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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y30
管理番号 1113292 
審判番号 取消2004-30713 
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-04-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-06-02 
確定日 2005-02-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第2668002号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2668002号商標(以下「本件商標」という。)は、「太陽米」の文字を縦書きしてなり、第33類「米」を指定商品として、平成4年1月10日に登録出願、同6年5月31日に設定登録されたものであるが、指定商品については、同16年2月18日の書換の登録により、第30類「米」となったものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、その指定商品について、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用された事実はない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)通常使用権者について
本件商標の商標登録原簿には、商標権者がバァレィフーズ株式会社(以下「バァレィフーズ社」という。)に通常使用権を許諾したことの登録はなく、商標使用許諾契約書の成立日を客観的に証明する確定日付等の証明もない。しかも、商標権者と通常使用権者は登記簿謄本写し(乙第2号証)に記載される役員構成からは関連会社とみられることをも勘案すると、乙第1号証の1ないし3のみでは、商標権者がバァレィフーズ社に通常使用権を許諾したことの客観的な証明がなされているとは認め難いから、請求人は、商標権者とバァレィフーズ社との間で商標使用許諾契約が真正に成立していることを客観的に証明する証拠の提出を求める。
(2)「太陽米」を表示した米用包装袋について
被請求人は、バァレィフーズ社が商品「精米」に本件商標を使用していることの証拠として、乙第3号証(「太陽米」を表示した米用包装袋の写真)を提出したが、米用包装袋が存在するとしても、そのことのみからバァレィフーズ社が平成11年4月より現在に至るまで本件商標を指定商品「米」に使用していることが証明されるものではないから、請求人は、以下(a)及び(b)の事項を求める。
(a)バァレィフーズ社は、商標使用許諾契約を締結した平成11年4月以降現在に至るまで、米用包装袋を写真に表された態様で何ら変更を加えることなく使用しているのかについて明らかにすること。(b)写真のみでは、米用包装袋を客観的に認識することは不可能であるので、米用包装袋の現物を提出し、併せて、米用包装袋の製造業者の名称及び住所の明示と、米用包装袋の購入に関する取引書類の写しの提出。
(3)納品書について
被請求人は、バァレィフーズ社が本件商標を商品「精米」に使用しているとして、乙第4号証(納品書)を提出したが、納品書は、バァレィフーズ社が作成する書類であることからすれば、納品書と米用包装袋は、バァレィフーズ社が米用包装袋を商品「精米」について平成11年4月以降現在まで使用していることを証明するものではないから、請求人は、以下(a)及び(b)の提出を求める。
(a)精米業者には、商品「精米」を販売するための精米作業を行った場合には、「精米の日報作成」が法律上義務付けられているから、通常使用権者の「精米の日報」。(b)居酒屋「麦や七蔵」がバァレィフーズ社から商品「精米」を購入したことを証明する証拠であって、乙第4号証(納品書)に対応するもの。
(4)むすび
乙各号証は、いずれも商標権者又は通常使用権者の作成に係るものであり、第三者の作成に係る物証その他客観的に作成されたと認められる証拠の提出は一切ない。したがって、乙各号証は、本商標権を指定商品「米」に使用していることを証明しているとは到底認めることはできない。
よって、請求人は、被請求人に対し、登録商標の使用を客観的に証明する証拠の更なる提出を求めるものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。
1 通常使用権者について
(1)商標権者(被請求人)は、平成11年4月1日に、バァレィフーズ社(福岡市中央区天神5丁目9番2号)との間で、本件商標に関する使用許諾契約を締結した。使用商品は、「飯用精米」であり、その期間は、上記契約の日から平成12年3月31日までであったが、1年間延長した平成13年3月31日までであった(期間満了に当たり両者協議のうえ本契約を1年間更新することができる旨記載;乙第1号証の1)。
(2)商標権者は、平成13年4月1日に、バァレィフーズ社との間で、本件商標に関する使用許諾契約を締結した。使用商品は、「飯用精米」であり、その期間は、上記契約の日から平成14年3月31日までである(ただし、期間満了1ヶ月前までに商標権者、通常使用権者のいずれからも別段の意思表示がないときは、さらに1カ年延長するものとし、以後もこれに準じ期限を延長する旨記載;乙第1号証の2)。
(3)バァレィフーズ社は、平成13年12月1日に本社を「福岡市中央区那の津5丁目9番3号」に移転したため(乙第2号証)、翌年の更新契約時である平成14年4月1日に商標権者との間で本件商標に関する使用許諾契約を再度締結した。使用商品は「飯用精米」であり、その期間は、上記契約の日から平成15年3月31日までの期間であり(ただし、期間満了1ヶ月前までに商標権者、通常使用権者のいずれからも別段の意思表示がないときは、さらに1カ年延長するものとし、以後もこれに準じ期限を延長する旨記載;乙第1号証の3)、現在も本契約が有効に存続している。
2 使用の事実
バァレィフーズ社は、上記契約の下、平成11年4月より現在まで、商品「精米」の包装袋に「太陽米」の文字を表示して使用し、取引をしている(乙第3号証及び乙第4号証)。
このように、バァレィフーズ社は、居酒屋「麦や七蔵」(福岡市中央区天神5丁目9番2号ファミール天神1階)に、平成13年12月ころより現在まで「太陽米」を定期的に納品している。
なお、本件商標と使用に係る商標とは、ロゴを若干異にするが、社会通念上同一と認められるもので、本件商標の使用といえるものである。
