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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 101
管理番号 1124599 
審判番号 取消2004-31313 
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-11-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-10-05 
確定日 2005-10-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第2209273号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2209273号商標(以下「本件商標」という。)は、「ワンショット」の文字を横書きしてなり、昭和60年6月21日登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、平成2年2月23日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標は、その指定商品中『薬剤』についての登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「薬剤」について継続して3年以上日本国内において使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第4号証(「三共ライフテック 動物用製品添付文書集(SANKYO LIFETECH PRODUCTS INFORMATION)2004」、以下「添付文書集」という。)は、被請求人が作成した書類であるから信憑性が薄い。仮にこれが正式なものであったにせよ、「添付文書集」は、商品に付随しているものではなく使用証拠になりえない。また、乙第4号証の配布の時期・地域が不明であり、製本、印刷業者、印刷年月日の証明がない。
(2)乙第5号証(ニッチク薬品工業株式会社(以下「ニッチク薬品工業」という。)のホームページ)のニッチク薬品工業は、権利者でも使用権者でもない。さらに、ホームページ自体が使用証拠にならないことはいうまでもない。仮に商標権者がニッチク薬品工業へ商品の売込みを依頼していたとしても、印刷業者、印刷年月日の証明がない。あったとしても、配布の証明がなく、また、使用に係る商品との関係が不明であり使用していたとはいえない。
(3)乙第6号証(商品ラベル)には日付の記載がなく使用証拠にならない。
(4)乙第7号証(商標使用許諾契約書)は使用証拠にならない。
また、上記「商標使用許諾契約書」の契約締結日は、平成16年6月18日であり、本件審判の請求日が平成16年10月5日であることからすると、実にタイミングがよい。ロート製薬株式会社(以下「ロート製薬」という。)は、「パンシロンワンショット」を1998年(平成10年)8月26日に承認を得て、1999年(平成11年)11月15日に発売を開始しているのであり、「ワンショット」の使用はしていない。
また、1999年(平成11年)から2004年(平成16年)6月29日までは使用許諾契約がないまま「パンシロンワンショット」を使用していたことになる。
(5)乙第8号証(株式会社薬事日報社発行「最近の新薬2000」)、乙第9号証(株式会社薬事日報社発行「平成15年度医薬品医療衛生用品『価格表』」)における使用に係る商標は、「パンシロンワンショット」であり「ワンショット」の使用証拠にならない。「パンシロン」は、ロート製薬の著名商標であり、著名商標との結合商標の場合は、著名商標「パンシロン」の使用であり、「ワンショット」の使用証拠にならない。
(6)乙第10号証ないし乙第12号証(ロート製薬のホームページ)が使用証拠にならないことは既に述べたとおりである。
また、被請求人のホームページに「ワンショット」の文字は見当たらない。
(7)以上のとおり、乙各号証は、「ワンショット」が指定商品「薬剤」に審判の請求日前3年以内に使用されていたことを証明するものはない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
1 被請求人について
被請求人は、本件商標が平成15年4月1日付けで、前権利者であった三共株式会社より一般承継したものであるが、被請求人は、もともと同社の特品部門であったものがその業務を包括承継し、同社から分割により成立したものである(乙第3号証)。
2 使用の事実
(1)本件商標は、前権利者により発売された商品「動物用医薬品(家畜伝染病予防法指定消毒薬成分含有製剤)」(以下「使用商品」という。)に少なくとも昭和63年から使用され、その後、引き続き現に被請求人により継続使用されているものである(乙第4号証ないし乙第6号証)。
(ア)乙第4号証は、被請求人が2004年(平成16年)9月作成に係る「添付文書集」であり、被請求人により2004年7月現在販売されている動物用医薬品、飼料添加物及び医療用具等の添付文書集の91頁に動物用医薬品「ワンショット」の添付文書が記載されている。
