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審決分類 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y16
管理番号 1121581 
審判番号 無効2004-89077 
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-09-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-09-10 
確定日 2005-08-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第4710318号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4710318号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4710318号商標(以下「本件商標」という。)は、「辞達クラブ」の文字を標準文字で表してなり、平成15年4月18日に登録出願、第16類「書籍,パンフレット,その他の印刷物,紙類,文房具類,書画,写真,写真立て,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,電気式鉛筆削り,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙製テーブルクロス」を指定商品として、同15年9月12日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第9号証(枝番号を含む。)を提出した。
請求の理由
1 理由の要点
(1)商標法第4条第1項第7号該当について
中央大学の学友会文化連盟に属する学生団体「辞達学会」及びその学員(卒業生)の団体である「辞達クラブ」は、日本全国の大学弁論部、全国規模で毎年複数回開催される弁論大会の主催者(新聞社、企業、地方公共団体等々)の関係者で構成される大学弁論界並びに中央大学学友会(中央大学在校生の学内組織)及び中央大学学員会(中央大学卒業生の同窓会全国組織)において、周知著名であり確固たる地位を築いていることから、それと同ー又は類似の本件商標を刊行物等に使用することは、全国大学弁論界、それに係わる業界、中央大学学友会並びに学員会における秩序を乱し、害するものである。
(2)商標法第4条第1項第8号該当について
本件商標は、その出願日である平成15年4月18日及び登録日である平成15年9月12日のいずれの時点においても、請求人が長年広く使用してきた「辞達クラブ」の名称又は著名な略称「辞達」と同一であり、かつ、請求人から承諾を得ていないものである。
(3)商標法第4条第1項第10号該当について
本件商標は、その出願日及び登録日のいずれの時点においても、請求人の業務に係る役務及び商品を表示するものとして、全国の大学弁論部に属する者並びに弁論に関心を有する者、更には中央大学在学生からなる学友会並びに中央大学卒業生の全国組織である中央大学学員会の構成員の間に広く認識された、いわゆる周知商標である「辞達クラブ」と全く同一の商標であり、また「辞達学会」と類似する商標である。指定商品自体の同一性は疑うべくもないものである。
(4)商標法第4条第1項第15号該当について
本件商標は、その出願日及び登録日のいずれの時点においても、請求人の業務に係る商品又は役務に長年使用し、かつ、全国の大学弁論界、中央大学学員会において確固たる地位を有している「辞達クラブ」の商標及び名称と同一、中央大学学友会である「辞達学会」の商標及び名称と類似であるから、請求人の商品又は役務と混同を生ずるおそれがあるのみならず、請求人と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認混同を生ずるものである。
(5)商標法第4条第1項第19号該当について
本件商標は、その出願日及び登録日のいずれの時点においても、請求人の業務に係る商品又は役務に長年使用し、かつ、全国の大学弁論界、中央大学学友会並びに中央大学学員会において確固たる地位を有している「辞達クラブ」の商標及び名称と同一、「辞達学会」の商標及び名称と類似であって、不正の目的をもって使用するものである。
