
(4)したがって、甲第3号証から甲第58号証に示される雑誌等への掲載の事実があるとしても、これによって請求人の商品表示として「NEAL’S YARD」や「ニールズヤード」が周知・著名であったとは、到底いえない。そもそも、こうした雑誌への記事掲載は、一般の非周知、非著名な会社でも日常的行われていることであり、これをもって周知性・著名性を有するというなら、多くの会社、名称はすべて周知、著名ということになってしまい、それが不合理なことは、明白である。
(5)また、請求人自身が自己の商品について積極的に宣伝広告活動をした事実を示す証拠は、ほとんどなく、請求人がそうした宣伝広告活動を継続して請求人の商号や商標を周知・著名にしたとはとてもいえない。
(6)請求人は、甲第93号証等を挙げ、請求人会社のエッセンシャルオイル等の請求人商品をイギリスから並行輸入して無断販売しているとして、「ニールズヤードジャパン有限会社」に対し、その商号の使用差止等を求めた訴訟が和解で決着したとの事実を、「ニールズヤード」の表示が我が国において請求人を表示する営業表示として周知・著名であったことを如実に物語るものと主張している。その事実は不知であるが、それが事実であるとしても、菓子等を指定商品として適法に登録された本件商標と、請求人の商品そのものであるエッセンシャルオイルを無断販売していると攻撃された「ニールズヤードジャパン有限会社」なる商号とでは、混同の判断その他の事情がまったく異なり、「ニールズヤード」の表示が請求人を表示する営業表示として周知・著名であったことの証拠にはならない。
(7)また、請求人は、原告(請求人)製品の日本における販売実績として、平成元年から平成5年までの販売額の合計が5728万円としているが、これが事実としても、1年平均わずか1145万円であり、この程度の販売額では、原告(請求人)製品が日本で周知・著名であったといえないことは、明らかである。
また、請求人は、請求人製品の扱い店舗数が平成元年の6店舗から、平成5年には16店舗に増加した旨主張しており、その事実は不知であるが、全国で16店舗の店で取り扱っている事実が仮にあったとしても、その程度では、当該商品が我が国で周知・著名性を獲得しているといえるものではない。
(8)請求人は、平成元年から平成5年上半期の宣伝広告や販売促進のために支出された費用の総額は3343万円である旨主張しており、その事実は不知であるが、仮に事実としても1年平均では約670万円にすぎず、この程度の額は、一般に中小・零細会社でも支出する程度のものであり、この額からしても、請求人製品が我が国で周知・著名性を獲得していたとはいい難い。
(9)なお、請求人は、請求人製品の宣伝広告や販売促進活動のなかで、若い女性向け雑誌へ紹介記事を書いてもらうため、雑誌社へ積極的なPR活動が行われたとしており、そうした事実は不知であるが、それが事実とすれば、請求人が周知、著名の根拠として挙げる雑誌への記事掲載は、結局のところ、請求人が雑誌社に頼み込んで紹介記事を書いてもらったことにほかならず、そうしたことは、雑誌社に対し、多くの会社が広く一般になしている行為であり、このことを周知・著名性の獲得の根拠とすることはできない。
(10)また、請求人は、2000年版「現代用語の基礎知識」に「ニールズヤード」等の名前がエッセンシャルオイルに関して記載されているから、2000年1月1日以前、「ニールズヤード」が著名であることを示す証左以外の何物でもないと主張するが、この主張は、明らかに失当であり、そうした雑誌に1回掲載された程度では、周知・著名性の証左にならないことは、明らかである。
(11)請求人は、混同の有無について、本件商標「NEAL’S YARD PASTRY」の要部は、NEAL’S YARDであって、請求人が使用してきた商標「NEAL’S YARD」又は「ニールズヤード」と同一であり、類似性は極めて高いと主張するが、この主張も失当である。
請求人が自認する甲第1号証ないし甲第90号証から明らかなように、請求人がエッセンシャルオイル等に使用している商標のほとんどは、「NEAL’SYARD REMEDIES」、「ニールズヤードレメディーズ」あるいは「ニールズヤードリメディーズ」(「ニールズヤードファーイースト」もある)であり、「NEAL’S YARD」又は「ニールズヤード」ではない。「NEAL’S YARD REMEDIES」、「ニールズヤードレメディーズ」は、一連一体で称呼、認識されるものであり、これを分断して「NEAL’S YARD」又は「ニールズヤード」のみ取り出して称呼、認識しなければならない特段の事情は存在せず、よって、両商標の類似度は低く、これだけでも混同のおそれは、存在しない。
(12)請求人は、化粧品・アロマテラピーに関する商品が、若い女性の需要者を含む一般消費者が直接購入する商品であるのに対し、菓子及びパンも若い女性を含む需要者を対象とするから、取引者・需要者を共通にすると主張するが、この主張が失当であることは、明白である。すなわち、いずれも若い女性購買者を共通にするとの主張であるが、化粧品、アロマテラピーはともかく、菓子及びパンと若い女性との相関関係はなく、これらの食品と化粧品、アロマテラピー関連商品とは需要者はもちろん、その流通・取引関係、商品の形態、目的、性状等を著しく異にするもので、この点からも混同のおそれはない。
(13)請求人は、甲第90号証を挙げて、2004年(平成16年)3月7日現在のインターネットのホームページ(ウェブサイト)で「ニールズヤード」で検索したリストを示し、多くの検索結果が存在することは、「ニールズヤード」が請求人の著名な商標であることを示すものにほかならないと主張しているが失当である。今日、インターネットには、無名であっても多くの会社、個人がホームページを自由に作成でき、また、雑誌等の記事もインターネット上に雑多に掲載され、検索エンジンは、リンク機能を持ち、ある名称の入力に対してホームページ、雑誌の掲載、広告、個人的なチャットの書き込み等、種々雑多なあらゆる検索リストを一括して出力するのが普通であるところ、その検索結果が多いから、その名称が周知・著名であるなどと結論付けられるはずがない。また、検索された内のかなりは、「ニールズヤードレメディーズ」であり、「ニールズヤード」の著名性を示す証拠にはなじまない。
(14)商標法第4条第1項第15号の適用については、同第4条第3項で規定するように、同第15号に該当する商標であっても、出願時に同号に該当しないものについては、同15号の規定は適用しないとされている。甲第91号証は、2004年3月7日の検索リストであり、本件商標の出願日(平成12年8月25日)よりはるかに後の検索リストであって、本件商標がその出願時に同15号に該当する商標であったか否かを立証する証拠にはならない。このことは、甲第59号証ないし甲第90号証についても同様にいえることであって、甲第59号証、甲第60号証(発行日が2001年;平成13年)、甲第61号証、甲第62号証(同2002年;平成14年)、甲第63号証ないし甲第77号証(同2003年;平成15年)、甲第77号証ないし甲第90号証(2004年;平成16年)は、すべて本件商標の出願日(2000年;平成12年8月25日)以後の雑誌等であって、本件商標が同15号に該当する商標であったか否かを立証する証拠にはならない。