3 むすび
以上のように、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に通常使用権者によって、指定商品「米」について使用されているものであり、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 乙第1号証の1ないし乙第4号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)商標権者(被請求人)は、平成11年4月1日、同13年4月1日及び同14年4月1日にバァレィフーズ社(福岡市中央区天神5丁目9番2号、平成13年12月1日に福岡市中央区那の津5丁目9番3号へ移転)との間で本件商標についての使用許諾契約を締結した。
上記契約の内容は、バァレィフーズ社の使用する商品を「飯用精米」とし、使用の期間はいずれも契約の日から1年間であるが、両者の協議により若しくは両者が特段の意思表示をしない場合は、さらに1カ年延長するものであることなどである。
(2)バァレィフーズ社は、昭和59年11月30日に設立された会社であり、その代表取締役は、福岡市中央区御所ヶ谷136番地に所在の「石橋重男」である。そして、バァレィフーズ社の役員中に商標権者の名前は存在しない。
(3)「バァレィフーズ株式会社/福岡市中央区那の津5丁目9番3号」を「販売業者名又は精米工場名」とする「品名/精米」の包装袋には、中央に大きく縦書きにした「太陽米」の文字が表示されている。
(4)「福岡市中央区那の津5丁目9番3号/バァレィフーズ株式会社」は、平成14年9月11日から同16年5月25日の間において、継続して「麦や七蔵」に「商品名/太陽米5k」を納品した。
2 前記1で認定した事実を総合すると、バァレィフーズ社は、本件商標の通常使用権者と認めることができる。そして、通常使用権者であるバァレィフーズ社は、本件審判の請求の登録(平成16年6月23日)前3年以内である平成14年9月11日から同16年5月25日の間に、「太陽米」と表示された包装袋に入った「精米」を「麦や七蔵」に納品したものと推認することができ、「精米」の包装袋に表示された商標は、本件商標と社会通念上同一と認められるものである。
そうすると、本件商標の通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件請求に係る指定商品中の「精米」について本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたということができる。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、本件商標の商標登録原簿には、商標権者がバァレィフーズ社に通常使用権を許諾したことの登録はなく、また、商標使用許諾契約書の成立日を客観的に証明する確定日付等の証明もない。しかも、商標権者と通常使用権者は、登記簿謄本写し(乙第2号証)の記載からは関連会社とみられることをも勘案すると、乙第1号証の1ないし3のみでは、商標権者がバァレィフーズ社に通常使用権を許諾したことの客観的な証明がなされているとは認め難いから、請求人は、商標権者とバァレィフーズ社との間で商標使用許諾契約が真正に成立していることを客観的に証明する証拠の提出を求める旨主張する。
しかし、商標権についての通常使用権の設定は、登録をその効力要件とするものではない(商標法第31条第4項において準用する特許法第99条第1項)のみならず、商標使用許諾契約書としての形式が整っている乙第1号証の1ないし3の記載内容が特段不自然なものとも認められない。また、請求人のいう「商標権者と通常使用権者とが関連会社とみられる」との主張は、いかなる根拠に基づくものであるか不明であり、仮に本件の商標権者と通常使用権者とが請求人の主張のとおり、関連会社であるとした場合、関連会社の一が商標権者であり、他の関連会社が該商標権者の取得した登録商標の通常使用権者となることは、取引社会においてごく普通に行われていることであるから、商標権者と通常使用権者とが関連会社とみられること等をもって、本件における商標使用許諾契約書の成立を争う請求人の主張は失当である。
(2)請求人は、米用包装袋が存在するとしても、そのことのみからバァレィフーズ社が平成11年4月より現在に至るまで「精米」に使用していることが証明されるものではない旨主張し、さらに、納品書はバァレィフーズ社が作成する書類であるから、バァレィフーズ社が米用包装袋を商品「精米」について平成11年4月以降現在まで使用していることを証明するものではない旨主張する。
確かに、米用包装袋のみでは、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標がその指定商品について使用されたか否かを把握にすることはできないが、米用包装袋からは、本件商標がどのような態様で使用されているかを確認することができるのであって、米用包装袋と納品書を併せ考えれば、前記認定のとおり、通常使用権者が「太陽米」と表示された包装袋に入った「精米」を本件審判の請求の登録(平成16年6月23日)前3年以内である平成14年9月11日から同16年5月25日の間、継続して「麦や七蔵」に納品していたことは納品書から十分推認し得るところであり、これら納品書が偽造されたものであると認めるに足る証拠は見出せない。
(3)したがって、上記請求人の主張は、いずれも理由がないから、新たに使用の事実を立証する証拠の提出を待つまでもなく、本件商標の使用は認めることができ、他に前記認定を覆すに足る証拠の提出はない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が請求に係る指定商品中の「精米」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-12-13 
結審通知日 2004-12-15 
審決日 2005-01-04 
出願番号 商願平4-1316 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 茂木 静代須藤 祀久 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 内山 進
津金 純子
登録日 1994-05-31 
登録番号 商標登録第2668002号(T2668002) 
商標の称呼 タイヨーマイ、タイヨー 
代理人 加藤 久 
代理人 中村 直樹 

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