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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 104
管理番号 1124420 
審判番号 取消2004-30932 
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-11-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-07-20 
確定日 2005-09-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第2618887号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2618887号商標(以下「本件商標」という。)は、「Biometic」の文字を横書きしてなり、平成3年10月21日に登録出願、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同6年1月31日に設定登録、その後、同16年2月10日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
(1)請求人の調査したところによれば、商標権者である被請求人が本件商標をその指定商品について使用している事実は発見できなかった。また、本件商標に係る登録原簿上、専用使用権及び通常使用権の登録もないところである。
したがって、継続して3年以上、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが上記指定商品について本件商標の使用をしていないと推認されるものであるから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)乙各号証の矛盾点について
(a)発注数量と納品数量との不一致
被請求人が提出する乙第9号証の「製品生産発注書」によれば、2002年2月15日付でセルレ株式会社は、フィディカコスメ株式会社に対して、「ビオメティック ミルキィクレンジング」「ビオメティック クレンジングパウダー」「ビオメティック スキンローション」及び「ビオメティック ミルキィローション」各35個の製造を発注した旨が記載されている。
その一方、フィディカコスメ株式会社九州工場がセルレ株式会社に宛てた乙第10号証の「納品書」及び乙第12号証の「請求書」をみると、「ビオメティック クレンジングパウダー」が29個納品(発注数量は35個)、「ビオメティック ミルキィクレンジング」が37個納品(発注数量は35個)と記載されている。
商品の発注数量と納品数量との間には、このような齟齬があり、両者の対応関係が不明であるから、これら乙各号証は、本件商標を使用する商品「化粧品」が現に製造された事実を立証する証拠としての的確な証明力を有していない。
(b)化粧品製造製品販売名届書の日付の不整合
化粧品を製造するに際しては、化粧品製造製品販売名届書の提出が義務付けられており、その化粧品製造(輸入販売)業の許可申請等については、「薬事法第14条第1項の規定に基づき厚生労働大臣の指定する化粧品の成分を定める件(平成12年9月厚生省告示第330号)に定める品目ごとの承認を必要とされる化粧品以外の化粧品は、「化粧品」として品目の許可を与える。当該許可に係る個々の製品について実際に製造(輸入)を行う場合には、当該製品ごとにあらかじめ販売名等を届け出ることとする」(甲第1号証)とされている。
ここで、フィディカコスメ株式会社が静岡県知事に対して届け出た「ビオメティック スキンローション」及び「ビオメティック ミルキィローション」に係る「化粧品製造製品販売名届書」(乙第15号証)によれば、その提出日付は、2002年2月18日とされているが、被請求人が提出する乙第9号証の「製品生産発注書」をみると、セルレ株式会社がフィディカコスメ株式会社に対して「ビオメティック スキンローション」及び「ビオメティック ミルキィローション」の製造を発注した日付は、当該提出日よりも以前の同年2月15日となっている。被請求人が提出する乙各号証から実際の製造日は明らかではないが、仮に、これら化粧品の製造が「化粧品製造製品販売名届書」の提出以前に開始されていた場合には、違法な製造行為が行われていたことになる。
また、被請求人は、答弁書において「エルソルプロダクツ株式会社は、フィディカコスメ株式会社の依頼により、本件商品の製造工程の一部の原料調整、充填工程を行ったものである」と主張し、乙第17号証としてエルソルプロダクツ株式会社が静岡県知事に対して届け出た「ビオメティック スキンローション」及び「ビオメティック ミルキィローション」に係る「化粧品製造製品販売名届書」を提出している(乙第17号証)。当該届書をみると、その届出日付は、2002年2月26日となっており、そして、フィディカコスメ株式会社が、これら商品をセルレ株式会社へ納品した日付は、その翌日の同年2月27日となっている(乙第11号証)。