(15)甲第59号証ないし甲第91号証が、本件商標が現在において同15号に該当することを立証する趣旨で提出されたものとしても、前述のとおり、雑誌への単なる複数の掲載や、一般に普通の現象であるインターネットの検索結果をもって、本件商標が現在において、同15号に該当する商標とはいえない。すなわち、本件商標は、その出願時においても、現在においても、同15号に該当する商標ではないのであって、同15号が適用される余地は、まったく存在しないといわなければならない。
(16)このような判断は、本件商標について被請求人が提起した拒絶査定不服審判(不服2002-1476)及び別件「NEAL’S YARD/ニーズルヤード」の拒絶査定不服審判(不服2001-4777)の審決でも同様に認定されており、妥当な判断である。
2 被請求人の答弁の補足
(1)本件審判の代理人は、平成13年(2001年)8月14日から18日にかけて、イギリス国 ロンドンダブリュシー 2 エッチ 9デーピー コベント ガーデン ニールズヤードの地をはじめとする現地調査をし、その地の様子、そして「NEAL’S YARD REMEDIES」(片仮名表記すれば「ニールズヤードレメディーズ」)なる店舗の存在の確認、規模、店舗の取扱商品、来客の程度等を確認し、写真に納めたので、これを示す(乙第24号証)。
また、ニールズヤードの上記「NEAL’S YARD REMEDIES」の店舗に赴き、カタログ、パンフレット、製品、領収書等を入手したので、その写真を示す(乙第25号証)。
上記調査においては、請求人の「エッセンシャルオイル」等に使用されている商標は、「NEAL’S YARD REMEDIES」(片仮名表記すれば「ニールズヤードレメディーズ」)であった。
また、調査したが、インターネットホームページ及び我が国における請求人直営の店舗においても、使用されているのは、「NEAL’S YARD REMEDIES」「ニールズヤードレメディーズ」であった(乙第26号証及び乙第27号証)。
以上のとおり、請求人の業務に係る商標は、英国ではあくまでも「NEAL’SYARD REMEDIES」であり、日本では時としてニールズヤードの略称が使用されることがあり得るとしても、上述の商標としての使用形態からして、基本的に請求人の商標は、「NEAL’S YARD REMEDIES」「ニールズヤードレメディーズ」及び図形を含む円形のマークということができる。
3 著名性に対する反論
本件の請求人の業務に使用されている商標「ニールズヤードレメディーズ」は、本件商標の出願時において著名ではない。また、百歩譲って「ニールズヤード」が他人の業務に使用される商標と判断し得る場合が仮にあるとしても、「ニールズヤード」が著名とはいえない。
(1)請求人が実際に使用している商標並びに商品又は役務は、前述のように「ニールズヤードレメディーズ」であり、カタログ等の文章中で「ニールズヤード」と略称されることがあり得るとしても、実際の商標的使用形態としては「ニールズヤードレメデイーズ」であることは、上述のとおりである。「ニールズヤードレメデイーズ」の使用開始時期は、1991年当時と推測される。1981年にオープンしたのはパイオニア(試験)ショップで、その地は「ニールズヤード2」であり、そのときは「Neal’s Yard Apothecary」(ニールズヤードアポセカリ)と呼ばれたとされ、1990年に最初の製品としてのエッセンシャルオイルが英国で認可されたとある。そして1991年に1981年当初より広いスペースである現在の地に移ったとされる(現在の地でさえ10坪程度であるから、最初のショップはいかに狭かったということである。)。
「ニールズヤードレメディーズ」の名称がいつ商標として使用開始されたかは断定できないが、remedies(レメディーズ)が英語で治療薬あるいは治療法を意味することからすれば、エッセンシャルオイルが英国で認可を受けてから「ニールズヤードレメディーズ」の商標で販売が開始されたと見るのが自然である。そうとすれば、「ニールズヤードレメディーズ」の使用開始時期は、1991年頃と推定できる。
「ニールズヤードレメディーズ」の使用期間は、上記の前提からすれば、英国において、その使用開始から本件商標の出願日までの10年程度と考えられる。日本での使用期間は、海外ではじめての店(これは事務所の意味と思われる)が東京にオープンしたのが1996年との記載からすると(表参道店のオープンは、1998年7月とされている。)、本件商標の出願日までの使用期間は、2から4年と推測される。
(2)「ニールズヤードレメデイーズ」の使用地域
日本では、1998年7月に東京の表参道、そのしばらく後に横浜、また、1999年3月に福岡に「ニールズヤードレメディーズ」店が出店がしているようである。その店舗近郊を考慮すれば、店舗を基準としたごく最近の使用地域は、東京・横浜・福岡となる。
(3)「ニールズヤードレメディーズ」の生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、売上高等)
まず、店舗数については、「ニールズヤードレメディーズ」の店舗数は、ロンドンで4店舗、その他のイギリスで11店舗とされる。日本では東京(1998年)、それ以降の横浜、福岡、海外は、日本以外では、ごく最近(1998以降)のブラジル・サンパウロ、アメリカ・グリニッジの2店舗である。イギリスでのエッセンシャルオイル、化粧品等の正確な生産量は定かではないが、店舗数も限られ、店舗面積もごく狭く、またロンドン・コベントガーデンの本店での来客数から想定すると、自然療法・アロマテラピー並びに自然療法にまつわる化粧品等という、比較的特殊な商品であることも関係して、販売数量及び販売額ともに多くはないと予想される。日本の販売量や売上高については、実際に販売をはじめたのが表参道店で1998年7月から、その後、横浜店、1999年に福岡店を出しているとはいえ、店舗数は3店舗程度で、しかも、店舗面積はごく小規模であり、自然療法に興味のある一部の特定の客層が対象となることを考慮すれば、小規模な薬局の販売量、販売額とそう変わるものではない。したがって、日本でのニールズヤードレメディーズ店の販売量等は、小規模な薬局の販売量の3店舗分と同程度と見ることができよう。ブラジル、アメリカでの各1店舗の販売量も同様に少ないものと推定できる。
(4)「ニールズヤードレメディーズ」の広告宣伝の方法、回数及び内容 「ニールズヤードレメディーズ」の広告宣伝の方法、回数及び内容については、店舗で客に配布するカタログ・パンフレット、商品及び包装箱、商品を入れて客に提供する包装袋、店舗の看板、領収書等を広告媒体として、これらに「ニールズヤードレメディーズ」商標を付す方法及び内容が主であり、回数は客の来店により左右される。また、インターネット上でホームページを開設して、客からのアクセスを待つ方法があり、これには取扱製品の内容や価格、店舗の情報等を載せている。またインターネット上で通信販売サイトを開設したことが最近あったようであるが現在はない。
