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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z30
審判 全部無効 称呼類似 無効としない Z30
管理番号 1123251 
審判番号 無効2004-89064 
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-10-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-08-23 
確定日 2005-08-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第4782549号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標登録の無効の審判
1 本件商標
本件商標登録の無効の審判に係る、登録第4782549号商標(以下「本件商標」という。)は、「GRAND BOLONIYA」の欧文字を上段に、「グランボロニヤ」の片仮名文字を下段に、それぞれ横書きしてなり、平成11年8月19日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,茶,調味料,香辛料,サンドイッチ,ハンバーガー,ホットドッグ,菓子及びパン」を指定商品として、同16年2月16日に登録審決がなされ、同年7月2日に設定登録されたものである。
2 本件商標登録の無効の審判
本件商標登録の無効の審判は、本件商標が商標法4条1項11号及び同15号に違反して登録されたものであるとして、同法46条1項により本件商標の登録を無効にすることを請求するものである。

第2 請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第4724156号商標(以下「引用商標」という。)は、「BOLONIYA」の欧文字を上段に、「ボロニヤ」の片仮名文字を下段に、それぞれ横書きしてなり、平成8年5月28日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,酒かす」を指定商品として、同15年9月29日に登録審決がなされ、同年11月7日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証の1ないし同第17号証の2(枝番を含む)を提出した。
1 本件商標の審査経緯と関連商標の近時の動き
本件商標は、その審査において、本件請求人が商品「パン」について使用し、本件商標の登録出願前より取引者・需要者間に広く認識されている商標「BOLONIYA」「ボロニヤ」と類似であるとして拒絶査定となった。その後、拒絶査定不服審判が請求され、その審決(平成16年2月16日)において、本件商標は「グランボロニヤ」の称呼のみを生ずる造語であって、「BOLONIYA」、「ボロニヤ」が独立して、需要者の注意を惹くものということはできないとして、「BOLONIYA」「ボロニヤ」と類似するものとした原査定が取消され、登録となったものである。また、当該審決の直後、本件商標権は、株式会社コンフォートヤマモトより有限会社グランボロニヤ(被請求人)に名義変更され今日に至っている。なお、本件商標出願を行った株式会社コンフォートヤマモト(甲第2号証の1)、現在の商標権者である有限会社グランボロニヤ(甲第2号証の2)、更に後述する株式会社ボロニヤ(甲第2号証の3)は、夫々、代表者を同じくし、実質的に同一人が支配している法人である(以下、これらを総称して「本件商標権者」という)。
一方、請求人が出願した引用商標は、当該審決と相前後して、平成15年11月7日に登録となり、また、件外津野庄蔵が出願した「BO-LO′GNE」(第30類)についての登録(登録第4235499号、甲第4号証、以下「ボローニャ商標」という。)は、平成15年6月に請求人への移転登録が完了している。
2 デニッシュ食パンについての「ボロニヤ」関連商標に関する経緯
甲第5号証は、本件商標権者と請求人の関係を中心に、「ボロニヤ」関連商標の経緯を纏めたものである。同号証に示す通り、紆余曲折はあるものの、現在実質上使用されているボロニヤ関連商標は、請求人と本件商標権者のもののみである。
すなわち、請求人は、昭和63年にデニッシュ食パンの新製品を開発して、その製造販売を開始し、これについて当時より「BOLONIYA」の標章を付して現在に至るまで販売をしている。かかる「BOLONIYA」のデニッシュ食パンの販売量が拡大する中で、請求人は、平成6年頃、当時不動産業を営んでいた件外津野庄蔵氏との間で提携関係を結び、製造は請求人、販売は津野氏という形態で「BOLONIYA」のデニッシュ食パンの拡大を図った。しかし、津野氏との提携関係に問題が生じ、平成6年10月には同関係を解消するに至った。津野氏は取得したデニッシュ食パンの製造技術を用い「BOLONIYA」と類似する「BO-LO′GNE」の商標を付してその後も販売を継続したため、両者間で誤認混同を生じることとなり、更に津野氏がボローニャ商標を請求人の「ボロニヤ商標」に僅か1週間先んじて出願したため、更に混乱を重ねることとなった。
しかしながら、請求人は、「ボロニヤ商標」の前記事情に基づき、ボローニャ商標の商標権者(平成14年に件外大同建設株式会社に移転された)と調整し、昨年6月ボローニャ商標の権利を請求人に移転することにより、現在ではその解決が図られている。
