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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 036
管理番号 1123136 
審判番号 取消2000-31251 
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-10-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-10-20 
確定日 2005-08-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第3351300号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3351300号商標(以下「本件商標」という。)は、「BANK OF TOKYO」の文字を横書きしてなり、特例の適用を主張して平成4年9月29日に登録出願、第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,金利・通貨スワップ取引,金利・通貨オプション取引,金融に関する情報の提供,財務に関する助言・援助,国債・地方債若しくは政府保証債の引受け又は当該引受けに係る国債等の募集の取扱い,国民金融公庫その他大蔵大臣の指定する者の業務の代理,国・地方公共団体等の公金収納事務の取扱い,ガス・電気・水道・電話料金の支払いの取次ぎ,外国において募集する物上担保付社債に関する信託の引受け」を指定役務として同9年10月9日に特例商標として設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)本件商標は、その指定役務について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)被請求人提出の証拠の否定
被請求人提出の証拠は、全てコピーと思われるにもかかわらず、被請求人は、答弁書の証拠欄に標目を羅列するのみで証拠がコピーであることを明示していない。
また、被請求人は、証拠の原本を提出する用意をしていないばかりか、原本を提出しない理由も説明しておらず、乙各号証の成立時期及び作成者も示しておらず、立証の趣旨も説明していない。
(3)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア)乙第1号証(旧東京銀行の5年物債券リットーの見本券)
被請求人は、乙第1号証を基に実際の債券に本件商標を使用している旨主張している。
しかし、乙第1号証の発行時期及びそれがどのように使用されたのかが立証されていない。
また、被請求人は、乙第1号証を基に本件商標の使用を主張するにもかかわらず、実際の債券に本件商標を使用した立証をしていない。
請求人提出の甲第3号証(平成8年3月18日付けの日本経済新聞記事)には、被請求人主張の「第53回五年東京銀行債券」が平成8年4月1日以降「第53回五年東京三菱銀行債券」に読み替えられる旨公告されている。
したがって、債券上に表示されている「東京銀行」の名称は、その表示のまま使用されているものではなく「東京三菱銀行」に読み替えられて使用されている。
(イ)乙第2号証(旧東京銀行発行のキャッシュカード)
被請求人は、乙第2号証のキャッシュカードが現在でも被請求人の銀行で使用されていると主張する。
しかし、キャッシュカードは、預金口座からの預金の出し入れをATM(自動窓口機)で行う際に、預金通帳の補助として使用されるものであり、預金通帳と一体のものとして取り扱われている。
そして、乙第5号証及び乙第6号証(いずれも被請求人のパンフレット)には、旧東京銀行の通帳は、平成8年9月頃までに東京三菱銀行の新通帳に切り替えて使用する旨が記載されている(乙第5号証のQ2及び乙第6号証のQ2等)。
キャッシュカードは、通帳での預金の出し入れの補助として使用されるものであって、乙第2号証の基になる通帳は、東京三菱銀行の新通帳に切り替わっている筈であるので、乙第2号証の使用が預金の口座からの預金の出し入れの際に本件商標を使用したことになるものではない。
また、キャッシュカードを利用してATMで預金を出し入れした場合に、取引書類(使用明細)には本件商標が使用されておらず、「東京三菱銀行」という表示がなされている。
