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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 029
管理番号 1121492 
審判番号 無効2004-89071 
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-09-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-09-06 
確定日 2005-07-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第3106520号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3106520号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3106520号商標(以下「本件商標」という。)は、「トトロ」及び「TOTOLO」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成5年7月30日に登録出願され、第29類「頭をとったいわしの腹にめんたいこを入れ漬け込み汁につけた加工水産物,その他の加工水産物,食肉,食用魚介類(生きているものを除く),肉製品,豆,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレ―・シチュ―又はス―プのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として平成7年12月26日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第7号証を提出した。
(1)請求人適格
請求人は、宮崎駿氏の原作に基づき二次的に製作されたアニメーション映画「となりのトトロ」の映画製作者であり、「となりのトトロ」、「トトロ」又は「TOTORO」の標章を種々の商品に使用し、これら標章につき商品化許諾のライセンスを行なっているライセンサーである。また、請求人は、国際分類(第7版)第29類の全商品を指定した登録第4572804号「となりのトトロ」商標、及び、国際分類(第8版)第29類の全商品を指定した商願2003-46183「トトロ/TOTORO」商標の所有者である。
したがって、請求人は、本件商標の登録を無効とすることにつき、利害関係を有している。
(2)無効事由
(ア)事実関係
本件商標の該構成中「トトロ」の文字は、宮崎駿氏の原作に基づいて請求人が製作したアニメーション映画の著名な タイトル「となりのトトロ」と類似しており、また、そのタイトルの著名な略称又は該映画の著名な主人公名称である「トトロ」と同一である。なお、「となりのトトロ」のタイトル及び「トトロ」の略称又は主人公名は共に、前記アニメーションの原作を起草するに際し、宮崎駿氏が独自に案出した造語であり、それ以外の何らの意味合いも有しない。
アニメーション映画「となりのトトロ」は、宮崎駿氏の原作・脚本・監督、請求人の製作になり、昭和63年4月16日、日本全国の東宝系映画館で劇場公開されたものであるが(甲第1号証)、封切後俄かに人気が沸騰し、公開が終了してみれば、文化庁「芸術作品賞」(甲第2号証)、文化庁「芸術選奨/文部大臣賞」(甲第3号証)、毎日映画コンクール「日本映画大賞」及び「大藤信郎賞」(甲第4号証)、その他、甲第5号証として提出した「受賞一覧」に示されるように、キネマ旬報「邦画部門第1位」、芸術選奨「作品賞」、ブルーリボン「特別賞」、山路ふみ子賞「映画賞」、第18回報知新聞映画賞「監督賞」、映画芸術「邦画部門第1位」、全国映連賞「作品賞」などの輝かしい賞を受賞するなど、様々な実績を残し、かつ、名実ともに邦画史に名を残す名作としての地位を得た。
また、「となりのトトロ」は、劇場公開から約2カ月半後の昭和63年6月30日にはフィルムコミック誌の初版が発行され(甲第6号証)、その後もムック本や絵本、コミック誌などが続々と出版され、既に600万部を越える総発行数に達している。そうして、その出版・編集の業務は一貫して請求人が担当している。
さらに、「となりのトトロ」は、劇場公開と並行して商品化も開始され、請求人又は請求人から商品化許諾のライセンスを取得したライセンシーが、「となりのトトロ」をはじめ「トトロ」や「TOTORO」の表示を付した様々な商品を製造・販売している(甲第7号証)。因みに、商品化に係るアイテムの種類は1500種にも及び、総販売額は現在までに1,000億円を優に超えるなど、宮崎駿氏の作になる商品化対象のキャラクターとして、「トトロ」は現在も圧倒的な人気を維持している。
