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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 117
管理番号 1119629 
審判番号 審判1999-31696 
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-08-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-12-22 
確定日 2005-06-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第1583753号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1583753号商標の登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標登録の取消しの審判
1 本件商標
本件商標登録の取消しの審判に係る、登録第1583753号商標(以下「本件商標」という。)は、「プリンチペ」の文字を横書きしてなり、昭和48年2月20日に登録出願され、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として昭和58年4月27日に設定登録され、その後、平成5年10月28日及び同15年4月30日の2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
2 本件商標登録の取消しの審判
本件商標登録の取消しの審判は、商標法50条により、本件商標の取消しを請求するものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論掲記のとおりの審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求理由
本件商標は、その指定商品のいずれについても、継続して3年以上、我が国において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても使用されていない。
よって、本件商標の登録は、商標法50条1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 第1答弁に対する弁駁
被請求人の主張は、以下のとおり、いずれも理由がなく、本件商標については、その使用権者による本件商標の指定商品への使用の証明は無いに帰着するものである。
(1)株式会社パートナー(以下「パートナー社」という。)は、本件商標の使用権者ではない。
被請求人は、乙第2号証に基づきパートナー社が本件商標の使用権を正当に有すると主張するが、かかる主張は全く理由がない。
第1に、乙第2号証の「AGREEMENT」(以下「本件契約書」という。)は、イタリアの「PRINCIPE」という会社(以下「プリンチペ社」という。)とパートナー社との間の契約であって、本件商標の商標権者とパートナー社との間の契約ではない。
したがって、「乙第2号証は、パートナー社と商標権者との間で締結された契約書」であるとの被請求人の主張は誤りである。
第2に、本件契約書でライセンスの対象となっている商標は「PRINCIPE」という商標であり(本件契約書4条(a)「(a)PARTNER shall have the exclusive right to use the trademarks of "PRINCIPE".....」)、「PRINCIPE」という商標はプリンチペ社がイタリアで有する商標である(本件契約書前文(1)、「(1)The company(注.プリンチペ社のこと)is the owner of the trademarks of "PRINCIPE" in Italy...」)。本件商標ではない。
したがって、「パートナー社は本件商標を含む『PRINCIPE』等商標についての日本における正当な使用権を与えられた者である」との被請求人の主張もまた誤りである。
よって、パートナー社は本件商標の使用権者ではない。
(2)パートナー社は本件商標を「ネクタイ」「スーツ」に使用していない。
被請求人は、乙第3号証に基づきパートナー社が本件商標と社会通念上同一の「PRINCIPE」の文字を「ネクタイ」「スーツ」にも使用したと主張するが、かかる主張は理由がない。
第1に、乙第3号証は「1998AUTUMN&WINTERNECKWEAR PLAN」という表題の示す如く、単なる企画書に過ぎない。実際に商品が製造され販売され、その商品に本件商標が使用されたことを示さない。
第2に、乙第3号証は、商品に実際に本件商標が使用されたことを示さない。被請求人のいう「principe」なる文字は、乙第3号証の表紙に現れるのみである(かかる態様の使用は、商標的使用とは云えまい。)。
第3に、上述のとおり、「principe」なる文字は、プリンチペ社がイタリアで有する「PRINCIPE」商標のことであって、本件商標とは無関係であり、本件商標と社会通念上同一ではない。
よって、被請求人の「本件商標『プリンチペ』と社会通念上同一の『PRINCIPE』の文字が商品『ネクタイ』『スーツ』とともに使用されている」との主張は理由がない。
3 第2答弁に対する弁駁
(1)パートナー社は本件商標の使用権者ではない。
被請求人は、本件契約書の契約当事者の地位がプリンチペ社から被請求人に実質的に引き継がれたとみるべきである旨主張するが、契約上の地位の移転は譲渡人、譲受人及び契約の相手方の3者間の合意でのみなしうるものであり、「実質的に引き継ぐ」などということはあり得ないことである。
また、そもそも、被請求人がプリンチペ社のオーナー一族にかかる者であるという主張も根拠のない主張である。何よりも、被請求人自身「乙第2号証は、パートナー社と商標権者との間で締結された契約書」と主張しているのであり、契約上の地位が「実質的に引き継がれた」とは主張していないのである。なお、乙第2号証がパートナー社と被請求人との間で締結されたものでないことは既述のとおりである。
よって、被請求人の主張は理由がなく、既述のとおり、パートナー社は本件商標の使用権者ではない。
(2)本件契約書のライセンスの対象商標は本件商標ではない。
(ア)被請求人は、テリトリーに日本が入るとされていること、契約期間が日本政府の事前の承認にかかるとされていること、ロイヤルティーが日本国の源泉税の対象になるとされていることをもって、本件契約書でライセンスの対象とされているのが日本における商標「PRINCIPE」であるという主張の根拠とせんとするもののようであるが、これらはいずれも根拠とならない。