しかも、預金者がキャッシュカードを紛失や破損等した場合に、代わって発行されるのは東京三菱銀行のキャッシュカードであり、乙第2号証のキャッシュカードが再発行されることはない。
したがって、キャッシュカードにおける「東京銀行」の表示は、本件商標の使用を立証するものではない。
(ウ)乙第3号証の1及び2(旧東京銀行発行の乙第2号証の前身のキャッシュカード等)
被請求人は、乙第3号証の1が乙第2号証の前身のキャッシュカードであると主張するとともに、乙第3号証の2が乙第3号証の1(乙第2号証の前身のキャッシュカード)の現存(流通)枚数を示すものであって、昭和63年10月以前に乙第2号証のキャッシュカードに移行していない枚数が62,720枚あった旨記載している。
しかし、乙第3号証の1には、「BANK OF TOKYO」の文字の記載がない。
また、乙第3号証の1のキャッシュカードを紛失や破損等した場合でも、代わって発行されるのは東京三菱銀行のキャッシュカードであり、乙第2号証のキャッシュカードは再発行されない。
したがって、キャッシュカードの表示は、本件商標の使用を立証するものではない。
(エ)乙第4号証(旧東京銀行発行の振込カード)
被請求人は、乙第4号証が旧東京銀行発行の振込カードであって、現在でも被請求人の銀行で使用されていると主張している。
しかし、乙第4号証には、「BANK OF TOKYO」の文字の記載がない。
したがって、乙第4号証では本件商標の使用が立証できない。
(オ)乙第5号証及び乙第6号証(被請求人のパンフレット)
被請求人は、乙第5号証及び乙第6号証がともに被請求人のパンフレットであると主張している。
しかし、乙第5号証及び乙第6号証には、「BANK OF TOKYO」の文字の記載がない。
なお、このパンフレットには、平成8年4月1日から銀行名「東京銀行」銀行コード(0015)が「東京三菱銀行」(0005)に切り替わることが記載されており、従来の通帳や証書は、原則として新通帳に切り替えなければならないこと、一部の従来の通帳や証書は、例外的に、その通帳や証書の取引店のみで使用できるとの取り扱いになることが記載されている。
換言すれば、切り替え日を過ぎた従来の通帳や証書は、合併後の新銀行の国内全店では取り扱うことができず、特定の取扱店である1店舗のみで使用することができることが示されているのである。
したがって、上記切替え期間後使用できる通帳や証書は、ユーザーと特定の1店舗との間でのみ通用する特定の債権を証明する書類に性質が変更するのであって、従来と同様の通帳や証書として使用されるものではない。
それゆえ、これらに本件商標が付されていても、登録商標の使用とはならない。
(カ)乙第7号証の1ないし乙第9号証の2(トラベラーズチェック等)
乙第7号証の1は、「BANK OF TOKYO」と表記されたVISAトラベラーズチェックの見本であり、乙第7号証の2は、「BANK OF TOKYO」のトラベラーズチェックを2000年11月30日に使用したことを示す使用済証である。
乙第8号証の1は、「THE BANK OF TOKYO,LTD」と表記されたトラベラーズチェックの見本であり、乙第8号証の2は、表面に「THE BANK OF TOKYO,LTD」と表記され、裏面に「東京銀行」と表記されたトラベラーズチェックであり、平成12年12月13日に交換請求があったことを示す交換請求印が付されているものである。
乙第9号証の1は、被請求人の販売済みトラベラーズチェック未換金リスト(2000年12月8日作成)であり、乙第9号証の2及び3は、乙第9号証の1のトラベラーズチェックの見本である。
しかし、「トラベラーズチェックの発行」は、本件商標の指定役務として記載されていない。したがって、「トラベラーズチェックの発行」は、本件商標の使用とはならない。
さらに、付言すると、乙第7号証の1、乙第8号証の1、乙第9号証の2及び3のトラベラーズチェックの見本券は、その成立時期が不明であり、また、どのように使用されたのかも不明である。
さらに、乙第7号証の2及び乙第8号証の2のトラベラーズチェックについては、発行日が不明である。しかも、これらは外国での使用であり、なおかつ、乙第8号証の2には、「THE BANK OF TOKYO,LTD」と表記されており、本件商標(BANK OF TOKYO)は使用されていない。
(キ)乙第10号証及び乙第11号証(東京銀行の債券ワリトー等)
