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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 103
管理番号 1113628 
審判番号 取消2003-30972 
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-04-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-07-23 
確定日 2005-03-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第885201号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第885201号商標(以下「本件商標」という。)は、「PLANT」の欧文字と「プラント」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、昭和43年8月8日登録出願、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同45年12月22日に設定登録され、その後、3回にわたり、商標権存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。また、指定商品については、平成12年9月20日の書換登録により、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」となったものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標は、その指定商品中『化粧品』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証の1及び2を提出した。
【請求の理由】
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中「化粧品」について、使用されていない。
したがって、本件商標は、その指定商品中上記商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
【答弁に対する弁駁】
1 使用に係る商品について
(1)乙第3号証の1及び2(写真)の商品には、縦に幾筋もの不自然な白い筋が見えるが、硬質の素材よりなる商品の容器に、このような白い筋が幾筋も出ることは極めて不自然である。さらに、乙第3号証の2の「背面側(拡大)」の写真を見ると、硬質の容器の上に紙を貼り付けたような皺が見える。これもまた極めて不自然である。
(2)乙第3号証の2(背面側の写真)によれば、商品の説明文は、容器の左端から始まり、右端に至っているが、説明文は右端において文の途中で終わっていることから、さらに続いていることは明らかである。すなわち、商品の説明文は、当該容器の外周の180度以上で、少なくとも200度位は覆っていると合理的に推測される。
したがって、該商品の説明文は、180度を超えて付されているのであるから、当該容器をどの向きから写しても、少なくともその一部は写ることになる。
乙第3号証の1は、容器を乙第3号証の2に写っている裏から(被請求人の主張によれば正面側から)写したものである筈である。そうであるとすれば、上述のように、商品の説明文は180度を超えて付されているのであるから、乙第3号証の1においても少なくともその一部は写っていなければならない。然るに、乙第3号証の1には、商品の説明文は全く写っていない。これはあり得ないことである。
(3)以上述べたことから、次のことが合理的に推認される。
被請求人は、何も書かれていない白地の容器を用意し、別に乙第3号証の1の英文のラベルを作り、これを当該容器に貼り付けて、乙第3号証の1の写真を撮った。さらに、被請求人は、当該英文のラベルを剥がし、別に乙第3号証の2の日本語のラベルを作り、これを当該容器に貼り付け、乙第3号証の2の写真を撮った。そして、これを乙第3号証の1及び2として、提出した。
このように解することにより、上記乙第3号証の1及び2の不自然な縦の筋及び乙第3号証の2の皺が見えるという不合理な状態も合理的に説明することができる。すなわち、乙第3号証の1及び2の商品は、被請求人が実際に製造し販売している商品ではない。
したがって、乙第3号証の1及び2は、被請求人による指定商品への本件商標の使用を証明するものではない。
2 使用に係る商標について
「PLANT」(乙第3号証の1)及び「プラント」(乙第3号証の2)は、「植物」を意味する英語として日本において普通に日常使用されている。
また、「medicated」も「薬用」を意味する英語として広く普及し普通に用いられているから、「PLANT」、「HANDCARE」、「medicated」、「CREAM」は、「植物に由来する成分を含む薬用クリーム」を意味するものである。
そうすると、「PLANT」、及び「プラントハンドケア薬用クリーム」中の「プラント」は、商品の品質を表示するものである。そして、該「PLANT」も「プラント」もありふれた普通に用いられる書体で書してなる。
したがって、使用に係る商標「PLANT」及び「プラント」は、自他商品識別力を有する態様での使用ではなく、商標としての使用ではないから、この点からしても、乙第3号証の1及び2は、本件商標の使用を証明するものではない。
なお、乙第3号証の1及び2において、自他商品識別機能を有する商標として用いられているのは、それぞれ、「OPALCOSMETICS」の「OPAL」及び「オパール」である。このことは、甲第1号証の1及び2における「Kanebo」、「カネボウ」と「HANDCARE CREAM」、「ハンドケアクリーム」とにおける「Kanebo」及び「カネボウ」の使用態様からみても判ることである。
3 その他の証拠について
乙第5号証ないし乙第8号証は、単なる納品書であり、本件商標の具体的な使用態様を示すものではない。
よって、乙第5号証ないし乙第8号証も本件商標の指定商品への使用を証明するものではない。
