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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て不成立) Z16
管理番号 1119887 
判定請求番号 判定2004-60094 
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2005-08-26 
種別 判定 
判定請求日 2004-12-01 
確定日 2005-07-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第4489930号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「フェルトペン」に使用するイ号標章は、登録第4489930号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 第1 本件商標
本件登録第4489930号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成12年1月14日に立体商標として登録出願、第16類「フェルトペン」を指定商品として、同13年7月13日に設定登録がされたものである。

第2 イ号標章
被請求人に係る商品「フェルトペン」について使用するものとして、請求人の提示した標章(以下「イ号標章」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなるものである。

第3 請求人の主張
請求人は、「被請求人が商品『フェルトペン』について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する。」との判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証(枝番を含む。)を提出した。
1 判定請求の必要性
請求人は、本件判定請求に係る本件商標の商標権者である。本件商標は、請求人が製造・販売する速乾性の油性フェルトペン(商品名「ハイマッキー」、以下、単に「ハイマッキー」という。)として昭和51年より使用され、現在もなお使用されているものである(甲第3号証及び甲第4号証)。
「ハイマッキー」は、日本国内はもとよりアジアを中心として世界各国へも輸出されており、「ハイマッキー」を中心とするマッキーシリーズの出荷本数は累計10億本に達している。
近年、中国、韓国、台湾を中心として、日本製品の模倣品が問題視されているが、筆記具においても例外ではなく、「ハイマッキー」が模倣のターゲット製品の一つとされている(甲第6号証)。
最近では、権利者からの警告を回避するため、商標を付さない等の若干の変更を施した模倣品が市場に出回るようになってきた。
「ハイマッキー」においても、「ハイマッキー」、「ZEBRA」等の請求人所有の文字商標は付さず、その形状を模倣した商品が市場で散見されるようになってきた。
そこで請求人は、本件判定請求に係る本件商標(立体商標)をもとにして「ハイマッキー」の形状を模倣した商品の輸入及び販売を行う会社に対して警告を行うこととしたが、本件商標と前記形状を模倣した商品との類否判断に疑義が生じたため、本件判定を求める。
2 イ号標章の説明
イ号標章が付された商品(以下「イ号物品」という。)は、いわゆる油性インキを使用した速乾性のフェルトペンであり、別掲(2)の左上の正面図において、上側を細字用、下側を太字用として形成されている。イ号標章の外観は、全体的には略筒状に形成され、上側の細字用キャップ端部から下側の太字用キャップ端部にかけて連続的に大経化されている。また、上側の細字用キャップ及び下側の太字用キャップの外周上には全域に渡り、軸方向に複数の溝部が形成されている。そして、下側の太字用キャップは、一重筒状に形成されている。
3 イ号標章が本件商標の商標権の効力の範囲に属することについて
(1)本件商標とイ号標章(以下、まとめていうときは「両標章」という。)の共通点について
本件商標とイ号標章の共通点は、下記の(ア)ないし(ウ)のとおりである。
(ア)全体が略筒状に形成され、上側の細字用キャップ端部から下側の太 字用キャップ端部にかけて連続的に大径化される形状となっている(以下「共通形状部分(ア)」という。)。
(イ)細字用及び太字用キャップそれぞれに、外周上の全域に渡って軸方向に溝部が形成されている(以下「共通形状部分(イ)」という。)。
(ウ)下側の太字用キャップは二重筒形状に形成される(以下「共通形状部分(ウ)」といい、(ア)ないし(ウ)を一括していうときは、単に「共通形状部分」という。)。
上記各共通点については、標章全体に占める大きさの割合についても、本件商標及びイ号標章ともに大きな差異はなく、特に上記共通形状部分(ウ)の溝部の溝幅、本数、側面から見た形状についても大きな差はなく、溝部の本数にいたっては12本で同数の構成となっている。
(2)本件商標とイ号標章の異なる部分について
本件商標とイ号標章の異なる部分は、以下(エ)のとおりである。
(エ)本件商標は、その上側の細字用キャップ端面に、円で囲まれた「Z」文字を表現した模様が表示(以下「Z部分」という。)されているが、イ号標章の上側の細字用キャップ端面にはこのようなZ部分はなく、単なる平面となっている。すなわち、本件商標とイ号標章は、外観上は上記Z部分の点で異なっているといえる。
(3)Z部分が本件商標とイ号標章との類否判断に与える影響について
先ず、各構成要素である共通形状部分とZ部分の全体が標章全体に占める大きさの割合を比較すると、Z部分は、共通点である共通形状部分全体が占める割合よりも非常に小さいことは、別掲(1)の本件商標から明らかである。また、個々の共通形状部分とZ部分を比較してみても、どの共通点よりもその割合はZ部分が小さいことも明らかである。
よって、Z部分が、両標章の類否判断に与える影響は、非常に小さいものであるといえる。
換言すれば、両標章の類否判断に影響するのは、共通形状部分が大きく影響するものであるといえる。
ここで、上記事項に加えて、さらに実際の販売形態を考慮すると、看者が意識する部分は割合の大きい上記共通形状部分(ア)と共通形状部分(イ)の部分であり、両標章の差異点であるZ部分が、両標章の類否判断に与える影響は非常に小さいものであるといえる。
さらに、本件商標が請求人の業務に係る商品を表示するものであることは需要者の間に広く認識されるに至っているので、需要者は、その外観に占める割合の大きな上記共通形状部分の点から請求人の商品を想起するものである。
すなわち、換言すれば、イ号物品は、その外観上に本件商標と同一(又は類似)形状である上記共通形状部分の点を施すことにより、本件商標が付された請求人の商品「ハイマッキー」と同様の品質や機能を有するかのような誤認を需要者に想起させるとともに、請求人が本件商標を永年使用してきたことによる信用に乗ずる、いわゆるフリーライドにより販売せしめたる商品であるといわざるを得ない。
また、本件商標の指定商品は「フェルトペン」であるので、本件商標の
指定商品とイ号物品とは同一であることは明らかである。
(4)以上述べたとおり、本件商標とイ号標章の外観の全体観察、本件商標の使用状況及び本件商標の指定商品とイ号物品が同一であることを鑑みれば、イ号標章は本件商標の効力の範囲に属するといえる。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、「被請求人が商品『フェルトペン』に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しない。」との判定を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
1 本件商標の自他商品の識別力について
本件商標は、その共通形状部分が商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章からなるから、少なくともこの共通形状部分自体には自他商品の識別力はなく、Z部分の「Z」の文字と模様部分に識別力があるので登録されたものである。
2 本件商標の自他商品識別性と要部認定について
(1)本件商標は、Z部分を有するものであっても、全体として指定商品の形状の範囲を出ないものと認められるので、本件商標の共通形状部分及びZ部分からなる立体商標識別力を有しない。
(2)上記(1)の主張が認められないとしても、本件商標の共通形状部分は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章からなるから、これらの構成要素に自他商品の識別力はない。一方、Z部分の「Z」の文字と模様部分に識別力があると考えられる。したがって、本件商標の要部はZ部分にある。
3 本件商標とイ号標章との対比について
Z部分が表されていないイ号標章は、本件商標とは外観上非類似である。
また、立体商標が立体的形状と文字の結合からなる場合においては、当該文字部のみに相応した称呼、観念が生じる。そうとすれば、本件商標においては「ゼット」あるいは「マルゼット」という称呼及び観念が生じるに対し、イ号標章からは、そのような称呼、観念が生じないので、イ号標章は本件商標とは称呼、観念上は比較すべくもない非類似の標章である。
4 以上のとおり、本件商標は商品の形状を普通に用いられる方法によって表示されているありふれた立体的形状をした立体的商標と認められるので、本件商標の効力は、少なくとも請求人が主張している本件商標の構成要素である共通形状部分及びZ部分の全てをそのとおり充足していないイ号標章には及ばない。
よって、イ号標章は本件商標の効力の範囲には属しないとの判定を求める。

