• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z09
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z09
管理番号 1129289 
審判番号 不服2001-20299 
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-11-13 
確定日 2006-01-04 
事件の表示 商願2000- 94230拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「ゴールドカートリッジ」の片仮名文字を標準文字で表してなり、第9類「測定機械器具,電池,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,救命用具,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,遊園地用機械器具,スロットマシン,電気アイロン,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機,ウエットスーツ,浮袋,水泳用浮き板,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として平成12年8月28日に登録出願されたものである。

第2 原査定における拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、商品の色彩や等級を表示するものとして普通に使用されている『ゴールド』の文字と、単一のリールに巻かれてケースに収納したものである形式を意味する『カートリッジ』の文字を一連に『ゴールドカートリッジ』と書してなるにすぎないから、これを本願指定商品中、上記意味合いの商品に使用しても、単に商品の品質、形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
はじめに、商標法第3条第1項第3号の立法趣旨をみるに、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしているものであって、該表示態様が商品の品質を表すものとして必ず使用されているのであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解するべきである。」(平成12年9月4日判決 東京高裁平成12年(行ケ)76号)最高裁ホームページ参照)としている。
これを本件についてみると、本願商標は、「ゴールドカートリッジ」の片仮名文字を標準文字で表してなるところ、「ゴールド」と「カートリッジ」の各文字を一連に表してなるものと容易に看取し得る上、両文字が結合して一般に親しまれた語義を有するとも認められない。
しかして、本願商標を構成する文字中「ゴールド」の語は、「金」を意味する平易な外来語であり、商品や賞などの等級(グレード、クラス)を表すために、例えば「プラチナ○○」、「ゴールド○○」、「シルバー○○」或いは単に「プラチナ」、「ゴールド」、「シルバー」として、しばしば使用されており、このとこは、以下の新聞記事からも窺える。
(ア)2004年11月16日付け朝日新聞東京地方版/山梨版に「来季の支援会員、VF甲府が募集 サッカーJ2」の見出しの下、「サッカーJ2のヴァンフォーレ(VF)甲府が、2005年度のクラブサポーターを募集している。大人(高校生以上)のプラチナ会員は年会費3万3千円で、特典としてオリジナルシャツがつく。ゴールド会員は年会費2万2千円。いずれもホームゲームのメインスタンドS席、バック・サイドA席の入場が無料となる。シルバー会員は、年会費1万5千円で、A席は無料、S席が千円となる。小中学生は年会費5千円でS、A席ともに無料となる。」との記載があること。
(イ)2000年11月6日付け毎日新聞愛知版「『タワーズのある風景』写真展、開催--11日までJR名古屋駅」の見出しの下、「一方、最高賞のプラチナ賞には安城市の小笠原文雄さんの『子供の日』と桑名市の佐藤千鶴子さんの『恋人たち』が選ばれ、そのほかゴールド賞、シルバー賞、特別賞など計83点が入賞した。」との記載があること。
(ウ)1993年10月18日付け読売新聞東京夕刊18頁に「サッカーW杯本大会の入場券1枚100万円!? 売り出し前から売り込み」の見出しの下、「大会本部によると、プレミアム入場券はプラチナ、ゴールド、シルバーの三種類があり、値段も最高一万ドルと高額という。」との記載があること。
つぎに、「カートリッジ」の語は、以下のとおり、用語事典、新聞紙上及びインターネット上で普通に使用されているものである。
1 用語事典において
(ア)「英和コンピュータ用語大辞典第2版」(発売元 株式会社紀伊国屋書店 1996年7月22日発行)の「cartridge」の項に、「磁気テープや磁気ディスク、光ディスク(optical disk)などの入出力媒体、集積回路(IC)、印字用のインクやリボンとそれらを収容する容器(container)とが一体となった機構や機器。収容した媒体を保護し、媒体を容器から取り外すことなく装置に装着できるようになっている。・・・」との記載があること。