加えて、「となりのトトロ」は我が国のみならず、東南アジア諸国を中心として全世界的に出版・上映されており、主人公「トトロ」のキャラクター・グッズはディズニーの「ミッキーマウス」やサンリオの「キティー」などと肩を並べるほどの人気となっている。とりわけ、宮崎駿氏の作になるアニメーション映画「千と千尋の神隠し」がベルリン映画祭のグランプリ「金熊賞」に続き、米国アカデミー賞で「オスカー」を受賞したことで、宮崎駿氏の旧作が世界的に脚光を浴びるようになり、「となりのトトロ」のみならず「魔女の宅急便」、「天空の城ラピュタ」、「風の谷のナウシカ」その他多数の宮崎作品について、世界的な上映を求める気運が高まっている。その意味で、国内をはじめ、国外でも、本件商標のように請求人の著名な表示を無断で利用した商標の排除が急務となっている。
このように、「となりのトトロ」は、宮崎駿氏の原作等に基づいて請求人が製作したアニメーション映画のタイトルとして、国内外を問わず極めて広く認識されており、当該映画の爆発的人気により、劇場公開された昭和63年4月16日の直後から、「トトロ」といえば誰もが前記映画「となりのトトロ」やその主人公「トトロ」を直ちに想起し得る状況となっていた。
如上の状況から、遅くとも、本件商標が出願された平成5年7月30日時点においては既に、我が国において「トトロ」といえば、誰もが前記アニメーション映画「となりのトトロ」のタイトル又はその主人公「トトロ」を認識し得る状況にあったと理解される。また、平成5年当時既に、「ミッキーマウス」や「キテイー」をはじめとする様々の漫画キャラクターが様々の商品に利用され、市場を転々流通していたことから、人気のあるキャラクターをライセンスのもと自己の商品に利用することで、その購買力が著しく高められるであろうこと、及び、その使用に際しては権利者から使用許諾を受けねばならないことは、もはや誰もが知り得る社会常識となっていた事柄である。
(イ)商標法第4条1項7号無効事由について
本件商標は、「トトロ/TOTOLO」と書してなり、請求人の製作に係るアニメーション映画のタイトルの一部及び当該映画の主人公名として、我が国で極めて広く認識される「トトロ」及びこれと称呼を同じくする「TOTOLO」の表示を包含するにも拘わらず、請求人や原作者である宮崎駿氏とは何ら関係を有しない被請求人に対して登録が付与されたものであり、その登録を維持することが当マーチャンダイジング業界の公正なる秩序を害し、長年にわたって培われた商慣行に反することは明白である。
著名なアニメーションのタイトルやキャラクター名を商品に付することで、その商品の購買力が高められるであろうことは、商品を取り扱う者でなくとも、誰もが知り得る事柄であるところ、そのような作品の製作には膨大な時間的・経済的な投資が不可欠であることから、その名声に無断でフリーライドされるようなことがあれば、前記投資を行なった者の被る損害は計り知れない。そのため、商標法や不正競争防止法では、そのような他人の著名な表示の無断使用につき罰則規定を設けるなどして、その登録及び使用を禁止すると共に、そのような表示の使用を希望する場合は、正当権利者から然るべく使用許諾のライセンスを取得しなければならないこととした。
斯かるところ、被請求人は、本件商標の使用に当たり、商品化許諾の窓口を担当する請求人からライセンスを受けていないことは勿論、本件商標を自己の商標として採択・出願するに際しても、請求人から何ら承諾を得ていないことは明らかである。すなわち、「となりのトトロ」や「トトロ」の標章は、その映画の製作者として著作権を所有し、かつ、商品化許諾の窓口担当者であるところの、請求人を核とするライセンサー及びライセンシーとからなる商品化事業グループ全体の出所を表示し、その使用を希望する場合は、請求人から商品化許諾のライセンスを受けることが当マーチャンダイジング業界の慣行となっているところ、本件商標は「トトロ」とこれと称呼を同じくする「TOTOLO」を組み合わせた構成であり、本来であれば、請求人から許諾を得て使用し出願すべきであるにも拘わらず、そのような事前承諾無く採択し出願されたものである。してみれば、本件商標はその登録により、請求人のライセンスを得ることなく、その独占排他的な使用を可能にするものであるから、その登録を維持するときには、当マーチャンダイジング業界の公正なる秩序を害し、長年にわたって培われてきた商慣行に反することは明らかである。
