• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 無効としない 016
審判 全部無効 商3条1項2号 慣用されているもの 無効としない 016
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない 016
審判 全部無効 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 無効としない 016
審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効としない 016
審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない 016
管理番号 1109760 
審判番号 無効2003-35436 
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-02-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-10-22 
確定日 2004-12-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4201731号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4201731号商標(以下「本件商標」という。)は、「AS SEEN ON TV」の欧文字と「アズシーンオンティーヴィ」の片仮名文字を二段に書してなり、平成8年11月18日に登録出願され、第16類「紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製手ふき,紙製ハンカチ,型紙,裁縫用チャコ,紙製テーブルクロス,紙製ブラインド,紙製のぼり,紙製旗,紙製幼児用おしめ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,かるた,歌がるた,トランプ,花札,文房具類(「昆虫採集用具」を除く。),昆虫採集用具,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,印刷用インテル,活字,装飾塗工用ブラシ,封ろう,マーキング用孔開型板,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、同10年10月23日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第17号証(枝番を含む。)を提出している。
請求の理由
本件商標は、商標法第3条第1項第2号、同第3号、同第5号、同第6号、第4条第1項第7号又は同第16号に反してなされたものであり、さらに、商標登録がされた後において、商標法第4条第1項第7号又は同第16号に反するものとなっているから、商標法第46条第1項第1号及び同第5号に該当し、無効とすべきである。
1.甲各号証について
甲各号証は、本件商標の登録出願経過及び登録内容と、本件商標が、日本国内及び外国でその商標登録出願前から継続的に今日に至るまで、複数の事業者によって普通に自由に使用されてきた商標であって、単に「TV放映中」、「TVでご覧の通り」又は「TVで広告中」との意味合いを、不特定の種々雑多な多くの商品について一般的な広告文又は説明として直接表示するにすぎないものであることを示すものである。
(1)甲第1号証及び甲第2号証は、本件商標の登録出願経過及び登録内容を示すものである。
(2)甲第3号証ないし甲第11号証は、平成8年(1996年)2月15日から10月17日発行の「週刊通販新聞」(発行所:株式会社通販新聞社、住所:東京都文京区本郷2-11-6)の一部であって、株式会社オークローンマーケティング(以下「オークローンマーケティング社)という。)(住所:名古屋市中区丸の内3-17-6)が、「健康器具」及び「しみぬき」などの海外商品についての広告において、テレビ画面を示す四角い黒塗りの図形の内部に「AS SEEN ON TV」の文字を白抜きで書してなる標章(以下「『AS SEEN ON TV』標章」という。別掲(1))を日本国内においても普通に慣用的に使用していたことを示すものである。この標章は、テレビ画面を示す四角い黒塗りの図形の内部に「テレビ放映中」の文字を白抜きで書してなる標章(以下「『テレビ放映中』標章」という。別掲(2))と対をなすようにして使用されており、「AS SEEN ON TV」の文字が、「テレビ放映中の商品である」ということを表示する一般的な広告文又は説明にすぎず、出所表示機能を発揮するものではないものであることを示すものである。
該表示は、当該事業者によってその商品についてのTVを用いた広告などにおいて継続的に使用されることで、一般消費者にも記述的商標として広く認識されていたものと考えられる。
なお、「週刊通販新聞」の以後の発行分についても「AS SEEN ON TV」標章を各種商品についての慣用商標又は記述的商標として用いた広告が継続的に掲載されている。