「ニールズヤードレメデイーズ」社が行ってきたといえる広告宣伝は、客へのパンレット等の配布、店舗の看板、インターネットを利用したホームページの開設といった通常考えられるものの内、ごく最小限の宣伝広告にすぎず、この程度のことであればおよそ会社と名のつくところであればごく当たり前に行っていることであって、「ニールズヤードレメディーズ」社の著名性を肯定し得るような広告宣伝とは、いい難いものである。
(5)周知・著名商標リスト等への掲載の有無
商標「ニールズヤードレメディーズ」(ニールズヤード単独も含めて)は、下記の周知・著名商標リストには、一切掲載されていない。
(6)防護標章登録の有無
商標「ニールズヤードレメディーズ」(ニールズヤード単独も含めて)について、何らかの形で防護標章登録がなされている事実も一切ない。
(7) エッセンシャルオイル等における寡占性の有無
エッセンシャルオイル(ハーブ加工品)等を製造又は販売している会社やショップは、海外及び日本で相当数存在し、主なものだけでも、アロマベラ、カリス、カルペパー、サノフロール、サンフオーム、シャーリー・プライス、ジャン・ノエル・ランデル、スワンフリート、生活の木、天の香り、パームツリー、ピュアナチュラル、プロナロム、マギー・ティスランド、ロバート・ティスランドなど多数ある。また、日本の店舗としても、カリス成城、カルペパーハウス、グリーンフラスコ、生活の木、天の香り、パームツリー等、いくつもあって、群雄割拠しており、ニールズヤードレメディーズはそういった多くの販売会社の一つにすぎず、寡占性は認められず、この点からも著名性は否定される。
(8)新聞・雑誌記事等への掲載及びインターネット上での検索と、著名性の認定の可否
第1に、請求人は「ニールズヤードレメディーズ」の著名性の一証拠として、2000年「現代用語の基礎知識」(甲第92号証、乙第6号証)の記載(「ニールズヤード」の説明として「エッセンシャルオイルやエッセンシャルオイルを使ったヘアコンディショナーや化粧品を扱う店。1981年、ロンドンのコベントガーデンにロミ-・フレイザーという女性が第1号店を開店。日本は青山などに店がある。」)がある旨指摘する。しかし、これは「特集 日本の課題 どうするどうなる21世紀」と題した中の「新設分野特集」の項目における「ライフデザイン」著者西村玲子氏の執筆記事中に、上記著者による「ヒーリング&エコロジーアイテム」の一紹介として、たまたまエッセンシャルオイルのことが書かれたものにすぎない。
事実、2000年以外では、乙第1号証から乙第7号証に示すように1995年から2001年の「現代用語の基礎知識」には、それに関係するような記載は、一切ないし、乙第8号証から乙第14号証に示すように、1995年から2001年の「知恵蔵(朝日新聞社)にも記載はなく、かつ、乙第15号証から乙第21号証に示すように、1995年から2001年「イミダス(集英社)」にも記載はない。また、例えば、乙第23号証は、日本の大手旅行社(JTB)の発行によるロンドンの観光案内本であるが、この中で、「買う」の項目の各種ショッピングリスト中に、「ニールズヤードレメディーズ」の記載はない。よって、上記のような一過性の特殊な記事をもって著名性を論じること自体失当である。
第2に、本件商標とは別件の登録商標(登録第4621807号;「NEAL’S YARD/ニールズヤード」)に係る拒絶査定において引用された上記拒絶理由では、著名性の証拠の一つとして1997年3月1日付け日経流通新聞11頁、及び、1994年1月11日付け日経流通新聞19頁に掲載された記事に、エッセンシャオイルやアロマテラピーに関連した商品を「ニールズヤードジャパン」が輸入しているとの記載があることを挙げている。しかし、現在、ニールズヤードジャパン社が存在しないことは確認済みであるし、また1994年を起算点としても、6年間にわずか2回だけ「日経流通新聞」の記事となった程度で、著名であるとは到底いえるものではない。しかも、日経流通新聞に限らず一般の新聞もそうであるように、第三者から新聞社に記事の提供をすれば、それを記事として新聞に掲載してもらえることは、一般によく行われていることであって、仮に、それで著名性があるとすれば、世の中の多くの商品名は、著名なものとなってしまう。著名性に関しては、新聞広告としてどれだけ多数回継続的に出されていたかの方が重要である。
第3に、本件商標に係る拒絶査定が引用する拒絶理由では、インターネットのホームページアドレスに、「ニールズヤードレメデイーズ」のホームページが掲載されていることを、著名性の証拠の一つに挙げているが、これは前述のように小規模な表参道ショップを紹介するだけのごく普通に用いられるホームページにすぎず、「ニールズヤードレメディーズ」等の名称がインターネットホームページにたまたま掲載されているからといって、それが著名であるとは、到底いえない。今日、多くの会社はインターネットホームページを持ち、むしろ、ホームページを持たない会社のほうがまれである。よって、インターネットノホームページに特定の商品の名称あるいは会社名が記載されていることをもって、その名称等が著名であるとは到底いえるものではなく、もし、そのような基準で見たならば、ほとんどの会社の名称・商標等が著名なものとなってしまう。
(9)本件商標とは別の登録商標(登録第4621807号)に係る拒絶査定の理由中に引用された新聞について
本件商標に係る拒絶査定においては、毎日新聞東京夕刊(1999年)、毎日新聞地方版/大阪(1998年)、毎日新聞大阪夕刊(1996年)、読売新聞東京朝刊(1998年)の記事が示されている。しかし、これらは順に要約すれば、夏の疲れを解消してスポーツの秋の準備をという内容に関連する携帯用アロマセラピーの話、アロマセラピーを推奨する薬局の薬剤師がエッセンシャルオイルの選び方の相談やアロマセラピー講習会を行うという話、航空会社がアッパークラス利用客向けの特別サービス(化粧品等の提供)をはじめる話、アロマセラピーによる皮膚炎等の被害が出ている対策として医療従事者やアロマセラピニストらが「日本アロマセラピスト連盟」を発足させ、適正なアロマセラピーのガイドラインをつくろうという話を記事にしたものであって、その中で「ニールズヤードレメディーズ」等の名前がわずかに出てくるにすぎず、かかる断片的なわずかの表示で著名性が生じるはずもない。そもそも、このような記事は、比較的物珍しい特殊な内容を取り上げて記事にしたもので、一般に広告でなく記事としての新聞掲載は、その名前等が無名であっても、第三者から新間社に記事の提供を申し出ることにより、それが新聞社の指向に合う内容であれば記事として新聞に掲載してもらえることは、一般によく行われていることである。仮に、それによって著名性が発生するというのであれば、珍しい内容として新聞記事に載せてもらった名前等は、みな著名なものとなってしまい、著名性の根拠には、ならないというべきである。
