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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z06071240
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z06071240
管理番号 1118293 
審判番号 不服2002-10990 
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-06-17 
確定日 2005-05-27 
事件の表示 商願2001-7129拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本件商標登録出願
本件商標登録出願は、商標(以下「本願商標」という。)の構成を「還元鋳造」の文字(標準文字による)とし、
第6類「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属鉱石,建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建具,金庫,金属製金具,金属製建造物組立てセット,金属製貯蔵槽類,金属製の滑車・ばね及びバルブ(機械要素に当たるものを除く。),金属製包装用容器,金属製荷役用パレット,荷役用ターンテーブル,荷役用トラバーサー,金属製人工魚礁,金属製セメント製品製造用型枠,金属製の可搬式家庭用温室,金属製の吹付け塗装用ブース,金属製養鶏用かご,金属製航路標識(発光式のものを除く。),金属製道路標識(発光式又は機械式のものを除く。),てんてつ機,金属製管継ぎ手,金属製フランジ,キー,コッタ,いかり,金属製ビット,金属製ボラード,かな床,はちの巣,金網,ワイヤロープ,犬用鎖,金属製家庭用水槽,金属製工具箱,金属製貯金箱,金属製のきゃたつ及びはしご,金属製のネームプレート及び標札,金属製のタオル用ディスペンサー,金属製帽子掛けかぎ,金属製郵便受け,金属製靴ぬぐいマット,金属製ブラインド,金属製立て看板,金属製彫刻,金属製の墓標及び墓碑用銘板,金属製のバックル,つえ用金属製石突き,アイゼン,カラビナ,ハーケン,金属製飛び込み台,金属製あぶみ,拍車」、
第7類「鋳造機,その他の金属加工機械器具」、
第12類「船舶並びにその部品及び付属品,航空機並びにその部品及び付属品,鉄道車両並びにその部品及び付属品,自動車並びにその部品及び付属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び付属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,車いす,荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),乗物用盗難警報器」及び
第40類「金属材料の鋳造加工,電気めっき,フライス削り,焼きなまし,焼き戻し,溶融めっき,金型の貸与,鋳造機その他の金属加工機械の貸与」を指定商品及び指定役務として平成13年1月31日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、全体として『還元反応を利用した鋳造』といった意味合いを理解させるものであるから、その指定商品中『金属製の商品,鋳造機』又はその指定役務中『金属材料の鋳造加工,鋳造機の貸与』に使用しても、これに接する取引者、需要者は『上記鋳造方法により製造された商品』若しくは『上記鋳造方法に使用する鋳造機』であること又は『上記鋳造方法による加工』若しくは『上記鋳造方法に使用する鋳造機の貸与』であることを理解するに止まり、単に商品の品質又は役務の質を表示したものと認識するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法3条1項3号に該当し、前記商品又は役務以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法4条1項16号に該当する。」旨認定判断して本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
本願商標の構成は、前記したものであるところ、構成中の「還元」の文字は、例えば、岩波書店発行「広辞苑第5版」によれば、「根源に復帰させること、もとに戻すこと」の意味のほか、「酸化された物質を元へ戻すこと(すなわち酸素を奪うこと)。広い意味では、物質に電子が与えられる変化を総称する。」の意味を有し、「還元炎」、「還元酵素」、「還元剤」、「還元主義」、「還元建」、「還元地」、「還元鉄」等多くの複合語を作る語であり、また、「鋳造」の文字は「金属を溶かし、鋳型に流しこんで、所要の形に造ること」を意味する語であって、いずれも一般によく知られた語であるところから、本願商標は、上記意味合いの「還元」と「鋳造」の2語を結合したものと容易に認識し把握されるものというのが相当である。
そして、例えば、製鉄・製鋼において、酸化、還元などの化学反応が利用されることは、「社団法人 日本鉄リサイクル工業会」のホームページ(http://www.jisri.or.jp/recycle/recycle02.html)に「電炉法 電気炉はその名の通り、電気の熱を利用して鋼を製造する炉ですが、………。この過程ではさらに酸素を吹き込み反応熱で温度を上昇させることから、この工程を酸化精錬と言います。 それに続いて酸素や硫黄を除くための還元精錬が行なわれます。還元精錬では、酸素精錬で出来た酸化性のスラグ(製鋼カス)を炉の外へかき出してから粉コークス、石灰などを加え、還元性のスラグを形成させます。そして、粉コークスと石灰とが高い熱によってカーバイト(炭化カルシウム)となって脱酸、脱硫を行います。」、「高炉法 ………高炉の本体は細長いトックリ型で、その炉頂に向って斜めに立ち上っているコンベアによって、鉄鉱石とコークスが交互に投入されます。コークスは炉の下から吹き込まれる熱風や酸素と反応して一酸化炭素や水素などのガスを発生させますが、この熱いガスは上昇気流となって炉内に吹きのぼり、鉄鉱石を溶かしながら酸素を奪い取っていきます。溶けた鉄は炉の中をまるで豪雨のように流れ落ちながらコークスの炭素と接触し、還元されて炉底部にたまります。………」との表記があることに照らして明らかである。