3 「ボロニヤ」商標の帰属
以上、概要を説明した通り、「ボロニヤ商標」及びボローニャ商標は、現在、請求人が保有しており、請求人は「ボロニヤ」関連商標を掌握することによって、過去に生じた混同問題を収束させた。
また、説明の通り、「ボロニヤ」関連商標は、請求人が長年自己の製造販売するデニッシュ食パンについて使用し、平成6〜10年頃には大ブームを引き起こして全国で多くの需要者の知るところとなり、請求人の業務上の信用が化体したものと言える。
請求人は、この大ブームの最中である平成6年頃から「ボロニヤ商標」を基にフランチャイズ制度を開始したが、これは現在も継続・拡大している(甲第6号証に現時点でのフランチャイズ店を示す)。なお、本件商標の出願人は拒絶査定不服審判の請求書において、「請求人がボローニヤ商標の無効審判請求において提出した平成12年頃のフランチャイジーの販売店の多くが消滅している」と主張しているが、これは同号証に示す通りフランチャイズ店の構成変更にすぎず、「ボロニヤ」のデニッシュ食パンが現在もなお、需要者に広く知られていることに変わりはない。
したがって、需要者にとって、デニッシュ食パンと「ボロニヤ」の名とは現在も深く関連して記憶されており、「ボロニヤ」商標は、唯一、請求人に帰属するものであり、そのように扱うことが需要者・取引者にとっても最も混乱のない合理的なものであることは明白である。
4 本件商標における「ボロニヤ」の語の採択について
一方、「ボロニヤ」商標について以上の如き事情がある中、甲第5号証に示す通り、前記津野氏との提携解消後である平成7年2月に、請求人は、新たな提携先として本件商標権者を選択し、製造は請求人、販売は本件商標権者という形態で、「BOLONIYA」の商標の使用を本件商標権者(同一視される株式会社ボロニヤ)に許諾して(甲第7号証)、「BOLONIYA」商標の付されたデニッシュ食パンの販売を継続した。しかしながら、その後、本件商標権者との関係に問題が生じ、平成11年8月31日に提携関係を解消することとなった(甲第8号証)。本件商標権者は、その直前である平成11年8月19日に「GRAND BOLONIYA/グランボロニヤ」という本件商標を出願し、現在同商標を付してデニッシュ食パンを販売している。
かかる経緯からも明らかな通り、本件商標は、その構成中に「ボロニヤ」の文字を含むが、商標権者はデニッシュ食パンという請求人と全く同じ商品に「ボロニヤ」の文字を含む商標を使用するものであり、通常であれば、わざわざ請求人が使用してきた「ボロニヤ」の文字を含む商標を本件商標権者が採択する必要はない筈である。
商標権者にすれば、請求人の申出により平成7年から平成10年にかけて、請求人のデニッシュ食パンを「ボロニヤ」の名で販売したという前述の経緯に伴い、その間の営業活動を何らかの形で引き継ぐため、その構成中に「ボロニヤ」の文字を含む本件商標を採択したものと思われる。しかしながら、平成7年から平成10年にかけての請求人と商標権者との関係は、前述の通り販売提携関係に基づき「ボロニヤ」商標の使用を本件商標権者に許諾していたに過ぎず、この間に化体した「ボロニヤ」商標に対する業務上の信用は、「ボロニヤ」商標の権利者である請求人に帰属すべきものである。
したがって、平成11年にかかる販売提携関係を解消し、独自にデニッシュ食パンの製造、販売を開始した商標権者は、「ボロニヤ商標」とは無関係の新規なブランドをもって事業を開始すべきであるし、わざわざ「ボロニヤ」を含む商標を採択することは、結果的に「ボロニヤ商標」について永年請求人が築き上げた業務上の信用を無断で利用することとなるものである。
5 商標法4条1項11号について
「Grand、グラン」の文字については、「雄大な、高級の」等の意を有する親しまれた語であるため、識別力を有せず商標の要部とは捉えないのが一般である(甲第9号証)。また、そのように判断されて「Grand、グラン」の文字を除いた部分との間で類似と判断された例も多い(甲第10号証)。したがって、「グラン〇〇」で特に熟語的な意を有するなど例外的に一体性の認められる商標についてのみ全体として理解することが許されるものである。
また、飲食店(菓子・パンを扱う喫茶店を含む)などでは「グラン○○」という店名はしばしば用いられており(甲第11号証)、これらは高級感を示す語として良い印象を与え、辞書上ではぶどう酒についてしか記載がないとしても、現実の市場では酒類以外のもの、特に食品に関係する市場においては高級感を印象づける表示として理解されているのが実情である。
したがって、特段の事情がある場合は別にして、一般には「グラン」の文字が冠されても類似関係に変化はなく、「ボロニヤ」と「グランボロニヤ」とは類似するものと判断するのが自然である。
加えて、本件商標の場合、前記経緯からも明らかな通り、デニッシュ食パンの分野において長年「ボロニヤ」は特段の識別力を発揮してきたものであり、「グランボロニヤ/GRAND BOLONIYA」の商標に接した需要者がこれを「ボロニヤ」と相紛れることなく理解することは有り得ないものである。
してみれば、本件商標は、引用商標と類似し、商標法4条1項11号に該当するものであるから、その登録は無効とされるべきものである。
6 商標法4条1項15号について
前記の実情を考慮すれば、本件商標は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であって、商標法4条1項15号により無効とされるべきものである。
