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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200225215 審決 商標
不服200225216 審決 商標
不服20029882 審決 商標
不服2007650066 審決 商標
不服20035262 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Z30
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z30
管理番号 1110068 
審判番号 不服2000-20976 
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-12-28 
確定日 2004-12-13 
事件の表示 平成10年商標登録願第34184号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)ないし(5)のとおりの構成よりなり、第30類「アイスクリーム,シャーベット,フローズンヨーグルト,その他の菓子及びパン,氷,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アイスクリーム用凝固剤,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、平成10年4月22日に立体商標として登録出願され、その後、指定商品について、同11年5月26日付けの手続補正書をもって「アイスクリーム」と補正されたものである。

2 原査定の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、補正後の指定商品『アイスクリーム』との関係においても、該商品の形状の形態を表したものと容易に認識される立体的形状を表示してなるものであるから、これをその指定商品『アイスクリーム』に使用しても、単に商品の形状を表示するにすぎないものであって、自他商品の識別標識としての機能を有しないもの認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨の理由で本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)これを本願についてみるに、本願商標は、別掲に示すとおり、波形の装飾を施した横長の直方体形状の立体的形状よりなるものであるところ、例えば、「アイスクリームケーキ」に関して、(a)「ナポリアイス、『フォション』ケーキ風アイス発売へ」の表題の下に、「▽アイスクリームケーキ・ラズベリー&ショコラ」「同アップル&ティ」=ケーキがそのままアイスになったデザートアイス。ケーキショップのケーキのようなおしゃれな形状で、四つの素材が層状に重なった上品な味のハーモニーが楽しめる。…」(1999.07.09付日本食料新聞)、(b)「31 ICE CREAM JAPAN OFFICIAL WEB SITE<アイスクリームケーキ商品のご紹介>」として、丸形の形状アイスクリーム写真の下部に、4号(直径約14cm\ アイスクリーム(バニラ)+チョコスポンジ、同じく丸形の形状アイスクリーム写真の下部に、4号(直径約14cm)\ アイスクリーム(チョコレートチップ)スポンジは使用していません、同じく丸形の形状アイスクリーム写真の下部に、5号(直径約16cm)\ アイスクリーム…、スヌーピーのキャラクター形状アイスクリーム写真の下部に約18cm(ヨコ)×18cm(タテ)×4cm(高さ)、ロール状アイスクリーム写真の下部に、抹茶・大納言あずきロール\約11cm(ヨコ)×15cm(タテ)×9cm(高さ)、横長長方形状写真の下部に、キャラメルリボンシュープリーム\約9・5cm(ヨコ)×16cm(タテ)×6・5cm(高さ)(http://www.31ice.co.jp/brj/htm/c02_ 4.htm‐10k‐キャッシュ)の商品紹介(写真付き)が認められ、これらの商品紹介の掲載された時点は本願商標の登録出願より後であるが、商品等の形状は、同種の商品等(この場合は、ケーキ状のアイスクリーム(アイスクリームケーキ))、にあっては、その機能又は美感の観点から同様の形状にならざるを得ないことを示しており、取引上何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そして、本願商標は、別掲に示すとおりであって、波形の装飾を施した横長の直方体形状の立体的形状よりなるものであるが、ケーキには生クリームを用いた波状の装飾が普通に施されているものであって、本願商標のように波状の装飾が施されケーキ状のアイスクリーム(アイスクリームケーキ)の形が格別特異な形状とはいい難いものであるから、これを補正後の指定商品「アイスクリーム」に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の形状の一形態を表してなると認識するにすぎないというのが相当である。
(3)請求人は、「本願商標は指定商品の商品の形状を表したものであるが、指定商品であるアイスクリームの形状としては、極めて特徴があり、かつ、ありふれたものでないから、自他商品識別標識としての機能を発揮することができる」旨主張している。
しかしながら、本願商標の指定商品を取り扱う業界においては、包装、容器の形状などのほかに、商品そのものの形状に特徴をもたせたものを採択し、販売していることが一般に行われていることは顕著な事実であり、加えて、上記(2)とおり、アイスクリームケーキとして、ケーキと同様の形状(丸形、ロール状、横長長方形等)で製造、販売されている事実も認められるところであるから、請求人の主張する本願商標の形状の特徴は、商品の見た目の美しさ(美感)を効果的に際立たせるための範囲のものというべきであり、本願商標が殊更特別な形状を呈しているとはいえないものである。
