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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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審判199831259 | 審決 | 商標 |
取消200131081 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 114 |
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管理番号 | 1129277 |
審判番号 | 取消2004-30485 |
総通号数 | 74 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-02-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2004-04-08 |
確定日 | 2006-01-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2641863号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2641863号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2641863号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成2年6月28日に登録出願、第23類「時計、その部品及び附属品」を指定商品として、同6年3月31日に設定登録、その後、同15年12月9日に商標権存続期間の更新登録がされ、同16年3月24日に指定商品を第14類「時計」とする指定商品の書換登録がされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 (2)被請求人の答弁に対する弁駁 (ア)被請求人は、乙第2号証及び乙第7号証の1ないし3に示される筆記体の欧文字「Indian」(別掲(2)に示すとおりの商標:以下「使用商標1」という。)と本件商標とは社会通念上同一であるとしている。 しかしながら、本件商標は、文字と図形の結合商標であって、いかにこの文字と図形が同様の称呼及び観念を生じるからといえども、この結合商標から文字部分のみを抽出して使用した場合に社会通念上同一の商標の使用に当たるとするのは誤りである。 すなわち、本件商標の専用権の範囲は、欧文字「Indian」と右向きのインディアンの図形とが一体に結合されることによって、多数想起させるインディアンの図形のうち、本件商標における態様にとどめるものであって、これを文字部分「Indian」のみの使用を当該登録商標の使用として認めることは、社会通念上同一の商標の使用が、登録商標の専用権の範囲の拡大のみならず禁止権の範囲までも拡大することを意味し、妥当ではない(甲第6号証参照)。 事実、わが国においては、「インディアン」の称呼及び北米の原住民であるインディアンの観念を生じさせる図形を含む登録商標は、多分類に渡って多数存在しており(甲第5号証の1ないし32)、これらの図形は、例えば、髪飾りの有無や表情の違いによって、より具体的で相互に異なる複数の観念を想起させるものである。そして、これらすべてを抽象する文字商標「Indian」をもって、これらの図形商標からある特定の一態様の北米原住民のインディアンの図形を想起させることはない。 以上のとおり、乙第2号証及び乙第7号証の1ないし3に示される使用商標1と本件商標とは社会通念上同一であるとする被請求人の主張は誤りであり、使用商標1を本件商標の指定商品に使用したとしても、これをもって本件商標の使用に該当することはない。 (イ)被請求人は、乙第2号証及び乙第7号証の1及び2に示される右向きのインディアンの図形と当該図形の中に表された特徴ある筆記体の欧文字「Indian」との結合商標(別掲(3)に示すとおりの商標:以下「使用商標2」という。)と本件商標とは社会通念上同一であるとしている。 しかしながら、使用商標2の右向きのインディアンの図形部分と本件商標中の右向きのインディアンの図形部分とは、外観において実質的に同視されるものであるとの被請求人の主張は誤りで、これらの図形はその形態が顕著に異なるから、仮に文字部分が共通するとしても使用商標2と本件商標とは社会通念上同一の商標ということはできない。 