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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y2535363942
管理番号 1121716 
審判番号 不服2003-19990 
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-10-10 
確定日 2005-08-08 
事件の表示 商願2002-74723拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類、第35類、第36類及び第39類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成14年9月3日に立体商標として登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、同15年7月22日付け手続補正書により、第25類「ジャケット,ジャンパー,ブルゾン」、第35類「経営の調査・診断及び指導,原材料・仕掛品・完成品等商品の調達・生産・販売を一貫して効率的に流通させるための市場調査,原材料・仕掛品・完成品等の商品の調達・生産・販売を一貫して効率的に流通させるための事業計画の立案,商品管理・棚卸・商品仕分・伝票処理及びそのデータ入力に関する事務の代行,インターネットを利用した商品の販売に関する情報の提供,その他の商品の販売及び商品販売店舗に関する情報の提供,商品管理に関する情報の提供」、第36類「インターネットを利用した店舗の貸与に関する情報の提供,代金引替・デビットカード及びクレジットカードを利用して購入した商品の売買代金の徴収代行」、第39類「鉄道による輸送,車両による輸送,船舶による輸送,航空機による輸送,貨物の輸送の媒介,寄託を受けた物品の倉庫における保管,他人の携帯品の一時預かり,倉庫の提供,コンテナの貸与,物品の包装,貨物の輸送状況その他鉄道・車両・船舶・航空機による輸送に関する情報の提供,寄託を受けた物品の倉庫における保管に関する情報の提供,他人の携帯品の一時預かりに関する情報の提供,貨物の集荷・出荷・保管情報の提供,宅配便及び宅配貨物の取次,インターネットを利用した集荷依頼受付,貨物の集荷および分荷並びに梱包,梱包機器の貸与,インターネットを利用した鉄道・車両・船舶・航空機の運賃に関する情報の提供,引越の代行・請負又は取次」及び第42類「インターネットショッピングモール出店のためのサーバのエリアの貸与に関する情報の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、出願人の社標・社名と思われるマークが付された制服・作業服と認められる立体的形状よりなるところ、制服等に付された社標等は、本来、それらを着用する者の所属する会社等を表示するという目的、機能を果たすものであって、看者をしてそれらが商品・役務の出所を表示しているものと認識するものではないから、これを、本願指定商品中『被服』に使用したときは、単に商品の形状を表示したものと認識するにとどまり、また、本願指定役務に使用したときは、単に役務の提供の用に供するものを表示したものと認識するにとどまるものであるから、自他商品又は役務の識別標識とは認識し得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記したとおり、胸部と背部に水平に2本の白線を表すとともに腕部の前後に白線を表し、左胸部及び右背部に「TRAN’SPORT!」及び「SAGAWA」の各欧文字とその間に判読不能な文字を配して、両袖を下方に向かって外側に広げたジャンパーよりなる立体的形状を表したものであり、これよりは、人が身にまとう衣服の一つを表したものと認識されるものである。
一方、請求人は、当審において、補正後の指定商品「ジャケット,ジャンパー,ブルゾン」(以下「補正後の商品」という。)については、商標法第3条第2項の適用を主張し、証拠として甲第1号証ないし甲第6号証を提出するとともに、その余の指定役務については、自他役務の識別標識としての機能を有する旨主張している。
ところで、立体商標が登録されるためには、これが、商品又は役務について使用(商標法第2条)されることにより、自他商品又は自他役務の出所識別標識としての機能を発揮することが必要であることは平面的な商標と同様であるが、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、自他商品又は自他役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、これは、前記したように商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体として当該商品等の形状を表示したものであると認識されるにとどまる場合は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、立体的形状からなる標章が、衣服よりなる場合においては、衣服は身にまとうという本質的な機能を有するものであり、一定の形状を保持することはその特性上不可能であるから、それが、広告塔などのように常形をもって使用されるとは考えづらいものであり、そして、かかる衣服に社標、社章等(以下「社章等」という。)が付された場合、それら衣服は、商品の製造者、販売者又は役務の提供をする者若しくはその従業員(以下「従業員等」という。)が商品の製造、販売又は役務の提供に従事するに際し、制服、作業服として着用し使用をするのが一般的ということができる。しかして、制服又は作業服の立体的形状からなる標章が、常に一定の形状を保持する広告塔などの形態で取引場裡において使用されることを認めるに足りる個別・具体的な事由が明らかにされる場合はともかくとして、これが制服又は作業服として従業員等によって着用される場合には、これに接する取引者、需要者は、その制服又は作業服に付された社章等を従業員等の所属する会社等を表示するものであるとは認識し得ても、当該社章等が当該会社の如何なる商品又は役務の出所識別標識であるかまでは認識することができないというべきであるから、当該社章等は、自他商品又は自他役務の出所識別標識としての機能を有しないというのが相当である。