2 具体的な請求の理由
(イ)請求人適格について
本件無効審判請求人である「辞達クラブ」は、中央大学の学友会文化連盟に属する「辞達学会」(甲第2号証の1)のOB会として、正式に中央大学学員会支部に認められた団体である(甲第2号証の2)。その目的は、辞達クラブ会則(甲第3号証の1)第3条にあるように辞達学会の学員会の会員相互の親睦と向上をはかり中央大学の興隆と辞達学会の発展に寄与することにある。設立経緯は、昭和37年(1962年)秋に辞達クラブの結成大会が行われ、昭和39年(1964年)4月15日に中央大学学員会支部に正式に加盟承認されたものである。
会員数は現在700名強で構成され、団体組織としては、理事会を設け、会長1名、副会長1名、顧問若干名、理事長1名、副理事長3名、理事10名、監事2名からなり、毎年1回定期総会を開き、出席者の過半数の同意を以って議決すること等が辞達クラブ会則に規定されている。
なお、辞達クラブを代表とする理事長(学員会支部長)は、会則第8条(総会の決議事項)第3号に規定されている役員の選任により決議を以って決定される。現在は、平成16年5月27日付けの中央大学学員会会長大西保氏の「支部長変更届受理のお知らせ」(甲第4号証の1)及び平成16年7月25日付け「中央大学学員時報」第4面(甲第4号証の2)で公告されているように、請求人代表者である今井信吾が理事長として就任している。
したがって、辞達クラブが所謂法人格なき社団であっても、代表者の定めがある場合は、その名において商標法第46条の商標登録の無効審判を請求することができるとされているので(商標法第77条第2項で準用する特許法第6条第1項第3号)、請求人は本件商標の登録に対して本請求をすることができるものである。
このように、辞達クラブは設立以来現在まで約40年以上にわたり、「辞達クラブ」の商標を講演会、研修会、講習会、学会、シンポジウム等の企画、運営又は開催等の役務、会報、新聞、しおり等の刊行物等について長年継続して使用し、「辞達クラブ」の名称を以って長年運営活動している。このような団体と全く同一の名称からなる本件商標の登録が存在するため、請求人は引き続き自己の商標及び名称を使用することができない。したがって、その本件商標の登録を無効にすることにつき利害関係を有するものである。(ロ)引用商標及び引用名称の著名性について
引用商標及び名称は、昭和37年(1962年)秋に「辞達クラブ」が設立され、昭和39年(1964年)4月15日に中央大学学員会支部に正式に加盟承認されてから現在に至るまで、40年以上も広く全国で継続的に使用されてきた結果、全国の諸大学弁論界並びに弁論に関心を有する需要者、更には中央大学学生並びに中央大学学員(卒業生)に広く認識されるに至った、いわゆる周知著名商標及び名称となっているものである。
1)「辞達クラブ」は、会則3条で規定されているように、中央大学の興隆と中央大学最古の学友団体(学生団体)である「辞達学会」の発展に寄与することを目的として設立されたものである(甲第3号証の1)。辞達クラブの会員は、会則第5条にあるように、辞達学会、第二辞達学会に在籍した者と、この会と深いかかわりのある中央大学学員で構成されている(甲第3号証の1)。
したがって、「辞達クラブ」は「辞達学会」を母体とし、「辞達学会」との間に密接な関係があるので、まず辞達クラブが平成13年11月10日に編集発行した「中央大学辞達学会百年史『獅子吼百年』」(甲第3号証;甲第3号証の1ないし3。以下、「百年史」という)の記録、「辞達学会」の歴史、特に「辞達学会」の存在を周知にした日本全国で行われた諸大学の弁論・討論大会の記録に基づいて(甲第3号証の2)、その著名性ひいては「辞達クラブ」の著名性につき検証する。
明治34年(1901年)に、弁護士であり大政治家であった花井卓蔵博士により「辞達学会」の前身である練弁会が創設され、明治42年4月18日、練弁会は、その名称を花井博士の論語からの命名により「辞達学会」と改称する。