そこで、使用商標2の図形部分と本件商標中の図形部分との外観上の対比を行うと、両図形の共通点は、(a)右向きの人間の頭部を表す(b)頭髪生え際付近から左方向に流れる髪飾りを有する(c)図形において髪飾り部分の図形全体に占める割合が最も高い、という点であり、両図形の差異点は、(a)図形全体の縦横比が使用商標2は1対3の横長であるのに対して、本件商標は1対1である(b)使用商標2の顔が髪飾りの流れる方向と同様に斜め上方向に向いているのに対して、本件商標の顔は髪飾りに関係なく真っすぐ右を向いている(c)使用商標2の髪飾りは白抜きの太い束が6本で、その飾りの先端部分が図形の底部において水平方向に揃っているのに対して、本件商標の髪飾りは、その大半が黒色に塗りつぶされ中間部に白抜きの切替部を備え、さらに、細かい毛の複数の束が放射状に広がっているとともに毛の1本1本に至るまで、より写実的に描かれている(d)使用商標2は男性とも女性とも判断できる中性的な面持ちであるのに対して、本件商標は男性と判断できる面持ちである、という点である。 以上のように、両図形は、ごく大局的な面において共通点はあるものの、詳細な部分においては、全く共通性を見出せない。 そして、上記のように図形全体の構成比や図形の中で大半の範囲を占める髪飾り部分において顕著な相違があるから、これについて「外観において同視される図形」などと結論付けることは社会通念からいって到底通用するものではない(甲第6号証参照)。 以上のとおり、乙第2号証及び乙第7号証の1及び2に示される右向きのインディアンの図形と当該図形の中に表された特徴ある筆記体の欧文字「Indian」との結合商標である使用商標2と本件商標とは、その図形部分の形態が顕著に異なり、外観において同視される図形とは到底いうことはできないから、上記被請求人の主張は誤りである。よって、使用商標2を本件商標の指定商品に使用したとしても、これをもって本件商標の使用に該当することはない。 (ウ)被請求人は、乙第1号証を根拠として、本件商標について、平成15年1月、株式会社リベルタ(以下「リベルタ社」という。)に対し、本件商標を時計、その部品及び附属品に使用する独占的通常使用権を許諾したとの主張を行っている。 ところが、乙第1号証に記載された「商標」は、本件商標と同一のものでない。なお、この場合の「同一」とは商標法第50条の場合と異なり社会通念上の同一は含まれない。 リベルタ社が通常使用権を有するか否かについては争うつもりはないが、少なくとも乙第1号証においては、本件商標の使用を許諾したものとする証拠とはならないことは明らかである。よって、乙第1号証をもって本件商標についての通常使用権者が存在するとの被請求人の主張は誤りであって、本件商標に関する使用権者の存否は証明されたということはできない。 (エ)被請求人は、リベルタ社が本件商標をその指定商品に使用していることを乙第2号証ないし乙第7号証を用いて逐一説明している。 乙第2号証、乙第6号証及び乙第7号証には、リベルタ社の製造販売にかかる時計、その包装あるいは広告に筆記体の欧文字「Indian」からなる商標あるいは当該欧文字と右向きのインディアンの図形からなる結合商標が記載されているが、これらは、上述したとおり、いずれも本件商標と同一とも社会通念上同一の商標ともいうことはできないから、これらの証拠をもって「使用権者の本件商標の使用」と認定することはできない。 また、乙第3号証ないし乙第5号証では、リベルタ社の被請求人に対する納品書、代金請求書並びに定期報告書が示されているが、これらは、すべて被請求人が乙第2号証、乙第6号証及び乙第7号証において使用したと主張する商標に基づくものであって、本件商標を使用するものとしての証拠の価値は全くない。 以上のとおり、被請求人の提出した乙第2号証、乙第6号証及び乙第7号証は、本件商標とは同一(社会通念上同一を含む)ということのできない商標の使用を示すものにすぎず、本件商標の使用の事実を証明するものとはならない。 (オ)むすび 以上に示したように、本件商標をその指定商品である時計に、本件審判請求の予告登録日の前3年以内に使用されたことを証明する事実は一つもなく、本件商標が不使用であることは明らかである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)通常使用権の許諾 被請求人は、本件商標について、平成15年1月、リベルタ社に対し、本件商標を時計、その部品及び附属品に使用する独占的通常使用権を許諾した(乙第1号証)。 (2)通常使用権者による本件商標の指定商品への使用 リベルタ社は、上記独占的通常使用権の許諾に基づいて、商品開発を行い、平成15年8月に本件商標を付した時計を商品化し、平成15年9月から製造販売した(乙2号証ないし乙第7号証)。 乙第2号証は、リベルタ社が平成15年8月に製作して頒布した本件商標を使用した時計のカタログである。 