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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 030
管理番号 1110201 
審判番号 無効2003-35442 
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-02-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-10-23 
確定日 2005-01-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第4204036号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4204036号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4204036号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成8年6月19日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として同10年10月23日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論掲記のとおりの審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし甲第9号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号違反
本件商標は、その登録出願時及び登録査定時の両時点において需要者の間に広く認識されていた請求人の未登録商標「FELIX」(以下「引用商標」という。)と類似する商標であって、その商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。以下にその理由を詳述する。
(1)引用商標「FELIX」の由来及び歴史
引用商標の「FELIX」とは、アメリカで誕生したパット・サリバン氏原作によるカートゥーンの主人公である猫(審決注:該猫を描いた図形の一例として別掲(2)参照。)の著名な名称である。その歴史は、1919年にパラマウント映画「Feline Follies」の主人公として登場したのが最初である。1922年にはサイレント映画シリーズ「FELIX Save the Day」が上映され、1923年には新聞連載が開始された。その後、人気キャラクターとしてアメリカのみならず世界中に広く知られる存在となった。その歴史は甲第2号証の1にあるとおりである。その人気は1920年代には既にニューヨーク・ヤンキースのチームマスコット及び英国エドワード皇太子のポロチームのマスコットになるほどであり、更に1927年にはリンドバーグの大西洋横断にマスコットとして同乗するほどであった。1928年にはNBCのTVテストパターンとして使用され、1934年には原作者の死亡により一度は映画シリーズと新聞連載が終了しながらも、1953年には新アーティストであるジョー・オリオローにより連載が再開された。その後1958年にはTVアニメシリーズの製作が開始され、通算260本が製作された。その後、1980年代には、NY/パリコレクションに登場し、ブームが再燃、1982年にはディターミンド・プロダクションズ・インクが世界のフィリックス商品化権を取得し、世界中においてライセンス契約の下、多くのライセンシーにより広く商標として使用されるに至っている。請求人の引用商標は、その誕生から何回かのブームを経て、アメリカのみならず世界中で放送され続けているとともに、ライセンス契約によって多くの商品が販売されている、非常によく知られた周知・著名な商標である。
(2)日本での引用商標の著名性について
上述のように、引用商標がアメリカをはじめとして世界的に良く知られた周知・著名な商標であることは明らかなところであるが、日本で請求人のカートゥーンの放送が開始されたのも、1960年と古い(甲第2号証の1)。1963年にはフジテレビが放映権を取得し「とびだせフィリックス」として全国ネットで放送された。このようにカートゥーンの人気が高まるとともに、カートゥーンの主人公である「FELIX/フイリックス」のキャラクターとしての知名度も上がり、その人気を顧客吸引力として利用すべく、各社の商品のプロモーションにもライセンス契約の下、広く利用されるようになった。1986年にはソニー「ブラック・トリニトロン」のCMキャラクターに採用され、1991年にはダイハツ「ミラ」のプロモーションキャラクターとなり、1992年にはポニーキャニオンよりビデオが発売され、1993年には、近畿日本ツーリスト・北海道銀行・東日本銀行のプロモーションキャラクターとなった。その他、プロモーションに利用された事実を示す資料を添付する(甲第2号証の2)。その結果、「FELIX/フイリックス」といえば請求人のアニメに係るキャラクター名として広く知られるに至ったのである。