昭和20年以降、敗戦から立ち上がった学生たちは新しい国土建設に向かい果敢に挑戦する。その行動の表れとして、大学弁論大会が急速に広がっていった。その中でも先鞭をつけたのが昭和21年に辞達学会が主催し開催した花井杯都下大学弁論大会であった。この年の12月には全関東大学高専雄弁連盟も設立され、この時既に加盟校が23校もあった。花井杯に刺激された各大学の弁論会、雄弁会は次々に関東、全日本級の大会を設立、弁論大会花ざかりの時代を迎えた。辞達学会はこれら各大会のほとんどに弁士を派遣して、その成果は他の大学の及びもつかない勢いであった。
「辞達学会」が周知著名であることは、前述の歴史で明らかであるが、元内閣総理大臣であった竹下登氏(早稲田大学雄弁会出身であり、同氏の在学中は辞達クラブが最大のライバルであった)が、海部俊樹氏が次期内閣総理大臣になるにあたり、「海部君は中央の『辞達学会』出身だから安心である」と述べられたことに象徴されるものである。
2)以上の通り、「辞達クラブ」は、中央大学の興隆と中央大学最古の学友団体(学生団体)である「辞達学会」の発展に寄与することを目的とし昭和37年(1962年)秋に設立され、昭和39年(1964年)4月15日に中央大学学員会支部に正式に加盟承認されたものである。クラブ会員資格は、辞達学会、第二辞達学会に在籍した者と、この会と深いかかわりのある中央大学学員及び辞達学会に属する学生の準会員で構成されている。母体である「辞達学会」は上述のように1910年に開催された大学連合演説会以降90年以上も毎年複数回、全国諸大学、企業、新聞社、地方公共団体が主催する弁論大会に出場しており周知著名になっているものである。
また、「辞達学会」は、弁論を通じて人格を陶冶した卒業生を多数社会へ輩出している。例えば、元衆議院議長保利茂氏、元法務大臣稲葉修氏、元内閣総理大臣海部俊樹氏、元民社党中央執行委員長塚本三郎氏、元日弁連会長堂野達也氏、等々を代表として、政界、法曹界、教育界その他あらゆる分野に多くの人材を輩出し、これらの辞達卒業生(辞達クラブ会員)の活躍、知名度の高さは衆目の一致するところである。百年史に掲載された「辞達学会」に所属し第一回総理大臣杯の優勝者である元首相海部俊樹氏の優勝原稿並びに「中央大学出身政治家と演説」に掲載された保利茂氏、塚本三郎氏の寄稿原稿を添付する(甲第3号証の3)。また、元首相海部俊樹氏、元国土交通大臣政務次官斉藤滋宣氏や小平市市議会議員斉藤進氏等の政治家のホームページにも、中央大学在学中「辞達学会」に属していたことが紹介されている(甲第5号証の1及び2)。
このように、「辞達学会」のOBには著名人が多数輩出されていることから、このような団体のOB(学員)からなる「辞達クラブ」の存在も同様に周知著名になっている。また、「辞達学会」の要部である「辞達」の語は、大法曹であり大政治家であった花井卓蔵博士により論語から命名された特異な名称であるため、「辞達」の語を有する「辞達学会」及び「辞達クラブ」は、強く需要者の印象に残る「辞達」の文字部分を以って略称される場合も多々ある。辞達学会のOB個人の作成したホームページではあるが、「辞達倶楽部」では辞達学会、花井卓蔵博士につき詳しく紹介し、各種資料、リンク、掲示板を設けて、OBのみならず現会員や当事者以外一般にも「辞達学会」並びに「辞達クラブ」の周知を図っている(甲第5号証の3)。
(ハ)商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第15号及び同第19号各違反について
1)第7号に該当することについて;
「辞達クラブ」は、中央大学学生団体「辞達学会」のOBの団体として、昭和37年(1962年)秋に設立され、昭和39年(1964年)4月15日に中央大学から学員会支部に正式に加盟承認され今日まで40年以上も広く全国で継続的に活動しているものである。上述のとおり、その母体である「辞達学会」はその一世紀にわたる歴史において、日本全国の諸大学弁論部並びに種々の弁論大会の主催者である各大学、弁論連盟、新聞社、電通等の企業及び東京都等地方公共団体、更に中央大学学友会(中央大学在校生の学内組織)及び中央大学学員会(中央大学卒業生の同窓会全国組織)等々の関係者の間で確固たる地位を築いている(甲第3号証)。