(イ)「超図解パソコン用語事典2002年版」(発行所 株式会社エクスメディア 2001年9月28日発行)の「カートリッジ(cartridge)」の項に、「取り外し可能な部品のこと。プリンタのインクの交換に利用されるインクカートリッジや、ゲームソフトの書き込みに利用されるROMカートリッジなどの種類がある。」との記載があること。
(ウ)「最新パソコン用語事典」(発行所 株式会社技術評論社 平成16年11月1日第16版発行)の「カートリッジ型磁気ディスク」の項に、「磁気ディスク装置で、磁気ディスク部分を取り外せるタイプのものを指す。」との記載があること。
2 新聞紙上において
(ア)2000年10月5日付け読売新聞大阪朝刊11頁の「ソニーとパイオニアが次世代光ディスク開発 地上波デジタル放送向け」の見出しの下、「『DVR-blue』はDVDと同じ直径十二センチのディスクで、22・5ギガ・バイト(DVDは4・7ギガ・バイト)の記憶容量がある。MD(ミニディスク)のように保護カートリッジ入りで商品化し、当面はパソコンなどの記録媒体ではなく、AV(音響映像)用途に特化する方針だ。・・。」との記載があること。
(イ)1993年7月5付け日刊工業新聞8頁の「住友スリーエム、FD、VHSテープ生産から撤退。米親会社から全量輸入」の見出しの下、「今期はVHSテープの品種統合やコンピューター用データカートリッジの拡販などで二ケタ増収と損益均衡を目指す。」との記載があること。
(ウ)1992年7月23日付け日刊工業新聞21頁の「帝人、磁気メディア用のPENフィルムで欧米市場に参入」の見出しの下、「これらの特性を生かし、薄膜化、高密度化が要求される長時間録画用やS-VHSなどの高画質用のビデオテープのベースフィルム、コンピューターのデータカートリッジとしての普及が進んでいる。・・・」との記載があること。
(エ)1991年3月7付け日刊工業新聞10頁の「CLC、8ミリカートリッジテープ装置を発売。IBMのオフコンに対応」の見出しの下、「シー・エル・シー(省略)は、IBMのオフコン「AS/400」および「9370」に対応する八ミリカートリッジテープ装置「CLC9432」を発売した。」との記載があること。
3 インターネットウエブサイトにおいて
(ア)「MYCOM PCWEB」(http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/05/14/23.html)上に、「IBM 磁気テープ装置の50周年を記念して1TBのテープカートリッジを発表」の見出しの下、「IBM(米国)は、1テラバイト(TB)の記憶容量を実現した磁気テープカートリッジを発表した。これは、同社が1952年に発表した最初のドライブであるモデル『726』から50周年を迎えた記念すべき製品でもある。磁気テープ装置というと、主にサーバなどの大容量データのバックアップに用いられるものであり、1TBというとDVDビデオ16日分に相当するという。」との表示があること。
以上の事実を総合勘案すれば、「ゴールドカートリッジ」の語は、本願商標の指定商品中、例えば「録画済みビデオディスク及びビデオテープ、ビデオテープ、磁気テープ」との関係において、原審説示の如く、「保護容器に収納された取り外し可能な高品質(ゴールドクラス)のディスク及びテープ」程の意味合いを記述したものとして、取引者、需要者に認識されるものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その指定商品中、例えば「録画済みビデオディスク及びビデオテープ、ビデオテープ、磁気テープ」等の取り外し可能な商品について使用しても、単に商品の品質(等級)、形状を表したにすぎず自他商品識別機能を果たし得ないものであり、また、前記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質(等級)、形状について誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、既登録例を挙げて、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当しない旨主張している。
しかしながら、請求人が既登録例に挙げている商標は、本願商標とその構成文字を異にする商標であるばかりか、そもそも商標の登録要件は、指定商品に関する取引の実情に即して、個別、具体的に判断されるものであって、過去の登録例がそのまま現在における登録要件の基準となり得るものでないから、同人の主張は採用できない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当するものとして拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-10-26 
結審通知日 2005-11-01 
審決日 2005-11-14 
出願番号 商願2000-94230(T2000-94230) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Z09)
T 1 8・ 13- Z (Z09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 福島 昇
水茎 弥
商標の称呼 ゴールドカートリッジ 
代理人 瀬川 幹夫 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