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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 032
管理番号 1125973 
審判番号 取消2000-30889 
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-08-02 
確定日 2005-10-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第3329891号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3329891号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3329891号商標(以下「本件商標」という。)は、「WILSON PRO GEAR」の欧文字を横書きしてなり、平成6年5月26日に登録出願、第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、平成9年7月11日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、被請求人、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが継続して3年以上日本国内において本件商標の指定商品に使用した事実がない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア)被請求人は、本件商標が、少なくとも本件審判請求前3年以内に本件商標の通常使用権者であるペプシコ・インク及び北海道ペプシ・コーラ・ボトリング株式会社により商品「清涼飲料」に使用されていたとして、乙第1号証ないし乙第3号証及び乙第6号証を提出している。しかしながら、通常使用権設定契約をその間に締結したことを立証することのできる書面は何ら提出されていない。
もし被請求人において主張の通常使用権設定契約書があるのであれば、当該書面の提出により容易にその成立、存続の立証が可能であるはずであるが、それを為していないのは明らかに通常使用権が存在しなかったからである。請求人の日本子会社、日本ペプシコーラボトリング社及び北海道ペプシ・コーラ・ボトリング株式会社(乙第2号証)は共に被請求人とライセンスの契約をしたことはなく、現在は営業をサントリー株式会社が承継しているため会社自体が存在していない。
また、本件と平行して審理されている平成11年審判第35230号(商標登録第1645090号「Wilson」の更新登録無効審判請求事件)中で被請求人が主張しているWilson商標の周知性は、その主張に反し虚偽の事実であることは顕著な事実であり、その被請求人の虚偽の主張につき明示することは事案の解明に役立つところと思われるのでその点を先ず明らかにする。
(イ)被請求人は、上に指摘した「Wilson」更新登録無効審判事件において、同商標は被請求人の世界的に著名な商標であり、請求人により商標登録されるべきでないと主張し、また、無権原で、請求人が本件商標を使用することができない旨述べているが、これは明らかに事実に反する主張である。
請求人は全米第2位のソフトドリンク会社でその販売先は世界150カ国以上にのぼっている事実が明らかである。したがって、請求人及びその日本子会社が被請求人のライセンスを受ける必要は全くない、のみならず独自に使用することが可能であった。このことは請求人の子会社の本件商標使用の態様を見ることにより明らかである。
(ウ)被請求人は、本件審判請求前3年以内に本件商標の通常使用権者であるペプシコ・インク及び北海道ペプシ・コーラ・ボトリング株式会社により商品「清涼飲料」に使用されていると主張するが、乙第1号証は製造年月日の記載のない製品パッケージの写しであり、乙第2号証は96年の「飲料商品ガイド」であって「ウィルソン プロギア」が日本ペプシコーラ社の製品であることを記載したものであり、乙第6号証は狭山ゴルフ・クラブの領収書231円で、これら被請求人の指摘する証拠はいずれも請求人が請求前3年以内に本件商標の通常使用権者であることを立証するに足りる証拠ではなく、そこにはその主張を支持することのできる事項は何一つ無いことが明らかである。
(エ)更に理解することが困難な事項は、被請求人の主張が上記のとおりであるにかかわらず、被請求人から北海道ペプシ・コーラ・ボトリング株式会社宛警告状を平成10年5月4日に送付していることである(甲第8号証)。もし請求人あるいは日本の子会社が通常使用権者であるならばこのような警告状を出すことは全く考えられないところである。してみると、被請求人の主張は真実とはかけ離れた誤った事実によるもので到底認めることができないものである。
(オ)被請求人の商標「Wilson」が世界的に著名であるとする被請求人の主張は事実に反し誤りである。被請求人の商標は清涼飲料に関して何ら使用しておらず、その他のスポーツ用品について使用しているのみで、その使用は1985年以降である。
これに対し請求人の使用は1985年以前からであり、1985年に請求人、ペプシコとその100%子会社の被請求人ウィルソン・スポーティング・グッズ・コンパニー及びウェスレイ・スポーティング・グッズ・インクとの三者間で契約して商品範囲を明記したものである(甲第9号証)。ここでの商品中、清涼飲料はペプシコ・インクがそのまま保有し、ウィルソン・スポーティング・グッズ・コンパニーはスポーツ用品を承継したものである(同号証28頁、別表2.9f参照)。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
(1)本件商標の使用について
本件商標は、少なくとも本件審判請求前3年以内に本件商標の通常使用権者である、東京都港区赤坂1-9-20(後に東京都品川区南大井6-26-3に移転)に住所を有するペプシコ・インク及び北海道札幌市東区伏古11条5-1-50に住所を有する北海道ペプシ・コーラ・ボトリング株式会社により商品「清涼飲料」に使用されている(乙第1号証ないし乙第3号証及び乙第6号証)。よって、本件審判請求に理由がないことは明らかである。
(2)権利濫用について
請求人は、ライセンスフィーの支払いについては問題があるものの、被請求人の通常使用権者という地位にある。また、「Wilson」と言えば、被請求人の商標として世界的に著名である。
よって、本件審判請求は、真に本件商標の使用の有無を争うという目的ではなく、被請求人を害することを目的としているものと認められるから、権利濫用に該当することは明らかである。
特許庁工業所有権制度改正審議室の解説書にも本件のような場合には、権利濫用に該当し審判請求は認められないとの記載がある。
(3)第2答弁書
日本ペプシコーラボトリング社及び北海道ペプシ・コーラ・ボトリング株式会社は、本件商標をいかなる権原により、乙第1号証にある商品について使用していたというのかについて釈明を求める。