被請求人の主張によれば、乙第10号証及び乙第11号証は、旧東京銀行の債券ワリトーに関するものであり、乙第10号証の1は、被請求人の債券関連勘定残高表(107回 2000年12月1日現在)であって、乙第10号証の2は、乙第10号証の1(107回債券)の見本であり、乙第11号証は、被請求人の割引東京銀行債券(29回 平成12年12月12日支払済)である。
通常、この種の割引東京銀行債券(ワリトー)は、請求人提出の甲第3号証(平成8年3月18日付けの日本経済新聞)及び甲第4号証(平成8年3月28日付けの日本経済新聞)の各公告に記載されているように「割引東京三菱銀行債券」に読み替えられている。
乙第11号証の償還日は、昭和48年10月27日となっており、その後、27年経過し、消滅時効となっている債券を被請求人の会社が支払ったことになるので、通常の債券の発行とは別の例外的取り扱いといわざるを得ず、本件商標が使用されたことにはならない。
いずれにせよ、この種の割引東京銀行債券(ワリトー)は、「割引東京三菱銀行債券」に読み替えられて使用されているものである。よって、被請求人の主張には理由がない。
(ク)乙第12号証の1ないし3
乙第12号証は、「BTMケイマン・ファイナンス・リミテッド」発行の「ユーロ円建任意交換権付永久劣後債」及び「東京三菱銀行」発行の平成15年満期の「ユーロ円建転換社債」の期限前償還実施に関する書面である。
乙第12号証の1は、被請求人の「BANK OF TOKYO-Mitsubishi News Release」和文版であり、乙第12号証の2は、乙第12号証の1の英文版であり、乙第12号証の3は、その新聞広告の「COMPANIES&FINANCE:ASIA-PACIFIC」である。
この「期限前に償還する転換社債の内容」欄には、旧東京銀行発行のユーロ円建転換社債の発行者として「(1)発行者 株式会社東京三菱銀行」と記載されており、発行者の読み替えが行われていることを示している。
そして、この乙第12号証では、本件商標がどのように使用されたのかが不明である。
(ケ)乙第13号証
乙第13号証は、旧東京銀行作成の荷為替信用状に関する統一規制及び慣例の説明書(平成5年9月1日発行)である。
しかし、乙第13号証は、合併前(7年前)の書類であって、合併後4年経過しており、未だに旧東京銀行の説明書が頒布又は展示されているというのは不自然であり、その使用についての証明もない。
(コ)乙第14号証の1及び2(平成13年1月9日付けの第二答弁書に添付のもの)
乙第14号証は、旧東京銀行の株券に関するものであって、乙第14号証の1は、被請求人の提示に係る「株式会社東京銀行株券」の見本であり、乙第14号証の2は、乙第14号証の1の株券提出状況リストである。
被請求人は、乙第14号証の1に表示された「BANK OF TOKYO」の文字が広告のための表示であると主張している。
しかし、乙第14号証の1(株式会社東京銀行株券の見本)の発行時期は不明であり、これがどのように使用されたのかも不明である。
さらに、旧東京銀行は、合併による消滅会社であり、旧東京銀行の株主は、合併新株引受人となっている。
また、旧東京銀行の株券については、平成8年3月31日が株式併合に伴う株券の提出期間であり、合併時点で旧東京銀行の株券は失効している。
したがって、乙第14号証は、本件商標を使用していることにはならない。
(サ)乙第15号証
乙第15号証は、前述の乙第1号証(五年東京銀行債券)の代用証書というものである。
しかし、前述のように、乙第1号証は、合併日以降「五年東京三菱銀行債券」に読み替えて流通していたので、本件商標の使用とはならない。
また、この代用証書自体は、取引界に流通するものではなく、特定債券の担保として使用されるものであり、担保取引行為は、本件商標の指定役務ではない。
(4)以上のように、被請求人の主張には合理的理由がない。
本件商標は、自己(自行)の名称の略称として、商号商標として登録されたものである。そして、合併による商号変更とともに、これらの商号商標は、使用を中止して新しい商号商標に切り替わり、あるいは、旧商号商標を新商号商標に読み替えて使用される。
したがって、一部に本件商標の付された物が残っていたとしても、それらの存在は、発行時におけるキャッシュカードや債券として流通するものではなく、被請求人が債権又は債務を有することを証明するものとして取り扱われた経過措置であって、取引界で正常な姿で使用されたものではない。