テリトリーに日本が入ることとライセンスの対象商標が何であるかということとは、別の事柄である。また、ライセンス契約に日本政府の承認を要することとライセンスの対象商標が何であるかということもまた別の事柄である(日本政府の承認は外為法上の問題である)。さらに、ロイヤルティーに源泉課税があることとライセンスの対象商標が何であるかということもまた全く別のことである。加えて、そもそも、本件商標は片仮名「プリンチペ」であって、欧文字「PRINCIPE」ではない。
(イ)本件契約書でライセンスの対象となっている商標がプリンチペ社がイタリーで有する商標であることは請求人が既に明らかにしたところである。そもそも、ライセンス契約において日本の登録商標を対象とするときは、当該商標を登録番号、類、対象商品、商標の態様等を特定して規定するのであって、かかる規定のない本件契約書におけるライセンスの対象商標がプリンチペ社がイタリアで有する商標であることは明白である。
さらに、本件契約書は契約日が平成5年(1993年)12月1日とされている。当時の商標法の下で、欧文字の商標と同音の片仮名の商標とは同一性の範囲外であった。
したがって、仮に本件契約書の対象商標が日本における商標「PRINCIPE」(なお、日本における商標「PRINCIPE」なる主張自体曖昧であり、何ら意義を有しない)であるとしても(そうでないことは既に明らかにしたが)、本件契約書の締結時、欧文字「PRINCIPE」は片仮名「プリンチペ」と同一性の範囲外にあったのであるから、本件契約書の対象商標が本件商標たり得ないものであったことは明白である。
したがって、被請求人の主張に理由が無いことは明らかであり、本件契約書の対象商標が本件商標でないこともまた明白である。
(3)本件商標はパートナー社によりネクタイ、スーツに使用されていない。
(ア)被請求人は、本件商標がパートナー社により「ネクタイ」、「スーツ」に使用された旨主張する。しかしながら、かかる主張もまた理由が無い。
第1に、既述のとおり、乙第3号証は単なる企画書にすぎず、被請求人の主張するような「広告、定価表又は取引書類」のいずれにもあたらないし、平成10年の秋・冬シーズンにおいて、指定商品に本件商標が使用されたことを示すものではない。なお、付言するに、乙第3号証の書類が(仮に当時真実作成されていたとしても)実際に展示されて頒布されていたことを示す証拠は一切無い。
(イ)第2に、既述のとおり、乙第3号証において「principe」の文字は表紙に現れるのみであり、かかる態様の使用は商標的使用と言えないものであり、いわんや指定商品との関係で具体的な使用を構成するものでもない。
被請求人は、商標法上、商標の使用は商品に直接的に付されることを必ずしも要求されないと主張するが、かかる主張は理由が無い。
商標は具体的に商品に付して使用するものであり、これが基本である。「広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し、頒布する」という態様の使用(商標法2条3項7号)も標章を具体的に商品に付する行為と同視しうるものでなければならず、現実に標章を付した商品が市場に流通していることを前提とするものであって、単に企画書のような書類の表紙に標章を付することのみをもって、商標の使用に該当するということはできない。
(ウ)第3に、被請求人は、「principe」なる文字が本件商標と社会通念上同一性の範囲内にあると主張し、かかる主張の根拠を商標法50条1項の文言におくが、かかる主張もまた理由が無い。
既に請求人が明らかにしたように、本件契約書におけるライセンスの対象商標はプリンチペ社がイタリーで有する「PRINCIPE」なる商標である。したがって、乙第3号証の表紙のみに現れる「principe」なる文字が本件商標「プリンチペ」と全く別物であることは明白であり、社会通念上同一性の範囲外であることは明白である。加えて、本件契約書の締結当時、欧文字の「principe」と片仮名の「プリンチペ」とは同一性の範囲外にあったのであり、これを契約当事者が前提としていたこともまた明白である。
(4)乙第4ないし同第9号証は、本件商標の使用権者による指定商品への本件審判請求の登録前3年以内の使用を示すものではない。
(ア)被請求人は、乙第5号証の1ないし4、同第6号証、同第7号証及び同第9号証を提出し、これにより、本件商標が使用権者により、指定商品中の「被服」について、本件審判請求の前3年以内に使用されていた旨主張するが、かかる主張もまた全く理由がない。
なお、被請求人は、第2答弁において、「使用権者」が何人であるかを個別具体的に明らかにしていないが(よって被請求人の主張は主張自体失当である)、第2答弁の主張は第1答弁を受けてのことであるので、「使用権者」とはパートナー社であると善解して、被請求人の主張に全く理由が無いことを以下明らかにする。
(イ)乙第5号証の1ないし4について
第1に、乙第5号証の1ないし4は「納品書」という表題が付されているが、納品されたとされる商品が何であるかを具体的に示さない上、納品されたとされる商品に具体的に如何なる商標が付されていたかを一切示さない。乙第5号証の1ないし4の記載自体から明らかな通り、「PRINCIPE」なる文字は「商品名」のことであり、納品されたとされる商品に如何なる商標が付されていたかを示さない。さらに、乙第5号証の1ないし4の納品書はフレックスジャパン株式会社(以下「フレックス社」という。)の東武百貨店に対する納品書であって、パートナー社の納品書ではない。即ち、乙第5号証の1ないし4は、本件商標がその指定商品に使用されたことを示すものでもなく、パートナー社が使用したことを示すものでもない。なお、フレックス社が本件商標の使用権者でないことは論を俟たない。
(ウ)乙第6号証について
乙第6号証は、「ブランドコード表(1桁・2桁目)」と表示されているが、そもそも何人が作成したものかが不明である。加えて、その作成日は、「2002.07.03管理課」との表示(右上余白)から明らかなとおり、本件審判請求がなされた平成11年(1999年)12月の約3年後に作成されたものである。
したがって、かかる乙第6号証は全く証拠価値のないものであり、被請求人の主張を裏付け得るものでは一切ない。なお、乙第6号証が本件商標の使用を一切示すものでないことはいうまでもない。
(エ)乙第7号証について