なるほど形式的にみれば、当該届出後に、エルソルプロダクツ株式会社が適法に本件商品の製造工程の一部の原料調整及び充填工程を行ったということもできるかもしれない。しかし、当該届出日の翌日に商品が完成し、これが納品されるということは、業界の常識に照らして考え難いことである。もし、現実に僅か1日で、エルソルプロダクツ株式会社及びフィディカコスメ株式会社が「ビオメティック スキンローション」及び「ビオメティック ミルキィローション」を製造し、これをセルレ株式会社へ納品しているというのであれば、その製造記録が開示されるべきである。すなわち、薬事法施行規則第23条において、「医薬品等の製造所の管理者又は責任技術者は、製造及び試験に関する記録その他当該製造所の管理に関する記録を作成し、かつ、これを3年間(当該記録に係る医薬品等に関して有効期間(使用の期限を含む。以下同じ。)の記載が義務づけられている場合には、その有効期間に一年を加算した期間)保管しなければならない」旨が規定されており(甲第2号証)、ここでいう「医薬品等」には「医薬品、医薬部外品」のみならず「化粧品」も含まれている(同規則第14条)ことから、被請求人は、容易にその製造記録を開示できるはずである。
それにもかかわらず、そのような証拠が提出されていないことからしても、被請求人が提出する証拠は、信用することができない。
したがって、被請求人が乙第17号証として提出する「化粧品製造製品販売名届書」の日付と乙第11号証の「納品書」の日付とは整合しないから、これらは、本件商標が商品「化粧品」について製造された事実を立証する証明力を有していない。
(c)本件商品の製造数量
乙第9号証の「製品生産発注書」に記載された数量は(前記(a)で述べたとおり、一部の商品については、納品数量との間に齟齬があるが)、僅か各35個である。仮に、これがサンプル品の製造ということであれば、この数量にも首肯することができるが、乙第7号証によれば、被請求人は、これら商品を単なるサンプル品ではなく、通常の商品として販売していることになる。そうすると、このような極めて微量の製造数量は、異常といわなければならない。けだし、化粧品製造製品販売名届書を提出し、包装明細書を新たに作成しなければならないような新規の商品であって、その単価が400円程度のものを僅か35個ずつ(合計で僅か27,965円)製造していた(乙第11号証)のでは、商業的に採算がとれないからである。
以上のとおり、被請求人が提出する乙各号証には、種々の矛盾点等が存在しているから、被請求人は、これら証拠によって、本件商標が本件審判請求に係る指定商品「化粧品」について使用されていることを証明しているとはいえない。
(イ)登録商標の使用について
まず、被請求人は、本件審判請求の予告登録前3年以内に取消請求に係る指定商品中の「化粧品」について、本件商標の使用をしていると主張し、その証拠として、乙第10号証(納品書)及び乙第12号証(請求書)を提出しているが、その「品番・品名」の項には、「クレンジングパウダー」「ミルキィクレンジング」と記載されているのみであり、これが本件商標「Biometic」を使用する商品に関するものであるかどうか不明である。
したがって、これらの乙号証は、被請求人の前記主張を裏付ける証拠とはなり得ない。
次に、被請求人が提出する乙第7号証の1ないし13(売上伝票)、乙第9号証(製品生産発注書)、乙第11号証(納品書)、乙第13号証(請求書)、乙第14号証(化粧品製造製品販売名届書)、乙第15号証(化粧品製造製品販売名届書)、乙第16号証(化粧品製造製品販売名届書)及び乙第17号証(化粧品製造製品販売名届書)は、いずれも片仮名文字より構成される「ビオメティック ミルキーローション」「ビオメティック スキンローション」「ビオメティック クレンジングパウダー」又は「ビオメティック ミルキィクレンジング」の記載が認められるものの、本件商標「Biometic」の記載が認められない。
そこで、上記乙号証に示された「ビオメティック」と本件商標「Biometic」とが社会通念上同一といえるか否かについて検討する。
この点につき、商標法第50条第1項括弧書きは、社会通念上同一と認められる商標の例示として「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名、及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」等をあげている。