なお、本件商標権者は、拒絶査定不服審判の請求書において、1999年以降、「ボロニヤ」のデニッシュ食パンを紹介した資料が存在していないと指摘しているが、これは、喫茶店を中心としたフランチャイズ制の強化など請求人の事業形態の変化とボロニヤのブランド自体が一般に浸透したためニュース性には乏しくなったことに伴うもので、「ボロニヤ」ブランドが広く認識されていること自体は何ら変化のないものである。参考までに、近年「ボロニヤ」が紹介された記事を甲第14号証として提出する(この株式会社東京ボロニヤは請求人の東京工場であり、請求人である京栄食品株式会社の代表者と同一人である演田満が代表者である)。
したがって、デニッシュ食パン等において広く知られた引用商標をその一部に含み、識別力の弱い接頭語「グラン」を付しただけの本件商標に接した当該分野の需要者は、当然、請求人の製造販売に係るデニッシュ食パンと何らかの関係があるものと理解するのが当然である。因みに、インターネットで「グランボロニヤ」と「ボロニヤ」を検索してみると、両者を混同している、あるいは間違え易いとの例が複数見られ(甲第15号証)、一般に需要者・取引者はこのように理解するのが自然である。
7 答弁に対する弁駁
(1)ボロニヤ商標の周知著名性について
被請求人自身自認しているように、少なくとも平成11年初頭において、引用商標が需要者間に広く知られた商標であることに疑いようはない。更に、甲第13号証でも明らかな如く、商願平11-92011号に対する平成15年11月10日の拒絶査定においても、食パンに使用して広く知られている請求人の「ボロニヤ商標」が商標法4条1項15号の拒絶理由(平成15年7月29日付け)とされており、その査定時である平成15年11月10日においても「ボロニヤ商標」が広く知られている事情に変化はない。
被請求人は、請求人のフランチャイズシステムについて縷々述べているが、これらは事実無根であることは勿論、引用商標の周知著名性には直接関係しない事情である。平成11年ないし平成15年という近年においても需要者間に広く知られている「ボロニヤ商標」がその後の数年間において急速に周知著名性を失い、誤認混同のおそれが無くなるほど需要者の記憶の内から忘れ去られることなど通常あり得ない。
(2)「ボロニヤ」と「グランボロニヤ」との誤認混同について
甲第15号証のインターネット上で見られたこのような誤認混同の例は、請求人が意図したものではなく、需要者らの生の声である。
参考までに、現在販売されている請求人の商品と被請求人の商品を示す(甲第16号証、同第17号証)。この両商品を見て、誤認混同のおそれがないとは到底いえない。このような両商品を市場に並存させておけば、再び「ボロニヤ商標」に関する混乱を招き、需要者・取引者の利益を損なうことは明白である。
8 まとめ
以上のとおり、本件商標は、請求人の「ボロニヤ」商標に深く関係していた株式会社ボロニヤと同一視できる株式会社コンフォートヤマモトによって出願されたものであって、しかも、本件商標と引用商標とは類似関係にあり、また、同種のデニッシュ食パンに対し両商標は使用されており、誤認混同及びそのおそれのあるものである。
よって、本件商標の登録は、商標法46条1項の規定により無効とされるべきである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第20号証を提出した。
1 はじめに
請求人は、本件商標は商標法4条1項11号及び同15号に該当すると主張しているが、平成6年ないし10年頃に注目されたボロニヤブームは、本件商標に対する登録審決時にはすでに過ぎ去っていたものである。
なお、請求人は、本件商標の出願人「株式会社コンフォートヤマモト」、本件商標を譲り受けた「有限会社グランボロニヤ」及び「株式会社ボロニヤ」の代表者が同一人であることを理由に、これらを本件商標権者と総称しているが、「株式会社ボロニヤ」は、請求人の元フランチャイジーであって本件商標とは無関係である。したがって、請求人がこれらの法人を「本件商標権者」と総称するのは不適当である。
2 請求人のフランチャイズシステムの崩壊
平成11年の初頭には、ボロニヤ商標が需要者間に広く知られた商標であったことは、無効審判2000-35128号審決において認定されており、被請求人も争わない。
請求人は、地域割りに従って次々とライセンス契約を締結していったが、商標「BO-LO′GNE」が登録第4235499号として登録されたことを発端として、請求人の商標「ボロニヤ」の使用の独占性に支障を来すこととなり、ライセンシーに商標「ボロニヤ」の使用を義務付けている請求人の契約違反問題が表面化することとなった。
株式会社ボロニヤは、請求人との間でフランチャイズ契約(甲第7号証)を交わしていたが、契約商標「ボロニヤ」の使用の独占性の不担保、商品の製造販売等に対する助言指導等の不実施、販売地域割りの不遵守、出向者である濱田豊氏(請求人の代表取締役濱田満の長男)の職場放棄など、請求人側の数々の契約違反が問題となり、該ライセンス契約は解約されることとなったのである(乙第1号証ないし同第4号証及び甲第8号証参照)。
請求人による契約違反の問題は、株式会社ボロニヤのみならず、他のライセンシーとの間でも順次問題化し、請求人とのライセンス契約は次々と解約されていった(乙第5号証ないし同第10号証)。
請求人は、登録第4235499号商標「BO-LO′GNE」に対する無効審判請求事件(無効2000-35l28)において、請求人のフランチャイジーである販売店の一覧を示している。しかし、被請求人がこの一覧表に掲載されている店(店舗数147店)が現存しているか否かについて確認をとったところ、現存していたのは11店舗、消滅していたのは103店舗、現存が不明なものは33店舗であった(乙第11号証)。