このように請求人のカートゥーンのキャラクター「FELIX/フイリックス」が著名になると、その知名度を利用すべく、「FELIX/フイリックス」が商標としてライセンスの下で使用されるようになる。請求人のライセンシーである丸川製菓株式会社(以下「丸川製菓」という。)は、引用商標「FELIX」又はその片仮名表記「フイリックス」を使用した「FELIX Bubble GUM(フィリックスフーセンガム)」を1960年に発売し、その後、現在に至るまで1996年末で36年間もの間引用商標を使用したガム(以下「FELIXガム」という。)を継続的に販売してきた。このことは、丸川製菓の会社案内及び商品案内(甲第4号証の1ないし16)でも明らかである。また、同社が「FELIXガム」発売30周年を記念して発売した1986年及び1987年の新製品の発売案内(甲第5号証の1ないし3)の記載からも明らかである。
「FELIXガム」の売上高(甲第6号証)が示すように、丸川製菓の当該ガムは本件商標の登録出願時までに、多大な売上をあげており、日本において菓子を販売する店舗においては、ほとんど販売されていたといっていいほど浸透していた商品である(丸川製菓は一次卸だけでも125に及ぶ販売先を有している。)。さらに、その価格が10円と廉価であることから、比較的小さな商店(いわゆる町の酒屋や駄菓子屋など)からスーパーマーケットあるいは最近のファミリーマートやミニストップ、サークルKといったコンビニエンスストアまで、多くみられる商品であり、昭和30年代以降に幼少期を経験した者なら、知らぬ者はないと言って過言ではないほどの商品である。
これらの事実から、丸川製菓の使用により引用商標は日本国内においてお菓子との関係で、本件商標の登録出願時にすでに著名の域に達しているのは明らかである。ライセンシーが所属する同業者団体及び取引先の証明書を提出する(甲第7号証)。
なお、請求人のライセンシーたる丸川製菓による引用商標の使用が、請求人とのライセンス契約によってなるものであることを立証する書類(契約書)が存在する。これによれば、引用商標は、請求人の所有であることは明らかであって、未登録ではあっても、ライセンス契約によりライセンシーによってライセンサー本人の為に使用される状態を確保しており、ライセンシーである丸川製菓の使用によって、本件商標の登録出願時において日本国内において周知・著名な商標となっていたことは疑問の余地がないところである。
そのほか、甲第2号証の3に示すように、引用商標はライセンス契約により文房具、被服、カメラ等多岐に渡る商品について多くのライセンシーにより使用されていることがわかる。
具体的には、芳香剤、自動車、ふりかけ、ナッツ、タオル、かばん、時計、エプロン、傘、カー用品、ティッシュカバー、被服、チャイルドシート、浮き輪、ドリル、時計、プリクラ、使い捨てカメラ、お年玉袋、文房具等の幅広い商品に使用されている(甲第3号証の1ないし21)。
これからも、本件商標の登録出願時において、ガム以外の商品においても既に請求人の商標が日本において、周知・著名な商標となっていたことは明らかである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
引用商標の使用態様は甲第4号証の1ないし16に表されたとおりである。これらの証拠から、1985年の時点で既に「FELIX Bubble GUM」及び「フィリックス フーセンガム」の商標が使用されている事実が認められる(甲第4号証の1及び2)。「Bubble GUM」及び「フーセンガム」の部分はその商品「フーセンガム」との関係において商品の内容を表す語であり、識別性がないので、当該商標においては「Felix」「フィリックス」が要部と認識される。
また、1993年9月以降現在に至るまで使用されている商品包装やカタログには、紙面の左上に片仮名の「マルカワ」と欧文字「FELIX」の文字が二段併記されている(甲第4号証の7ないし16)。これより引用商標は、英語読みで「フィリックス」、ローマ字読みで「フエリックス」の称呼を生じるものである。1993年以前の「Felix」及び1993年以降の「FELIX」には大文字、小文字の違いのみしかなく、これより、引用商標「FELIX」を使用していたことは明らかである。
一方、本件商標は、図中央部分に「felix」と「GOURMET」の欧文字が二段併記されている商標である。「felix」と「GOURMET」の語は異なる書体、大きさで表されているから、外観上も「felix」と「GOURMET」は分離して認識されやすく、また観念においても「GOURMET」は英語で「料理や酒の味の鑑識力のある人、食通、グルメ」を意味する、日本においても良く知られた言葉であって、本件商標の指定商品「菓子及びパン」については識別力の弱い言葉である。したがって、本件商標は「felix」の部分が単独で自他商品識別力を発揮するというべきである。本件商標の「felix」は、引用商標と全く同じ綴りのものであるので、称呼を共通にするものである。
そうすると、引用商標と本件商標は称呼を同じくする類似の商標である。
(4)商品の類否
既に述べたように、丸川製菓による引用商標の使用は、ガムについてのものであって、本件商標の指定商品「菓子及びパン」とは同一又は類似の商品である。