さらに、上記拒絶査定では、インターネットのホームページアドレスに「ニールズヤード」等が掲載されたサイトが相当あるとし、これも著名性の証拠としているが、妥当性を欠く。その中で冒頭のインターネットのショップサイトは閉鎖され、また6番目のものもアクセスエラーになっている。それはともかく、これらのインターネットのサイトにおいて、「ニールズヤードレメディーズ」(ニールズヤード単独も含めて)が検索されることがあったとしても、それは内容のごく一部で名前が引用されている場合や、特定の分野の投稿掲示板に少し名前が出てきて、それが検索で引っ掛かってくる場合がほとんどで、このようなインターネットの検索例をもって、著名性の証拠とすること自体見当はずれというほかはない。今日のインターネットが発達した社会では、無名に近い名前(名称)でも、いったんインターネット上のサイトに載れば、それが複数のサイトにまたがって引用されたり投稿されたりする例は、枚挙にいとまがなく、検索エンジンを使えば、検索で引っ掛かった名前等を含むサイトがリストアップされることは、ごく日常的なことである。これをもって、著名性の根拠にすることなどできようはずもなく、また、インターネット上に特定のサイトを作ってネット販売や広告、情報交換の場に使用することは、今日営業活動を行っている会社(個人事業も含め)が当たり前に行っていることである。
(10)著名性否定のまとめ
以上のとおり、周知度(著名性)の判断に当たり、検討した結果から明らかなように、実際に使用されている商標「ニールズヤードレメディーズ」が、エッセンシャルオイルや化粧品に使用されている事実があったとしても、使用開始時期、使用期間の短さ、限定される使用地域、営業規模の小ささ(店舗数、売上高等)、継続的かつ相当規模の広告宣伝の欠如等により、「ニールズヤードレメディーズ」(ニールズヤードを含めたとしても)は、著名であるとはいえない。
4 「ニールズヤードレメディーズ」と本件商標との類似性の有無
請求人の使用商標「ニールズヤードレメディーズ」と本件商標「NEAL’S YARD PASTRY」とは、互いに類似する商標ではない。 「ニールズヤードレメディーズ」は、まとまりよく表されているものであるから、これは、一連一体でよどみなく「ニールズヤードレメディーズ」と称呼され、これを「ニールズヤード」と「レメディーズ」とに分離しなければならない特段の事情は存在しない。しかも「ニールズヤードレメデイーズ」は、「ニールズヤード」の部分に特に顕著な要部があるわけではなく、また、ロンドンの特定の狭小地区が「ニールズヤード」と称されている事情からも、「療法・治療薬」といった意味の「レメディーズ」が「ニールズヤード」に一体不可分に合体した「ニールズヤードレメディーズ」として、一体に把握され、一連に称呼される商標である。この「ニールズヤードレメディーズ」に対し、本件商標「NEAL’S YARD PASTRY」は 「ニールズヤードペーストリー」と称呼され、「PASTRY」と「レメディーズ」とで称呼も、また印象も大きく異なるから、需要者をして、十分に聴別できる商標である。また、これらの商標は、外観上明らかに異なり、また、「PASTRY」と「レメディーズ」とで、観念上異なることも明らかである。
よって、請求人の使用商標「ニールズヤードレメディーズ」と、本件商標「NEAL’S YARD PASTRY」とは、称呼・外観・観念のいずれの点からも、互いに非類似の商標である。
5 商標法第4条第1項第15号の判断基準の周知度(著名性)以外の内容の検討
(1)「ニールズヤードレメディーズ」は、ロンドンの特定の狭小地区を意味する「ニールズヤード」と、「療法・治療薬」といった意味の「レメディーズ」とが一体不可分に合体してなるもので、創造商標とはいえず、それ自体特に強い顕著性を持つものではない。
(2)「ニールズヤードレメディーズ」の企業としての多角経営の可能性について検討するに、「ニールズヤードレメディーズ」がイギリスでも日本でも、限られた数のごく小さい店舗で、主としてマニア向けにエッセンシャルオイルや化粧品の販売、並びに、アロマテラピーの講習を小規模に行い、それに特化している現実からして、「ニールズヤードレメディーズ」が様々な商品、役務に汎用的に業務を多角化する可能性は認められない。また、そういった可能性を想起させるような広告宣伝の事実もないことからすれば、需要者がその多角化の可能性を想定することは、困難であって、需要者は逆に現在のエッセンシャルオイルや化粧品等についての特有の商標ないし会社である印象を強くもつこととなる。
(3)商標「ニールズヤードレメディーズ」が使用されるエッセンシャルオイル等と、本件商標「NEAL’S YARD PASTRY」の指定商品である菓子等との関連性を検討するに、菓子等とエッセンシャルオイル等では、まず品質、製法、用途が異なり、さらに、販売系統、流通市場も全く異なる。つまり、エッセンシャルオイル等と菓子等が同じ問屋系列で流通することはないし、また、小売りの段階で同一店舗や売り場で販売されることもないのであり、さらに、目的においても前者が自然療法のためのアロマセラピーに用いられるものであるのに対し、後者は、食するためのもので、両商品は、関連性を全く持たない。仮に、エッセンシャルオイルを用いたアロマセラピーの講習の役務と、菓子等の商品とを比較すれば、関連性は、一層ないといえる。さらに、エッセンシャルオイル等と菓子等では、商品の取引者に共通性はないし、需要者の共通性も特段認められない。
すなわち、本件商標の指定商品菓子等と、請求人の業務に係るエッセンシャル等との間に、商品の出所の混同を生じるような関連性・共通性はない。
(4)出所の混同のおそれに関する総合判断
平成12年7月11日最高裁平成10年(行ヒ)第85号判決(判例時報1721号第141頁)によれば、「混同を生じるおそれ」の有無は、(1)当該商標と他人の表示との類似性の程度、(2)他人の表示の周知著名性及び独創性の程度、(3)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度、並びに(4)商品等の取引者及び需要者の共通性、(5)その他の実情に照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきあるとしている。
このような基準に即していえば、上述のように、(1)について、本件登録商標「NEAL’S YARD PASTRY」と請求人の表示「ニールズヤードレメデイーズ」との類似性は低く、(2)について、請求人の表示「ニールズヤードレメディーズ」に周知著名性は認められず、かつ、独創性も低く、(3)について、当該商標の指定商品「菓子・パン」と請求人の業務に係る商品「エッセンシャルオイル、化粧品」(アロマセラピーの役務を含めて)との間の性質、用途又は目的における関連性はなく、(4)について、「菓子・パン」及び「エッセンシャルオイル、化粧品」の取引者及び需要者に特段の共通性は認められない。すなわち、「混同のおそれ」が生ずるような条件がことごとく否定される実情のもとで、当該商標の指定商品「菓子・パン」の需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、当該需要者がその菓子・パンについて「ニールズヤードレメディーズ」との狭義又は広義の出所の混同を生じるおそれはないものといわなければならない。