してみると、これらに本件商標が付されていても、それは本件商標の使用に該当するものではない。
また、被請求人は、本件商標が取り消され、他の銀行が東京銀行を名乗った場合、その者は、旧東京銀行のグッドウィルに只乗りすることになり、国内外で誤認混同を生じ混乱を招くことになりかねないと主張している。
しかし、本件商標は、「株式会社東京銀行」、「BANK OF TOKYO,LTD」という商号の略称として、商号商標として登録されたものであり、旧東京銀行は、合併により消滅会社となったため、本件商標は、商号商標ではなくなっている。
しかも、商号変更してから、既に5年経過しており、その間に、合併後の会社の名称である「東京三菱銀行」、「BANK OF TOKYO-MITSUBISHI」が著名商標となっているのは顕著な事実である。
このような状況下においては、旧商号のグッドウィルは、合併後の新会社の商号(商標)のグッドウィルに承継されており、損なわれることはない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び請求人の主張に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証(枝番号を含む。)及び参考資料を提出した。
(1)被請求人は、その取り扱いに係る役務である「キャッシュカード」等について、少なくとも本件審判の請求の登録前3年から現在まで本件商標を使用している(乙第1号証ないし乙第13号証)。
(2)請求人の弁駁に対する再答弁
(ア)請求人は、被請求人の提出した書証の多くについて、その成立を不知であると陳述している。
しかし、商標法第56条第1項で準用する特許法第151条は、審判手続について、平成10年1月1日施行の新民事訴訟法第228条を準用している。そして、同条第1項は、「文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。」と定めているが、同法第159条第2項は、「相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。」と定めているので、被請求人の提出した書証の成立について不知とした請求人の陳述は、成立を否認したものと推定される。そして、民事訴訟規則第145条では、「文書の成立を否認するときは、その理由を明らかにしなければならない。」と定められている。しかも、民事訴訟法第228条第4項には、私文書の成立についての推定規定も定められている。
したがって、単に不知と陳述しただけでは、文書が真正に成立したことが否定されるわけではなく、単に不知と陳述しても、その書証の成立の認定について意味を持たないとされているのである(参考資料:新民事訴訟法・規則に基づく実務の運用 東京地方裁判所監修)。
(イ)使用の実績について
被請求人の商号は、株式会社東京三菱銀行であるが、被請求人は、株式会社三菱銀行が存続会社となり、株式会社東京銀行が消滅会社となって、平成8年7月2日(合併期日は平成8年4月1日)に合併し成立したものである(乙第16号証)。
本件商標である「BANK OF TOKYO」は、株式会社東京銀行の登録商標の一つであって、世界的に著名な表示であり、被請求人において現在も使用しているものである。
本件商標の使用を示す乙各号証の説明は、次のとおりである。
(a)乙第1号証は、旧東京銀行の5年物債券リットーの見本券であって、発行日は、平成8年3月27日、償還期日は、平成13年3月27日となっている。
リットーとは、利付金融債であって、発行日から償還期日までの間、債券の利札に記載された各利払日に利払がなされ、償還期日には、債券額を支払うものである。そして、この債券(金融債)は、旧東京銀行と旧三菱銀行の合併以降は、被請求人銀行において、利払・償還が行われている。
この見本券の表面の中央上部には、「5年東京銀行債券」、左下には、「BANK OF TOKYO」と表示されている。また、見本券の利札の表面には、「5年東京銀行債券」、裏面には、「BANK OF TOKYO DEBENTURE」と表示されている。
(b)乙第2号証は、旧東京銀行発行のキャッシュカードであって、現在でも被請求人銀行で使用されている。