(3)甲第12号証は、平成9年(1997年)2月28日発行の「週刊通販新聞 縮刷版」の一部であって、オークローンマーケティング社の健康器具の商品である「ABFLEX」の広告において、甲第2号証ないし甲第11号証と同様に別掲(1)及び(2)のとおりの「AS SEEN ON TV」標章と、「テレビ放映中」標章が商品の一般的な広告文又は説明として日本国内においても普通に慣用的に使用されていたものであることを示すものである。
(4)甲第13号証は、Informercial Charts(発行所:Sylmark,LLC社(以下「Sylmark社」という。)による、健康器具の商品である「ABFLEX」が、1995年にアメリカ合衆国を中心として400万個販売されたことを示す記事であって、甲第12号証及び甲第14号証とともに、アメリカ合衆国におけるTVによる宣伝広告を用いた通信販売の大ヒット商品について、「AS SEEN ON TV」標章(別掲(3))が普通に広く使用されていたことを示すものである。
(5)甲第14号証は、甲第12号証及び甲第13号証に示す健康器具の商品である「ABFLEX」の包装の写しであって、オレンジ色で表された「AS SEEN ON TV」標章(別掲(3))が、アメリカ合衆国製の商品の包装に普通に使用されていたことを示すものである。
(6)甲第15号証の1及び2は、Informercial Charts(発行年:2001年 発行所:Sylmark社)による、商品「microcrisp」が、1993年に400万個販売されたことを示す広告記事及び証明書であって、該商品の包装には、「AS SEEN ON TV」標章(別掲(3))が普通に使用されていたことを示すものである。なお、この証拠においては、その文字は不鮮明であるが、そこには明らかに「AS SEEN ON TV」の文字が付されていた。
(7)甲第16号証は、平成12年(2000年)4月1日発行の「CAR用品最新カタログ2000」(発行所:株式会社交通タイムス社、住所:東京都千代田区内神田2-18-11)における、アメリカ合衆国法人であるMoterUP社の「エンジンオイル添加剤」に関するジプロ株式会社(住所:東京都目黒区下目黒1-1-3)の広告であって、その右上の部分に、「AS SEEN ON TV」標章(別掲(3))が付されており、該商標がアメリカ合衆国製の商品の日本国内での宣伝広告に普通に付されていたことを示すものである。
(8)甲第17号証は、インターネット上の「AS SEEN ON TV」に関する情報であり、「yahoo」及び「goo」といった一般的な検索エンジンによる検索結果の一部である。
これらの大量の検索結果から、本件商標は、従来(本件商標の登録出願前)から不特定多数の事業者によって各種商品及び役務について継続的に一般的に使用されている慣用商標又は品質表示として使用される記述的商標であることが明らかに示されている。
2.商標法第3条第1項第2号、同第3号、同第5号又は同第6号違反について
(1)本件商標は、アメリカ合衆国、ヨーロッパ各国及び日本において、その登録出願前から各種の商品に普通に使用されている慣用商標であって、特定人によって商標登録を受けられる商標ではない(商標法第3条第1項第2号違反)。
(2)本件商標は、その指定商品に使用されても、単に「TV放映中」、「TVでご覧の通り」又は「TVで広告中」との意味合いを、一般的な広告文又は説明として直接表示するにすぎないものであるため、商品の特性を単に記述する品質表示としてのみ機能するものである(商標法第3条第1項第3号違反)。
(3)本件商標は、慣用商標に類似し、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標である(商標法第3条第1項第5号違反)。
(4)本件商標は、商品の出所を表示することができない単なる広告文若しくは説明等のために使用されている記述的商標であり、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することはできないものである(商標法第3条第1項第6号違反)。
(5)本件商標は、その登録査定時において、使用の結果需要者が何人(本件商標登録名義人)かの業務に係る商品であることを認識できるものとなっていたものでもない(商標法第3条第2項の適用なし)。
3.商標法第4条第1項第7号、同第16号違反について
(1)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、「TV放映中」、「TVでご覧の通り」又は「TVで広告中」との意味合いを、一般的な商品についての広告文又は説明として直接表示するために、特にテレビショッピングなどのテレビコマーシャルが行われている商品についてアメリカ合衆国、ヨーロッパ各国などにて広く一般的に継続的に多数の事業者によって使用されている記述的商標である。したがって、本件商標登録によって該記述的商標を付した商品の日本国内への輸入及び日本国内での宣伝広告・販売・販売のための展示などが阻害されることとなれば、該商標権の行使は、本来複数の事業者によって普通に自由に使用されるべき商標の使用に対する権利行使となる。この権利行使は、公共の財産を制限して不当に利益を得る行為と評価でき、国家社会の一般的利益に反するものである。