乙第7号証は、「post card」と表示され、葉書のようであるところ、作成日として1999年2月6日と表示され、作成者として「principe/FIRENZE ITALY」と表示されているが、甲第1号証に示すように、Firenze のプリンチぺ社は、1995年11月27日に一切の活動を停止し、1996年2月5日にその旨登記されたのである。一切の活動を停止した会社が停止後3年半も経ってかかるpost cardを出すはずもないし、「イタリアの老舗プリンチぺブランドのメンズシャツ春夏コレクション」が存在する筈もなく、「入荷」する筈もない。乙第7号証は捏造であるといわざるを得ない。
なお、乙第7号証は、仮に捏造でないとしても、本件商標の使用者を示すものでもなく、本件商標の使用を示すものでもなく、使用に係る指定商品を示すものでもなく、商標法2条3項7号の広告にも当たらない(乙第7号証は商標法2条3項7号の「広告」に当たらないことは勿論であるが、乙第7号証が展示又は頒布されたことを示す証拠も一切ない。)。
(オ)乙第9号証について
また、被請求人は、乙第9号証を男性用ズボンの下げ札の写しであり、平成9年に本件商標を付した指定商品が販売されたことを示すものであると主張するが、かかる主張もまた全く失当である。そもそも、乙第9号証が男性用ズボンの下げ札であることを示す証拠は一切無い。また、何人の下げ札であるかも一切不明である。さらに、何時作成されたものであるのかも不明である。乙第9号証は、使用権者による本件商標の指定商品への本件審判請求の登録前3年以内の使用を示し得るものでは全くない。乙第9号証が被請求人の主張するようなものであることは否認せざるを得ない。
なお、仮に、本件商標が実際に商品に使用されたとするならば、かかる商品を証拠として提出し、かかる商品のカタログや納品書や請求書等を提出することも容易である筈であり、またそうする筈であるにもかかわらず、被請求人はこれをしない。本件商標の使用が無かったことは明白であるといわざるを得ない。
(カ)なお、乙第4号証は本件商標の指定商品への使用を示すものでもないし、作成者が株式会社ハタ・コーポレーション(以下「ハタ社」という。)であり、パートナー社ではない。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、「本件審判は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし同第36号証(枝番を含む。)を提出した。
1 第1答弁
(1)本件商標は、乙第2号証及び同第3号証から明らかなように、本件審判の請求の登録前3年以内に、我が国において、パートナー社により、「衣服」について使用されている。
なお、乙第2号証が示すとおり、パートナー社は、本件商標の使用権を正当に有するものである。
乙第2号証は、パートナー社と商標権者との間で締結された契約書の写し及び訳文である。パートナー社は本件商標を含む「PRINCIPE」等商標についての日本における正当な使用権を与えられた者であることは明らかである。
(2)乙第3号証は、パートナー社がサブライセンシーであるハタ社宛てに提出した1998年秋冬物の企画書の写しであり、ここには、本件商標と社会通念上同一の「principe」の文字が商品「ネクタイ」「スーツ」とともに使用されている。
(3)以上より、本件商標が使用権者により、その指定商品中「衣服」及び「ネクタイ」について、本審判請求の登録前3年以内に、我国において使用されていることは疑いなく、本件審判の請求の理由はない。
2 第2答弁
(1)パートナー社は本件商標の使用権者ではないとする点について
(ア)第1に、本件契約書の前文に「THIS AGREEMENT is made on December 1st, 1993 for ten years from the above date, Dec.1st 2004」とあることからも明らかなように、平成9年1月26日から平成12年1月26日までの期間において有効に存していたものである。
請求人は、本件契約書の一方の当事者が「PRINCIPE」という会社であることをもって、本件契約書が本件商標の商標権者とパートナー社との間に締結されたものではない旨主張している。
しかしながら、現権利者であるロレンツォ・ドニ、マリア・キャロリーナ・ドニ、アンドレア・ドニは「PRINCIPE」社のオーナー一族にかかるものであり、本件契約書の有効性に照らしても、実質的に本件契約書の当事者としての地位が現権利者であるロレンツォ・ドニ、マリア・キヤロリーナ・ドニ、アンドレア・ドニに引き継がれたと見るのが相当であると思料する。
(イ)第2に、請求人は本件契約書前文(1)「The company of "PRINCIPE" in Italy.....」をもって、契約の対象がイタリアで有する商標であって、本件商標ではない旨主張している。
しかしながら、本契約は本件契約書の1.Definitions のTerritoryに「Japan and any other countries....」とあること、同Yearに「subject to the prior approval of Japanese Govenment」とあること、5.Duration(a)に「until the approval of Japanese Government」とあること及び6.Royalties(c)に「as the government of Japan require and shall be adjusted accordingly」とあることからすれば、本契約が日本における商標「PRINCIPE」の使用許諾に関するものであることは明らかである。そして、本件契約書の1.Definitions のProductsに記載がある「Clothing, Fabric Apparel Accesories (Class 17)」と同じ商品を指定する本件商標を商標権者が有することに鑑みれば、本件商標が使用許諾の対象であることは疑う余地がない。
(2)パートナー社は本件商標を「ネクタイ」「スーツ」に使用していないとする点について
(ア)第1に、請求人は乙第3号証が単なる「企画書」にすぎず、実際に商品が製造され販売されたことを示していない旨主張しているが、乙第3号証は、それ自体が商標法2条3項7号に規定するところの「広告、定価表又は取引書類」のいずれかに該当するものであり、指定商品の取引書類等において本件商標が使用されたことを明らかにするとともに、平成10年の秋・冬シーズンにおいて、指定商品に本件商標が使用されていたことを示すものである。
(イ)第2に、請求人は乙第3号証において「principe」の文字が表紙に表れるのみであることをもって商標としての使用でない旨主張しているが、商標法2条3項7号からも明らかなように、商標法上、商標の使用は商品に直接的に付されることを必ずしも要求されているものではない。