4 当審の判断
(1)商標法第50条に基づく商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しは免れない。
(2)そこで、本件についてみるに、甲第8号証によれば、被請求人は、代理人を通じて平成10年6月4日付けで、「北海道札幌市東区伏古11条5-1-50 北海道ぺプシコーラボトリング株式会社」宛に、「商標『Wilson』の件」と題する文書を送付した事実が認められ、同文書の趣旨は、北海道ペプシコーラボトリング株式会社が平成6年以降被請求人の使用許諾を得ないまま、被請求人の登録第1645090号商標(本商標権は、取消審判によりその登録を取消す旨の審判の確定登録が平成15年10月15日にされた。以下、同じ。)を清涼飲料に使用している点への警告と、いかなる権原により当該商標を使用しているのか、その事情説明を求めたものである。
上記甲第8号証に示された登録第1645090号商標は、別掲に示すとおり「Wilson」の欧文字を横書きしてなり、第29類「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷」を指定商品とするものである。そして、該登録第1645090号商標と本件商標とは、その構成中の主要部である「WILSON」の文字部分を共通にするものである。
(3)しかして、被請求人より北海道ペプシコーラボトリング株式会社に対して送付された上記甲第8号証は、その内容からみて明らかに警告状と認め得るものであり、かかる文章の存在が認められることからすれば、被請求人は、少なくとも平成6年以降、北海道ペプシコーラボトリング株式会社(北海道札幌市東区伏古11条5-1-50)に対して、登録第1645090号商標を清涼飲料に使用することを許諾していなかったものと認められ、ペプシコ・インク(東京都港区赤坂1-9-20、後に東京都品川区南大井6-26-3に移転)に対しても同様に使用許諾をしていなかったものと推認できる。そうとすると、被請求人は、登録第1645090号商標と「WILSON」の文字部分を共通にしている本件商標についても、北海道ペプシコーラボトリング株式会社及びペプシコ・インクに対して清涼飲料に使用することを許諾していなかったものといわなければならない。
そして、被請求人は、請求人が本件商標の通常使用権者であることについて、具体的な証拠をもって何ら証明するところがない。
(4)以上よりすると、乙第1号証(本件商標の使用を示した写真)には、清涼飲料の一種とみられる商品が写っており、その包装に登録第1645090号商標と同一といえる商標が白抜きで表示されていると共に「ウイルソン プロギア」、「PRO GEAR」などの文字が表示され、「販売者・ペプシコ・インク」「東京都品川区南大井6-26-3」の記載がなされていること。また、乙第2号証(本件商標の使用を示した商品カタログ(一部抜粋)写し)の194頁には、「日本ペプシコーラ」の商品で清涼飲料の一種とみられる缶入りの「スポーツドリンク」が掲載されており、その缶に登録第1645090号商標と同一といえる商標が白抜きで表示されている共に「ウイルソン プロギア」、「PRO GEAR」などの文字が表示されていることからみて、これら商品には登録第1645090号商標又は本件商標と同一又は類似する商標が使用されているものといえるが、少なくとも平成6年以降は、被請求人の許諾を得て使用したものでないと判断するのが相当であるから、乙第1号証及び乙第2号証により通常使用権者が本件審判請求(平成12年8月30日予告登録)前3年以内に本件商標を使用した事実を認めることはできない。
また、乙第6号証は領収書であり、本件商標は表示されておらず、これ自体で本件商標の使用事実を立証するものでなく、他に本件商標がその指定商品について使用された事実を認め得る証拠はない。
(5)被請求人は、請求人が被請求人の通常使用権者という地位にあり、また、「Wilson」は、被請求人の商標として世界的に著名である旨述べ、本件審判請求は権利濫用である旨主張する。
しかし、被請求人は、請求人が被請求人の通常使用権者という地位にあるとの事実を証明していないものであり、また、「Wilson」が被請求人の商標として世界的に著名であるとしても、そのことが権利濫用と結びつくべき理由はなく、また、被請求人においてもその事実を証明していないものであるから、この点の被請求人の主張は採用できない。
(6)したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
登録第1645090号商標


審理終結日 2001-12-19 
結審通知日 2001-12-25 
審決日 2005-06-01 
出願番号 商願平6-52116 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (032)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 幸一早川 真規子 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 鈴木 新五
蛭川 一治
登録日 1997-07-11 
登録番号 商標登録第3329891号(T3329891) 
商標の称呼 ウイルソンプロギア 
代理人 柳生 征男 
代理人 浅村 皓 
代理人 中田 和博 
代理人 足立 泉 
代理人 新田 藤七郎 
代理人 小池 恒明 
代理人 浅村 肇 
代理人 青木 博通 

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