そして、請求人は、上記のフランチャイジーの消滅をフランチャイズ店の構成の変更に過ぎないとしているが、乙第11号証に示されたフランチャイジーと新フランチャイジーとの関係が不明であるし、構成が変更されたフランチャイズシステムの全容は何一つ明らかにされていない。
3 商標の使用状況の変化
上述のように、請求人のデニッシュ食パンのフランチャイズシステムにおいては、平成11年頃からトラブルが続出して撤退者が増えたため、デニッシュ食パンの生産量が極端に減少した。平成11年以降には「ボローニャ」や「ボロニヤ」のデニッシュ食パンが新聞や雑誌等に全く取り上げられることもなくなったことからも窺い知ることができる(乙第12号証ないし同第17号証)。
なお、請求人は、雑誌「国際ジャーナル」の記事を甲第14号証として提出しているが、この雑誌は、取材料を支払う対価として記事を掲載するスタイルの雑誌である。この種の記事は、一般の取材記事ではなく、広告記事に類するものであるから、請求人やその商標について第三者が作成した記事と同等に評価することはできない。ちなみに、被請求人も被請求人の代理人もこの雑誌社から取材申し入れを受けたことがあるが、取材費として7万円の支払いについて打診があったため両名とも取材を拒否した経験がある。
4 請求人の収益について
乙第18号証として提出するデータ表は、帝国データバンク株式会社が調査して作成した請求人株式会社の会社概要を示したものである。
このデータによれば、平成11年の売上は、翌年にはほぼ半分となり、平成14年には約三分の一となっている。この売上げ額低下の推移は、フランチャイジーが続々と契約を解約してきている点と符合している。パン製造業のランキングをみても、全国では751社中498位であり、京都では14社中11位にすぎない。
5 商標法4条1項11号について
上述したフランチャイズシステムの崩壊、デニッシュ食パンの売り上げの低下、商標「ボロニヤ」についての雑誌の掲載状況を勘案すると、平成7年頃に行列ができるほどの隆盛を誇り、京都ではトップクラスであったボロニヤ商標の環境は大きく変貌を遂げていて、昔の面影はなく、その認知度も他のベーカリーに比べて高いものとはいえない状況となっているのは明らかである。
そして、「グラン」は、「大きい、偉大な」等を意味するフランス語であるが、商品の「高級感」をイメージさせる一般的な用語としては位置づけられていない。被請求人は、商品「酒類」においては「グラン」が商品の品質や等級を表示するために使用されている事実を争うものではない。請求人提出の甲第10号証の3の判決においては、「フランスのワイン・コニャック・ブランデー等において、高級品であることを誇示的に表示する語として使用されることが少なくないことが認められる」と認定されている。甲第10号証の1も「酒類」を指定商品とした商標についての審決例である。古くは審判昭56-12664号審決(審決日:昭和62年12月17日)において、「商品『酒類』を取り扱う業界においてはその商品の品質を誇示するものとして、しばしば用いられているのが実情である」と認定されているのである(乙第19号証参照)。
しかし、「グラン」の語は、酒類の取引業界においては、商品の高級感を表す表示と認められているものの、特級・金賞・ロイヤル等のようにあらゆる業界において一般的に用いられる品質表示語として位置づけることはできない。いわんや、菓子やパンの業界において「グラン」が商品の高級感をイメージさせる用語であると認識されていないし、高級感を誇示するために用いられている事実も存在しない。
なお、甲第10号証の2は、商標の構成上「AFTERNOON TEA」が商標の要部として抽出される事案であって、本件商標とは事案を異にするものと言わなければならない。
上述の点から明らかなように、本件商標「GRAND BOLONIYA/グランボロニヤ」の語頭の「GRAND/グラン」が菓子、パン、調味料等の指定商品の品質や等級を表示するものは認められず、また、本件商標と引用商標「ボロニヤ」との類否を判断するに当たり、本件商標から語尾の「ボロニヤ」を分離抽出しなければならないほど引用商標が需要者に広く認識されていたとも認められないから、本願商標の語尾を構成する「BOLONIYA/ボロニヤ」を分離抽出する合理的理由は見当たらない。
そうとすれば、本件商標は、商標を構成する欧文字及びカタカナ文字がいずれも同書、同大、等間隔に一連に表示されており、看者はこれを一体的に把握して一つの商標であると認識することになる。また、カタカナ文字は、欧文字の読みを素直に表したものであって無理なく看取され、その称呼も全体として冗長とは言えず、無理なく一気に称呼し得るものであるから、本件商標はその構成文字に相応して、「グランボロニヤ」なる称呼のみが生じる創造語であると言わなければならない。
本件商標から生じる称呼「グランボロニヤ」と引用商標から生じる称呼「ボロニヤ」とを対比してみると、音数の相違から語韻、語調が相違することは明らかである。本件商標が創造語であって特定の観念を持たないのに対して引用商標からはイタリヤのボロニヤ地方を想起させるから、両者は共通の観念を持たない。また、外観は明らかに相違している。
したがって、両商標を互いに類似する商標であるとすることができないから、本件商標に商標法4条1項11号を適用してその登録を無効とすることはできない。
6 商標法4条1項l5号について