(ウ)第3に、請求人は、乙第3号証に現れる「principe」なる文字が本件商標「プリンチペ」とは社会通念上同一でない旨主張しているが、本件商標は社会通念上同一であることは明らかである。商標法50条1項にある社会通念上同-の商標、すなわち、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標」に該当するからである。
(3)ここで、被請求人は、本件審判の予告登録日である平成12年1月12日前3年以内に、本件商標が本件審判請求に係る被服に使用されていたことを示す以下の資料をさらに提出する。
(ア)乙第5号証の1ないし4:納品書の写し
平成11年5月19日及び同年8月 26日に東武百貨店に「PRINCIPE」の長袖ドレスが納入された事実を表している。納品書の「商品名」には本件商標と社会通念上同一である「PRINCIPE」の文字が記載されており、「品番」にある「PRL」は「PR」が「プリンチペ」を、「L」が「ドレス長袖」を示すものである(乙第6号証)。
(イ)乙第7号証:案内状の写し
案内状には、平成11年2月6日に「PRINCIPE」「プリンチペ」のメンズシャツの春夏コレクションが入荷する旨が明記してある。乙8号証からも明らかなとおり、「コレクション」とは服飾のブランドが顧客や商品のバイヤーに対して新作を紹介し、販売する発表会のことを意味するのであり、乙第7号証は、その記載からも本件商標の指定商品である被服に関する広告であったことは明らかである。
(ウ)乙第9号証:男性用パンツ下げ札の写し
男性用パンツに使用されていた下げ札である。ここに記載される「NO.P77421」との記載は、当該下げ札が、「P」すなわちパンツ(Pants)の下げ札に使用され、その商品が199「7」年の品番「7421」であったことを表しており、平成9年に本件商標を付した指定商品が販売されていたことを示すものである。
(4)以上より、本件商標が使用権者により、その指定商品中「被服」について、本件審判請求の登録前3年以内に、我が国において使用されていることは疑いない。
3 第3答弁
(1)使用権者による使用
本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に我が国において、本件商標の正当な使用権者であるパートナー社により指定商品について使用されているが、これに加えて、以下に述べるとおり、パートナー社から本件商標についての使用権を許諾されたハタ社、フレックス社及び三松商事株式会社(以下「三松商事」という。)も本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品に使用している。
(2)パートナー社による本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用について
(ア)既述のとおり、パートナー社は、プリンチペ社との間の1993年12月1日付の本件契約書にて、2004年12月1日までの間、被服等に関し、日本において、本件商標を含む「PRINCIPE」等商標(以下「本件商標等」という。)を使用する権利の許諾を受けるとともに、当該契約第7条において本件商標等の使用権を第三者に再許諾する権利も取得している。これを受けて、パートナー社は、後述のとおり、ハタ社及びフレックス社に本件商標等の指定商品についての使用権を許諾し、また、三松商事との商標使用許諾契約(乙第10号証)に基づいて三松商事にもネックウェア類全般を対象商品として、本件商標等の使用権を許諾している。
(イ)これらの契約に基づいてライセンシーにロイヤリティを請求する際に、パートナー社は、その請求書に本件商標等を付して頒布している(乙第11号証ないし同第14号証、同第16号証、同第18号証、同第20号証及び同第22号証)。これは、取引書類に標章を付して頒布する行為であり、これらの請求書のうち乙第11号証ないし同第13号証、同第16号証、同第18号証、同第20号証及び同第22号証は本件審判の請求の登録前3年以内に発行されたものであるから、本件商標の使用権者であるパートナー社が、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品に使用したことは明らかである。
(3)ハタ社に対する本件商標の使用権の許諾について
(ア)上記のとおり、本件契約書によりパートナー社が取得した本件商標等の再許諾権に基づいて、パートナー社は、株式会社エトアールマルゼン(以下「エトアールマルゼン社」という。)との間の1994年1月1日付の「契約書(乙第24号証、以下「パートナー・エトアールマルゼン契約」という。)にて、本件商標等についての使用権、及び、本件商標等の使用権を第三者に再々許諾する権利をエトアールマルゼン社に与えている。なお、サブライセンスを受ける第三者との関係では、エトアールマルゼン社が日本におけるマスターライセンシーとしてサブライセンスを行ない、パートナー社は企画コーディネートや管理業務のサポートを行うものとして位置づけるという方式を取りたい旨エトアールマルゼン社が希望したため、パートナー・エトアールマルゼン契約の書面においては、「甲(エトアールマルゼン社)の専用使用ブランド『PRINCIPE』」という表記をとり、パートナー社は、「PRINCIPE」ブランドのサブライセンシーの開拓及び企画コーディネート及び管理業務をエトアールマルゼン社のために行なうという形式をとっているが、実質的には、当該契約は、パートナー社が、エトアールマルゼン社に対し、本件商標等を第三者にサブライセンスする権限を許諾するものであった。
(イ)本件商標等の使用権及び再許諾権を有していたエトアールマルゼン社は、ハタ社との間の1995年1月1日付の「契約書」(乙第25号証、以下「エトアールマルゼン・ハタ契約」という。)にて1995年1月1日から1997年12月31日までの期間における本件商標等の使用権をハタ社に許諾したが、1996年5月1日付け「『PRINCIPE商標使用契約書』に関する契約内容変更の覚書」(乙第26号証)によって当該契約書の内容は、パートナー社が直接ハタ社に本件商標等の使用権を再許諾する形態に変更されている。
(ウ) 以上から明らかなとおり、ハタ社は、契約上、1995年1月1日から1997年12月31日までの間、本件商標等の被服に関する使用権を正当に有していたものである。
なお、パートナー社がハタ社に対して本件商標等の使用許諾を行っていたことは、「『PRINCIPE』ブランドにおけるロイヤリテイー」をパートナー社がハタ社に請求し、ハタ社がこれに応じて平成9年1月31日に金205万9588円を支払っていることからも明らかである(乙第14号証及び同第15号証)。
