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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない Z28 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z28 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない Z28 審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない Z28 |
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管理番号 | 1111401 |
審判番号 | 無効2004-35097 |
総通号数 | 63 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-03-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-02-19 |
確定日 | 2005-01-11 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4270791号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4270791号商標(以下「本件商標」という。)は、「KING JIM」の欧文字と「キングジム」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成9年7月25日に登録出願、第28類「釣り具,運動用具」を指定商品として、同11年5月7日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録はこれを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。 1 理由 本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号、同第16号及び同第19号に該当するから、商標法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきである。 (1)商標法第4条第1項第7号該当理由 (a)請求人は、東京都千代田区東神田2丁目10番18号に主たる営業所を有し、多くの特許権(甲第2号証)、実用新案権(甲第3号証)、意匠権(甲第4号証)、及び商標権(甲第5号証)を得て日本国の市場はもとより世界の市場において特徴のある文具商品を製造販売している文具会社であり(甲第6号証)、その商号であり、かついわゆるハウスマークである登録商標「KING JIM」は、品質の優れた文具商品のシンボルマークとして今や全国的に著名な存在となっている(甲第7号証)。 (b)ところで、商標法第6条第3項は、「商品及び役務の区分は、商品又は役務の類似の範囲を定めるものではない」と規定し、これは商品の類似性を認定するに当り、形式的な商品及び役務の区分の枠を超えて判断する法的合理性を示唆し、さらに不正競争防止法第2条第1項第2号は「自己の商品等表示として(商号や商標を含む)他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入する行為」を不正競争行為として捉え、そのような行為の差止請求(同法第3条)や損害賠償請求(同法第4条)を認めている。 (c)本件商標は、請求人の著名なシンボルマークであり、かつ登録商標である「KING JIM」と社会通念上同一視される程の近似なものであって、両者の商品も共に広汎な一般消費者を対象として、百貨店的な大型スーパーやコンビニ店等の同一店舗内で販売されるものであるから、他人の著名な登録商標がもつ顧客吸引力に便乗するか請求人の企業グループに属する存在であるかの錯覚を需要者に惹起させることを意図して社会通念上同一視される商標を敢えて指定商品の区分を形式的に変えて登録を得たものであって、「この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」と規定する商標法の精神と秩序とを破壊するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。 (2)商標法第4条第1項第15号該当理由 (a)本件商標は、先に述べたとおり、請求人の周知著名登録商標と社会通念上同一視し得る商標を使用することにより、請求人の業務に係る商品の出所と混同させるか、あたかも請求人と同一グループの企業体であるかの錯覚を惹起させることになる。 (b)この点に関し、最高裁判所判例の平成12年7月11日付け平成10年(行ヒ)第85号判決(甲第8号証)は、商品の類似の概念を出所の混同との関係において広く捉え、また、東京高等裁判所の平成15年5月21日付け平成14年(行ケ)第285号判決(甲第9号証)も同様の理由で「履物」と「飲食物の提供」という全くの異種の商品と役務との出所の混同性を認定している。 (c)さらに、甲第10号証ないし甲第14号証が何れも先に例示した裁判所の判決理由と同様の理由により、無効審決を受けている。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 (3)商標法第4条第1項第16号該当理由 請求人の製造及び販売に係る商品はいずれも伝統的に品質に対する需要者の評価が高く、それ故請求人の周知登録商標と社会通念上同一視される商標が第三者により使用されると、需要者は請求人の新商品かあるいは系列グループ会社の製品であると誤認して商品を購入するおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。 (4)商標法第4条第1項第19号該当理由 請求人の登録商標は日本国において広く認識されている商標であり、被請求人がその事実を知らないことは極めて不自然であり、請求人の登録商標の周知性に便乗を企図したことは疑う余地がない。 本件商標と請求人の登録商標は、社会通念上同一視される関係にあることは先に指摘したとおりであるから、大型スーパー店等で同時に使用されることにより、請求人の登録商標が永年に亘って確立して来た周知性は著しく希釈化されることを本件商標の権利者は当然認識して本件商標を取得したものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。 2 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号、同第16号及び同第19号に該当するものであるから、商標法第46条第1項の規定によりその登録を無効にすべきである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、何ら答弁するところがない。 第4 当審の判断 (1)商標「KING JIM」の著名性について 甲第2号証ないし甲第5号証は、請求人が特許権、実用新案権、意匠権及び商標権を得ている事実を示すにすぎない。 甲第6号証の総合カタログは、本件商標の登録出願後である2004年1月に発行されたものであって、本件商標の登録出願前に発行されたカタログ等が示されていない。 甲第7号証の証明書は、わずか1件示されているにすぎず、また、それはあらかじめ証明事項を不動文字で記載した書面の下部に、証明者の記名押印を徴したというだけのものであり、その内容は信用性に乏しいものといわざるを得ない。 甲第8号証ないし甲第14号証の判決及び審決例は、いずれも本件と事案を異にするものである。 そうすると、請求人の提出に係るこの程度の証拠によっては、商標「KING JIM」(以下「引用商標」という。)が本件商標の登録出願時には、請求人の業務に係る「文具商品」の商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めるに充分なものということはできない。 (2)商標法第4条第1項第7号について 引用商標は、前記のとおり、請求人の業務に係る「文具商品」の商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認められないものであるから、被請求人が本件商標をその指定商品に使用することが、請求人が主張するように、商標法の精神と秩序とを破壊するものとはいい得ない。 (3)商標法第4条第1項第15号及び同第19号について 請求人の提出に係る証拠によれば、引用商標が「文具商品」の商標として使用されていたことは認められるとしても、前記のとおり、本件商標の登録出願時には、請求人の業務に係る「文具商品」の商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認められなず、また、本件商標の指定商品「釣り具,運動用具」は、請求人の業務に係る商品「文具商品」とは、その生産部門、販売部門、品質及び用途等を異にするものといわざるを得ない。 そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標を直ちに連想又は想起するとは認められず、請求人の業務に係る商品、若しくは、請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはなく、不正の目的をもって使用をするものとはいえない。 (4)商標法第4条第1項第16号について 本件商標は、これがその指定商品について使用された場合、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものとすべき事実は認められない。 (5)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第15号、同第16号及び同第19号に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-11-15 |
結審通知日 | 2004-11-17 |
審決日 | 2004-12-01 |
出願番号 | 商願平9-142070 |
審決分類 |
T
1
11・
272-
Y
(Z28)
T 1 11・ 271- Y (Z28) T 1 11・ 22- Y (Z28) T 1 11・ 222- Y (Z28) |
最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
三澤 惠美子 茂木 静代 |
登録日 | 1999-05-07 |
登録番号 | 商標登録第4270791号(T4270791) |
商標の称呼 | キングジム、キング |
代理人 | 浜田 治雄 |