したがって、本件商標は商標法第4条1項7号の規定に違反する商標として、その登録は無効とされるべきものである。
(ウ)商標法第4条1項10号無効事由について
本件商標は「トトロ/TOTOLO」と書してなるところ、甲第1ないし第7号証に提出した証拠によれば、遅くとも、本件商標が出願された平成5年7月30日時点においては既に、「トトロ」といえば誰もが前記アニメーション映画「となりのトトロ」及びその略称又は主人公「トトロ」を瞬時に想起し得る状況にあったことが理解できる。そうして、その出願当時、既に、著名なブランドマークやミッキーマウスなど著名なキャラクターや名称の無断使用に関する侵害事件が新聞紙上を賑わせていたこと、及び、請求人が1992年(平成4年)に発行した甲第7号証の商品カタログ(平成4年〜同5年版)には、「となりのトトロ」をはじめ「トトロ」や「TOTORO」などの表示を付した広範な商品が、請求人又は請求人から使用許諾のライセンスを受けた者によって製造・販売されていたことに徴すれば、被請求人が本件商標を採択・登録することにつき、当初より、請求人の著名商標にフリーライドしようとする不正競争の意図があったことは明白である。なお、本件商標と請求人の取り扱いに係る「トトロ」及び「となりのトトロ」との類似性については、その称呼及び観念の共通性から、敢えて説明を要しないと思料される。
したがって、本件商標は商標法第4条1項10号の規定に違反する商標として、その登録は無効とされるべきものである。
(エ)商標法第4条1項15号無効事由について
本件商標は「トトロ/TOTOLO」の文字を書してなるところ、前記したように、「トトロ」は請求人の著名なアニメーション映画「となりのトトロ」と類似であり、その著名な略称又は主人公名「トトロ」と同一であり、「TOTOLO」はその称呼が前記した請求人の著名な表示「トトロ」とその称呼を同じくしてなるものである。
斯かるところ、請求人は前記したとおり、「となりのトトロ」、「トトロ」又は「TOTORO」の表示を計1500種を越えるアイテムに使用しているのであるから、当該事実に照らせば、取引者・需要者が本件商標の付された被請求人の商品に接した場合、恰も、請求人から然るべくライセンスを得た者の取り扱いに係る商品であるかの如く、又は請求人や宮崎駿氏と何らかの関係を有する者の取り扱いに関する商品であるかの如く、その出所につき彼此混同を生ずることは明らかである。
また、前記したように、様々なブランドマークやキャラクターの無断使用に関する侵害事件が新聞紙上を賑わせていた点を考慮すれば、本件商標が出願された平成5年7月30日当時であればもはや、他人の著名な表示の使用する場合にその正当権利者から使用許諾のライセンスを受けねばならないことは、誰もが知り得る一般常識となっていたところ、被請求人は情を知って本件商標を採択したのであるから、その登録につき不正競争の意図があったことは明白である。
したがって、本件商標は商標法第4条1項15号の規定に違反する商標として、その登録は無効とされるべきものである。
(オ)商標法第4条1項19号無効事由について
本件商標は前記したとおり、請求人を核とする商品化事業グループの著名な表示「トトロ」を構成に包含するものであり、その使用に当たっては請求人から使用許諾のライセンスを取得せねばならないところ、被請求人は情を知って、本件商標を自己の商標として採択したのであるから、被請求人の当該行為は、請求人にロイヤリティーを支払うことなく利益を独占しようとする不正の意図があったことは明白である。
したがって、本件商標は商標法第4条1項19号の規定に違反する商標として、その登録は無効とされるべきものである。
(3)結論
以上のとおり、本件商標は商標法第4条1項7号、同10号、同15号及び同19号の規定に違反して登録されたものであるから、商標法第46条1項の規定により無効とされるべきものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は何ら答弁していない。

4 当審の判断
(1)請求人の提出に係る各甲号証及び請求人主張の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
宮崎駿原作、請求人製作のアニメーション映画「となりのトトロ」は、昭和63年4月16日に全国の東宝系映画館で劇場公開されるや忽ち大人気を博した。その後、文化庁「芸術作品賞」、同「芸術選奨/文部大臣賞」、毎日映画コンクール「日本映画大賞」、同「大藤信郎賞」、キネマ旬報「邦画部門第1位」、芸術選奨「作品賞」、ブルーリボン「特別賞」、山路ふみ子賞「映画賞」、第18回報知新聞映画賞「監督賞」、映画芸術「邦画部門第1位」、全国映連賞「作品賞」等様々な賞を受賞し、新聞報道もされ(甲第1ないし第5号証)、名実共に邦画史に名を残す名作としての地位を獲得した。
