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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 Y09
管理番号 1114876 
審判番号 不服2003-2803 
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-02-20 
確定日 2005-04-12 
事件の表示 商願2002-18382拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 本件商標登録出願
本件商標登録出願は、商標(以下「本願商標」という。)の構成を「デジカメムービー」の片仮名文字(標準文字による)とし、第9類「配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極,録音済みコンパクトディスク,その他のレコード,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、平成14年3月8日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由
1 原査定は、本願商標が商標法4条1項11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の3件である。
(1)登録第1127677号商標
「ムービー」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和47年1月28日登録出願、第11類(昭和35年3月8日昭和35年政令第19号をもって改正された商標法施行令第1条に基づく商品区分のもの。)「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同50年6月16日に設定登録され、その後、三回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に権利が有効に存続しているもの(以下「引用A商標」という。)。
(2)登録第4297978号商標
「THE MOVIE」の欧文字を横書きしてなり、平成9年11月26日登録出願、第16類「紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,型紙,紙製テーブルナプキン,紙製タオル,紙製手ふき,紙製のぼり,紙製旗,紙製ハンカチ,裁縫用チャコ,荷札,雑誌,新聞,書画,写真,写真立て,遊戯用カード,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,装飾塗工用ブラシ,封ろう,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、同11年7月23日に設定登録されたもの(以下「引用B商標」という。)。
(3)登録第4790396号商標(商願2001-24160として引用されたもの)
「MOVIEGEAR」の欧文字(標準文字による)よりなり、平成13年3月16日登録出願、第9類「電池,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、同16年7月30日に設定登録されたもの(以下「引用C商標」という。)。
2 拒絶査定の理由の要旨
本願商標は、その構成中の「デジカメ」の文字部分は、「デジタルカメラ」の略語であり、指定商品との関係では、商品の品質を表したものと認められ、自他商品の識別標識としての機能を有するのは、「ムービー」の文字部分にあり、これより、単に、「ムービー」の称呼をも生ずるものである。他方、引用A商標及び引用B商標からは、「ムービー」の称呼をも生ずるものであり、本願商標と各引用商標とは、「ムービー」の称呼を共通にする類似の商標と認められ、本願商標の各指定商品と各引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品を含むものであるから、本願商標は、商標法4条1項11号に該当する。

第3 当審の判断
原査定は、本願商標構成中の「デジカメ」の文字は、「デジタルカメラ」の略語であり、指定商品との関係では、商品の品質表示であるから、本願商標中、自他商品の識別機能を有するのは、「ムービー」の文字部分にあり、これより、単に、「ムービー」の称呼をも生ずるとして、本願商標は、引用各登録商標と称呼を共通にする類似の商標であると認定、判断している。
そこで以下、本願商標が引用の各登録商標と類似するか否かについて検討する。
1 引用B商標との類否判断
上記の原査定説示の理由によれば、本願商標の要部が、「ムービー」の文字部分にあるといい得るのは、その指定商品中、「デジタルカメラ」(第9類中の「電気通信機械器具」の範ちゅうに属するものと解せられる)との関係においてのみであり、本願商標は、他の指定商品との関係においては、「ムービー」の文字部分が要部であるとすることはできないものである。
そうであれば、本願商標の要部が「ムービー」であるとする場合には、本願商標は、「電気通信機械器具」に類似する指定商品を含んではいない引用B商標とは、指定商品において類似するということができず、また、本願商標は、引用B商標の指定商品と類似する指定商品(「家庭用テレビゲームおもちゃ」)との関係においては、本願商標は、その全体をもって取引に資されるというべきであるから、本願商標と引用B商標とは類似の商標ということはできないものである。
したがって、本願商標は、引用B商標との関係においては、商標法4条1項11号に該当するということはできない。
2 引用C商標との類否判断
次に、引用C商標から、「ムービー」の称呼が生ずるとする場合、引用C商標は、引用A商標と類似する商標ということとなり、かつ、引用C商標の指定商品中には、引用A商標と類似関係のある指定商品が含まれているから、引用C商標自体、引用A商標との関係で無効事由を内在する商標ということになる。
しかしながら、引用C商標は、標準文字をもって一連に軽重の差なく表されており、これを「MOVIE」と「GEAR」とに分離して把握しなければならない特別の事情はないとみるのが、引用C商標が登録された経緯に照らし、相当である。
してみれば、引用C商標から、「ムービー」の称呼が生ずるとすることはできず、本願商標は、引用C商標と類似する商標ということはできないものである。
なお、拒絶査定においては、引用C商標との類否判断はされてはいないが、原査定では、本願商標が引用C商標と類似しない旨の明示はなく、かつ、拒絶査定には、「本願商標と各引用商標とは、『ムービー』の称呼を共通にする類似の商標と認められる」と記載されていることから、当審は、引用C商標との類否判断を行ったものである。
3 小括
以上によれば、本願商標は、引用B商標及び引用C商標とは、類似する商標とはいえず、この理由をもってした、原査定は、この限りにおいて妥当なものということはできない。
4 引用A商標との類否判断
本願商標は、前記したように「デジカメムービー」の片仮名文字を標準文字により表してなるところ、構成中の「デジカメ」の語は、「デジタルカメラ」を指称する語として、しばしば使用されているものであり、また、構成中の「ムービー」の文字は、映画を意味する外来語であって、その撮影機が「ムービーカメラ」と称されているものでもある。
そうであれば、本願商標は、その構成態様に照らして、全体として、「デジタルカメラ機能を兼ね備えた撮影機」のごとき意味合いを認識させる、一連一体の商標として把握されるものとみるのが自然であって、構成中後半部の「ムービー」の文字部分を捉えて、ここから生ずる「ムービー」の称呼をもって取引に資されることがあるとみるのはいささか不自然というべきであり、本願商標から「ムービー」のみの称呼が生ずるとすることはできないというのが相当である。
してみれば、本願商標から「ムービー」の称呼をも生ずるとして、そのうえで本願商標が商標法4条1項11号に該当するとした原査定の認定・判断は妥当なものということができない。
5 結語
以上によれば、本願商標は、原査定が引用した、いずれの登録商標をもってしても、商標法4条1項11号に該当するとはいえないから、原査定の理由をもって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
その他、政令で定める期間内に、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2005-03-31 
出願番号 商願2002-18382(T2002-18382) 
審決分類 T 1 8・ 262- WY (Y09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大島 護 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 宮川 久成
中束 としえ
商標の称呼 デジカメムービー、デジカメ 
代理人 芝野 正雅 

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