(4)ハタ社による本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用について
(ア)本件商標の使用権者であるハタ社が、本件審判の請求の登録前3年間の期間内において、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を、指定商品である被服に関し使用したことは以下のとおり明らかである。
(イ)乙第27号証は、ハタ社による1995年、1996年の秋冬シーズン向け「コレクション」の案内状の写しであり、乙第28号証は、同じくハタ社による1996年の春夏シーズン向け「コレクション」の案内状の写しである。既に述べたとおり、「コレクション」は服飾のブランドが新作発表のために行うものであるので、乙第27号証及び同第28号証が指定商品である被服に関する広告であることは明らかである。
(ウ)乙第29号証は、1997年の春夏物(’97SS)ネクタイの商品リストの写しであり、ハタ社が小売店・百貨店・卸業者等に向けて、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を付したネクタイを販売するための商品紹介・販売促進に用いる素材として作成されたものである。本証拠は、それ自体が商標法2条3項7号に規定するところの「広告、定価表又は取引書類」のいずれかに該当するので、本件審判の請求の登録前3年間の期間内に指定商品の取引書類等において本件商標と社会通念上同一の商標が使用されたことを明らかにするものであるとともに、1997年の春夏シーズンにおいて、指定商品に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が付されて販売されていたことも示すものである。
なお、エトアールマルゼン・ハタ契約においては、使用許諾の対象として、「被服(但し、メンズのスーツ、ジャケットに限る)」との記載があるが、実際にはこれらに限らず、スーツ・ジャケット回りの関連商品であるネクタイやメンズパンツについてもパートナー社及びエトアールマルゼン社は使用許諾を与えていたものであるので、ハタ社はネクタイやメンズパンツについても本件商標等の使用権者であった。
(エ)乙第9号証の下げ札は、ハタ社が男性用パンツを販売する際に当該商品に付したものである。なお、商標を付した下げ札を指定商品に結び付けて販売することが、商標的使用に該当することはいうまでもない。
(オ)以上の各証拠に加え、ハタ社のブランド戦略を考えても、乙第30号証にて明らかなように、ハタ社は、本件商標を用いた長期的なブランド展開を企図しており、新ブランドを立ち上げるに当たっては、ブランドの紹介と今後のブランド展開のスケジュールを詳述した企画書まで作成し(乙第4号証)、さらにコレクションの開催まで行っていることから(乙第27号証及び同第28号証)、かかるハタ社が本件審判の請求の登録前3年間の期間内において本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことは明らかである。
(5)フレックス社に対する本件商標の使用権の許諾について
(ア)パートナー社は、パートナー・エトアールマルゼン契約とは別に、1997年12月1日付で、フレックス社との間で、シャツ類全般(ドレス、カジュアル)を対象商品として、本件商標等の使用許諾契約(乙第31号証、以下「パートナー・フレックス契約」という。)を締結し、フレックス社に対し、シャツ類全般に関して本件商標等の使用権を許諾した。
(イ)フレックス社がハタ社に対して本件商標等の使用許諾を行っていたことは、「『PRINCIPE』ブランド ライセンス プロダクツ ロイヤリテイー」をパートナー社がフレックス社に請求し、パートナー・フレックス契約第10条に従ってフレックス社がパートナー・フレックス契約締結以降各年の3月末及び9月末に当該請求金額を支払っていることからも明らかである(乙第16ないし同第23号証)。
(ウ)なお、パートナー・フレックス契約においては、「イタリアン・プレス・サービス・カンパニーH.K.リミテッドの保有する商標第25類の『PRINCIPE』」といった表記がなされているので、このような表記がなされた理由及びイタリアン・プレス・サービス・カンパニーH.K.リミテッド(以下「イタリアンプレス社」という。)について、以下説明する。
(エ)イタリアンプレス社は、香港の法人であるが、その東京オフィスは、1968年以来、イタリアのプリンチペ社から委託され、日本におけるプリンチペ社のいわゆるエージェントとして、プリンチペブランドの日本におけるプロモートや、プリンチペブランド商品の日本への輸入の仲介、ライセンス契約の仲介、ロイヤリティの代理受領等様々な業務を行ってきているものであり、代表のマンリオ・カデロ氏を通じ、プリンチペ社やその創業者一族と非常に密接な関係を保ってきた。前述したパートナー社もイタリアンプレス社の東京オフィスの紹介によりプリンチペ社とライセンス契約を締結するようになったもので、当該契約に基づくロイヤリティの支払いや、プリンチペ社や創業者一族との様々な連絡等もこのイタリアンプレス社を通じて行ってきている。その意味で、イタリアンプレス社は、パートナー社にとって、プリンチペ社やその創業者一族(1997年8月にプリンチペ社より本件商標の譲渡を受けている。)と一体となったような存在であった。
(オ)このような背景から、パートナー社は、自らが直接にフレックス社と商標使用許諾契約を締結する際には、契約書の書面上は、当該契約締結時既に当該登録商標を譲り受けていた「ロレンツォ・ドニ、マリア・キャロリーナ・ドニ及びアンドレア・ドニの保有する商標第25類の『PRINCIPE』」といった表記をするのではなく、「イタリアン・プレス・サービス・カンパニーH.K.リミテッドの保有する商標第25類の『PRINCIPE』」という表記をしたに過ぎない。これは、確かに法律的には正確な表現ではない側面もあるが、前述したとおり、上記パートナー・フレックス契約締結時も、パートナー社が本件商標等の日本における独占的使用権を正当に有していた以上、契約書のかかる表現自体が、当該パートナー社からフレックス社への本件商標等の再使用許諾の有効性に影響を与えるものでないことはいうまでもないことである。
(カ)ちなみに、ライセンシーたるフレックス社のウェブサイトの取扱ブランドの紹介のサイト(乙第32号証)においても、「PRINCIPE」ブランドを、「『プリンチペ』は、1930年にイタリア・フィレンツェでエンツ・ドーニ氏によって創業されました。」などと紹介しており、この点だけからしても、パートナー・フレックス契約でライセンスの対象となっているブランドが本件商標等であることは明らかである。