したがって、本願商標は、前記認定のとおり、商品の形状の一形態を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであって、本願商標は、その形状に特徴をもたせたことをもって自他商品の識別力を有するものとは認められず、この点に関する請求人の主張は採用できない。
(4)さらに、請求人は、「本願商標は、長年の使用の結果、自他商品を識別する機能を具有するに至っているものである。また、本願商標の使用に係るアイスクリームは、請求人又は同人の承諾を得た者によって製造販売されており、その結果、需要者・取引者の間で周知著名になっているから、商標法第3条第2項の規定が適用されるべきである。」旨主張し、原審において甲第1号ないし甲第11号(枝番を含む。)を提出している。
そこで、請求人の提出した甲第1号ないし甲第11号(枝番を含む。)について検討するに、甲第1号の1は、本願商標の使用に係るアイスクリームの包装用箱であって、本願商標と同一と認められるアイスクリーム(アイスクリームケーキ)が描かれているが、「ビエネッ夕」、「エスキモー」等他の文字も表示されているものである。また、甲第1号の2は、甲第1号の1に描かれているアイスクリーム(アイスクリームケーキ)ミニタイプのものと認められ、同じく、他の文字等も表示されているものである。
甲第2号証は、請求人商品の製造販売元である「森永乳業株式会社」の「証明書」であって、「ビエネッタ アイスクリーム」なる商品の過去5年間の販売金額が記載が認められるが、本願商標のアイスクリーム(アイスクリームケーキ)そのものの販売金額であるとする裏付けとなる書証の提出はない。
甲第3号証は、「アイスクリーム新聞株式会社」発行の「ICE CREAM DATA BOOK’98」の表紙、137頁及び146頁の写しであり、昭和55年から昭和58年の間の「アイスクリーム」についての記載がある。
甲第4号証は、「株式会社博報堂」のテレビ及びラジオの過去4年間の広告費の記載のある「証明書」である。
甲第5号証は、同じく、「株式会社博報堂」のテレビコマーシャル用のプレゼンテーション資料である。
甲第6号賞は、「アイスクリーム新聞株式会社」の証明書であって、本願商標と同一の商標が中央部に表示されており、「ビエネッタアイスクリーム」商品を「森永乳業株式会社」を製造販売元として、日本国内において広範囲に販売しており、同商標が日本国内において周知著名であることを証明する旨の記載がある。
甲第7号証の1ないし4は、「森永乳業株式会社」の製造販売に係るアイスクリームのカタログ(販売店用)である。
甲第8号証の1ないし3は、「森永乳業株式会社」を製造販売に係るアイスクリームの商品情報である。
甲第9号証の1及び2は、リプトンリーバ株式会社の製造販売に係るアイスクリームの商品カタログである。
甲第10号証は、欧州における販売量及び宣伝広告高一覧表である。
甲第11号証の1及び2は、オランダ国及びドイツ国の判決書の写しである。
しかして、甲第1号証の1及び2は、上記のとおり、本願商標の使用に係るアイスクリームの包装用箱であって、本願商標と同一と認められるアイスクリーム(アイスクリームケーキ)が描かれているが、「ビエネッ夕」、「エスキモー」等他の文字がともに表示されているものであって、出願に係る「アイスクリーム」と全体的構成が同一と直ちにいえるものではない。
甲第2号証は、同じく、上記のとおり、本願商標のアイスクリーム(アイスクリームケーキ)そのものの販売金額であるとする裏付けとなる書証の提出はない。
甲第3号証は、単に、昭和55年から昭和58年の間の「アイスクリーム」の歴史的記載があるのみである。
甲第4号証ないし甲第9号証(枝番を含む。)は、テレビコマーシャル、製造販売に関する証明書、商品カタログ等であるが、「証明書」は定型な一枚の用紙のみのであるし、公的機関や同業組合等による客観的な証明等もないから、これらの書証によって本願商標それ自体が自他商品の識別標識として認識されたとするには十分とはいえないものである。
甲第10号証及び甲第11号証(枝番を含む。)は、欧州における販売量及び宣伝広告高一覧表と、オランダ国及びドイツ国の判決書の写しであるが、諸外国の事情と立体商標の登録制度と我が国のそれが同一のものと解釈しなければならない事情が存するものとは認められないから、以上の甲各号証に基づく請求人の主張は採用の限りでない。
したがって、本願商標が使用により識別力を有するに至っているものと認定することはできないというべきである。
(5)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第3条第2項には該当しないものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1)



別掲(2)



別掲(3)



別掲(4)



別掲(5)



審理終結日 2004-07-21 
結審通知日 2004-07-23 
審決日 2004-08-03 
出願番号 商願平10-34184 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (Z30)
T 1 8・ 13- Z (Z30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 静子渡口 忠次 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 椎名 実
三澤 惠美子
代理人 浅村 肇 
代理人 高原 千鶴子 
代理人 高梨 範夫 
代理人 浅村 皓 

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