上述の点から明らかなように、本件商標に対する登録審決時において、引用商標が需要者に広く認識されていたとは認められない。
また、本件商標と引用商標とは、互いにその指定商品であるパンに現に使用されているが、その出所において混同が生じて取引者・需要者に不利益を与えた事実はないし、将来において出所の混同が生じるおそれもない。
請求人は、インターネット上の書き込みを甲第15号証として提出して混同が生じていることを主張している。しかしながら、この種のインターネット上の書き込みは、ニックネームやハンドルネームが使用されているから、いわば匿名状態の書き込みとなり、無責任に面白おかしく書き込まれることが多いものであって、わずか数名のこの種の書き込みによって、本件商標を付した商品と引用商標を付した商品とが出所において混同が生じているとは到底認めることができない。
したがって、本件商標に商標法4条1項15号を適用してその登録を無効とすることもできない。

第5 当審の判断
1 商標法4条1項11号について
本件商標は、前記したとおり、「GRAND BOLONIYA」の欧文字と「グランボロニヤ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるものであるところ、「GRAND」の語は「雄大な、壮大な」等の意味を有する英語であり、「グラン」と称呼される仏語とも認められるものである。また、「ボロニヤ」の文字からは、「ボローニャ」あるいは「ボロニヤ」と称呼されるイタリア北部の都市「Bologna」を想起させる場合があるとしても、英語、仏語、独語、伊語を含めて、「BOLONIYA」の綴りからなる成語は見出せない。
しかして、本件商標は、その構成中の上段及び下段の各文字は、いずれも軽重の差もなく、まとまりよく一連に表されているものであって、外観上一体的なものとして認識されるものである。そして、下段に書された「グランボロニヤ」の片仮名文字は、上段に書された「GRAND BOLONIYA」の欧文字の読みを表したものと無理なく認識されるものであり、これより生ずる「グランボロニヤ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、かかる構成において、その構成中の「GRAND/グラン」の文字がその指定商品との関係において、高級感を印象づけさせる品質又は等級等を表示したものとして、直ちに理解されるものともいい難いものである。 してみれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して「グランボロニヤ」の称呼のみを生ずる特定の意味合いを認識させることのない造語よりなるものというのが相当であって、その構成中の後半部の「BOLONIYA/ボロニヤ」の文字部分のみが独立して、需要者の注意を惹くものということはできない。
他方、引用商標は、前記したとおり、「BOLONIYA」の欧文字と「ボロニヤ」の片仮名文字とを二段に横書きした構成よりなるものであるから、その構成文字に相応して「ボロニヤ」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標より生ずる「グランボロニヤ」の称呼と引用商標より生ずる「ボロニヤ」の称呼とを比較するに、両称呼は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭部分において、「グラン」の音の有無という音構成上の明らかな差異を有するものであるから、これらをそれぞれ一連に称呼するも、互いに紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
また、上記のとおり、少なくとも、本件商標は、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、互いの観念については、比較すべくもないものであり、両商標は、前記のとおりの構成からなるものであるから、外観においても明らかな差異を有するものである。
この点について、請求人は、「Grand/グラン」の文字については、「雄大な、高級の」等の意を有する親しまれた語であるため、識別力を有せず、商標の要部とは捉えないのが一般であるとして、甲第9号証及び同第10号証を提出し、また、飲食店(菓子・パンを扱う喫茶店を含む)などでは「グラン○○」という店名はしばしば用いられているとして、甲第11号証を提出して、これらは高級感を示す語として良い印象を与え、辞書上ではぶどう酒についてしか記載が無いとしても、現実の市場では酒類以外のもの、特に食品に関係する市場においては高級感を印象づける表示として理解されているのが実情であるから、本件商標からは「ボロニヤ」の称呼をも生ずる旨主張している。
しかしながら、「Grand」の語は、例えば、株式会社三省堂発行「コンサイス英和辞典」によれば、「grand・father、grand・mother、grand・piano、grand・jury、grand・slam」等の用例が掲載されており、株式会社三省堂発行「クラウン仏和辞典」によれば、「grand・maman、grand・papa、grand・vin」等の用例が掲載されているが、菓子やパンの品質を表すものとしての用例は見当たらない。また、甲第9号証の審決(昭和47年審判第7704号)は文房具類の「ファイル」に関してなされた審決であり、甲第10号証の1の審決(昭和62年審判第18507号)は、「酒類」を指定商品とした商標についての判断であり、甲第10号証の3の判決(昭和59年(行ケ)第14号)もフランスのワイン・コニャック・ブランデー等において、高級品であることを誇示的に表示する語として使用されることが少なくないことが認められる旨認定しているものである。そして、甲第10号証の2の審決(2000年審判第2283号)は、本件商標と同じ「菓子及びパン」を含む第30類の商品に関してなされた審決ではあるが、必ずしも、「Grand」の文字がその指定商品の品質を表示すると認定しているものとは認められない。