また、「鋳造」は、上記したように、「金属を溶かし、鋳型に流しこんで、所要の形に造ること」を意味する金属の加工に関する技術用語である。
そうとすれば、「還元鋳造」の語は、原査定のいうように、「還元反応を利用した鋳造方法により製造された商品、還元反応を利用した鋳造方法による鋳造機、還元反応を利用した鋳造方法による加工」等であることを容易に理解・認識させる、記述的表示にすぎないものというべきである。
この点につき、請求人は、「鋳造法には、………『還元鋳造(法)』という用語はなく、また技術用語として一般的に採択使用されている事実も見受けられない。」、「本願商標『還元鋳造』は全くの造語であって、何ら商品の品質を表示するものでも、商品の品質を誤認させるものでもない。」と主張している。
なるほど、仮に本願商標が、技術用語として一般的に採択使用されておらず、特定の者の採択に係る造語であるとしても、本願商標が、上記した技術的内容をあらわす記述的表示と認識されるといえる以上、このような語を登録商標として、特定の者の独占に委ねることは、商標の一般的登録要件を規定した商標法3条1項3号の趣旨に背くものというべきである。
現に、インターネットウェブサイト情報によれば、「92〜95 専務 この間、企業体質改革を全社展開し、97/10 東証2部上場を果たす。02/3 東証1部上場に繋げた。自動車の小型軽量化に向けて軽合金鋳物の研究開発を進め、還元鋳造法を発明開発した。」(www.tech.or.jp/activity/coordi/coordi04.html)とあり、請求人の役員が「還元鋳造」の語が技術用語と理解される表現をしており、このほか、「金型の酸素事前除去、アルミ還元鋳造法開発/日信工業・長野県」、「ホンダ系自動車部品メーカー、日信工業は二酸化炭素排出量の削減や鋳造時間の大幅な短縮につながる新しいアルミ鋳造法を開発。新鋳造法は金型内の酸素を奪うのがポイント。金型の余熱工程がなくなる。(日経産業NP 2003/01/24)」(http://www.icon.pref.nagano.jp/d2_kigyodoko/kigyodoko200301.html)、
「日信工業(7230) 参考銘柄 ホンダ系ブレーキメーカー、アルミ一貫生産で高い技術力ホンダ系部品会社。………自動車の軽量化ニーズは強く、製造コストを鉄並みに抑えられる新アルミ鋳造技術『還元鋳造法』(還元剤を吹き込むことで常温のまま金型を使用することが可能)を生かしたアルミ軽量部品群は今後とも高い伸びが期待でき、環境関連銘柄としてもマークしたい。」(http://www.yutaka-sec.co.jp/gensen/week/pdf/199/7230.pdf)とする「還元鋳造(法)」の語の使用例が認められるところである。
また、請求人の技術を紹介する新聞記事においても、「日信工業は従来のアルミ合金の重力鋳造法に比べて、70%以上のエネルギー削減と部品の伸びが7倍に向上するアルミ新鋳造法『還元鋳造法』を開発した。同社では製法特許出願済みで、2002年から2輪のブレーキ部であるマスターシリンダーとキャリパーの量産に入る。」(2001年7月23日付 日刊工業新聞 19頁)、「今回の開発強化策では、長野県小県郡にある開発センターの隣接地に2億5000万円を投じ03年4月完成をめどに生産技術棟を建設。生産技術開発で、商品設計から設備と金型設計・製作、生産までの一貫生産技術開発体制を構築、開発スピード向上を図る。また、還元鋳造法の研究拠点とする。」(2002年10月23日付 日刊工業新聞 13頁)、「同社が誇る二つのコア技術は、高強度アルミ鋳造・加工技術とブレーキシステム技術。アルミ鋳造・加工技術では還元鋳造法が看板だ。」(20044年8月13日付 日刊工業新聞 5頁)として、「還元鋳造(法)」の語が技術的用語として使用されている事例が認められるところである。
してみれば、この「還元鋳造」の語は、請求人の主観的意図はともかく、客観的には、金属の鋳造法の一技術を記述的に表示するものとして一般に使用され、認識されているということができるものである。
よって、本願商標は、その指定商品中、「還元反応を利用した鋳造方法により製造された鉄及び鋼,還元反応を利用した鋳造方法により製造された非鉄金属及びその合金」、「還元反応を利用した鋳造方法による鋳造機」及び指定役務中、「還元反応を利用した鋳造方法による加工、還元反応を利用した鋳造方法による鋳造機の貸与」に使用しても、商品の品質又は役務の質を表示するにすぎず、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
また、本願商標をその指定商品及び役務中、上記以外の「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金」、「鋳造機」、「船舶の部品,航空機の部品,鉄道車両の部品,自動車の部品,二輪自動車・自転車の部品」及び「金属材料の鋳造加工,鋳造機の貸与」に使用するときには、少なくとも、商品の品質又は役務の質について誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法3条1項3号及び同法4条1項16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-03-18 
結審通知日 2005-03-25 
審決日 2005-04-05 
出願番号 商願2001-7129(T2001-7129) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Z06071240)
T 1 8・ 13- Z (Z06071240)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清川 恵子山田 啓之 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 山本 良廣
宮川 久成
商標の称呼 カンゲンチューゾー、カンゲン 
代理人 綿貫 隆夫 
代理人 堀米 和春 

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