2 商標法第4条第1項第15号違反
本件商標の登録出願時及び登録査定時の両時点において、引用商標は、需要者の間に、請求人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であることを表示するものとして広く認識されていたものであり、また、「FELIX」のキャラクターからなる商標及び「FELIX THE CAT」及びそれに関連する商標も多く登録されているから、本件商標は、他人との業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標に該当するものであり、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。以下にその理由を詳述する。
(1)既に述べたように、引用商標は、世界及び日本国内においてガム及びその他多くの商品に使用されている商標であって、周知・著名商標である。これより、本件商標がその指定商品に使用された場合には、請求人の業務に係る商品であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがあるのみならず、請求人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認しその商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがある。
(2)商標審査基準(改訂第7版)においては「他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して、取り扱うものとする。」とされており、また、「それが他人の著名商標と類似しないと認められる場合又は他人の著名商標と類似していても商品若しくは役務が互いに類似しないと認められる場合において、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるときは、原則として、本号の規定に該当するものとする。」とされている。本件商標はガムとの関係で請求人の著名な名称「felix」と「GOURMET」及び「人形」とを結合した商標であるので、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)請求人は、日本において商標「FELIX THE CAT」、キャラクターであるFELIXの図形商標、商標「THE TWISTED TAILS /FELIX THE CAT」及び商標「BABY FELIX及びその図形」を、旧第4類、第11類、第17類及び第19類ないし第27類、現行第3類、第9類、第16類、第20類及び第25類について登録し、使用している(甲第9号証の1ないし37)。
「FELIX」が世界的にも、また日本においても、取引者・需要者の間で周知・著名であることについては、これまでに述べた事実によっても明らかなところであるから、登録商標のFELIXの図形を需要者が看取した場合、これら登録商標の図形は「フイリックス」であると認識されるものである。加えて「FELIX」は、請求人のアニメーンョンのシリーズの主人公であることから、同アニメーションシリーズの商標に共通して用いられている要素であり、「FELIX」は既に請求人の商標の要部として顕著性を確立しているといえる。そのため、[FELIX」を含む請求人のその他の登録商標を看取した需要者は、これらを「FELIX」に関連する一連の商標として理解するものである。
そうすると、世界的な周知・著名商標であるこれら登録商標の要部を含む本件商標が指定商品に使用された場合には、需要者は請求人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を無効にすべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁していない。

第4 当審の判断
1 請求人の提出に係る各甲号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)引用商標の「FELIX」は、アメリカのパット・サリバン原作の漫画(カートゥーン)の主人公である猫(別掲(2)参照)の名称であり、1919年に映画化されて以来、サイレント映画シリーズ、新聞連載などによって人気キャラクターとなった。1934年に原作者の死亡により映画シリーズと新聞連載は終了したものの、1953年に新アーティスト、ジョー・オリオローにより連載が再開され、その後TVアニメシリーズの製作が開始された。我が国でも、1960年にNHKでアニメシリーズが開始、1963年にはフジテレビで全国ネットで放送され、人気が高まり、「FELIX」、「フィリックス」のキャラクターとしての知名度も上がり、各社の商品の販売促進プロモーションにも利用されるようになった(甲第2号証の1)。
(2)請求人の商標使用権者である丸川製菓は、1960年に「FELIXフーセンガム」を発売し、現在も引き続き販売している(甲第2号証の1)。
