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審決分類 審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z1642
審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z1642
管理番号 1115002 
審判番号 無効2004-35136 
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-05-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-03-12 
確定日 2005-04-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第4415509号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4415509号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4415509号商標(以下「本件商標」という。)は、「CLINICAL PATHS」及び「クリニカルパス」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成11年6月2日に登録出願、第16類「印刷物」及び第42類「医療情報の提供」を指定商品及び指定役務として同12年9月8日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、審判請求書において、本件商標は、商標法第46条第1項第1号に該当する旨主張し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第9号証を提出した。
本件商標は、商標法第3条第1項第1号に該当し、商標登録を受けることができないものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁をしていない。

4 当審が通知した無効理由通知
請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
「CLINICAL PATH」は、1980年代の米国において、経済的でかつ質の高いケアを提供するための手法として考案されたものの名称であり、同手法の考案者は、その手法を「CareMap」と称して商標登録した。そのため、「CareMap」の使用を契約していない施設では、この方法をclinical pathways、clinical path、caremaps、あるいは単にpathwaysなどさまざまな名称で呼ぶようになった。我が国においても、1990年頃から、「clinical paths」を片仮名で表示した「クリニカルパス」又は「クリテイカルパス」等の名称で、病院運営に同手法を導入する病院が現れ、現在では、多数の病院が同手法を導入し、「疾病や診療群別に容態の経過や種々の介入を同一のフォーマットで時系列に並べ、関連職種が把握しやすくしたもの」、「診療計画や指示、記録を経過表として作成したもの」等の意味合いで「クリニカルパス」又は「クリテイカルパス」の語を用いている(甲第1、第4及び第5号証)。
1999年6月には、臨床における具体的なパスの導入・運用・改善及びその成果の普及を図ることを目的とする「日本クリニカルパス学会」が設立された(甲第2及び第3号証)。
また、1996年頃から、我が国においてもクリニカルパスに関する論文・文献が多数発表・発行されている(甲第3号証)。
さらに、一般消費者に対しても、新聞報道やテレビ番組による報道により「クリニカルパス」が端的に「治療日程表」、「治療方針、治療・看護計画」、「治療の進め方を統一し明示したもの」等として紹介されている(甲第8及び第9号証)。
(3)以上の事実によれば、「クリニカルパス」は、病院を経営し又は運営する者の間では、本件商標の登録査定時には既に、経済的でかつ質の高いケアを提供するための手法を総称する語として一般に認識され、普通に使用されていたものと認められる。
(4)本件商標は、上記(1)のとおりの構成からなるところ、片仮名文字部分は上述の「クリニカルパス」そのものであり、また、欧文字部分にしても「CLINICAL PATH」の末尾に英語で複数形を表す「S」を付加したのみであって、片仮名文字部分と相俟って上述の「クリニカルパス」を表したものと認識し理解されるというべきである。 そうすると、本件商標をその指定商品及び指定役務中の「クリニカルパスに関する印刷物」又は「クリニカルパスに関する医療情報の提供」に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、該商品が「クリニカルパスに関する印刷物」であること又は該役務が「クリニカルパスに関する医療情報の提供」であること、すなわち商品の内容(品質)又は役務の内容(質)を表示したものと認識するに止まり、結局、本件商標は自他商品・役務の識別標識の機能を果たし得ないものというべきである。また、本件商標を上記商品及び役務以外の指定商品及び指定役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質について誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(5)したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものである。

5 無効理由通知に対する被請求人の答弁
被請求人に対し、前項「第4」で述べている無効理由を通知し、相当の期間を指定して意見を申し立てる機会を与えたが、被請求人は何らの応答もしていない。

6 当審の判断
請求人は、本件商標は、商標法第3条第1項第1号に該当し、商標登録を受けることができないものであり、商標法第46条第1項第1号に該当する旨主張した。
しかしながら、請求人の主張及び甲号証を総合してみれば、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号について審理するのが相当であると認められるので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第1項及び第153条第1項の規定により職権で証拠調を行い、審理した。
そして、職権による証拠調及び審理の結果は、前項「4」で述べたとおり、本件商標は、経済的でかつ質の高いケアを提供するための手法を指称する「クリニカルパス」を表したものと認識し理解されるというべきである。
してみれば、本件商標をその指定商品及び指定役務中の「クリニカルパスに関する印刷物」又は「クリニカルパスに関する医療情報の提供」に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、該商品が「クリニカルパスに関する印刷物」であること又は該役務が「クリニカルパスに関する医療情報の提供」であること、すなわち商品の内容(品質)又は役務の内容(質)を表示したものと認識するに止まり、結局、本件商標は自他商品・役務の識別標識の機能を果たし得ないものというべきである。また、本件商標を上記商品及び役務以外の指定商品及び指定役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質について誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、同法第46条第1項の規定により無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-01-17 
結審通知日 2005-01-18 
審決日 2005-02-18 
出願番号 商願平11-49045 
審決分類 T 1 11・ 272- Z (Z1642)
T 1 11・ 13- Z (Z1642)
最終処分 成立  
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 岩崎 良子
小林 薫
登録日 2000-09-08 
登録番号 商標登録第4415509号(T4415509) 
商標の称呼 クリニカルパス、クリニカルパジズ、クリニカルパスス、パス、パジズ、パスス 
代理人 渡辺 晋 
代理人 布施 明正 

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