したがって、「辞達学会」と、「辞達学会」の発展に寄与すべく設立されたそのOB団体である「辞達クラブ」とは、両者の密接な関係により、全国諸大学弁論界並びに弁論に関心を有する需要者に広く認識されるに至った、いわゆる周知著名商標及び名称である。また、「辞達学会」の要部である「辞達」は創設者である花井卓蔵博士が論語から命名した特異な名称である。したがって、「辞達クラブ」と同ー又は「辞達学会」の要部を有する本件商標を、刊行物等に使用することは、大学弁論界及びそれに係わる業界における秩序を乱し、害するものである。
なお、審・判決例によれば、わが国において、その名称が著名な外国の団体と同-又は類似の商標について登録を受けることは公序良俗を害する行為に該当すると判示されている(平成11年3月24日東京高民13判・平成10年(行ケ)11号、12号)。この判決に照らせば、日本の団体であり、かつ、著名である「辞達クラブ」にあってはなお更のことである。このような周知著名商標及び名称を同一又は類似の商品に使用することは、全国の諸大学からなる大学弁論界の認識を乱し、秩序を害するものであるから、本件商標は第7号に該当する。
2)第8号に該当することについて;
「辞達クラブ」は、中央大学学生団体「辞達学会」のOBの団体として、昭和37年(1962年)秋に設立され、昭和39年(1964年)4月15日に中央大学から学員会支部に正式に加盟承認されたものである。法人格なき社団として、名称、目的、事務所所在地、資産についての規定、理事の任免に関する規定、団体構成員の資格得失に関する規定を設けた辞達クラブ会則(甲第3号証の1)を有する。また、代表者として理事長(学員支部長)を定めている(甲第4号証)。
この会則規定から明らかなように、「辞達クラブ」は個々の構成員とは別個に独立して存在し、社会において一定の地位を占めて活動してきたことは明白であるから、その実質的な社会的地位に伴う名誉、信用等の人格的利益を享有しうるものであり、このことは法人の場合と変わりがなく、その利益の内には、自己の名称等が他人によってみだりに使用されない利益をも含むものというべきである。
本号の趣旨は、当該他人の氏名、名称等に対する人格権的利益を保護することを主たる目的とすることは明らかであるから、商標法が一般私法上の人格権的利益の保護を主たる目的とする同号から、法人格なき社団を除外していると解する理由はなく、その名称を含む本件商標は、登録を受けることができないとするのが相当である。このような判断は、平成10年1月14日東京高民13判・平成8年(行ケ)225号判決で判示されているところでもある。
本件商標の商標権者は、請求人の同意を得ておらず、したがって、本件商標は第8号に該当する。
なお、引用商標及び名称のうち、「クラブ」、「学会」の部分は、「株式会社」、「有限会社」等と同様に、一般取引者保護のために団体の種類を示すもので、その団体若しくは社会的存在としての特定に必要不可欠な要部は、その部分を除いた「辞達」の文字部分であるから、本件商標について、その団体若しくは社会的存在としての特定の必要上称呼する場合は「クラブ」を省く場合も多い。したがって、他人が要部である「辞達」の部分を含む商標について登録することは認められないとするのが相当である。このような判断は、昭和52年12月22日東京高民6判・昭和52年(行ケ)70号判決でも判示されているところである。
3)第10号に該当することについて;
上述したとおり、「辞達学会」は、周知著名であり確固たる地位を築いている(甲第3号証)。「辞達クラブ」も、需要者に広く認識されるに至った、いわゆる周知著名商標及び名称である。
「辞達クラブ」は、1962年から現在に至る長年の間、親睦会の開催、分会の育成、寄附、講演会の企画、運営又は開催等の役務及び会則第4条(事業)に規定されているように、商標「辞達クラブ」を付した辞達クラブ会報(甲第7号証の1)を設立以降毎年定期的に複数編集・発行し、また、会員新聞、しおり(甲第7号証の2)等に引用商標「辞達クラブ」を使用し幅広く活動をしてきた結果、引用商標及び名称は、本件商標の出願日及び登録日のいずれの時点においても、大学弁論界における特定の弁論団体を容易に認識せしめる商標及び名称として全国大学弁論界並びに弁論界に属する者の間では広く知られた、いわゆる周知著名商標及び名称であると認められる。