6 我が国商標法は、基本的に商標権の効力範囲を、商品又は役務の同一・類似範囲を単位として判断し、その商品又は役務の同一・類似範囲に抵触する先行登録商標が存在しなければ、出願商標を登録し保護することによって、その商品・役務の同一・類似範囲を1つのエリアとして商標の選択権を認め、その商標に化体された業務上の信用を保護しようとするものである。
この例外として、ある商標(標章)が長年の販売実績、シェア、継続的な宣伝広告活動等々により、ある商品又は役務において、極めて大きな信用を獲得し、需要者の間に強く認識されるようになった結果、その商標が商品又は役務の類似範囲を超えて需要者に意識されるような著名性を獲得するに至った場合は、本来商品又は役務の類似範囲内を1つの保護領域とするのを例外的に拡張し、非類似の商品又は役務にまでその著名商標の影響が及ぶものとして、これと出所の混同を生じるような他者の登録を当該他者の商標選択の自由を制約してまで排除するものである。
このように、第三者の商標選択の自由を奪ってまで、特定の商標(標章)により商品等の類似範囲を超えて他の商標の登録を排除することが許されるのは、当該商標又は標章がいわゆる当業者の間に広く知られているといった周知性では足りず、当該類似範囲を超えて登録排除効が生じるような業務範囲の広さ、販売実績、更には、その販売量、当該商品の市場占有率、宣伝広告の回数やその期間等々による著名性を獲得するために積み上げてきた企業活動が必要で、これは通常の会社の活動レベルではなく、それを凌駕する圧倒的な企業活動が質及び量ともに必要である。
しかるに、本件の「ニールズヤードレメディーズ」が、継続的に繰り返し官伝広告活動を通常のレベルをはるかに超えて行ってきたとは到底認められないし、また、何店舗かの販売店を持つことも、ホームページに会社案内を掲載することも、ごく普通の会社が極めて一般的に行うところであって、他人の商標選択の自由を犠牲にしてまで守るべき著名性、すなわち、周知性を超える信用が化体しているといえないことはもちろんである。
7 その他の実情の考慮
(1)本件商標の所有会社は、菓子・パン等、主にケーキ(創作的なものを含み)の製造・販売の洋菓子店(ケーキ店)を「ニールズヤード」の名称で名古屋駅直近の百貨店等を拠点として開設し、営業を行っている。そして、かかるケーキ店は、乙第28号証に示すように連日多数の客の来店で盛況を呈していて、創作的なものを含むケーキの販売店として、すでに、ニールズヤードに相当の信用が化体しており、少なくとも名古屋及びその近郊(岐阜・三重等)において、洋菓子(ケーキ)の分野でニールズヤードとして周知性を獲得している事実がある。よって、洋菓子の需要者は、ニールズヤードといえば、その創作的なケーキ等を想起し、「ニールズヤードレメディーズ」のエッセンシャルオイル等との混同のおそれは皆無といってよいのが実情である。
(2)実際の確認調査による混同のおそれの否定
本件商標の出願人は、その審査での拒絶理由を受領した時に、その拒絶理由が不当であることを確認するために、上記ケーキ店に来店する客に対し「ニールズヤード」という名称で、ケーキ以外で他に連想するものがあるかを質問する調査を無差別に多数の来店客に対して行ったところ、ほぼ全員の客がこのケーキ以外で思い当たるものはないと回答した。わずかに1人は、たまたまアロマセラピーの愛好者で「ニールズヤードレメディーズ」のエッセンシャルオイルを知っていると答えたが、このケーキの販売系列と何らかの関係があるといった認識は、もっていなかった。このように、実際の需要者をして混同ないし混同のおそれは生じていないのであり、この事実もこれまでに述べた内容が正当であることを裏付けるものである。
8 商標法第4条第1項第16号について
請求人は、本願登録商標は「練り粉(paste)で作ったパイの類の菓子」を意味する「PASTRY」の文字を「NEAL’S YARD PASTRY」と普通に用いられる方法で書したものであり、「練り粉(paste)で作ったパイの類の菓子」以外に用いられる場合は商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第16号に該当すると主張する。しかしながら、「PASTRY」なる文字列は、わが国おいて上記のような「練り粉(paste)で作ったパイの類の菓子」を意味するものとして需要者の間に一般普通名称として認識されているわけではなく、むしろ需要者からすれば-種の造語として認識される文字列である。事実、我が国における代表的な国語辞典である「広辞苑第5版(岩波書店発行)」にも、「ペーストリー」「ペストリー」「ペイストリー」といった言葉は掲載されていない。また、「PASTRY」なる文言が、我が国で仮に菓子等を指称する言葉として認識される場合があり得るとしても、それは広く「菓子及びパン」(広義の菓子類など)を意味するものとして認識されるのが普通であって、一般的に需要者が「練り粉(paste)で作ったパイの類の菓子」を認識するわけではない。
よって、本件商標が商品の品質の誤認を生じるおそれのある商標法第4条第1項第16号に該当する商標であるとの請求人の主張は、失当である。
9 結び
以上のとおり、本件商標「NEAL’S YARD PASTRY」と請求人の表示「ニールズヤードレメディーズ」とが非類似で、しかもその請求人の表示「ニールズヤードレメディーズ」に周知著名性が認められないにもかかわらず、また、本件商標の指定商品「菓子・パン等」と請求人の業務に係る商品「エッセンシャルオイル等」との間の性質、用途又は目的における関連性がなく、さらに、「菓子・パン」及び「エッセンシャルオイル等」の取引者及び需要者に特段の共通性が認められないにもかかわらず、単に「ニールズヤードレメディーズ」等の名称が新聞や雑誌の小記事に掲載されたこと、及び、現在、ほとんどすべての会社が営業に利用しているインターネットの幾つかのサイトで「ニールズヤードレメディーズ」等の名称が検索されたことをもって、本件商標「NEAL’S YARD PASTRY」が請求人の業務に係る商品(エッセンシャルオイル等)と混同を生じるおそれがあるとし、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するから無効とすべきであるとの請求人の主張は、商標法第4条第1項第15号の解釈を著しく誤ったものといわなければならない。
また、本件商標に関して商品の品質の誤認を生じるおそれはなく、商標法第4項第1項第16号に該当するものでもない。

第4 当審の判断
1 本件商標
