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審判番号(事件番号) データベース 権利
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不服200225216 審決 商標
審判199817893 審決 商標
不服20035262 審決 商標
不服20029882 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z11
管理番号 1118292 
審判番号 不服2002-16358 
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-08-27 
確定日 2005-05-27 
事件の表示 商願2001- 15913拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第11類に属する願書に記載の商品を指定商品として、平成13年2月23日に立体商標として登録出願、その後、指定商品については、同14年4月24日付の手続補正書において、第11類「湯たんぽ」と補正されたものである。

2 原査定の理由の要旨
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、一見して直ちに『湯たんぽ』とわかる図形であり、特別な独創的形状を有しているものとは言い難く、湯たんぽの類型的図形を表したものと見るのが相当であるから、これを『湯たんぽ』に使用しても、単に商品の形状を表示するにすぎない。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。なお、たとえ、この商標登録出願に係る商標の形状が実用新案登録や意匠登録に関するものであったとしても、商標法と実用新案法及び意匠法は保護すべき法益や要件を異にするものであることから、それをもって、商標登録すべきものということはできない。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲に示すとおり、湯たんぽそのものを表した立体的形状よりなるものであって、該湯たんぽの偏平な本体と直交するように底面を設けたことは、湯たんぽを立てることを可能にするためであり、底面近くの注湯口は、湯たんぽを立てた状態で内部の湯水の排出を容易にするためのものであり、上部に提げ手を設けたことは、取り扱いの便宜のためであって、該湯たんぽの用途、機能から予想し得ない程の特徴がある形状とも認められない(もちろん、このことは、実用新案登録や意匠登録がされた際の登録要件としての進歩性や創作非容易性について言及しているのではなく、商品として市場において販売されている状況のもとにおいて、該湯たんぽに対する取引者・需要者の認識としてのものである。)。
したがって、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、湯たんぽの形状、すなわち、湯たんぽを立てておける形状にしたことは、販売や収納の際、場所をとらないための形状であり、提げ手や底面近くの注湯口は、使用の際の利便性を高めるための形状であると理解するに止まり、このような形状自体が自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものといわなければならない。
(3)この点について、請求人は、本願商標の形状に基づく構造について実用新案登録(登録第1961119号 甲第1号証)や意匠登録(登録第711028号 甲第2号証)を受けていたものであり、このことは、本願商標の形状が新規性、特異性を有することを意味する旨主張している。
しかしながら、上記したとおり、実用新案登録や意匠登録がされたことと、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとして取引者・需要者に認識されるか否かとは直接関係のないことである(なお、原簿の記載に徴すれば、実用新案登録第1961119号は、存続期間の満了により、平成12年11月8日に抹消の登録がなされており、意匠登録第711028号は、存続期間の満了により、平成14年8月7日に抹消の登録がなされている。)。
また、請求人は、この立てることができる湯たんぽは、市場において永年販売されることにより、自他商品識別力が生じている旨主張して、甲第3号証(平成13年1月21日付の生活産業新聞)、甲第4号証(平成15年1月4日付の朝日新聞)、甲第5号証(テレビ放送を録画したビデオテープ)及び甲第6号証(平成13年度グッドデザイン賞のコピー)を提出している。
しかしながら、商品等の形状に係る立体商標が商標法第3条第2項に該当するものとして登録を認められるのは、原則として、使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合に限られると解されるところ、提出に係る甲各号証によっては、使用に係る商標(湯たんぽ)の具体的な形状や外観の状態を把握することが困難であり、出願に係る商標(湯たんぽ)との同一性を判断することができず、また、出願に係る商標と同一の形状からなる湯たんぽが具体的にどの程度、製造・販売され、どの程度、宣伝・広告されていたのかを示す証拠は提出されていない。
してみれば、請求人提出の甲各号証をもってしては、本願商標に自他商品識別力が生じていたものと認めるに十分なものとはいえず、請求人の主張及び甲各号証を総合してみても、本願商標それ自体が自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認められないから、請求人の主張はいずれも採用できない。
(4)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、同法第3条第2項の要件を具備するものとも認められないから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標

審理終結日 2005-03-22 
結審通知日 2005-03-25 
審決日 2005-04-05 
出願番号 商願2001-15913(T2001-15913) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z11)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村田 有香 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 富田 領一郎
小川 有三
代理人 井澤 洵 

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