第5 当審の判断
1 立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
2 これを本件についてみれば、本件商標は、別掲(1)のとおり、下部が上部と比較してやや大径化したほぼ筒状で、上下のキャップと思しき部分の軸方向に薄い溝が施されているフェルトペンを表した立体形状よりなるものである。
そして、本件商標は、その上下のキャップ部の薄い溝を含めた立体的形状部分全体が、その指定商品である「フェルトペン」との関係からすると、商品の機能を果たすための通常の形状、すなわち、キャップの取り外しの便及び商品の美感を発揮させる範囲内というべきであるから、本件商標の立体的形状部分は、商品の形状を表示したものと認識されるに止まり自他商品識別機能を果たし得ない部分というべきである。
しかしながら、本件商標は、その形状中のやや細くなっている上部のキャップの上面部中央に「I」若しくは「Z」の文字を図案化したZ部分を有するものであって、このZ部分は一般に用いられている図案化の域を超え、相当程度の創意考案にかかる図案化というのが相当であるから、本件商標の要部はZ部分にあり、該部分が自他商品の識別標識としての機能を果たしているとみるべきである。
してみれば、本件商標の立体的形状部分自体は、その立体形状中のZ部分が自他商品の識別標識としての機能を果たしているとしても、商品の形状を表示したものと認識されるに止まり自他商品識別機能を果たし得ない部分であるから、商標法第26条第1項第2号に該当する商標権の効力が及ばない範囲といわなければならない。
他方、イ号標章は、別掲(2)のとおりの形状であって、本件商標と同様に、その立体的形状部分は商品の機能又は美感をより発揮するために施された形状と認められるもので自他商品識別機能を有しないものである。
さらに、イ号標章は、その正面形状及び斜視形状の中央部分に「太」、「ダブルマーカー」、「Double Marker」、「油性」及び「細」の各文字が表示されているが、その商品との関係からすると、いずれも自他商品識別機能を果たし得ないものであり、また、イ号標章を構成する立体的形状部分中には、本件商標の有するZ部分は見あたらない。
したがって、被請求人が商品「フェルトペン」について使用するイ号標章は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものであるから、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
よって、結論のとおり判定する
別掲





別掲(1)本件商標(登録第4489930号商標)

別掲(2)イ号商標

(詳細は原本参照のこと)
判定日 2005-07-12 
出願番号 商願2000-1874(T2000-1874) 
審決分類 T 1 2・ 9- ZB (Z16)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 高野 義三
三澤 惠美子
登録日 2001-07-13 
登録番号 商標登録第4489930号(T4489930) 
代理人 立川 登紀雄 
代理人 玉利 冨二郎 
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