なお、乙第5号証ないし乙第8号証の「プラント」の使用態様が商標的使用態様でないことは、上述したところと同じである。
4 むすび
よって、本件商標については、本件審判の請求の登録前3年以内の日本国における被請求人、使用権者のいずれかによる指定商品への使用の証明がないから、その登録を取り消すべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用について
(1)乙第3号証の1及び2は、被請求人の製造に係る商品「薬用ハンドクリーム」の写真である。容器の正面側に、欧文字「PLANT」及びその下方に「HAND CARE/CREAM」、「medicated」の文字を表してなり、また背面側には、片仮名文字「プラント」とその隣に「ハンドケア薬用クリーム」の文字を表してなるものである。
そして、上記正面側に表された文字のうち、「HAND CARE/CREAM」、「medicated」は、それぞれ「手の保護用/クリーム」、「薬用」なる商品の内容を表示した付記的な部分にすぎないため、これらを除いた欧文字「PLANT」が商標にあたる。同様に、背面側に表示された「ハンドケア薬用クリーム」の部分も、本来商標として機能する部分ではないため、片仮名文字「プラント」が商標にあたる。
(2)本件商標は、その構成中の「PLANT」と「プラント」とは、いずれも称呼(プラント)、観念(植物)において異なるものではない。
したがって、上記使用に係る商標は、本件商標のうち上下段のいずれか一方のみを表示したものであっても、本件商標とは、称呼、観念において異なることはないから、本件商標と社会通念上同一であると思料する。
2 使用に係る商品
商品「薬用ハンドクリーム」は、「ハンドクリーム」や「薬用クリーム」が第3類の「化粧品」に含まれる商品であることからすれば(乙第4号証)、「化粧品」に含まれる商品であることは明らかである。
3 使用時期
(1)乙第5号証は、平成15年7月31日付けの「みその化粧品店」宛ての納品案内書の写しであり、コード欄には商品「薬用ハンドクリーム」の容器背面に付されたコード番号「372」(乙第3号証の2)が表示され、商品名欄には「プラントハンドケア薬用クリーム」、及び数量欄には「6」との記載があることから、乙第3号証で示された、商標「PLANT」及び「プラント」を付した商品「薬用ハンドクリーム」が、上記小売店に6個納入されたことがわかる。
(2)乙第6号証は、平成15年3月31日付けの「美肌相談室みづの」宛ての納品案内書の写しであり、商標「PLANT」、「プラント」を付した商品が1ダース、すなわち12個納入されたことがわかる。
(3)乙第7号証及び乙第8号証は、いずれも「ナガノ」宛ての納品案内書写しであり、各納品書の記載から、被請求人は、商標「PLANT」、「プラント」を付した商品を、平成14年9月9日と平成13年10月23日にそれぞれ6個ずつ納品したことがわかる。
(4)以上の証拠から、本件商標と社会通念上同一の商標「PLANT」及び「プラント」を付した商品「薬用ハンドクリーム」が本件審判の請求の登録日前3年の間に取り引きされたことは明らかである。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前の3年間に、請求に係る指定商品「化粧品」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることを証明したものと思料する。
したがって、本件商標は、その登録を取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 乙第3号証の1及び2並びに乙第5号証ないし乙第8号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第3号証の1は、使用に係る商品「薬用ハンドクリーム」(以下「使用商品」という。)の正面から撮った写真であるところ、その容器部分に、「PLANT」、「HAND CARE」を二段に書し、その下のだいだい色の横線を挟んで、「medicated」を小さく書し、その右に「CREAM」を書してなるものである。また、下部には、「OPAL COSMETICS」との表示がある。
(2)乙第3号証の2は、使用商品の背面から撮った写真であるところ、その容器部分に、最上段に「プラント ハンドケア 薬用 クリーム」の文字が書され、下に向かって順に、効能書き、使用方法、価格表示、横長長方形輪郭内の「CP.372」、さらに、「東大阪市日下部町4-2-59 株式会社 三香堂 製造」、「お問合せ 06-6762-7711」などの記載がある。また、これらの記載に右側には、「配合成分」、「オパール」などが記載されているが、その右最端部は、写真に写っていない。
(3)乙第5号証は、被請求人が四日市市に所在の「みその化粧品店」に宛てた「売上日付」を平成15年7月31日とする納品案内書(受領書)であるところ、「コード」欄の「372」には、「商品名」として「プラント ハンドケア薬用クリーム」の、「数量」として「6個」の記載がある。
(4)乙第6号証は、被請求人が名古屋市に所在の「美肌相談室みづの」に宛てた「売上日付」を平成15年3月31日とする納品案内書(受領書)であるところ、「コード」欄の「372」には、「商品名」として「プラント ハンドケア薬用クリーム」の、「数量」として「1打」の記載がある。
(5)乙第7号証及び乙第8号証は、被請求人が山口市に所在の「ナガノ」に宛てた「売上日付」を平成14年9月9日及び同13年10月23日とする納品案内書(受領書)であるところ、いずれの「コード」欄の「372」には、「商品名」として「プラント ハンドケア薬用クリーム」の、「数量」として「6個」の記載がある。
2 前記1で認定した事実を総合すると、被請求人は、本件審判の請求の登録日(平成15年8月13日)前3年以内である平成13年10月ころから同15年7月ころにかけて、本件請求に係る指定商品に含まれる「薬用ハンドクリーム」(「薬用ハンドクリーム」が請求に係る指定商品中に含まれることについては、請求人は争うことを明らかにしていない。)について、容器の正面に、「PLANT」、「HAND CARE」、「medicated」、「CREAM」及び「OPAL COSMETICS」を表示して(乙第3号証の1)、また、容器の背面に、「プラント ハンドケア 薬用 クリーム」及び「オパール」を表示して(乙第3号証の2)、日本国内に所在の者と取引をしたと推認し得るところである。