本件商標は、上記のとおり「NEAL’S YARD PASTRY」の文字を横書きしてなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品とするものであるところ、「NEAL’S YARD」は、本来、英国ロンドンのコベントガーデン(盛り場であり、様々な商店が並び劇場などもある。)にある一地区の地名と認められ、また、「PASTRY」は、請求人の主張するとおり「練り粉(paste)で作ったパイの類の菓子」を意味する英語である。
2 請求人及び請求人らの使用商標
(1)請求人は、「イギリス ロンドン ダブリュシー2 エッチ9デーピー コベント ガーデン ニールズヤード 15」に所在するイギリス国籍の法人であり、1981年頃に営業を開始し、当初は、「ニールズヤード2」であって、その名称は、「Neal’s Yard Apothecary」(ニールズヤードアポセカリ)と呼ばれていた。その後、1990年に最初の製品としてのエッセンシャルオイルが英国で認可され、1991年に現在の地に移り、エッセンシャルオイルの販売を開始した。
このことは、甲第57号証の3に「ニールズヤード・レメディーズ社は、1981年の創業。オーナーはロミー・フレイザーさん・・・・友人を誘ってコベントガーデンの一角、ニールズヤード地区に1号店をオープンさせました。」との記載があることからも明らかである。
そして、1995年当時、後掲(1)に示すとおり、円形のラベルに「NEAL’S YARD REMEDIES」(上部に「NEAL’S YARD」、下部に「REMEDIES」の各文字を内円に沿うように左書きで配してなり、また、円内には、中央横書きに、その所在地である「NEAL’S YARD」「COVENT GARDEN」「LONDON WC2」の各文字を三段に配してなる。)の図形を用い、エッセンシャルオイルやエッセンシャルオイルを使った化粧品などに該ラベル(以下「請求人ラベル1」という。)を使用し、我が国においては、その頃より、総販売元「ニールズヤードファーイスト社」(以下、請求人を含めて「請求人ら」という。)を通じて、当該商品の販売を開始した(乙第1号証及び乙第2号証)。
また、請求人ラベルについては、2001年に後掲(2)に示す構成に変更(以下「請求人ラベル2」という。)して使用していることを甲各号証よりうかがい知ることができる。
(2)請求人らがエッセンシャルオイルやエッセンシャルオイルを使った化粧品などについて使用する商標は、後述4に示すとおり、「NEAL’S YARD REMEDIES」「ニールズヤードレメディーズ」、「NEAL’S YARD FAREAST」「ニールズヤードファーイースト」、請求人ラベル1及び請求人ラベル2であると認められる。
3 請求人商標の著名性
(1)請求人は、本件商標の出願前において、請求人らの使用商標が我が国において周知・著名であったことを立証するものとして、以下の証拠を提出した。
甲第3号証は、株式会社西武百貨店渋谷店平成2年冬発行の「ロフト モノ・プレス 1990年冬号」であり、その9頁及び10頁の中央見開き部分にニールズヤードの商品・商品名・会社名が掲載されている。
甲第4号証は、フレグランスジャーナル社の1995年9月25日発行の「ニールズヤードの自然療法」とするタイトルの書籍であり、その表紙及び背表紙には、商品名・会社名が掲載されている
甲第5号証は、株式会社ワールドフォトプレス発行の「月刊ビジオ・モノ 1995年4月号」(1995年4月16日発行)であり、その74頁には、請求人の商品「化粧品」と、その単価とともに「ニールズヤードファーイスト」の文字が使用されている。
甲第6号証は、レグランス ジャーナル社発行の「季刊aromatopia第11号」(1995年5月20日発行)であり、その中では、請求人の商品「エッセンシャルオイル」とともに「ニールズヤード基本理念」の文字、「ニールズヤード」の成り立ち及び請求人ラベル等が広告記事として掲載されている。
甲第7号証は、株式会社アクシスの「アクシス・ダイレクトオーダー・サービス 1995年夏号」であるが、その7頁には、請求人の商品「化粧品」と、その単価とともに「ニールズヤード社の製品です。」の文字が使用されている。
甲第8号証は、株式会社マガジンハウス発行の「クリーク 1995年7月20日号」であるが、その55頁に請求人の商品「茶」と、その単価とともに「ニールズヤードファーイスト」の文字及び請求人ラベルが掲載されている。
以下、甲第9号証 フレグランス ジャーナル社発行の「季刊aromatopia第12号」(1995年8月20日発行)、甲第10号証 株式会社ワールドフォトプレス発行の「月刊ビジオ・モノ 1995年8月号」(1995年8月16日発行)、甲第11号証 株式会社文藝春秋発行の「クレア」(1995年9月1日発行)、甲第13号証 株式会社日本出版社発行の「ヘルシー&リラックス きれいになる宿 関東甲信越編」(1995年10月11日発行)、甲第14号証 株式会社サントリーショッピングクラブ発行の「サントリーコレクション1995年冬号(65号)」(1995年10月17日発行)、甲第15号証 日之出出版株式会社発行の「グラン・マガザン11月号」(1995年11月6日発行)、甲第16号証 同朋舎出版発行の「花時間1995年11月7日号」(1995年11月7日発行)、甲第17号証 株式会社マガジンハウス発行の「アンアン 1995年11月10日号」(1995年11月10日発行)、甲第18号証 角川書店発行の「シュシュ 1995年11月15日号」(1995年11月15日発行)、甲第20号証 文化出版局発行の「ミセス 1995年12月号」(1995年12月7日発行)、甲第21号証 株式会社ワールドフォトプレス発行の「月刊ビジオ・モノ 1995年12月号」(1995年12月16日発行)、甲第22号証 株式会社集英社発行の「シュプール 1月号」(1996年1月1日発行)、甲第23号証 フレグランス ジャーナル社発行の「季刊aromatopia第14号」(1996年1月25日発行)、甲第24号証 文化出版局発行の「ミセス」(1996年3月7日発行)、甲第25号証 大森武志が発行人の「フィガロジャポン3月20日号」(1996年3月20日発行)、甲第26号証 フレグランス ジャーナル社発行の「季刊aromatopia第15号」(1996年3月25日発行)、甲第27号証 株式会社マガジンハウス発行の「アンアン 1996年3月29日」(1996年3月29日発行)、甲第28号証 株式会社マガジンハウス発行の「Hanako1996年4月4日号」(1996年4月4日発行)、甲第29号証 株式会社マガジンハウス発行の「ターザン 1996年4月10日号」(1996年4月10日発行)、甲第30号証 株式会社マガジンハウス発行の「アンアン 1996年4月12日号」(1996年4月12日発行)、甲第31号証 株式会社マガジンハウス発行の「Hanako1996年4月18日号」(1996年4月18日発行)、甲第32号証 株式会社扶桑社発行の「キャズ 