キャッシュカードとは、銀行が普通預金等の預金者に対して預金の払い戻し等のサービスを提供するために発行するものである。銀行は、このカードの呈示を受け、パスワードによる本人確認を経たうえで要求されたサービスを提供する。なお、預金口座の解約など預金取引の終了に際しては、キャッシュカードは、銀行に返却される。このカードには、「東京銀行」及び「BANK OF TOKYO」と表示されている。
(c)乙第3号証には、確かに「BANK OF TOKYO」の文字はないが、このカードは、乙第2号証のカードの前身である。
そして、昭和63年10月以前において、乙第2号証のカードに移行していない枚数が62,720枚あったということである。
(d)乙第4号証は、旧東京銀行発行の振込カードであって、現在でも被請求人銀行で使用されている。
振込カードとは、振込先、受取人及び依頼人等の情報をカードに登録し、銀行の顧客が振込を行う際に、逐一これらを入力せずに済ませるためのものである。被請求人銀行は、顧客がこのカードを用いて振込の要求を行った場合に、これに登録された内容に従った振込サービスを提供する。
このカードには、「東京銀行」と表示されている。
(e)乙第5号証及び乙第6号証は、旧東京銀行の取引を被請求人が承継するに当たって、各取引についての取扱いを説明したパンフレットであるが、さらに、具体的にいうと、乙第5号証は、平成8年2月に旧東京銀行が合併前に作成した説明書であり、乙第6号証は、平成9年2月に被請求人が合併後に作成した説明書である。
そして、乙第5号証のQ5をみると、キャッシュカードについては、そのまま新銀行(合併後の銀行)の国内全店のATMで預入れ、引出し、振込みができると説明されている。
また、Q6では、振込カードについて、ATMの機種によって使用できること、及び旧東京銀行の店舗のATMで引続き使用することができると説明されている。
一方、乙第6号証のQ3において、従来のキャッシュカードが引続き利用できることが説明されている。
(f)乙第7号証ないし乙第9号証は、旧東京銀行が発行していたトラベラーズチェックに関するものである。
トラベラーズチェックとは、世界的に信用力のある銀行が自己宛小切手の形式で発行するもので、銀行の顧客は、これを用いて商品を購入したり、現金を入手することができる。例えば、商品購入に使用された場合には、販売者から、その取引銀行等を経由して発行銀行に請求が行われ、発行銀行は、トラベラーズチェックの呈示を受けて支払を行う。「BANK OF TOKYO」及び「東京銀行」と表示されたトラベラーズチェックは、現在でも多数残っており、被請求人銀行が、その呈示を受けて、その支払を行っている。
乙第7号証の1は、そのうちVISAと提携しているものの見本券であって、その表面には、「BANK OF TOKYO」と表示されており、これと同一のもの(ただし、見本と表示した部分を除く。)を旧東京銀行は発行していた。そして、その利用は、現在も続いており、乙第7号証の2は、その一例として、平成12年(2000年)11月30日に利用されたものがあることを示している。
また、乙第8号証の1は、吉祥天の絵姿のある別の様式のトラベラーズチェックの見本であって、「THE BANK OF TOKYO,LTD.」と表示されており、乙第8号証の2のとおり、平成12年12月13日に利用されたことが示されている。
乙第9号証の1は、平成12年12月8日現在におけるこれらトラベラーズチェックの未決済残高、つまり現在も利用され得る残高であり、次のようになっている。
(i)VISA円建(乙第9号証の2の下段のもの)117,924枚(乙第9号証の1の1枚目の合計の数字)、
(ii)VISA米ドル建(乙第9号証の2の上段のもの)662,363枚(乙第9号証の1の2枚目の合計の数字)、
(iii)吉祥天米ドル建(乙第9号証の3の上段のもの)679,056枚(乙第9号証の1の3枚目の合計の数字)、
(iv)吉祥天円建(乙第9号証の3の下段のもの)63,849枚(乙第9号証の1の4枚目の合計の数字)
(g)乙第10号証及び乙第11号証は、旧東京銀行の債券ワリトーに関するものである。
ワリトーとは、割引債であって、債券に記載された償還日以降に債券と引き替えに額面額を支払うものである。これらの債券は、旧東京銀行において発行され、旧東京銀行と旧三菱銀行の合併以降は、被請求人銀行において償還が行われている。
この割引債には、表面中央上部に「割引東京銀行券」、左下に「BANK OF TOKYO」と表示されている。