また、甲第11号証は、専ら、飲食店等の店名に「グラン」の文字が用いられている例であって、直ちに、本件の判断の参考になるものとは認められない。
そうとすれば、「GRAND/グラン」の文字は、ぶどう酒等の酒類については、商品の高級感を表すための表示として使用されているとしても、菓子やパンの業界において、商品の高級感を表示するために用いられているという事実は認められないから、この点についての請求人の主張は採用できない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は商標法4条1項11号に該当しない。
2 商標法4条1項15号について
(1)請求人使用商標の著名性の有無について
(ア)請求人は、請求人の使用に係る「BOLONIYA」あるいは「ボロニヤ」の商標(以下「請求人使用商標」という。)の著名性を立証するものとして、甲第6号証、同第12号証ないし同第15号証の4(枝番を含む)を提出している。
しかして、本件商標は、前記したとおり、平成11年8月19日に登録出願され、同16年2月16日に登録審決がなされたものであるから、本件商標が商標法4条1項15号に該当するといい得るためには、本件商標の出願時である平成11年8月19日の時点において、請求人使用商標がその取り扱いに係るパンの取引者・需要者間において広く知られていたばかりでなく、その登録審決がなされた同16年2月16日当時においても、引き続き、請求人使用商標が取引者・需要者間に広く知られていたことを要するものである。
そこで、請求人提出の上記甲各号証をみるに、甲第6号証は、平成16年8月13日現在の請求人のフランチャイズ店リストである。
請求人は、請求人使用商標を基にしたフランチャイズ制度が現在も継続・拡大している旨主張しているが、国内における請求人のフランチャイズ店として記載されているのは、株式会社東京ボロニヤ(東京都新宿区)、株式会社キタカタ(新潟市)、有限会社ボロニヤ四国(徳島市)及びアイデア学苑総業株式会社(北海道深川市)の4社にとどまるものであり、請求人使用商標の周知・著名性を認めるには、些かその数が少ないものといわざるを得ない。また、株式会社東京ボロニヤの欄には、直営店として、新宿本店、銀座ナイン店、東京工場店が記載されており、量販店として株式会社イトーヨーカ堂(約100店舗)、西友、長崎屋等が挙げられており、その他に、東日本キヨスク株式会社(JR有楽町駅、JR東京駅、JR新橋駅)が記載されているが、これらの量販店等の全てにおいて、請求人の商品が販売されていたとしても、全体の販売数量、売上高等を示す証拠も提出されておらず、しかも、量販店においては、他社のパンも数多く販売されているのが実情であることをも併せみれば、甲第6号証をもって、請求人使用商標の、本件商標の登録出願時である平成11年8月19日以降その登録審決時である同16年2月16日の間の、周知・著名性を認めることは困難である。
甲第12号証は、件外甲の所有であった登録第4235499号商標「BO-LO’GNE」に係る無効審判事件の審決であり、本件と同じ請求人(京栄食品株式会社)が請求人使用商標を引用して争われたものである。審決によれば、「請求人の使用に係る『BOLONIYA』『ボロニヤ』の商標は、平成元年に請求人により開発され、平成5年ころには行列のできるほど人気となった店として評判になり、バターをたっぷり使いパイのように何層にも折り重ねていることを特徴とする製造方法により請求人によって製造されたデニッシュ食パンを表示するものとして、本件商標(登録第4235499号商標)の登録出願時及び登録時においても取引者・需要者間において広く認識され、著名になっていたものと認めることができる。」と認定され、甲所有の商標は、商標法4条1項10号及び同15号に該当し、当該登録を無効とする旨の審決がなされている(なお、その後、当該商標権は平成15年6月12日に請求人へ移転され、当該審判請求も平成15年7月2日に取下げられている)。
しかしながら、この審決は、あくまでも、請求人使用商標が甲所有の商標が出願された平成8年5月21日ないし登録査定がなされた平成10年12月14日当時において、周知・著名であったことを認定したものであって、その後においても、請求人使用商標が取引者・需要者間において広く知られていたことを立証し得るものではない。
請求人は、その後においても、請求人使用商標が取引者・需要者間において広く知られていたとして、甲第13号証の審査例を提出している。
甲第13号証は、「BO-LO’GNE/COLLAGEN」の構成からなる商願平11-92011号商標の審査書類であり、確かに、当該出願に係る商標が請求人使用商標との関係において、商標法4条1項15号に該当するものとして、平成15年11月10日付けで拒絶査定されていることを認めることができる。
しかしながら、該出願については、拒絶理由通知に対して出願人が何らの反論もしなかったこともあって、拒絶査定となったものであり、少なくとも、審査・審判において、その事実関係が争われた結果の判断ではないから、甲第13号証の審査例があるからといって、直ちに、該出願の拒絶査定がなされた平成15年11月10日の時点においても、請求人使用商標が周知・著名であったと認定できるものではなく、あくまでも、一つの審査例にとどまるものというべきである。
