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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 036
管理番号 1114864 
審判番号 取消2004-30415 
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-05-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-03-25 
確定日 2005-03-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第3017154号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3017154号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第36類「生命保険の引受け」を指定役務として、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定に基づく特例の適用を主張し、平成4年9月7日登録出願、同6年12月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、過去3年間その指定役務について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)乙第1号証は、「インフォメーション(ご契約のお知らせ)」との標題の書面で、その内容は、平成2年8月25日付け契約に係る「新医療保険付・新生存給付金付定期保険」と称する保険商品に関する契約における保険料の振替の通知と思われるものである。これは、新規保険契約の事実を証明するものではなく、すでに平成2年に締結された保険契約についての保険料払い込みに関する契約当事者間の日常的事務処理上の書面にすぎない。
(イ)商標は、特定の商標権者により、その業務に係る商品・役務について、これら商品・役務が一般市場において流通に置かれたとき使用される。商標は、このような一般市場で流通する商品・役務とともに使用されるが故に、自他識別標識として機能するものであり、いったんこのような商品・役務が需要者に販売されたときは、商標の前記機能は果たされたことになる。このとき、販売された商品・役務についての商標権は個別的に費消されたこととなる。
(ウ)このような観点から乙第1号証を検討すると、同証は、本件審判の請求の登録(平成16年4月14日)前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、指定役務について本件商標の使用をしていることを証明するものであるとはいい難い。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
本件商標は、乙第1号証に示すとおり、被請求人によって指定役務「生命保険の引受け」について使用されている。
したがって、被請求人が本審判請求の登録前3年以内に日本国内において請求に係る指定役務「生命保険の引受け」について本件商標を使用したことが明らかであり、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取消されるべきものではない。

4 当審の判断
(1)乙第1号証は、平成16年2月17日付けで「エイアイジー・スター生命保険株式会社」が顧客に宛てた「インフォメーション(ご契約のお知らせ)」と「ご契約の者の皆さまへ」と題する書簡(1枚目)であり、「インフォメーション(ご契約のお知らせ)」(2枚目)には、「ご契約の内容/平成15年9月30日現在」との表示のもと、「商品名」を「新医療保険付・新生存給付金付定期保険(ステップアップ)」とし、「契約始期」を「平成2年8月25日」、「保険期間」及び「払込期間」をいずれも「15年」であって、「払込方法」は「口座振替扱 年払」である。そして、「振替口座」欄における「金融機関名」、「口座番号」、「振替日」等が黒く塗りつぶされているものの、保険料が口座振替により払い込まれたことが窺える。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、本件商標の商標権者(被請求人)は、平成2年8月25日に同人の取扱いに係り、商品名を「新医療保険付・新生存給付金付定期保険(ステップアップ)」とする生命保険を顧客と契約を締結したこと、その保険期間及び払込期間は、いずれも15年であること、契約を締結した顧客は、平成15年9月30日に至るまで継続して保険料を口座振替により払い込んでいたことが推認される。
そうすると、本件商標の商標権者は、本件審判の請求の登録(平成16年4月14日)前3年以内に日本国内おいて、本件商標の指定役務である「生命保険の引受け」に本件商標と社会通念上同一と認められる「ステップアップ」の文字を表示して使用していたと推認し得るところである。
(3)請求人の主張について
(ア)請求人は、乙第1号証は新規保険契約の事実を証明するものではなく、すでに平成2年に締結された保険契約についての保険料払い込みに関する契約当事者間の日常的事務処理上の書面にすぎない旨主張する。
しかし、乙第1号証が新規保険契約の事実を証明するものではないとしても、これにより本件審判の請求の登録前3年以内に商標権者の取扱いに係る「新医療保険付・新生存給付金付定期保険(ステップアップ)」なる生命保険が存在し、かつ、顧客との間で取り引きされていたことが明らかとなるのである。
したがって、乙第1号証に関する上記請求人の主張は理由がない。
(イ)請求人は、商標は一般市場で流通する役務等とともに使用されるが故に、自他役務等識別標識として機能するものであり、いったんこのような役務等が需要者に販売されたときは、商標の前記機能は果たされたことになり、販売された商品・役務についての商標権は個別的に費消されたこととなる旨主張する。
しかしながら、商標は、出所表示機能を有するとともに品質(質)保証機能及び広告的機能をも有するものと解され、ある商標が付された商品又は役務が販売又は提供されたからといって、商標の機能が消滅するものではないのみならず、本件においては、商標権者とその顧客との間で契約を締結した生命保険は、契約始期を平成2年8月25日とし、保険期間及び払込期間をいずれも15年とするものであるから、契約を締結したとしても、その始期から15年の間は、少なくとも乙第1号証の顧客は、商標権者の取扱いに係る「新医療保険付・新生存給付金付定期保険(ステップアップ)」を目印に取引を行うことは明らかである。
したがって、上記に関する請求人の主張は失当というべきである。他に、前記認定を覆すに足る証拠の提出はない。
(4)以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件請求に係る指定役務に本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標


(色彩については原本を参照のこと)
審理終結日 2005-01-21 
結審通知日 2005-01-25 
審決日 2005-02-07 
出願番号 商願平4-172814 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (036)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井岡 賢一鈴木 慶子 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 津金 純子
内山 進
登録日 1994-12-22 
登録番号 商標登録第3017154号(T3017154) 
商標の称呼 ステップアップ 
代理人 小田 治親 
代理人 小沢 慶之輔 

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