1996年4月28日号」(1996年4月28日発行)、甲第33号証 株式会社講談社発行の「フラウ 4月23日号」(1996年4月23日)、甲第34号証 株式会社マガジンハウス発行の「ターザン 1996年4月24日号」(1996年4月24日発行)、甲第35号証 株式会社アシエット フイリパッキ ジャパン発行の「エル・ジャポン5月号」(1996年5月1日発行)、甲第36号証 世界文化社発行の「ビギン 5月号」(1996年5月1日発行)、甲第37号証 株式会社マガジンハウス発行の「クリーク1996年5月5日号」(1996年5月5日発行)、甲第38号証 株式会社学習研究社発行の「新・香水図鑑1996年度版」(1996年5月5日発行)、甲第39号証 株式会社婦人画報社発行の「ハウ トゥ メイクアップ 別冊ヴァンサンカン」(1996年5月10日発行)、甲第40号証 株式会社講談社発行の「ホットドッグ・プレス 1996年5月10日号」(1996年5月10日発行)、甲第41号証 株式会社主婦と生活社発行の「美しくなるアロマテラピー号」(1996年5月15日発行)、甲第42号証 株式会社集英社発行の「セブンティーン 1996年5月15日号」(1996年5月15日発行)、甲第43号証 株式会社ワールドフォトプレス発行の「月刊ビジオ・モノ 5月号」(1996年5月16日発行)、甲第44号証 株式会社婦人画報社発行の「ラ・ヴィ・ドゥ・トランタン」(1996年6月1日発行)、甲第45号証 株式会社講談社発行の「ウイズ 6月号」(1996年6月1日発行)、甲第46号証 日之出出版株式会社発行の「グラン・マガザン 6月号」(1996年6月6日発行)、甲第47号証 小学館発行の「オッジ 6月号」(1996年6月1日発行)、甲第48号証 株式会社集英社発行の「シュプール 6月号」(1996年6月1日発行)、甲第49号証 世界文化社発行の「ミス家庭画報 6月号」(1996年6月1日発行)、甲第50号証 光文社発行の「ゲイナー 6月号」(1996年6月1日発行)、甲第51号証 世界文化社発行の「家庭画報 6月号」(1996年6月1日発行)、甲第52号証 株式会社流行通信社発行の「流行通信 6月号」(1996年6月1日発行)、甲第53号証 株式会社アシェット フイリパッキ ジャパン発行の「エル・ジャポン 6月号」(1996年6月1日発行)、甲第54号証 学習研究社発行の「エルフィン 6月号」(1996年6月1日発行)、甲第55号証 文化出版局発行の「サマンサ 夏号」(1996年6月7日発行)、甲第56号証 世界文化社発行の「ミス 家庭画報 7月号」(1996年7月1日発行)、甲第57号証 集英社発行の「モア・ナチュラル 秋の号」(1996年10月10日発行)、甲第58号証 双葉社発行の「アロマセラピー エッセンシャルオイルブック」(1998年9月20日発行)。
また、2000年(平成12年)1月1日自由国民社発行の「現代用語の基礎知識2000」(甲第92号証)の171頁には、「ニールズヤード」の項目が設けられており、「Neal’s Yard エッセンシャルオイルやエッセンシャルオイルを使ったヘアコンディショナーや化粧品を扱う店。一九八一年、ロンドンのコベントガーデンにロミー・フレイザーという女性が第一号店を開店。日本は青山などに店がある。」との記述がある。
そして、以上の甲各号証には、請求人らの商品の広告記事であったり、請求人らの商品の紹介記事であったりするが、そこには、「NEAL’S YARD REMEDIES」、「ニールズヤードレメディーズ」、「NEAL’S YARD FAREAST」、「ニールズヤードファーイースト」及び請求人ラベル1が請求人らの商品を示すものとして、単独であるいは複合して使用されている事実が認められる。
(2)請求人は、請求人らの商標が現時点においても、我が国において周知・著名であり続けていることを立証するものとして、以下の証拠を提出した。
甲第59号証 株式会社ワールドフォトプレス発行の「ビジオ・モノ 8月号」(2001年8月16日発行)、甲第60号証 株式会社マガジンハウス発行の「Dr.クロワッサン」(2001年7月10日発行)、甲第61号証 株式会社マガジンハウス発行の「Hanako 6月号」(2002年6月1日発行)、甲第62号証 京阪神エルマガジン社発行の「SAVVY 6月号」(2002年6月1日発行)、甲第63号証 株式会社講談社発行の「フラウ 3月25日号」(2003年3月25日発行)、甲第64号証 株式会社BABジャパン発行の「セラピスト 2003年夏号」(2003年6月7日発行)、甲第65号証 株式会社アシエット婦人画報社発行の「マリ・クレール 8月号」(2003年8月1日発行)、甲第66号証 光文社発行の「女性自身 9月2日号」(2003年9月2日発行)、甲第67号証 株式会社角川書店発行の「横浜ウォーカー 9月16日号」(2003年9月16日発行)、甲第68号証 株式会社学習研究社発行の「FYTTE 2003年10月号」(2003年10月1日発行)、甲第69号証 講談社発行の「ウィズ10月号」(2003年10月1日発行)、甲第70号証 角川書店グループ株式会社SSコミュニケーションズ発行の「ルージュルージュ」(2003年10月1日発行)、甲第71号証 株式会社リクルートメディアコミュニケーションズ発行の「フロム・エー10月13日号」(2003年10月13日発行)、甲第72号証 株式会社主婦と生活社発行の「別冊週刊女性 10Days ポイントダイエット 完全版」(2003年11月1日発行)、甲第73号証 株式会社エスクァイア マガジン ジャパン発行の「ルカ」(2003年12月1日発行)、甲第74号証 世界文化社発行の「ビギン 12月号」(2003年12月1日発行)、甲第75号証 富士重工業株式会社発行の「With R2」(2003年12月8日発行)、甲第77号証 世界文化社発行の「ミス」(2004年1月1日発行)、甲第78号証 株式会社ベルシステム24発行の「アーブ」(2004年1月1日発行)、甲第79号証 阪急コミュニケーションズ発行の「レプリーク」(2004年1月1日発行)、甲第80号証 株式会社マガジンハウス発行の「Hanako 1月号」(2004年1月14日発行)、甲第81号証 阪急コミュニケーションズ発行の「ニューズウィーク」(2004年1月28日発行)、甲第82号証 株式会社ベネッセコーポレーション発行の「たまごクラブ特別編集 初めてのママ母乳育児安心BOOK」(2004年1月31日発行)、甲第83号証 世界文化社発行の「家庭画報」(2004年2月1日発行)、甲第84号証 日本放送出版協会発行の「おしゃれ工房2」(2004年2月1日発行)、甲第85号証 株式会社アシエット婦人画報社発行の「マリ・クレール 2月号」(2004年2月1日発行)、甲第86号証 講談社発行の「ウィズ」(2004年2月1日発行)、甲第87号証 株式会社主婦の友社発行の「コモ」(2004年2月1日発行)、甲第88号証 株式会社主婦の友社発行の「エフ」(2004年2月1日発行)、甲第89号証 日之出出版発行の「グラン・マガザン」(2004年2月6日発行)、甲第90号証 光文社発行の「ゲイナー2月号」(2004年2月1日発行)、