3 使用に係る商標について
(1)使用商品の容器の正面に表示された文字についてみるに、「PLANT」、「HAND CARE」、「medicated」、「CREAM」の文字中、「HAND CARE」は「手の手入れ」の意味を、「medicated」は「薬用」の意味を、「CREAM」は商品の普通名称を表すものであるから、これらは、いずれも自他商品の識別機能を有しない部分であるのに対し、「PLANT」は、「植物」の意味を有するほか、「工場設備」などの意味を有する英語としても一般に知られているものであるから、これより、直ちに商品の品質、原材料を表したものということはできない。
そうすると、上記表示にあって、自他商品の識別機能を有する部分は、「PLANT」の文字部分であるというのが相当である。
さらに、容器の正面の下部に表示された「OPAL COSMETICS」も、使用商品との関係からすると、自他商品の識別機能を有するものと認められる。
(2)使用商品の容器の背面に表示された文字についてみるに、「プラント ハンドケア 薬用 クリーム」の文字中、「ハンドケア 薬用 クリーム」は、上記(1)の「HAND CARE」、「medicated」、「CREAM」の片仮名表記ないし日本語表記であるから、上記(1)と同様に、自他商品の識別機能を有しない部分であるのに対し、「プラント」の文字部分は、上記(1)の「PLANT」の片仮名表記と理解されるから、上記表示にあって、該文字部分が自他商品の識別機能を有する部分であるというのが相当である。
さらに、容器の背面の下部に表示された「オパール」も、使用商品との関係からすると、自他商品の識別機能を有するものと認められる。
(3)上記(1)及び(2)によれば、使用商品について、自他商品の識別標識としての機能を発揮する部分は、「PLANT」及びその片仮名表記である「プラント」であり、また、「OPAL COSMETICS」、「オパール」の文字部分であって、「PLANT」及びその片仮名表記である「プラント」は、それ自体独立して自他商品の識別機能を有するものである。
そうすると、使用に係る商標の一つである「PLANT」及びその片仮名表記である「プラント」は、本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。
4 請求人の主張について
(1)請求人は、乙第3号証の1及び2に関し、乙第3号証の2(商品の背面写真)の商品の説明文は、右端において文の途中で終わっているから、当該容器の外周の180度以上は覆っていると推測されるところ、乙第3号証の1(同正面写真)には、商品の説明文は全く写っていない。したがって、乙第3号証の1及び2の商品は、被請求人が実際に製造し販売している商品ではないから、被請求人による指定商品への本件商標の使用を証明するものではないなどと主張する。
しかし、仮に商品の説明文が容器の側面のおよそ半分の面積(容器の平面ないし底面からみて約180度を占める部分)に書かれていたと推定した場合、これを真正面から写真を撮ったときには、左端の文字部分の左側に余白が写し出されることはないといえるところ、乙第3号証の2の商品の説明文は、右端の文字すべてが写し出されていない分、左端の文字部分の左側に余白が写し出されていることから考えれば、右端の文字部分が写し出されていないことをもって、直ちに商品の説明文が容器の円周のうち180度以上覆っていると断定することはできない。
その他、乙第3号証の1及び2に関する請求人の主張は、憶測の域を出ないものであり、使用商品が不使用による商標登録の取消しを免れるためにのみに作られたものであると認めるに足りる客観的証拠は見出せない。
(2)請求人は、「PLANT」及び「プラント」は、「植物」を意味する英語として普通に日常使用されており、「植物に由来する成分」という意味で、商品の品質を表示するものであるから、登録商標の使用ではなく、自他商品識別機能を有する商標として用いられているのは、「OPAL」及び「オパール」である旨主張する。
しかしながら、前記3で認定したとおり、「PLANT」及びその片仮名表記である「プラント」は、「植物」の意味を有するほか、「工場設備」などの意味を有する英語としても一般に知られているばかりでなく、これが化粧品を取り扱う分野で商品の原材料、品質等を表示するためのものとして、普通に使用されているという証拠の提出はない。そして、「PLANT」及びその片仮名表記である「プラント」は、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を発揮する商標というべきである。
(3)したがって、上記(1)及び(2)に関する請求人の主張は理由がない。他に前記2及び3の認定を覆すに足りる証拠の提出はない。
5 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件請求に係る指定商品中の「薬用ハンドクリーム」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標は、その指定商品中「化粧品」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-04-21 
結審通知日 2004-04-23 
審決日 2004-05-10 
出願番号 商願昭43-55317 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (103)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 内山 進
津金 純子
登録日 1970-12-22 
登録番号 商標登録第885201号(T885201) 
商標の称呼 プラント 
代理人 古木 睦美 
代理人 佐藤 雅巳 
代理人 植木 久一 
代理人 小谷 悦司 

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