確かに、本件商標を構成する「Biometic」をローマ字読みした場合には、「ビオメティック」の称呼が生じ得る。
しかしながら、本件商標の構成中の「Bio」の文字は「生命、生物」を意味する連結形として、古くは自然科学で用いられていたものであり、今日では、その用法が拡大され、社会的な文脈でも使用される程に一般化しているものである。このことは、「bio」を接頭語とする英語が多数存在することからも明らかである。そして、当該「Bio」の文字より生ずる称呼は、「バイオ」であり(甲第3号証)、また、本件商標の特許庁称呼についても、第1称呼として付与されているのは、「バイオメティック」である(甲第4号証)。そうすると、本件商標を構成する「Biometic」に照応する一般的な称呼は、「ビオメティック」ではなく、「バイオメティック」であるというべきである。
さらに、本件商標「Biometic」の構成中の「Bio」は、前記のとおり「バイオ」と称呼され、「生命、生物」を意味するものとして我が国において広く親しまれている語であることから、これを「バイオ」ではなく、「ビオ」と称呼した場合には、「生命、生物」という意味合いを観念することができない。
したがって、本件商標「Biometic」と上記乙号証に示された「ビオメティック」とは、照応する称呼及び観念において相違する別異の商標というべきであり、社会通念上同一の商標とはいえない。
よって、被請求人が提出する乙第7号証の1ないし13(売上伝票)、乙第9号証(製品生産発注書)、乙第11号証(納品書)、乙第13号証(請求書)、乙第14号証(化粧品製造製品販売名届書)、乙第15号証(化粧品製造製品販売名届書)、乙第16号証(化粧品製造製品販売名届書)及び乙第17号証(化粧品製造製品販売名届書)は、いずれも本件商標が本件審判請求に係る指定商品に使用されていることを立証する証拠とはなり得ないものである。
そして、上記乙号証以外に被請求人が提出する証拠は、それらのみでは、被請求人が本件審判請求の予告登録前3年以内に本件審判請求に係る指定商品である「化粧品」について本件商標の使用をしている事実を立証するものではない。
すなわち、乙第1号証は、単に被請求人がセルレ株式会社へ通常使用権の設定契約をしている事実を示すものであるが、単なる通常使用権の許諾行為が登録商標の使用に該当しないことは、商標の使用行為について規定する商標法第2条第3項の規定より明らかなところである。また、乙第2号証については、各店舗の住所を示すものにすぎない。
乙第3号証ないし乙第6号証の「商品の写真」並びに乙第18号証の「包装明細書」には、「BIOMETIC」の文字が表されているが、乙第3号証ないし乙第6号証の「商品の写真」の撮影者は、何故か本件商標を使用していないライセンサーである被請求人の当時の社員と推測される者が子会社かつライセンシーであるセルレ株式会社の店頭で撮影したとしており、また、乙第18号証の「包装明細書」は、被請求人の子会社等(甲第5号証及び甲第6号証)の関係者と推測される者が作成している。
したがって、これらは本件審判請求後に作成することも可能な書類であることに加えて、前記(ア)において述べたとおり、乙各号証には、種々の矛盾点等が存在するから、乙第3号証ないし乙第6号証における撮影日並びに乙第18号証の内容についても、にわかに信用することはできない。
請求人が医薬品及び化粧品の製造販売業を主として営む者として察するところでは、今回の被請求人の指定商品「化粧品」についての使用証明は、明らかに商標の不使用取消しを免れるための形式的な証拠作りをしたものにすぎない。このような名目的な商標の使用行為によって、本来、商標法が保護対象とする業務上の信用が本件商標に化体することはなく、出所表示機能が発揮されることもない。
それにもかかわらず、被請求人が提出する形式的な証拠に基づき本件商標の使用を認定することは、商標法が登録主義の弊害・是正を目的として同法第50条第1項所定の取消審判を設けた制度趣旨に合致しないし、同法の趣旨に照らせば、本件商標は、その登録の取消しを免れないと解すべきである。他方、仮に、被請求人が提出する各証拠に示された商品数量(各35個)以外にも、本件商標を商品「化粧品」について使用している事実が存在するのであれば、被請求人は、そのような証拠方法を提出すべきである。
したがって、乙第3号証ないし乙第6号証並びに乙第18号証は、本件商標が本件審判請求に係る指定商品「化粧品」について使用されている事実につき的確な証明力を有するものとはいえない。
(3)むすび
以上のことから、被請求人が提出する各証拠により、被請求人又は通常使用権者が本件審判請求の予告登録前3年以内に本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用している事実は立証されていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第18号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)請求人の主張に対する反論