そして、乙第10号証の2は、107回割引東京銀行券で償還日(昭和55年4月26日)となるものの見本であるが、乙第10号証の1に示されているように、平成12年12月1日現在、なお、130万円が未償還となっている。
また、乙第11号証のものは、償還日が昭和48年10月27日のものであるが、平成12年12月12日に償還されている。
(h)乙第12号証は、BTMケイマン・ファイナンス・リミテッド発行のユーロ円建任意交換権付永久劣後債及び東京三菱銀行発行平成15年(2003年)満期ユーロ円建転換社債の期限前償還実施についてのニュースリリースとその英文版及び新聞広告(2000年7月8日 ファイナンシャル タイムズ アジア太平洋会社及び金融面)であるが、海外においては、旧東京銀行の知名度が高いため、英文で表示するときは、乙第12号証の1に示すように、「Bank of Tokyo-Mitsubishi」と「Bank of Tokyo」を前段に記載している。
こうすることによって、被請求人は、「Bank of Tokyo」の著名度を維持している。
なお、新聞広告上部の「第三種郵便物認可」の記載から明らかなとおり、これらの広告を掲載した新聞は、海外だけでなく日本国内でも入手可能である。
(i)乙第13号証は、旧東京銀行が顧客配布用に作成した荷為替信用状に関する統一規則及び慣例の説明書である。この説明書は、平成5年9月1日に発行されているが、現在も利用されている。そして、裏表紙に大きく「BANK OF TOKYO」と広告のために表示されている。
(j)乙第14号証は、旧東京銀行の株券であるが、株券の下部に「BANK OF TOKYO」と広告のために表示されている。
株券における使用が商標としての使用であるかどうかについては、問題がないわけではないが、銀行サービスの提供を業とする会社において、「BANK OF TOKYO」と株券に表示することは、広告の一種と考えてよい。
そして、乙第14号証の2に示されるように、平成12年11月末において、株券11,748枚が未呈示であり、市中に存在している。
(k)乙第15号証には、「BANK OF TOKYO」の表示がないことは、そのとおりであるところ、同号証は、短資取引担保登録社債等代用証書であって、乙第1号証の5年東京銀行債券の代用証書である。
そして、この債券が受け戻されたのは、平成12年8月11日(代用証書の発行日は平成7年11月10日)であり、それまでは、東京銀行債券も担保取引の対象となっていたわけである。
(ウ)株式会社東京銀行は、平成8年7月2日に株式会社三菱銀行と合併して株式会社東京三菱銀行となったが(乙第16号証)、東京銀行は、唯一の外国為替専門銀行として、我が国の内外で著名であり、東京銀行であることを示す本件商標も著名である。
そして、合併後、5年が経過しようとするが、未だに「BANK OF TOKYO」の表示を付した債券、カード、トラベラーズチェック、パンフレット、株券等が多く残存し、使用されており、「BANK OF TOKYO」という商標の下に預金の受払い等の役務が提供されている。
被請求人が本件商標を維持しているのは、旧東京銀行のグッドウィルが残っている以上、顧客による誤認混同を防ぎ、取引の秩序を守る必要があるからである。本件は取消審判であるが、本件商標が取り消され、他の会社が東京銀行を名乗った場合、その者は、旧東京銀行のグッドウィルに只乗りすることになる。その結果、我が国の内外で誤認混同を招くことになりかねない。
本件は、金融再編成に派生して生じた問題であるが、適正な判断を求める次第である。

4 当審の判断
(1)本件商標は、「BANK OF TOKYO」の文字を横書きしてなるものである。
ところで、本件商標に係る商標登録原簿及び被請求人「東京三菱銀行株式会社」(以下「被請求人」という。)提出の乙第5号証によれば、本商標権は、当初、「株式会社東京銀行」(以下「旧東京銀行」という。)の所有であったが、同行は、1996年(平成8年)4月1日に株式会社三菱銀行(以下「旧三菱銀行」という。)と合併して消滅し、その承継会社である被請求人が本商標権を平成12年8月28日に移転登録をもって取得したものである。
しかして、被請求人提出の乙各号証及び答弁書によれば、旧東京銀行は、上記合併により消滅するまで、外国為替専門銀行として、また、利付金融債(リットー)及び割引金融債(ワリトー)等を発行する債券発行銀行として、さらに、普通銀行として、各種金融業務を遂行してきたところであり、そして、旧三菱銀行との合併により同行が合併時までに保有していた債権、債務や同行と顧客(企業又は個人)との間の口座等による取引の一切は、合併後の新会社である被請求人に引継がれていることが認められる。