乙第3号証の1ないし45は、リベルタ社が平成15年9月から同16年3月にかけて本件商標を付した時計を被請求人に納品したときの納品書である(被請求人は、「Indian」の直営ブティックを東京、神戸、福岡等に有しており、同ブティックでリベルタ社の製造した本件商標を使用した時計を他の「Indian」ブランドの商品とともに販売している。)。 乙第4号証の1ないし13は、リベルタ社が被請求人に納品した時計の代金の請求書である。日付は、平成15年9月30日から同16年3月31日である。 乙第5号証は、リベルタ社が2003年12月22日に被請求人に送付したリベルタ社作成の定期報告書(ロイヤルティー計算書、乙第1号証第6条参照)である。 乙第6号証の1ないし15は、リベルタ社の製造販売にかかる時計を紹介した若い男子向けのファッション雑誌である。 乙第7号証の1ないし3は、リベルタ社の製造にかかる時計のうちの幾つか及びその包装の写真である。 (3)通常使用権者による本件商標の使用 (ア)本件商標は、特徴ある筆記体の欧文字「Indian」と右向きのインディアンの図形とからなる。「Indian」と右向きのインディアンの図形とは一部重なっている(甲第1号証)。 本件商標中の欧文字「Indian」及び右向きのインディアンの図形からは、いずれも、「インディアン」の称呼と「インディアン(北米原住民)」の観念とが生ずる。 (イ)リベルタ社は、上記通常使用権に基づいて製造した時計に、本件商標中の特徴ある筆記体の欧文字「Indian」と同一の態様の「Indian」の文字からなる使用商標1を文字盤、時計のバンド、金具に付している(乙第2号証及び乙第7号証の1ないし3)。 リベルタ社の使用に係る使用商標1は、外観において本件商標中の筆記体の欧文字「Indian」と同一である。加えて、本件商標中の筆記体の欧文字「Indian」と右向きのインディアンの図形とからは、それぞれ「インディアン」の称呼と「インディアン(北米原住民)」の観念が生ずるから、リベルタ社の使用に係る使用商標1は、本件商標と同一の称呼及び観念を生ずる。 よって、リベルタ社の使用に係る使用商標1、本件商標と社会通念上同一と認められるものである。 (ウ)さらに、リベルタ社は、その製造に係る時計の本体の裏面及び時計の包装に、右向きのインディアンの図形の中に特徴ある筆記体の欧文字「Indian」を配した使用商標2を付して使用している(乙第2号証及び乙第7号証の1及び2)。 リベルタ社の使用に係る使用商標2の右向きのインディアンの図形は、本件商標中の右向きのインディアンの図形と外観において実質的に同一視されるものであり、かつ、同一の称呼(「インディアン」)及び観念(「インディアン(北米原住民)」)を生ずる。また、リベルタ社の使用に係る使用商標2中の特徴ある筆記体の欧文字「Indian」は、本件商標中の筆記体の欧文字「Indian」と外観において同一であり、称呼(「インディアン」)及び観念(「インディアン(北米原住民)」)において同一である。 リベルタ社の使用に係る使用商標2は、実質的に、本件商標において右向きのインディアンの図形と一部重なっている筆記体の欧文字「Indian」を、右向きのインディアンの図形中に配したという点において相違するにすぎず、称呼、観念において同一である。 したがって、リベルタ社の使用に係る使用商標2は、本件商標と社会通念上同一と認められるものである。 (エ)よって、被請求人の通常使用権者であるリベルタ社は、本件商標の指定商品「時計」に、日本国において、本件取消審判請求の予告登録の日の前3年以内に、本件商標を使用している。 (4)むすび 以上により、本件商標は、商標権者である被請求人の通常使用権者が日本国において、本件商標の指定商品である「時計」に、本件審判請求の予告登録日の前3年以内に使用されたことが証明された。 4 当審の判断 (1)通常使用権者 リベルタ社が本件商標の通常使用権者であるとして被請求人の提出した乙第1号証(商標使用許諾契約書)には、本件商標と認め得る商標は記載されていない。しかし、被請求人は、リベルタ社が本件商標の通常使用権者であると述べ、リベルタ社が本件商標を使用しているとして同社の取引書類等を提出し、両者間で本件商標と異なるものの複数の「Indian」商標についての商標使用許諾契約がされているという各事情を考慮すれば、両者間に本件商標について使用許諾に関する口頭等による合意があったというべきであるから、リベルタ社は、本件商標の通常使用権者と認めるのが相当である。 (2)本件商標の使用の存否 被請求人は、通常使用権者のリベルタ社が時計の文字盤、バンド、金具に使用する特徴ある筆記体の「Indian」の文字からなる使用商標1(乙第2号証及び乙第7号証の1ないし3)は本件商標と社会通念上同一の商標と認められると主張する。 