被請求人により許諾された通常使用権者が本件商標を取消請求に係る指定商品について、本件審判請求の予告登録前3年以内に使用している事実がある。これを以下のとおり立証する。
(ア)被請求人は、乙第1号証に示すとおりセルレ株式会社に、平成14年1月15日から現在に至るまで、通常使用権を許諾している。
被請求人から本件商標の使用の許諾を受けたセルレ株式会社は、本件商標が付された化粧品を譲り渡しすることによって、本件審判請求の予告登録前3年以内に、本件審判請求に係る指定商品中の化粧品について本件商標の使用をしているものである。
乙第2号証ないし乙第8号証に示すとおり、セルレ株式会社の直営する販売店(乙第2号証)である「Cadeaux・カドゥ」、「セルレラフェット多摩」、「セルレマリノアシティ」等の店舗において、本件商標が付された化粧品が譲り渡しされている事実がある。
乙第7号証の1ないし13は、上記直営店の店舗において、本件商標が付された化粧品の譲り渡し行為が行われたことを示す売上伝票の一部の写しである。
なお、売上伝票にある日付の右側にある「レシートNO.」の下方にある「店番号」は、店舗住所録(乙第2号証)に記載されている店舗コードに対応するものである(この点、例えば、売上伝票に記載される「店:0002」なる表示は、「店舗コード0002」に対応し、大阪府北区に所在する「Cadeaux・カドゥ」で売上があったことを示すものである)。
一例をあげると、乙第7号証の1によって、株式会社セルレの直営する販売店の「Cadeaux・カドゥ」(店舗コード0002)において、2002年6月8日付けで、本件商標を付した化粧品(「ビオメティック ミルキィローション」及び「ビオメティック スキンローション」)を譲り渡し、それぞれ金980円を受領した事実がある。
上記事実に鑑みれば、2002年(平成14年)6月8日に、セルレ株式会社は、本件商標が付された化粧品を譲渡する行為を行ったことから、本件審判請求の予告登録前3年以内の期間内に本件商標を使用したことが明らかである。
さらに、乙第8号証は、上記店舗における本件商標が付された商品の譲渡のための展示の状態を示すものである。
(イ)よって、本件審判請求の予告登録前3年以内において、被請求人が許諾した通常使用権者であるセルレ株式会社によって本件商標が付された化粧品が譲り渡しされ、譲渡のための展示する行為(商標法第2条第3項第2号)が行われていることから、本件商標を請求に係る指定商品について使用していることは明白である。
(ウ)本件商標が付された化粧品の製造等について
乙第9号証の製品生産発注書にあるように、セルレ株式会社は、化粧品製造会社であるフィディカコスメ株式会社に対して、本件商標が付された化粧品(以下「本件商品」という。)の製造を依頼したものである。
また、乙第10号証及び乙第11号証は、フィディカコスメ株式会社で製造された本件商品がセルレ株式会社に納品された事実を示すものである。
なお、乙第10号証及び乙第12号証に記載されている表示「XA1 クレンジングパウダー」と「XB2 ミルキィクレンジング」とは、包装明細書(乙第18号証)に示すとおり、本件商標が付された本件商品である。
上記納品書(写)により、本件審判請求の予告登録前3年以内である2002年(平成14年)2月27日(乙第10号証)及び2002年(平成14年)3月1日(乙第11号証)の時点で、セルレ株式会社が本件商品を保有していた事実が明らかである。
乙第12号証及び乙第13号証は、フィディカコスメ株式会社によるセルレ株式会社に対する本件商品の対価の請求書(写)である。
さらに、乙第14号証及び乙第15号証は、本件商品の製造についてフィディカコスメ株式会社による薬事法に基づく化粧品製造製品販売名届書(写)である。乙第16号証及び乙第17号証は、本件商品の製造についてエルソルプロダクツ株式会社による薬事法に基づく化粧品製造製品販売名届書(写)である。
なお、エルソルプロダクツ株式会社は、フィディカコスメ株式会社の依頼により、本件商品の製造工程の一部の原料調整、充填等の工程を行ったものである。
(2)以上述べたところから、乙第1号証ないし乙第18号証によって、被請求人により許諾された通常使用権者が本件商標をその請求に係る指定商品について、本件審判請求の予告登録前3年以内に使用している事実が明らかである。

4 当審の判断