(3)丸川製菓が製造販売する「FELIXガム」は、10〜50円の廉価なもので、その個別包装には上記キャラクターの図形と共に「Felix」又は「FELIX」の文字が付されており、パック詰めされた包装箱には上記キャラクターの図形、「Felix」及び「Bubble Gum」の文字等が付されている。丸川製菓の商品案内には「FELIXガム」の写真が掲載されると共に、「フィリックスガム」、「マーブル フィリックスガム」、「くろねこフィリックス」、「あつまれフィリックス」、「ともだちフィリックス」、「フルーツ・フィリックス」、「ラッキーフィリックス」、「キシリソーダ・フィリックス」等の表示を付して各種ガムに応じた説明がされている(甲第4号証の1ないし16)。
(エ)丸川製菓は、昭和61年10月及び昭和62年1月に10円フィリックスガム発売30周年を記念して限定商品10円フィリックスガムの発売又はニューラベルの10円フィリックスガムの発売をする旨を「FELIXガム」の図柄を付して顧客に紹介している(甲第5号証の1ないし3)。
(5)丸川製菓による「FELIXガム」の売上は、1990年が20.1百万円、1991年が67.9百万円、1992年が28.3百万円であったが、1994年には137.8百万円になって以来、毎年1億円を超えて現在に至っている(甲第6号証)。
(6)「FELIX」の文字及び上記キャラクターの図形からなる商標が、丸川製菓によって使用されていること、及び少なくとも1985年時点において丸川製菓がガムにに使用する商標として取引者、需要者間に広く認識されている旨を日本チューインガム協会が証明している(甲第7号証)。
2 以上の事実によれば、「FELIXガム」は、その単価が廉価であるにも拘わらず、上記の売上を達成していることからすると、相当量が市場に出回り、比較的小さな商店である駄菓子屋を含めた菓子を販売する店舗に広く浸透していたことが推認される。また、丸川製菓が、昭和61年及び昭和62年に「フィリックスガム」の発売30周年記念を謳っていることは、1960年に「FELIXフーセンガム」を発売したことと必ずしも符合しない面があるが、「FELIXガム」が相当長期間に亘って販売されていることを認めるには十分といえる。
そして、「FELIXガム」には、上記のとおり、キャラクターの図形と共に「Felix」又は「FELIX」の文字が使用されていることから、引用商標は、少なくとも本件商標の登録出願時には既に、請求人の商標使用権者たる丸川製菓が商品「ガム」に使用する商標として取引者、需要者間に広く認識されていたものであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認めるのが相当である。そして、引用商標からは「フィリックス」の称呼が生ずることは明らかである。
3 他方、本件商標は、別掲(1)のとおりの構成からなるところ、中央部分に白抜きで大きく表された「felix」の文字は、その下に書された「GOURMET」の文字とは大きさも書体も異なること、もとより「GOURMET」の文字は「食通、美食家、グルメ」の意の英語であって本件商標の指定商品との関係からして自他商品識別力の弱い語であることと、「felix」の文字と常に一体不可分にのみ認識されるべき特別な理由がないことから、「felix」の文字と「GOURMET」の文字とは分離して看取されることに加え、「felix」の文字部分の左側に描かれた人形の如き図形も「felix」の文字と一体不可分にのみ認識されるべき特別の理由は見出し難いことを総合すれば、本件商標は、顕著に書された「felix」の文字自体が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきであり、これより生ずる「フィリックス」の称呼をもって取引に資される場合がすくなくないというのが相当である。よって、本件商標は、単に「フィリックス」の称呼を生ずるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、その綴り字を同じくし、それぞれから生ずる「フィリックス」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。
また、本件商標の指定商品は、引用商標が使用されている商品「ガム」を含むものである。
4 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲(1)本件商標



別掲(2)


審理終結日 2004-08-10 
結審通知日 2004-08-11 
審決日 2004-08-26 
出願番号 商願平8-67652 
審決分類 T 1 11・ 252- Z (030)
最終処分 成立 
前審関与審査官 長沢 祥子 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 三澤 惠美子
茂木 静代
登録日 1998-10-23 
登録番号 商標登録第4204036号(T4204036) 
商標の称呼 フェリックスグルメ、フェリックス 
代理人 松原 伸之 
代理人 中山 健一 
代理人 松嶋 さやか 
代理人 村木 清司 
代理人 加藤 義明 
代理人 橋本 千賀子 
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