そもそも、パートナー・フレックス契約締結当時、既に旧17類に係る「PRINCIPE」及び「プリンチペ」の商標は被請求人らが保有していたのであるから、旧17類について、「イタリアン・プレス・サービス・カンパニー.H.K.リミテッドの保有する『PRINCIPE』商標」などというものは存在しえないはずなので、かかる契約上の文言にかかわらず、パートナー・フレックス契約の対象となった商標が本件商標等であったことは明らかである。
(6)フレックス社による本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用について
(ア)フレックス社は上記のとおり、パートナー社より、シャツ類全般(ドレス、カジュアル)を対象商品として、本件商標等の使用許諾を受けている。
ただし、フレックス社は、準備等に時間がかかったため、実際に、プリンチペブランドのシャツ(メンズシャツ)の販売を開始したのは、1999年2月以降となっている。1999年1月12日付の繊研新聞の写しに掲載されている広告(乙第33号証)は、フレックス社がプリンチペブランドのシャツの販売を開始するにあたり行った広告であり、当該広告上の「イタリアの老舗プリンチペのメンズシャツがデビューします。」という記載からは、1999年初めから「プリンチペ」ブランドのメンズシャツがフレックス社から販売されることが分かる。また、「イタリアの老舗プリンチペブランドのメンズシャツ春夏コレクションが入荷します。1999年2月6日」という記載がある葉書(乙第7号証)は、フレックス社が作成し、その顧客に送付されたものである。これらの広告が、それ自体、本件商標の指定商品である被服に関する広告に該当することはいうまでもない。
また、乙第6号証は、1999年5月19日付のフレックス社から東武百貨店の池袋店宛の納品書であるが、既に述べたとおり、「PRINCIPE」ブランドの長袖ドレスシャツが複数納品されたことが記載されており、当該納品書は本件商標と社会通念上同一である商標が、本件商標の指定商品である被服に関する取引書類に使用されたことを示している。
(7)以上からすれば、フレックス社が、本件審判の請求の登録前3年以内である1999年の初めから夏にかけて、本件商標又は本件商標と社会通念上同一である商標を指定商品たる被服(シャツ)に関して正当に使用していたことは明らかである。
なお、パートナー・フレックス契約の契約期間は2001年2月末日までとなっているが、当該契約第8条の規定に従い更新されてきている。実際、現在でも、フレックス社は「PRINCIPE」ブランドのメンズシャツを企画・製造・販売しており、同社のホームページでも紹介されているし(乙第32号証)、同社による「PRINCIPE」ブランドのメンズシャツは現在も東武百貨店池袋店等で購入することができる(乙第34号証及び同第35号証)。
(8)商標権の移転について
本件商標の商標登録原簿記載のとおり、本件商標に関する商標権は、平成9年(1997年)8月25日付で、プリンチペ社からロレンツォ・ドニ、マリア・キャロリーナ・ドニ及びアンドレア・ドニの3名の被請求人らに移転されている。かかる被請求人ら3名は、プリンチペ社の創業者であるドニ一族の出身であり、プリンチペ社の社長や副社長の息子や娘であった者達である(乙第36号証)。パートナー社がプリンチペ社から1993年に許諾を受けた本件商標等の日本における独占的通常使用権は特許庁に登録されたものではなかったが、本件商標の商標権を譲り受けた原告ら3名も、その権利を了解していたものであり、ライセンスの条件も、本件契約書の内容が原則的にそのまま引き継がれたものである。
したがって、本件商標に関する商標権の移転後も、パートナー社及び同社から許諾されたサプライセンシーらが有する本件商標の使用権の正当性には何らの変化もない。
(9)むすび
以上のとおり、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標の使用権者によって指定商品に使用されていた事実は明らかである。

第4 当審の判断
1 本件商標の通常使用権について
被請求人は、本件商標が我が国において使用権者によって使用されていたと主張しているが、本件商標に係る通常使用権が商標権者から正当に許諾されていたか否かにつき、当事者間に争いがあるので、先ず、この点について検討する。
(1)プリンチペ社からパートナー社に対する本件商標の使用許諾の有無について
(ア)被請求人は、本件商標が我が国においてパートナー社により「衣服」に使用されており、パートナー社は本件商標の使用権を正当に有するものであるとし、パートナー社とプリンチペ社との間で、1993年12月1日付けで、契約期間を同日から2004年12月1日までとする契約を締結した旨主張し、本件契約書を乙第2号証として提出している。
そこで、本件契約書をみるに、その冒頭部分には、各契約条項の前提をなすと解される事項として、
(a)本会社(審決注:プリンチペ社)は、イタリアにおける『PRINCIPE』の商標の所有者であり、かつ、イタリアにおいて当該商標の下に、日本の商標法における商品分類の第17類、20類、21類、22類、25類及び26類に属する全ての商品の製造者及び販売者としてビジネスに従事している。
(b)本会社は、独占的に、イタリアにおける本会社のデザイン及び創作に基づき製造された本製品(審決注:被服等)について『PRINCIPE』の商標をイタリアにおいて使用し、かつ他の者、企業又は会社に対してかかる商標を使用する許可を付与する権限を有している。
(c)パートナー社は、本契約において定める通り、本会社のデザイン及び創作に基づく様々な種類の製品を本領域(審決注:日本国等)において製造及び販売することを望んでいる。
旨記載されている。
また、本件契約書4条には、パートナー社は、被服等に関連し、日本国等において、『PRINCIPE』の商標及びプリンチペ社の名称を使用する独占的権利を有する旨定められ、同契約書7条には、パートナー社は、他の者、法人又は会社に対し、日本国等において上記商標等を付した被服等を製造及び販売することを許可する権利を有する旨、但し、パートナー社は、まずプリンチペ社の書面による承認を取得しているものとする旨定められていることが認められる。
(イ)上記認定の事実によれば、本件契約書では、契約条項の前提をなす事項として、プリンチペ社がイタリアにおける「PRINCIPE」の商標の所有者である旨が記載されているに止まり、プリンチペ社が我が国における本件商標の所有者であることの記載はない。したがって、本件契約書は、プリンチペ社がパートナー社に対し、イタリアにおける「PRINCIPE」の商標の独占的な使用権を許諾したものであると解するのが相当であり、本件契約書によって、プリンチペ社がパートナー社に対し本件商標の我が国における独占的な使用権を許諾したものと認めることはできない。