そこで、先ず本件商標についてみるに、本件商標は、別掲(1)に示すとおり、羽根の髪飾りを付けた右向きのインディアンの横顔の図形(以下「本件図形」という。)の右上部に「Indian」の文字を配してなるものである。 これに対し、リベルタ社が使用しているとして被請求人が示す使用商標1は、別掲(2)に示すとおり、筆記体で表された「Indian」の文字からなるものであり、本件商標中の「Indian」の文字と相似た書体のものということができる。 しかしながら、使用商標1には、本件商標に存在する本件図形は含まれていない。 そして、本件図形の構成を見ると、本件図形は、羽根の中間部を白く表し、弧を描くように放射状に広がった多くの羽根で構成された髪飾りを冠した右向きのインディアンの横顔を、髪飾り部を含め目、鼻、口などを陰影を付け立体感をもたせて写実的に描いた点に特徴を有する図形よりなるものであり、本件商標にあって、該図形が自他識別標識として果たす役割は極めて大きいということができる。 そうすると、使用商標1は、本件商標中の識別標識として極めて大きな役割を果たす重要な構成要素を有しないという顕著な差異を有するものであるから、商取引の実際において、登録商標の態様や配置に変更を加えて使用されることの少なくない取引の実情を勘案しても、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一のものということはできない。 また、被請求人は、リベルタ社が時計の本体の裏面及び時計の包装に使用する、右向きのインディアンの図形の中に特徴ある筆記体の欧文字「Indian」を配した使用商標2(乙第2号証及び乙第7号証の1及び2)が本件商標と社会通念上同一の商標と認められると主張する。 そこで、使用商標2と本件商標を対比すると、使用商標2は、別掲(3)に示すとおり、髪飾りを付けた右向きのインディアンの横側の図形(以下「使用図形」という。)と、その髪飾り部に「Indian」の文字が、該図形の下部に「Indian Motocycle Co.,Inc.」の文字が配されているものであって、使用図形は、羽根の先端が横一線となるよう左後方に大きく伸びた7本の羽根の髪飾りを冠した右上を向いたインディアンの横顔を、髪を除き線書きで平面的に表した図形であって、縦横比がほぼ1対3で構成された横長の図形よりなるものである。 これに対し、本件図形は、上記のとおりの構成よりなり、縦横比でみると、ほぼ1対1で構成されているものである。 上記それぞれの構成よりすると、両図形は、髪飾り部が著しく異なっており、顔を含め全体の形状、描出方法、縦横の構成比においても大きく異なるものである。 被請求人は、両図形が外観において実質的に同一視されるものであると主張するが、上記のように構成において明らかに異なる両図形が、外観において実質的に同一視されるとする理由を明らかにせず、この点を認め得る証拠もないから、その主張は、採用することができない。 してみれば、使用商標2は、本件商標と商標の自他識別標識としての機能において著しく相違するものといわざるを得ず、本件商標と社会通念上同一のものとは認められない。 その他、被請求人の提出に係る証拠を検討しても、本件商標を時計に使用していると認め得る証拠はない。 (3)むすび したがって、被請求人は、本件審判の予告登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を請求に係る指定商品「時計」について使用した事実を証明していないから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品について取り消されるべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 (1)本件商標 (2)使用商標1 (3)使用商標2 |
審理終結日 | 2005-04-25 |
結審通知日 | 2005-04-27 |
審決日 | 2005-05-10 |
出願番号 | 商願平2-72855 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(114)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 実、熊谷 道夫 |
特許庁審判長 |
柴田 昭夫 |
特許庁審判官 |
鈴木 新五 柳原 雪身 |
登録日 | 1994-03-31 |
登録番号 | 商標登録第2641863号(T2641863) |
商標の称呼 | インディアン |
代理人 | 佐藤 雅巳 |
代理人 | 古木 睦美 |