本件商標は、引用商標及び名称と同一又は類似の商標と認識されているものである。また、本件商標の権利者の出願にかかる商願2003-31745号に関する拒絶査定(甲第6号証)でも認定されたように著名な「辞達学会」の要部である「辞達」を有するものである。したがって、第10号に該当する。
4)第15号に該当することについて;
引用商標及び名称「辞達クラブ」、「辞達学会」は、上述したとおり、本件商標の出願日及び登録日のいずれの時点においても、請求人の業務に係る商品又は役務に長年使用し、かつ、全国の諸大学弁論部、新聞社、企業、地方公共団体等需要者に広く認識されるに至っており、全国の大学弁論界で確固たる地位を有している「辞達学会」の商標及び名称と類似である。
また、「辞達学会」のOBからなる支援団体「辞達クラブ」も、「辞達学会」との密接な関係から同様に周知著名になっている。「辞達クラブ」は40年以上も、「辞達学会」のOB団体として活動し運営されている。したがって、本件商標が第10号に該当しない場合であっても、請求人が長年行ってきた親睦会の開催、分会の育成、寄附、講演会の企画、運営又は開催等の役務及び辞達クラブ会報(甲第7号証の1)、新聞、しおり等商品に引用商標「辞達クラブ」を使用継続してきた結果、本件商標の使用は、引用商標及び名称と出所誤認混同を生ずるおそれがあり、あるいは請求人と本件商標の権利者は経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認混同させることは明白である。したがって、本件商標は、第15号に該当する。
5)第19号に該当することについて;
上述の歴史的背景及び裏付ける証拠で示されたように、引用商標及び名称「辞達クラブ」、「辞達学会」及び「辞達」は、本件商標の出願日及び登録日のいずれの時点においても、我国内で需要者に広く認識されている、いわゆる周知著名商標である。
事実、本件商標の前権利者である高田明は辞達クラブの理事職にあった者であり、現権利者も同様である。このような者が辞達クラブの理事会の承認を得ずに、「辞達クラブ」の商標を登録して刊行物等を発行する行為は、会則第8条(総会の決議事項)第4号の役員の選任の規定に違反するのみならず、需要者をして商品の出所につき誤認混同を生じさせるおそれがある。
このように、いわゆる身内の立場にある者が、請求人の業務と並行して全く同一の商標、名称を使用して刊行物の発行等を行うことは、請求人が長年の努力により全国的に築き上げた信用、著名性に基づく出所表示機能を希釈化させ、名声等を毀損させる目的であることは明白である。また、それにただ乗りして不正の利益を得て、請求人に損害を加える目的であることは明白である。
不正の目的」の認定にあたっては、A)請求人の、引用商標及び名称が需要者の間で広く知られている事実、B)請求人が、広く継続的に業務を行っており、また、将来も引き続き事業拡大の計画を有していること、C)商標権者が、本件商標を使用した場合、請求人の周知著名商標及び名称に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあること等の条件が必要であるが、A)及びB)の条件については既に上述の歴史的背景それを裏付ける各種証拠によって、満足している。
本件商標の商標権者が、本件商標を使用した場合、請求人の周知著名商標及び名称に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあり、それにただ乗りして不正の利益を得て、請求人に損害を加える目的であることは次のような行為により明白である。
即ち、本件商標の前権利者で辞達クラブの理事であった高田明は、本件商標登録後並びに上述した商標法第4条第1項第8号違反で拒絶査定が確定した商願2003-31745号「辞達学会」を出願した後、あらゆる機会を利用して辞達クラブの理事会に対して、商標権侵害訴訟を提起する旨の恫喝的な使用中止勧告を行ってきたばかりでなく、大学会館に対しても当該理事会関係者が「辞達クラブ」の名称を揚げた会合を開催する場合には部屋の使用を許可しないように要請しており、大学会館は高田明の要請に応じて、当該理事会に対して会館内での「辞達クラブ」の掲示等を許可しない旨の通達をしている。