そうすると、本件契約書を根拠にしてパートナー社が本件商標の使用権を正当に有するものであるとする被請求人の主張は、理由がないことになり、パートナー社は我が国における本件商標の使用許諾を受けたということはできない。
(ウ)被請求人は、本件契約書において、本領域に日本が入ること、存続期間が日本政府の事前の承認にかかるとされていること、ロイヤルティの支払いが日本政府の源泉徴収税の対象とされていること等が定められていることをもって、本件契約書が我が国における「PRINCIPE」の商標の使用許諾に関するものである旨主張している。
しかしながら、これらのことをもってしては、本件商標の使用許諾があったということができないばかりでなく、我が国における登録商標の使用許諾の契約に当たっては、商標の登録番号、商標の態様、区分、商品等を明示することにより商標を特定して規定するのが一般的であると解されるところ、本件契約書にはこれらの記載が認められない。
そうすると、被請求人の主張する上記事項をもって、本件契約書が我が国における「PRINCIPE」の商標ないしは本件商標の使用許諾に関するものであると認めることはできず、被請求人の主張は採用することができない。
(2)パートナー社からハタ社に対する本件商標の使用許諾の有無について
(ア)被請求人は、パートナー社は本件契約書により許諾された再使用許諾権に基づきエトアールマルゼン社に対し本件商標の使用権を許諾する旨の契約(パートナー・エトアールマルゼン契約)を締結し、また、エトアールマルゼン社は本件商標の使用権をハタ社に許諾する旨の契約(エトアールマルゼン・ハタ契約)を締結し、その後、パートナー社及びハタ社は、エトアールマルゼン社の承諾の下に、1996年(平成8年)5月1日付けで、上記契約の内容を変更し、パートナー社が直接ハタ社に本件商標の使用権を再許諾するものとする合意をした旨主張している(乙第24号証ないし同第26号証)。
(イ) しかしながら、パートナー社がプリンチペ社から本件商標の使用許諾を受けていないことは上記(1)のとおりであるばかりでなく、被請求人が主張するパートナー・エトアールマルゼン契約は、エトアールマルゼン社がパートナー社に対し、エトアールマルゼン社の専用使用ブランド「PRINCIPE」のサブライセンシーの開拓業務、企画、コーディネート及び管理業務を委託することを内容とする契約であり、本件商標を対象とするものではない。
(ウ)エトアールマルゼン社とハタ社間の上記契約に関しては、パートナー社とハタ社の間で交わされたと認められる1996年5月1日付け「『PRINCIPE』商標使用契約書」に関する契約内容変更の覚書」(乙第26号証)により、パートナー社が直接ハタ社に本件商標の使用権を再許諾するものとする旨、上記契約内容を変更する合意がされている。しかしながら、パートナー社が、プリンチペ社から本件商標の使用許諾を受けていないことは上記(1)のとおりであるから、上記覚書によりハタ社が本件商標の使用権を取得したということはできない。
したがって、上記パートナー・エトアールマルゼン契約及び上記覚書をもって、ハタ社がエトアールマルゼン社ないしパートナー社から本件審判請求の登録(平成12年1月26日)前3年以内の期間において本件商標の使用許諾を受けていたと認めることはできない。
(3)パートナー社からハタ社に対する本件商標の使用許諾の有無について
被請求人は、パートナー社がプリンチペ社から本件商標の独占的使用権を再許諾権付きで許諾を受けたことを前提に、フレックス社がパートナー社から本件商標の使用権の再許諾を受けた旨主張し、パートナー・フレックス契約(乙第31号証)を提出しているが、パートナー社がプリンチペ社から本件商標の独占的使用権の許諾を受けたと認められないことは、上記(1)のとおりである。
そして、乙第31号証の契約書には、パートナー社はイタリアン・プレス・サービス社の保有する商標第25類の「PRINCIPE(プリンチペ)」の独占的製造、販売権を取得し、これに基づきフレックス社に同商標の使用権を許諾する旨記載されているところ、イタリアン・プレス・サービス社は本件商標の商標権者でないことは明らかであり、上記契約書にいう同社が保有する商標第25類の「PRINCIPE(プリンチペ)」と本件商標とは別の商標を意味するものといわざるを得ない。
したがって、乙第31号証をもって、フレックス社がパートナー社から本件商標の使用許諾を受けたものと認めることはできない。
(4)以上のとおり、本件商標に係る使用権については、パートナー社はもとより、ハタ社及びフレックス社のいずれも許諾を受けていないものと判断するのが相当である。
2 本件商標の使用について
(1)被請求人は、本件商標が使用権者により「衣服」について使用されていると主張し、その使用の事実を立証するものとして乙第3ないし同第7号証(枝番をふくむ。)、同第9号証、同第11号証ないし同第23号証、同第27号証ないし同第30号証及び同第32号証ないし同第35号証を提出しているので、これらの乙各号証について検討する。
(ア)乙第3号証及び同第4号証について
乙第3号証は、パートナー社がハタ社宛に提出した1998年秋冬物の企画書の写しと認められ、乙第4号証は、ハタ社が平成7年1月に作成した’95〜’96秋冬用スーツ、ジャケットのデビュープランの写しと認められる。
しかしながら、一般的に、企画書は、商品開発、販売計画を記載した会社内の内部文書というべきものであり、これをもって、本件商標が本件指定商品について使用されたことを示すものということはできない。さらに、後者についていえば、その内容は、本件審判請求の登録(平成12年1月26日)前3年以内のものではなく、ハタ社が同期間内に本件商標をその指定商品について使用したことを示すものでないことは明らかである。
(イ)乙第5号証の1ないし4及び同第6号証について
乙第5号証の1ないし4は、フレックス社から東武百貨店宛に提出された納品書の写しと認められ、乙第6号証は、該納品書における符号を説明する「ブランドコード表」の写しと認められる。
しかしながら、上記納品書が本件審判請求の登録日(平成12年1月26日)前3年以内に作成されたものであるとしても、乙第6号証は、何人によって作成されたものか明らかでないばかりでなく、右上に記載された「2002.07.03管理課」の表示からすれば、本件審判請求の登録日後に作成されたものとみるのが自然であるから、乙第6号証による符号の説明が、本件審判請求の登録前に作成された上記納品書についてそのまま該当するものと断定はできない。そして、上記納品書の記載内容からは本件商標が明らかでなく、かつ、使用に係る商品を特定することが困難であり、これをもって本件商標が具体的に使用されているとは認められない。