そして、以上の甲各号証には、請求人らの商品の広告記事であったり、請求人商品の紹介記事であったりするが、そこには、「NEAL’S YARD REMEDIES」「ニールズヤードレメディーズ」、「NEAL’S YARD FAREAST」「ニールズヤードファーイースト」及び請求人ラベル2が請求人らの商品を示すものとして、単独であるいは複合して使用されている事実が認められる。
(3)以上の事実を総合すれば、請求人らの商標は、本件商標の登録出願日前において、エッセンシャルオイルやエッセンシャルオイルを使った化粧品などについて、盛大に使用され、需要者間に広く知られていたこと、及び、その事実は、本件商標の登録査定時ないし現時点においても、継続していると認められる。
4 本件商標と請求人らの商標との比較
本件商標は、上記1のとおり、「NEAL’S YARD PASTRY」の欧文字よりなるものであるところ、これより生ずると見られる「ニールズヤードペーストリー」の称呼は、やや冗長にすぎるばかりでなく、構成中の「PASTRY」が請求人主張のとおり「練り粉(paste)で作ったパイの類の菓子」を意味する英語であって、その指定商品との関係において、商品の品質を表す識別力の弱いものであることから、構成中の「NEAL’S YARD」のみにおいて、独立して取引に資される場合があるものというを相当とし、これよりは、一連の「ニールズヤードペーストリー」の称呼のほか、単に「ニールズヤード」の称呼をも生ずるものと認められる。
他方、請求人らの使用に係る商標の内、「NEAL’S YARD REMEDIES」「ニールズヤードレメディーズ」は、これより生ずると見られる「ニールズヤードレメディーズ」の称呼がやや冗長にすぎるばかりでなく、構成中の「REMEDIES(レメディーズ)」が「治療する」を意味する英語であり、使用商品との関係において、商品の用途に通ずる自他商品識別力の弱い語であることから、一連の「ニールズヤードレメディーズ」の称呼のほか、単に「ニールズヤード」の称呼をも生ずるものと認められる。
また、同じく、「NEAL’S YARD FAREAST」「ニールズヤードファーイースト」についても、その構成中の「FAREAST(ファーイースト)」が「極東」を意味し、「極東及び日本総販売元」(甲第10号証の3)を意味するものであってみれば、前半の「NEAL’S YARD(ニールズヤード)」が特に目を引き、一連の「ニールズヤードファーイースト」の称呼のほか、単に「ニールズヤード」の称呼をも生ずるものと認められる。
してみれば、本件商標と上記使用に係る商標とは、「ニールズヤード」の称呼を同じくし、また、外観においても「NEAL’S YARD」の文字を含む商標であって、相当に類似するものと認められる。
また、本件商標と請求人ラベル1及び請求人ラベル2とを比較するに、請求人ラベル1及び請求人ラベル2は、ともに円輪郭内に「NEAL’S YARD REMEDIES」(上部に「NEAL’S YARD」、下部に「REMEDIES」の各文字を内円に沿うように左書きで配してなるものであり、その構成に照らして、顕著に表わされた「NEAL’S YARD」の文字部分が独立して取引に資されるものであって、これより、単に「ニールズヤード」の称呼をも生ずることは、明らかである。
してみれば、本件商標と請求人ラベル1及び請求人ラベル2とは、ともに「NEAL’S YARD」の文字を主要な構成部分とするところを同じくし、「ニールズヤード」の称呼を同じくする類似する商標である。
被請求人は、請求人の使用している商標のほとんどは、「NEAL’SYARD REMEDIES」、「ニールズヤードレメディーズ」あるいは「ニールズヤードリメディーズ」(「ニールズヤードファーイスト」もある)であり、「NEAL’S YARD」又は「ニールズヤード」ではない旨主張しているが、その使用態様は、「ニールズヤード製」「ニールズヤード社」「ニールズヤード」と商品名の結合であったりする場合もあるが、これらを含めて、「NEAL’S YARD」「ニールズヤード」のみにおいて使用されていることが認められる(甲第10号証、甲第14号証、甲第21号証、甲第22号証、甲第23号証、甲第25号証、甲第26号証、甲第27号証、甲第29号証、甲第30号証、甲第33号証、甲第34号証、甲第36号証、甲第37号証、甲第38号証、甲第41号証、甲第42号証、甲第43号証、甲第44号証、甲第46号証、甲第47号証、甲第49号証、甲第50号証、甲第51号証、甲第52号証、甲第57号証及び甲第70号証)。
また、請求人は、甲第92号証が「一過性の特殊な記事」と述べているが、その内容は、甲各号証と合致するものであり、「NEAL’S YARD」「ニールズヤード」のみでも、相当程度一般に広く知られていたものということができる。
してみれば、「NEAL’S YARD」及び「ニールズヤード」が単独で請求人らの商品を表すものとして機能しているといわざるを得ないから、この点から見ても、本件商標は、請求人らの使用商標と類似するものというべきである。
5 本件商標の指定商品と請求人らの使用商品
本件商標の指定商品は、第30類「菓子及びパン」であり、請求人らが使用する商品は、「エッセンシャルオイル」「主としてエッセンシャルオイルを使用する化粧品」等であるところ、「エッセンシャルオイル」は、「バニラエッセンス」等、「菓子及びパン」についての食品香料として、一般的に使用されるものであり、完成品と用途、原材料の関係にあるから、本件商標の指定商品と請求人らの使用商品、特に「エッセンシャルオイル」とは、密接な関連性を有する商品であるというべきである。
6 結び
以上のとおりであるから、本件商標は、請求人らの使用商標と上記4のとおり類似し、その指定商品も請求人らの使用商品と上記5のとおり密接な関連性を有し、請求人らの使用商標の著名性は、上記3のとおり、出願前及び査定時において認められ、その状態は、現時点においても継続しているものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)請求人ラベル1



(2)請求人ラベル2




審理終結日 2005-10-31 
結審通知日 2005-11-04 
審決日 2005-11-21 
出願番号 商願2001-12795(T2001-12795) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (Z30)
最終処分 成立 
特許庁審判長 大場 義則
特許庁審判官 柳原 雪身
鈴木 新五
登録日 2002-11-15 
登録番号 商標登録第4621807号(T4621807) 
商標の称呼 ニールズヤードペイストリー、ニールズヤード 
代理人 菅原 正倫 
代理人 日野 修男 
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