事実、請求人は、「辞達クラブ定期総会」等を開催しており、例えば平成12年11月11日の定期総会では元内閣総理大臣海部俊樹氏を含め100名以上の多数が出席している(甲第7号証)。したがって、本件商標の存在を理由に、本来の「辞達クラブ」商標及び名称の真正な使用権利者である請求人が、これらの定期総会や臨時総会の開催の中止を余儀なくされるのは相当ではない。
そこで、中央大学学友会の名義で本件商標の元権利者である高田明に通告書を平成15年7月14日に送達し、更に高田明と現権利者である宮下次雄宛てに平成16年5月19日付けで通告書を送達している(甲第9号証)。 このように、本件商標は、不正の利益を得る目的、あるいは請求人らに損害を加える不正の目的をもって登録され、使用されていることは明らかである。このような行為により、請求人の長年の努力により全国的に築き上げた信用、著名性に基づく出所表示機能は希釈化され、名声等が毀損され、関係者も誤認混同するおそれが十分にある。したがって、本件商標は第19号に該当する。
3 結び
以上述べたように、本件商標は、引用商標である「辞達クラブ」と同一であり、かつ、指定商品も請求人の業務に係る商品と抵触し、全国的に著名な「辞達学会」及びそれらの著名な略称である「辞達」と紛らわしく類似している。したがって、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第15号及び同第19号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、商標法第46条第1項第1号の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の前記主張に対し、何ら答弁していない。

第4 当審の判断
本件商標は、前記のとおり、「辞達クラブ」の文字を標準文字で書してなるものである。
しかして、請求人の提出に係る甲第2号証、同第3号証及び同第7号証によれば、「辞達クラブ」は、中央大学の学友会文化連盟に属する「辞達学会」のOB会として、中央大学学員会支部に認められた団体名称であり、そして、その「辞達クラブ」は、設立以来現在まで約40年以上にわたり、「辞達クラブ」の商標を講演会、研修会、講習会、学会、シンポジウム等の企画、運営又は開催等の役務、会報、新聞、しおり等の刊行物等について継続して使用し、「辞達クラブ」の名称をもって長年運営活動していることが認められる。
また、甲第7号証及び同第8号証によれば、本件商標の前権利者である高田明は「辞達クラブ」の理事職にあった者であることが認められ、現権利者についても同様であることが推認し得るものである。
そうすると、本件商標は、中央大学の学友会文化連盟に属する「辞達学会」のOB会としての団体名称である「辞達クラブ」と同一のものであるから、前記の事情からして、本件商標の採択、使用の意図及び登録出願の行為が、前記の「辞達クラブ」と偶然に一致したものとは認め難く、本件商標の前権利者は、それを剽窃したものと推認せざるを得ない。
してみれば、本件商標をその前権利者又は現権利者が自己の商標として独占使用することは、穏当でなく、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのあるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第7号に該当し、これに違反してされたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-06-02 
結審通知日 2005-06-08 
審決日 2005-06-21 
出願番号 商願2003-31744(T2003-31744) 
審決分類 T 1 11・ 22- Z (Y16)
最終処分 成立 
前審関与審査官 八木橋 正雄 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 鈴木 新五
柳原 雪身
登録日 2003-09-12 
登録番号 商標登録第4710318号(T4710318) 
商標の称呼 ジタツクラブ、ジタツ 
代理人 大谷 隼夫 
代理人 千葉 憲雄 
代理人 鈴木 均 
代理人 酒井 伸夫 
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