甲第14号証は、株式会社国際通信社発行の「国際ジャーナル」2003年6月号であり、株式会社東京ボロニヤの代表取締役社長濱田満のインタビュー記事が掲載されており、「ボロニヤの食パン」についても語られている。
しかしながら、その記事内容は、専ら、代表取締役社長濱田満自身の話とその話に基づいた記事が掲載されているにすぎないものであって、雑誌社による独自の市場調査等に基づく、客観性のある記事とは性質を異にするものというべきである。被請求人の答弁書によれば、この雑誌は、取材料を支払う対価として記事を掲載するスタイルの雑誌である旨の主張もあるところである。
甲第15号証の1ないし4は、個人の書き込み記事が掲載されているインターネットホームページデータであり、ボロニヤあるいはグランボロニヤに纏わる短いコメントが記載されている。
しかしながら、僅か数名の者による書き込み記事であって、単に、個人的な感想が述べられているにすぎないものであるから、これらの記事をもって、両商標の混同の有無を判断し得る程の資料ということはできない。
しかも、甲第15号証の1には「おなじみ、グランボロニヤのデニッシュ食パン・・・」とあり、甲第15号証の2には「手作りデニッシュの店 グランボロニヤ 京都祇園、大変高価な(?)食パン(デニッシ食パンプレーン3斤1260円)を売っていることで有名なお店。・・・」とあり、甲第15号証の3には「祇園ボロニヤじゃなくて、グランボロニヤのデニッシュ・・・うまかったのでキャラメルのデニッシュも買ってきました。・・・グランボロニヤ今まで勘違いしてた。ボロニヤこっちは違うみたい。」等の如く記載されている。このことからみれば、書き込みがされた2003年から2004年当時においては、書き込みをした者にとっては、むしろ「グランボロニヤ」についての印象・認識の方が強くなっていたとさえいえるものである。
次に、請求人も反論していない被請求人の提出に係る乙号証をみるに、乙第1号証ないし同第4号証は、請求人と株式会社ボロニヤとの間で交わされた平成11年4月20日ないし平成12年4月4日の間の日付のある「覚書」や「回答書」等であり、乙第5号証及び同第6号証は、請求人と有限会社九州ボロニヤとの間の平成12年5月15日付の「催告書」と平成12年6月5日付の回答書であり、乙第7号証及び同第8号証は、請求人と有限会社八天堂との間の平成9年11月25日付の「契約書」と平成12年2月16日付の「解約申入書」であり、乙第9号証と同第10号証は、請求人と熊本真知子との間の平成10年9月4日付の「契約書」と平成12年5月31日付「解約合意書」である。
これらの乙各号証によれば、請求人が各社との間で締結していた請求人使用商標を使用したデニッシュ食パンの製造・販売に関する提携は、株式会社ボロニヤとの間の提携ばかりでなく、有限会社九州ボロニヤ、有限会社八天堂、熊本真知子との間の提携も次々に解消されていったことが認められる。
乙第12号証は柴田書店発行「カフェ・スイーツ」2001年5月号、乙第13号証は角川書店発行「月刊シュシュ関西」2003年4月号、乙第14号証は京都新聞社発行「トマトマガジン」2003年5月号、乙第16号証は京阪神エルマガジン社2003年10月1日発行「秋の京都本」、乙第17号証はぴあ株式会社2003年10月20日発行「京都ぴあ秋」であり、いずれも最近発行されたパンを特集している雑誌等であるところ、これらには「憧れのパン屋さん・都心の大繁盛パン屋さん」、「街で人気のパン屋さん」、「老舗のパン屋さん及び実力のパン屋さん」、「京都のパンコレクション」等々の特集記事が掲載されているが、請求人使用商標に係るデニッシュ食パンについての記事は見当たらない。
また、乙第18号証は、帝国データバンク(株)作成の2003年9月29日付け会社概要データであり、これによれば、請求人における平成11年の売上は、翌年にはほぼ半分となり、平成14年には約三分の一となっており、パン製造業の売上高ランキングも全国では751社中498位、京都では14社中11位であることが認められる。
(イ)上記において認定した事実を総合してみれば、請求人は、昭和63年にデニッシュ食パンの新製品を開発し、これに請求人使用商標を使用して製造・販売を開始した。平成5年頃には行列のできるほど人気となった店として評判になり、平成6年頃から請求人使用商標を基にしたフランチャイズ制度を開始し、当時の雑誌や書籍には、請求人の製造販売するデニッシュ食パンが盛んに紹介されており、請求人使用商標は、甲第12号証の審決において認定されているように、登録第4235499号商標が出願された平成8年5月21日ないし登録査定がなされた平成10年12月14日当時においては、請求人の業務に係るデニッシュ食パンの商標として、取引者・需要者間において広く知られていたものということができる。
しかしながら、その後の状況をみるに、請求人が請求人使用商標の著名性を立証するものとして提出しているのは、上記したとおり、甲第6号証、同第12号証ないし同第15号証の4(枝番を含む)のみであって、これらの証拠をもってしては、本件商標の登録審決時である同16年2月16日における請求人使用商標の著名性を認めるのは困難である。この点、請求人は、甲第12号証の審判事件においては、その全てが請求人使用商標の著名性を立証するためのものではないとしても、甲第1号証から同第337号証(甲第170号証ないし同第200号証は欠号)という数多くの証拠を提出していたこととは対照的である。このことは、著名性を裏付けることのできる事実自体が著しく減少してしまっていることを推認させるものであり、被請求人の提出に係る乙号証により認定した上記事実は、そのことを如実に物語っているものということができる。