そこで、上記を勘案し本件について検討するに、本願商標は、前記したとおり、衣服の一つであるジャンパーよりなる立体的形状を表したものと認められるものであるが、請求人が当審において提出した各証拠によれば、運送業を主たる業務とする請求人の従業員が、その業務に従事するに際し、本願商標と同様のデザインを施したジャンパーを着用していることが認められ、しかも、本願商標の実物見本として提出された甲第6号証は、上記の使用の実例からみて、請求人の従業員が着用するジャンパーからなる制服、作業服そのものである。
そうすると、本願商標は、前記デザイン及び欧文字を施した、請求人の従業員がその業務に従事するに際し着用する、その構成、輪郭等の立体的形状を直ちに特定し得ないジャンパーからなる制服、作業服の一形状を表示したにすぎないものといわなければならない。
しかして、補正後の商品を取り扱う業界においては、その時々の流行、需要者の趣味、嗜好によって、様々な形状、デザインを施した商品が取引されているのが実情であるから、本願商標を構成する立体的形状に施された白線は、需要者の購買意欲を惹起させることを目的として、美感を高めるために施されたデザインの一形態を表したものとみるべきであり、また、本願商標は、専ら、請求人の従業員が着用する制服、作業服を表したものと認められる以上、その左胸部及び右背部に表された請求人が運送業等に使用する欧文字は、出所識別標識としての機能を発揮し得ない、該従業員の所属する会社を想起させるにとどまるというのが相当である。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、全体として請求人の従業員が着用する制服、作業服の一形状を表示するにすぎないものとして認識、理解するにとどまり、自他商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。
また、本願商標は、これを車両による輸送等を含むその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、専ら、請求人の従業員が役務を提供する際に着用する制服、作業服と認識、理解するにとどまるというのが相当であるから、これより自他役務の出所識別標識として認識するというよりは、むしろ、従業員の所属する会社を想起するにとどまり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきである。
次に、本願商標が、その指定商品について商標法第3条第2項に該当するとの請求人の主張について検討すると、請求人の提出した各証拠によれば、そのいくつかよりは請求人の従業員が前記した欧文字を付した本願商標と同様のデザインを施したジャンパーを着用していることを認め得るとしても、殆どの証拠は、左胸部及び右背部に表された該欧文字を確認できないものであり、しかも、これらは何れも、本願商標と同一の構成態様を保持していない(請求人の従業員が着用しているため、立体的形状を特定し得ないことは当然である。)ものであるばかりでなく、本願商標の指定商品「ジャケット,ジャンパー,ブルゾン」が、市場において独立して商取引の対象として流通されている事実を示す証拠は見当たらない。
したがって、本願商標は、その指定商品の何れについてみても、商標法第3条第2項に該当するものであるということができない。
以上のとおり、本願商標は、その指定商品については、商標法第3条第1項第3号に該当し、その指定役務については、同法第3条第1項第6号に該当し、登録することはできない。
なお、原査定は、本願商標はその指定役務についても商標法第3条第1項第3号に該当する旨認定しているが、同法第3条は、自他商品又は自他役務の識別力についての登録要件に関する条項であって、同法第3条第1項第6号は、同項各号の総括的規定と解されるものであるから、当審において、本願商標はその指定役務について同法第3条第1項第6号に該当すると判断しても、請求人には既に自他役務の識別力の有無について意見を述べる機会が与えられているので、あらためて、同法第3条第1項第6号に該当するとの拒絶の理由を通知することなく判断した。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
本願商標





(注)色彩については、原本を参照されたい。

審理終結日 2005-05-25 
結審通知日 2005-05-26 
審決日 2005-06-28 
出願番号 商願2002-74723(T2002-74723) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y2535363942)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊泉 弘貴中束 としえ 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 末武 久佳
鈴木 新五
商標の称呼 トランスポートサガワ、トランスポート、サガワ 
代理人 若林 拡 

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