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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない Y0942
管理番号 1114918 
審判番号 不服2003-12036 
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-26 
確定日 2005-04-08 
事件の表示 商願2002-45575拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「福祉大臣」の文字(標準文字による商標)を書してなり、第9類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成14年6月3日に登録出願されたものである。
そして、願書記載の指定商品及び指定役務については、平成15年4月1日付けの手続補正書により、第9類「財務会計処理用コンピュータソフトウェア(記録されたもの),その他の電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路,磁気ディスク,磁気テープその他の周辺機器を含む。),財務会計処理用電子計算機用プログラムを記憶させたCD-ROMその他の記憶媒体,財務会計処理用電子式卓上計算機,財務会計処理用ワードプロセッサ」及び第42類「電子計算機の用途に応じて的確に操作するためには高度の専門知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の財務会計プログラムの設計・作成又は保守」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『福祉大臣』の文字を書してなるところ、その構成中の『福祉』の語は『公的扶助やサービスによる生活の安定、充足』を、また、『大臣』の語は『国務大臣または各省大臣の称』をそれぞれ意味し、さらに、社会福祉などを任務とする労働福祉省が存在することから、これらの事実からみて、本願商標は全体として、社会福祉などを任務とする国務大臣の意味を看取させるものと認める。そうすると、本願商標は、社会福祉などを任務とする国務大臣と関わりがあるかのように一般需要者を誤信させるおそれがあり、これを登録することは社会公共の利益に反するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり「福祉大臣」の文字を書してなるものであるところ、これを構成する前半の「福祉」の文字及び同後半の「大臣」の文字は、それぞれ「公的扶助やサービスによる生活の安定、充足。」、「国務大臣または各省大臣の称。」(いずれも株式会社岩波書店発行「広辞苑 第5版」参照 )等の意で一般に親しまれた語である。
そして、内閣法は第2条第1項で「内閣は、国会の指名に基づいて任命された首長たる内閣総理大臣及び内閣総理大臣により任命された国務大臣をもつて、これを組織する。」、同法第3条第1項で「各大臣は、別に法律の定めるところにより、主任の大臣として、行政事務を分担管理する。」と規定し、これを受けて、国家行政組織法第3条は、「国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする(第1項)。行政組織のため置かれる国の行政機関は、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる(第2項)。省は、内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関として置かれるものとし、委員会及び庁は、省に、その外局として置かれるものとする(第3項)。第2項の国の行政機関として置かれるものは、別表第一にこれを掲げる(第4項)。」と規定し、同法第5条第1項で「各省の長は、それぞれ各省大臣とし、内閣法 (昭和22年法律第5号)にいう主任の大臣として、それぞれ行政事務を分担管理する。」と規定しているところ、平成13年1月6日に施行された中央省庁等改革基本法の下、現在では「総務・法務・外務・財務・文部科学・厚生労働・農林水産・経済産業・国土交通・環境の10省が設置(「国家行政組織法別表第一」)され、国務大臣の中から任命された各省大臣がそれぞれの行政事務を分担管理している。
また、上記「厚生労働省」がその任務として、厚生労働省設置法第3条第1項において「厚生労働省は、国民生活の保障及び向上を図り、並びに経済の発展に寄与するため、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進並びに労働条件その他の労働者の働く環境の整備及び職業の確保を図ることを任務とする。」と規定していること、特に「福祉」に関しては、福祉六法とも呼ばれる生活保護法、児童福祉法、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法、老人福祉法、母子及び寡婦福祉法を所管していること、そして、同省が「福祉」に関する任務を達成するため、「勤労青少年の福祉の増進に関すること(厚生労働省設置法第4条第1項第66号)」、「育児又は家族介護を行う労働者の福祉の増進その他の労働者の家族問題に関すること(同第68号)」、「短時間労働者の福祉の増進に関すること(同第69号)」、「家内労働者の福祉の増進に関すること(同第70号)」、「児童の福祉のための文化の向上に関すること(同第76号)」、「前三号に掲げるもののほか、児童、児童のある家庭及び妊産婦その他母性の福祉の増進に関すること(同第77号)」、「福祉に欠ける母子及び寡婦の福祉の増進に関すること(同第78号)」、「社会福祉に関する事業の発達、改善及び調整に関すること(同第81号)」、「社会福祉士及び介護福祉士に関すること(同第85号)」、「障害者の福祉の増進に関すること(同第87号)」、「精神保健福祉士に関すること(同第89号)」、「老人の福祉の増進に関すること(同第90号)」及び「地域における保健及び社会福祉の向上及び増進に関すること(同第92号)」などの所掌事務をつかさどっている。
以上のとおり、「大臣」の文字(語)は、行政組織のために置かれる国の行政機関の長であって、一般に○○大臣と名称の末尾に「大臣」の文字を付したものは、国の行政機関の長の名称を表したものと理解される場合が少なからずあるものといえること、また、前記のとおり、中央省庁等改革による中央省庁等の再編成により、一部省庁の分離、統廃合及び名称の変更がなされる場合があること、さらに「福祉」の文字(語)は、国の行政機関の達成すべき任務の一をさすキーワード的存在であって、その行政事務を大臣が管理していること、等の事情が存することが認められる。
そうとすると、「福祉大臣」の文字よりなる本願商標をその指定商品について使用した場合、前記事情よりして、「福祉に関する行政事務を管理する大臣」の名称又は厚生労働大臣の別称の如く、需要者を誤信させるおそれが少なからずあるというべきであるから、かかるものを商標として採択、使用することは、国家行政への信頼を損ねるおそれがあり、社会公共の利益に反するものといわざるを得ない。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げて本願商標の登録適格性を主張しているが、それらの事例は商標の具体的構成において本願商標とは事案を異にするものであり、それら事例をもって現在における本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切でなく、また、本件については前記認定を相当とするものであるから、その主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-03-12 
結審通知日 2004-03-16 
審決日 2004-04-01 
出願番号 商願2002-45575(T2002-45575) 
審決分類 T 1 8・ 22- Z (Y0942)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平松 和雄小田 昌子 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 山本 良廣
半田 正人
商標の称呼 フクシダイジン 
代理人 堀 城之 

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