被請求人の提出に係る乙第9号証の製品生産発注書、乙第10号証及び乙第11号証の納品書によれば、被請求人の許諾を受けた(乙第1号証)本件に関する通常使用権者と認められるセルレ株式会社(以下「通常使用権者」という。)は、フィディカコスメ株式会社に対して、商品「ミルキィクレンジング」、「クレンジングパウダー」、「スキンローション」及び「ミルキィローション」(以下これらを一括して「使用商品」という。)の製造を2002年2月15日に依頼し、その使用商品が2002年2月27日及び2002年3月1日にそれぞれ納品された事実を認めることができる。そして、使用商品は、本件商標の指定商品中「化粧品」の範疇に属する商品と認められる。
また、乙第2号証の店舗住所録及び乙第7号証の1ないし13の売上伝票によれば、通常使用権者の直営店と認められる「Cadeaux・カドゥ」、「セルレラフェット多摩」、「セルレマリノアシティ」等の店舗において、使用商品が販売されていた事実を認めることができる。そして、その売上伝票には、2002/03/11、2002/03/17、2002/06/08等と記載されていることから、使用商品は、いずれも本件審判の請求の登録前3年以内に販売されたものと認められる。
さらに、乙第3号証ないし乙第6号証の使用商品の写真及び乙第18号証の包装明細書によれば、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる「BIOMETIC」の欧文字と、その表音と認められる「ビオメティック」の片仮名文字とが共に使用されていることが認められる。
そうすると、乙第7号証の1ないし13の売上伝票、乙第9号証の製品生産発注書、乙第10号証及び乙第11号証の納品書に使用されている「ビオメティック」の文字が、片仮名文字のみであったとしても、前記のとおり、乙第3号証ないし乙第6号証の使用商品の写真及び乙第18号証の包装明細書の商標の使用態様を考慮すれば、乙第7号証の1ないし13、乙第9号証、乙第10号証及び乙第11号証に使用されている商標は、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していなかったとまではいい得ない。
してみれば、本件商標は、被請求人が提出した証拠を総合勘案すれば、通常使用権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、継続して本件審判請求の登録(平成16年8月9日)前3年以内に日本国内において、その指定商品中「化粧品」について使用していたものといわなければならない。
なお、請求人は、乙第11号証及び乙第17号証に関して、当該届出日(平成14年年2月26日)の翌日に商品が完成し、これが納品されるということは、業界の常識に照らして考え難いことである旨主張している。
しかしながら、請求人の主張に係る乙第11号証及び乙第17号証は、商品の納品者と届出者が相違しているもので、商品が一致しているとしても、乙第11号証と乙第17号証が対応しているものとは認められず、むしろ、乙第11号証の納品者と商品が乙第15号証の届出者と商品「ミルキィローション」「スキンローション」とが一致していることより、乙第11号証と乙第15号証が対応しているといえるものであり、しかも、乙第11号証の納品日(2002年年2月27日)は、乙第15号証の届出日(平成14年年2月18日)の9日前であるから、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
また、請求人は、乙第9号証、乙第10号証及び乙第12号証について、商品の発注数量と納品数量との間には齟齬があり、これら乙各号証は、証拠としての的確な証明力を有していない旨主張しているが、商品の数量に前記の齟齬があったとしても、それをもって、直ちに、その商品が製造されなかったとまではいい得ないものであるから、この点に関する請求人の主張は、採用することができない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-07-15 
結審通知日 2005-07-22 
審決日 2005-08-03 
出願番号 商願平3-108560 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (104)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 俊男 
特許庁審判長 大場 義則
特許庁審判官 鈴木 新五
柳原 雪身
登録日 1994-01-31 
登録番号 商標登録第2618887号(T2618887) 
商標の称呼 バイオメティック、ビオメティック、メティック 
代理人 浜田 廣士 
代理人 藤本 昇 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 佐藤 英二 

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