そうとすれば、平成5年頃には行列のできるほどの人気の店として評判になり、広く知られていた請求人使用商標も、その著名性は次第に失われ、本件商標についての登録審決がなされた平成16年2月16日の時点においては、既に、請求人の業務に係るデニッシュ食パンを表示するものとして取引者・需要者間において広く知られていたとはいい得ない状態になっていたものとみるのが相当である。
(2)出所の混同について
本件商標と請求人使用商標とは、前記した本件商標と引用商標についての判断と同様の理由により、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるばかりでなく、上記のとおり、本件商標の登録審決時においては、請求人使用商標は請求人の業務に係るデニッシュ食パンを表示する商標として、取引者・需要者の間に広く認識されていたものとは認められないものであるから、被請求人が本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者をして請求人使用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
(3)広義の混同について
本件の場合、本件商標と引用商標との類似性の程度や引用商標の周知著名性についての判断は前示したものであるが、さらに、本件事案について、「商標法4条1項15号にいう『他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標』は、いわゆる広義の混同を生ずるおそれがある商標をも包含する。」と判示した、最高裁判決(平成12年7月11日 第三小法廷判決 平成10年(行ヒ)第85号 審決取消請求事件 最高裁ホームページ参照)に照らし、広義の混同を生じさせるものであるかについて検討する。
上記最高裁判決は、広義の混同について、「同号(15号)の規定は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであるところ、その趣旨からすれば、企業経営の多角化、同一の表示による商品化事業を通して結束する企業グループの形成、有名ブランドの成立等、企業や市場の変化に応じて、周知又は著名な商品等の表示を使用する者の正当な利益を保護するためには、広義の混同を生ずるおそれがある商標をも商標登録を受けることができないものとすべきであるからである。」と判示している。
しかるところ、本件商標権者は、平成16年3月19日に特許庁長官に対する届出をもって、本件商標についての登録を受ける権利を件外「コンフォートヤマモト」から譲り受けているところであるが(譲渡契約日平成16年3月12日)、この期日は、本件商標登録出願に関する登録審決後であって、この頃における引用商標の周知著名性は、前記(1)で認定したように、それが継続していたとはいえないから、被請求人が、引用商標の「ただ乗り」ないし「希釈化」を意図して、本件譲渡を受けたということはできないものである。
また、本件商標登録出願の当初の登録出願人である、件外「コンフォートヤマモト」の本件商標登録出願の意図についてみるに、甲第5号証に示された、請求人と件外「コンフォートヤマモト」との事業展開の経緯、甲第7号証及び同第8号証、ならびに乙第1号証ないし同第10号証に示された請求人と件外他社との事業契約に関する書面の内容に照らせば、件外「コンフォートヤマモト」が本件商標を登録出願するに際して、引用商標の「ただ乗り」ないし「希釈化」を意図していたということもできないものと判断するのが相当である。
さらに、その後の経過においても、本件商標が、引用商標に「ただ乗り」し、ないしは、その「希釈化」をきたしたとするに足りる証拠、また、請求人と被請求人の取り扱うデニッシュパンとの間において出所の混同が生じていたとするに足りる十分な証拠も存在しない。
そうとすれば、本件商標は、引用商標との関係において、上記最高裁判決が判示する「広義の混同」を生ずる商標ということはできないものである。
したがって、本件商標は商標法4条1項15号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法4条1項11号及び同15号に違反してされたものではないから、同法46条1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-07-01 
結審通知日 2005-07-06 
審決日 2005-07-20 
出願番号 商願平11-75183 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (Z30)
T 1 11・ 262- Y (Z30)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 宮川 久成
山本 良廣
登録日 2004-07-02 
登録番号 商標登録第4782549号(T4782549) 
商標の称呼 グランボロニヤ、グランドボロニヤ 
代理人 肥田 正法 
代理人 村田 紀子 
代理人 徳岡 修二 
代理人 武石 靖彦 
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