(イ)乙第5号証は、使用商品の製造元であるニッチク薬品工業のホームページに掲載されている同社「製品紹介」であり、当該ホームページにおいても、「動物用医薬品(殺菌消毒剤)」として「ワンショット」が記載され、また、製品写真中の下段左から2番目に「ワンショット」のポリ容器(18L入り)包装が記載されている。
(ウ)乙第6号証は、上記の「ワンショット」のポリ容器(18L入り)包装に貼付される前のラベルの実物であり、動物用医薬品としての本件商標が明記されている。
(2)さらに、本件商標は、前権利者によりロート製薬に通常使用権が許諾され、上記のとおり、被請求人が業務の包括承継を前権利者から受けた後は、通常使用権の許諾者の地位も被請求人が承継し、被請求人とロート製薬との間において、本件商標に関する商標使用許諾契約を締結している(乙第7号証)。
そして、ロート製薬は、同社商標に本件商標を組み合わせ、「パンシロン ワンショット」として、一般用医薬品「(液状)胃腸薬」について、1998年(平成10年)8月26日に製造承認を取得し、その後、1999年(平成11年)11月15日に発売開始し、今日に至るまで継続して販売しているものである(乙第8号証ないし乙第12号証)。
(ア)乙第8号証は、2000年(平成12年)6月20日に発行された「最近の新薬2000」であり、その286頁に、使用権者により、本件商標を付した上記商品の製造承認の取得日及び販売を開始日が記載された。
(イ)乙第9号証は、2003年(平成15年)8月8日に発行された「平成15年度医薬品医療衛生用品『価格表』」であり、その330頁に「パンシロンワンショット」の記載があり、使用権者が本件商標を胃腸薬(一般用医薬品)に使用中であることが確認できる。
(ウ)乙第10号証ないし乙第12号証は、ロート製薬のホームページに掲載されている同社の「製品情報」に本件商標を付した製品が記載され、さらに、乙第11号証及び乙第12号証において、製品のパッケージ(箱)及び本体(瓶)の双方あるいは本体(瓶)の写真が大きく掲載され、当該箱及び瓶のラベルに二段書きに「パンシロン」、「ワンショツト」が各々記載されていることが確認できる。
(3)乙第4号証ないし乙第6号証及び乙第8号証ないし乙第12号証に示す商標の使用態様はいずれも、社会通念上登録商標の使用といえる「ワンショット」の片仮名文字が記載されていることが明らかであり、その使用に係る商品についても、被請求人においては「動物用医薬品」に、また、通常使用権者にあっては「一般用医薬品(胃腸薬)」に使用しており、これらは本件商標の指定商品中「薬剤」に属することが明らかである。
3 むすび
してみれば、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 請求人は、本件商標の商標権が三共株式会社から被請求人に移転され、現商標権者が被請求人であること、被請求人の使用に係る商品が「動物用医薬品(家畜伝染病予防法指定消毒薬成分含有製剤)」(使用商品)であり、使用商品が本件請求に係る指定商品に含まれること及び使用商品について使用される商標(以下「使用商標」という。)が本件商標と社会通念上同一のものであることについては、争うことを明らかにしていない。
そこで、被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に使用商標を使用商品について使用したか否かについて検討する。
2 乙第4号証ないし乙第6号証及び答弁の理由によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第4号証は、2004年(平成16年)9月に、被請求人が発行した「添付文書集」と認められるところ、同「序」には、「本書は,2004年7月現在,弊社から販売されている動物用医薬品・・等の添付書類,説明書を集めたものです。」との記載があり、また、同91頁には、「家畜伝染病予防法指定消毒薬成分含有製剤」、「無刺激低毒性殺菌消毒薬」、「動物用医薬品」、「18L・200L」、「ワンショット/ONE SHOT」の各文字とともに、該商品の成分、用法・用量、使用上の注意が記載され、下段には、「製造元/ニッチク薬品工業株式会社」、「販売元/三共ライフテック株式会社」などが記載されている。なお、同頁の最下段には、「(上記は、本品のレーベル又は中箱に印刷されたもので、添付文書ははいっておりません。)」と記載されている。また、「添付文書集」の奥付には、「作成 営業部 動薬営業グループ」と記載されている。
(2)乙第5号証は、ニッチク薬品工業のホームページ(2004年(平成16年)11月19日検索)と認められるところ、「商品紹介(特殊加工製品・動物用医薬品)」の表題のもと、「動物用医薬品」の項目には、「殺菌消毒剤」として「ワンショット、ペルバンなど」の記載とともに、「ワンショット/ONE SHOT」の表示があるラベルが付されたポリ容器が掲載されている。
(3)乙第6号証は、上記(2)のポリ容器に付されたラベルと同一のものと認められるところ、該ラベルには、乙第4号証の91頁に記載された文字とほぼ同一の文字が記載されている(乙第4号証の91頁においては、商品の容量を示す「18L・200L」及び最下段に書された「(上記は、本品のレーベル又は中箱に印刷されたもので、添付文書ははいっておりません。)」との記載があるが、乙第6号証においては、前者は「18L」と記載され、また、後者は記載がない点において相違する。)。