(ウ)乙第7号証、同第27号証及び同第28号証について
乙第7号証は1999年春夏コレクションの、同第27号証は1995〜1996年秋冬コレクションの、同第28号証は1996年春夏コレクションの、それぞれ案内状の写しと認められるが、各案内状にはいずれも本件商標の指定商品が何ら表示されていないばかりでなく、乙第7号証は何人によって作成されたものか明らかでないし、乙第27号証及び同第28号証に係るコレクション発表会が本件審判請求の登録(平成12年1月26日)前3年以内にされたものでないことは明らかである。なお、上記各証拠がハタ社により上記各コレクションに係る商品が販売されたことを証するものでないことはいうまでもない。
(エ)乙第29号証について
乙第29号証は、ハタ社が作成した1997年春夏物ネクタイの商品リストであると認められるが、これらが広告、定価表又は取引書類として展示され又は各販売先に頒布されたことを認めるに足りる証拠はなく、まして、上記商品リストをもって、ハタ社により同リスト記載の商品が販売されたことを証するものとはいえない。
また、エトアールマルゼン・ハタ契約(乙第25号証)によれば、エトアールマルゼン社はハタ社に対し、専用使用ブランド「PRINCIPE」の商標を付した指定商品、すなわち「旧第17類 現第25類 被服(但し、メンズのスーツ、ジャケットに限る)」を製造し、日本国において販売する使用権を許諾する旨の約定しかなく、ハタ社に対しネクタイについて上記商標の使用権を許諾する旨の約定はないから、仮に、上記商品リストが展示、頒布されたものとしても、これをもって、ハタ社が本件商標の使用権者として本件商標をその指定商品に使用したということはできない。
(オ)乙第9号証について
被請求人は、乙第9号証はハタ社が1997年(平成9年)に販売していた「PRINCIPE」ブランドの商品(メンズパンツ)に使用されていた下げ札であると主張しているが、上記下げ札自体によっては、本件商標がその指定商品に使用され、その指定商品が販売のため展示されていたことを示すものということはできない。
(カ)乙第30号証について
乙第30号証は、1995年(平成7年)2月2日付けの繊研新聞であり、同新聞には、「ハタ・コーポレーションは、今秋冬物からイタリア・フィレンツェの専門店『プリンチペ』(1930年創業)ブランドのメンズ重衣料を日本国内でライセンス生産し、専門店ルートで販売する。プリンチペと提携関係にある専門店のエトワールマルゼン(本社富山市)との3年契約で、3年後、小売りベースで10億円の売上高を見込んでいる。」との記載があるが、この記載は、ハタ社が本件審判請求の登録(平成12年1月26日)前3年以内に,本件商標をその指定商品について使用したことを示すものではない。
(キ)乙第11号証ないし同第23号証について
乙第11号証ないし同第14号証、同第16号証、同第18号証、同第20号証及び同第22号証は、パートナー社が発行した三松商事、ハタ社又はフレックス社宛の請求書と認められるが、これらには「『PRINCIPE』(プリンチペ)ブランドライセンス契約に於けるロイヤリティー」等の記載があるのみで、具体的な商品及び商標が明らかにされておらず、これらをもって本件商標がその指定商品について使用されていたということはできない。また、乙第19号証、同第21号証及び同第23号証は、三和銀行による「当座勘定照合表」と認められるが、これらにも本件商標及び商品が何ら記載されていないし、その性格上、これらが本件商標の指定商品についての使用を立証するものでないことは明らかである。
(ク)乙第32ないし同第35号証について
乙第32号証は、フレックス社のインターネットホームページを2002年12月25日にプリントアウトしたものと認められるが、その内容は2002年12月16日に更新されていることが明らかである。乙第34号証は商品の写真であり、同第35号証は東武百貨店池袋店発行の領収書と認められるが、いずれも本件審判の請求後のものである。したがって、これらをもって、本件審判請求の登録日(平成12年1月26日)前3年以内に本件商標がその指定商品について使用されたことを認めることはできない。
また、乙第33号証は、1999年1月12日付けの繊研新聞であって、フレックス社による広告が掲載されていることが認められるが、その広告中には「イタリアの老舗プリンチペのメンズシャツがデビューします。」と記載されているとおり、商品が発売されることを予告するに止まり、それが実際に販売され取引されたことを示すものではないし、他に実際に販売等されたことを示すものはないから、これをもって、本件商標がその指定商品に使用されたものと認めることはできない。
(2)以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、本件審判請求の登録日(平成12年1月26日)前3年以内に本件商標がその指定商品について使用されたものとはいえない。その他、本件審判請求の登録日前3年以内に本件商標がその指定商品について使用されたことを認めるに足る証拠はない。
3 まとめ
以上のとおりであるから、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ないし、使用されなかったことについて正当な理由があるものとも認められない。
したがって、本件商標は、商標法50条の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-01-21 
結審通知日 2005-01-25 
審決日 2005-02-08 
出願番号 商願昭48-30316 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (117)
最終処分 成立 
前審関与審査官 青木 俊司 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 宮川 久成
山本 良廣
登録日 1983-04-27 
登録番号 商標登録第1583753号(T1583753) 
商標の称呼 プリンチペ 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 大賀 眞司 
代理人 古木 睦美 
代理人 大賀 眞司 
代理人 佐藤 雅巳 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 
代理人 大賀 眞司 
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