上記に伴い、被請求人は、旧東京銀行名で発行された各種債券類及びキャッシュカードやトラベラーズチェック等(以下「債券類及びキャッシュカード等」という。)の運用・管理ないし回収業務等の一切を承継会社として行っているところ、これらのうちには、合併と同時に被請求人会社名に変更を必要とするものもあるが、変更を要せず、旧東京銀行名のまま、引き続き使用可能とされているものも多く存することは、乙第5号証を徴するに明らかである。
すなわち、乙第5号証中には、例えば、(1)Q3に対するA3として、割引東京銀行債券(ワリトー)又は利付東京銀行債券(リットー・ハイジャンプ)の保護預かり・本券・利札の取り扱いは、従来どおりであり(ただし、債券取扱店舗のみで行う)、これまでに顧客が購入したワリトー又はリットーについての取引は、新銀行(被請求人)に継承されること、また、従来と同様に、新銀行から顧客に対し本券・利札の償還日(満期日)・支払日は通知せず、顧客は所持する券面で償還日・支払日を確認し、継続又は支払請求の手続をすること、(2)Q5に対するA5として、旧東京銀行名のキャッシュカードは、そのまま新銀行国内全店のATM(自動窓口機)で現金の預け入れ・引出し・振込の取り扱いができること(BANCSマークあるいはMICSマークのある提携金融機関のATMにおいては引出しができること)、(3)Q10に対するA10として、平成8年3月31日以前のみならず平成8年4月1日以降に振り出された旧銀行名の手形・小切手は、従来どおりの取り扱いで決済できること等と記載されている。
上記によれば、旧東京銀行名で発行された「ワリトー」、「リットー・ハイジャンプ」、キャッシュカード、手形、小切手等の類いは、合併後も旧東京銀行名のまま、引き続き市中において流通し、利用されているということができる。
そうとすると、それら債券類及びキャッシュカード等が旧東京銀行の正当なる承継会社である被請求人と同行の顧客との間で現に役務の提供の用に供する物等として利用されているのであるならば、それら債券類及びキャッシュカード等に表示された商標の使用をもって、被請求人がその役務に本件商標を使用していたものといって差し支えないというべきである。
この点について、請求人は、被請求人提出の乙各号証中、例えば、債券類は、承継会社である被請求人が全て引き受け、「東京三菱銀行株式会社」、「東京三菱銀行」又は「BANK OF TOKYO-Mitsubishi」への読替で対応しているものであるから、該証拠書類では、本件審判請求の登録(平成12年11月15日)前3年以内に被請求人が本件商標を使用したことにはならないとか、キャッシュカードは、預金通帳の補助として使用されるものであり、旧東京銀行の通帳は、新銀行の通帳に切り替わっている筈であるから、キャッシュカードの使用によっては、本件商標を使用したことにはならない等と主張している。
しかしながら、たとえ、旧東京銀行が消滅しても、同行が築き上げてきた業務上の信用(グッドウィル)は、たやすく失われるものではなく、被請求人が旧東京銀行の消滅による移行期に債券類につき読替をもって運用する旨の措置を講じたからといって、あるいは、預金通帳を新銀行名に切り替えていたとしても(Q2に対するA2によれば、新銀行の国内全店の窓口ATMで使用の場合は、新通帳に切り替えが必要。)、顧客は、該債券類や旧東京銀行の発したキャッシュカードをもって取引に当たることもできること上記のとおりであるから、本件商標(BANK OF TOKYO)の付された債券類及びキャッシュカード等が合併後も被請求人の顧客に対し使用可能とし、顧客が、それらを現に取引に際し使用している以上、その使用の事実をもって、被請求人は、本件商標をその役務に使用しているといい得るので、請求人の前記主張は採用することができない。
しかして、乙第1号証(第53回五年東京銀行債券[見本券])には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「BANK OF TOKYO」の文字が表示されており、請求人提出の甲第3号証(平成8年3月18日付けの日本経済新聞30面の広告)の記載に照らすと、乙第1号証の東京銀行債券は、平成8年3月27日を発行日として同年同月18日当時、その募集期間中であったことを認めることができる。