3 前記2で認定した事実を総合すると、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成16年10月25日)前3年以内である2004年9月に被請求人より発行され、かつ、2004年7月現在販売されている被請求人の取扱いに係る商品に関する「添付文書集」(91頁)に、「ワンショット/ONE SHOT」の表示のもとに使用商品を掲載したこと、取引の実際においては、使用商品には、上記「添付文書集」(91頁)に掲載された内容とほぼ同一の記載内容のラベルが付されたことが認められる。そして、「添付文書集」(91頁)に、「ワンショット/ONE SHOT」の表示する行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する取引書類に標章を付して展示する行為」に当たるものといえるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の使用商品について、使用商標をしていたと認めることができる。
4 請求人の主張について
(1)請求人は、乙第4号証について、これは被請求人が作成した書類であるから信憑性が薄く、仮に乙第4号証が正式なものであったとしても、商品に付随しているものではなく、また、乙第4号証の配布時期・場所が不明でああるから、使用証拠にはなり得ない旨主張する。
しかし、乙第4号証は、被請求人が自己の取扱いに係る動物用医薬品についての添付文書等を集めたものとして、被請求人自ら作成したものであるとしても、これら添付文書等は、薬事法第52条に基づいて作成されたものであるから、その記載内容に虚偽があるとは到底考えることはできないし、2004年7月現在被請求人の販売に係る動物用製品に関する添付文書集として、何ら不自然なところは見出せない。また、被請求人の販売に係る医薬品について添付される文書等であるから、当然顧客に頒布することを前提に作成されたものとみるべきである。
(2)請求人は、乙第5号証について、ニッチク薬品工業は、権利者でも使用権者でもなく、また、ホームページ自体が使用証拠にならない旨主張し、さらに、仮に商標権者がニッチク薬品工業へ商品の売込みを依頼していたとしても、印刷業者、印刷年月日の証明がない。あったとしても、配布の証明がなく、また、使用商品との関係が不明であり使用していたとはいえない旨主張する。
しかしながら、乙第4号証及び乙第6号証によれば、ニッチク薬品工業は、使用商品の製造元であることが認められ、被請求人は、製造元であるニッチク薬品工業が確かに使用商品を製造している事実及び使用商標が実際の取引においてどのような態様で使用されていたかを明らかにしたものと推認することができるから、乙第5号証に関する上記請求人の主張は、いずれも的はずれなものといわざるを得ない。
(3)請求人は、乙第6号証には日付の記載がなく使用証拠にならない旨主張する。
しかしながら、使用商標が被請求人により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用商品に使用されたことは、乙第4号証から認め得るところであって、乙第5号証と乙第6号証により、使用商標が使用商品に具体的のどのような態様で使用されていたかを明確にするためのものと解することができるから、乙第6号証に日付の記載がないとしても、乙第4号証ないし乙第6号証を総合すれば、使用の事実は明らかというべきである。
(4)したがって、上記請求人の主張はいずれも採用することができない。他に前記認定を覆すに足る証拠の提出はない。
5 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、少なくとも商標権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を請求に係る指定商品中の「動物用医薬品(家畜伝染病予防法指定消毒薬成分含有製剤)」について使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「薬剤」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-08-01 
結審通知日 2005-08-04 
審決日 2005-08-22 
出願番号 商願昭60-62641 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (101)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 毅 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 宮川 久成
山本 良廣
登録日 1990-02-23 
登録番号 商標登録第2209273号(T2209273) 
商標の称呼 ワンショット 
代理人 大野 彰夫 

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