また、「となりのトトロ」は、劇場公開から約2ヶ月半後の昭和63年6月30日には請求人によってフィルムコミック誌の初版が発行され、該誌は平成5年(1993)6月には23刷を数えるに至り(甲第6号証)、その後もムック本や絵本、コミック誌などが出版された。
そして、「となりのトトロ」は、映画としての劇場公開や書籍としての出版のみならず、登場人物等の商品化許諾が行われ、本件商標の登録出願前には既に、「となりのトトロ」をはじめ「トトロ」や「TOTORO」の表示を付した様々な商品が製造・販売されており(甲第7号証)、現在においても主人公の「トトロ」をはじめとする登場人物のキャラクター・グッズが人気を博している。
さらに、宮崎駿製作のアニメーション映画「千と千尋の神隠し」がベルリン映画祭のグランプリ「金熊賞」に続いて米国アカデミー賞で「オスカー」を受賞したことで、宮崎駿作品が世界的に脚光を浴びるようになり、「となりのトトロ」のみならず「魔女の宅急便」、「天空の城ラピュタ」、「風の谷のナウシカ」等の宮崎駿作品についての世界的な上映を求める気運が高まっている。
(2)以上の認定事実によれば、「となりのトトロ」、「トトロ」及び「TOTORO」の表示は、遅くとも本件商標の登録出願時には既に、宮崎駿原作のアニメーション映画の題名又は主人公を表すものとして需要者間に広く認識され、「トトロ」といえば直ちに上記映画ないしはその主人公を連想、想起するほどになっており、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものというべきである。
(3)本件商標は、上記1のとおりの構成からなるところ、その構成中の「トトロ」の文字は周知著名となっている上記映画の略称又は主人公の表示と同一であり、「TOTOLO」の文字は綴りが上記映画の主人公の表示と若干異なるにしても、その称呼は同一であって直ちに上記映画又はその主人公を連想、想起させるものである。また、上記(1)のとおり、「となりのトトロ」をはじめ「トトロ」や「TOTORO」の表示を付した様々な商品が使用許諾に基づき製造・販売されている。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、周知著名となっている上記映画ないしはその主人公を連想、想起し、該商品が請求人ないしは宮崎駿又はこれらと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
そして、「となりのトトロ」、「トトロ」及び「TOTORO」の表示が本件商標の登録出願時には既に、宮崎駿原作のアニメーション映画の題名又は主人公を表すものとして需要者間に広く認識されていたこと、その当時、著名なキャラクターや名称については許諾による商品化が行われていたこと、その無断使用に関する侵害事件が新聞報道等されていたことから、他人の著名な表示の使用にはその正当権利者から使用許諾を受ける必要があることは一般に知られていたと推認されること、「トトロ」及び「TOTORO」の表示は宮崎駿による造語であり、これと同一又は類似の文字からなる本件商標の採択が偶然一致したものとは考えにくいことなどを総合すると、被請求人は、上記実情を知りながら、「となりのトトロ」、「トトロ」及び「TOTORO」の表示が商標登録されていないことを奇貨として、請求人又は宮崎駿に無断で本件商標を先取り的に登録出願し、その登録を受けたものといわざるを得ないから、その登録には不正の目的があったものというべきである。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。
審理終結日 2005-05-25 
結審通知日 2005-05-30 
審決日 2005-06-10 
出願番号 商願平5-79883 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (029)
最終処分 成立 
前審関与審査官 柴田 良一椎名 実 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 小川 有三
富田 領一郎
登録日 1995-12-26 
登録番号 商標登録第3106520号(T3106520) 
商標の称呼 トトロ 
代理人 村下 憲司 
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