そして、その東京銀行債券は、顧客が被請求人の窓口で乙第1号証の現物の本券とともに利札券(利札券中には、本件審判請求の登録前3年の期間内に該当する利払日[平成10年3月27日、平成10年9月27日、平成11年3月27日、平成11年9月27日、平成12年3月27日、平成12年9月27日]のものがある。)を、上記各利払日以降に呈示したとき、被請求人が利払いを行うというものであるから、被請求人が顧客に提供する役務「債券についての利息の支払い」は、本件指定役務中の「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。),債務の保証及び手形の引受け,債券の募集の受託」等に含まれるものといえるので、本件商標は、被請求人によって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定役務について使用されていたものと充分に推認し得る。
また、乙第2号証及び乙第3号証の1及び2(旧東京銀行発行の新旧キャッシュカード等)を見るに、乙第3号証の1のキャッシュカードから乙第2号証のキャッシュカードに移行した日がいつであるかは定かでないが、乙第3号証の2(旧東京銀行発行の旧キャッシュカードの現存枚数リスト[写])の記載によれば、その切り替えの際、乙第2号証のキャッシュカードへの移行がされずに、そのまま残存していた乙第3号証の1のキャッシュカードが62,720枚存在していた事実があること及び合併後も旧東京銀行発行のキャッシュカードが使用可能(乙第5号証)であることを併せて類推すると、旧東京銀行が合併により被請求人(東京三菱銀行)に承継された日(平成8年4月1日)から、本件審判請求の登録前3年以内の期間における最先日[平成9年11月15日]までは、僅か1年半余しか経過していないことからみて、旧東京銀行発行のキャッシュカードは、その当時、相当数市中に残っていたものということができる。
そして、旧東京銀行発行の新キャッシュカード(乙第2号証)には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「BANK OF TOKYO」の文字が表示されており、これにより提供される役務が本件指定役務中の「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)」であり、本件商標は、その提供の用に供する物(キャッシュカード)に付されているのであるから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定役務に使用していたものと認められる。
してみると、これらの債券類及びキャッシュカード等に表示された「BANK OF TOKYO」の文字をもって、被請求人により、本件商標(BANK OF TOKYO)は、本件審判請求の登録(平成12年11月15日)前3年以内に本商標権の承継人である被請求人によって、その指定役務について使用されていたものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
なお、被請求人は、証人尋問を申し出ているが、本件は書面により審理することが可能と判断され、また、本件の結論に照らせば、証人尋問を行う必要はないものと判断されるから、証人尋問の申し出は採用しない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-06-27 
結審通知日 2005-06-30 
審決日 2005-07-14 
出願番号 商願平4-259203 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (036)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 巻島 豊二早川 文宏 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 鈴木 新五
蛭川 一治
登録日 1997-10-09 
登録番号 商標登録第3351300号(T3351300) 
商標の称呼 バンクオブトーキョー、トーキョー 
代理人 西 良久 
代理人 吉原 省三 
代理人 吉原 弘子 
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