特に、インターネットや衛星放送・ケーブルテレビなどを介して各国の各種商品及び役務に関する情報が大量かつ容易に一般需用者及び取引者に伝達され、国際間の商品取引・役務取引が自由かつ活発に行われて、しかもそのような取引が尊重され一般化している現代にあっては、海外で販売されている商品又は役務及びそれらに関する情報などが、TVによる放送を用いた通信販売などの形態でそのままの状態で速やかに日本国内へも持ち込まれ、伝達されるのが普通であり、今日の主要な経済活動の一部を構成している。この状況下において、「TV放映中」、「TVでご覧の通り」又は「TVで広告中」との意味合いを、一般的な広告文又は説明として直接表示するために、海外にて各種商品に普通に用いられている商標の日本国内での使用に対する権利行使は、公共の財産を制限して不当に利益を得る行為として、国家社会の一般的利益に著しく反するものであるといわざるを得ないから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであり、また、その登録後においても当該条項に該当するものとなっている。
(2)商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、「TV放映中」、「TVでご覧の通り」又は「TVで広告中」との意味合いを直接表示する商標であるため、この商標をTVにて放映又は広告していない商品について使用すると、品質誤認を生じることとなる。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであり、また、その登録後においても当該条項に該当するものとなっている。
4.以上の理由により、本件商標は、商標登録を受けることができないもの、又は、商標登録後に商標登録を受けることができないものとなったものであると認められるから、無効とされるべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、何ら答弁していない。

第4 当審の判断
1.甲各号証について
(1)甲第3号証(株式会社通販新聞社発行「通販新聞」平成8年(1996年)2月15日)によれば、「株式会社オークローンマーケティング」「カナダ DM業界の先駆者 インターウッド社日本総代理店」「カナダ・インターウッド社の日本総代理店としてディディセブンなど海外で評価の高い商品をいち早く日本に紹介。欧米のダイレクトマーケティングのノウハウをベースに映像ソフトの作成、商品開発、受注、発送業務にいたる一貫したビジネスを展開しています。」「世界を直接お届けします。」との記述及びオークローンマーケティング社の取扱いに係る商品の写真が数点、並びに「AS SEEN ON TV」標章と、「テレビ放映中」標章(別掲(1)及び(2))が認められる。
(2)甲第4号証ないし甲第11号証(同新聞 平成8年(1996年)4月18日から同年10月17日)によれば、前記甲第3号証に記載のものと表現方法に多少の違いがあるものの、いずれもオークローンマーケティング社の提供するテレビショッピングの宣伝文及び同人の取扱いに係る商品の写真が数点、並びに「AS SEEN ON TV」標章と、「テレビ放映中」標章(別掲(1)及び(2))が認められる。
(3)甲第12号証(株式会社通販新聞社発行「通販新聞縮刷版1996 1-12」平成9年(1997年)2月28日)も同様に、オークローンマーケティング社の提供するテレビショッピングの宣伝文及び同人の取扱いに係る商品の写真が数点、並びに「AS SEEN ON TV」標章と、「テレビ放映中」標章(別掲(1)及び(2))が認められる。
(4)甲第13号証ないし甲第15号証の1及び2によれば、「ABFLEX」なる商標を付した健康器具が1995年に、及び、「microcrisp」なる商標を付した商品が1993年に、いずれも400万個販売されたことが掲載されていること、並びにそれぞれの商品の包装の側面に「AS SEEN ON TV」標章(別掲(3))が、甲第14号証、甲第15号証の1及び2に認められる。
(5)甲第16号証(株式会社交通タイムス社発行「CAR用品最新カタログ2000」平成12年(2000年)4月1日)によれば、MotorUP社の「エンジンオイル添加剤」に関するジプロ株式会社の広告に、「AS SEEN ON TV」標章(別掲(3))が認められる。
(6)甲第17号証(インターネットの検索エンジン「yahoo」及び「goo」による「as seen on tv」で検索した結果の一部)によれば、本件商標がその記事中に認められるものはわずか数件であって、これらは全て、アメリカの特定の通信販売会社を指称していることが認められ、その他多くの記事は、本件商標がその記事中に存在せず、本件商標とは関係のない記事であることが認められる。
2.商標法第3条第1項第2号、同第3号、同第5号又は同第6号について
(1)第3条第1項第2号について
本件商標は、前記のとおり、「AS SEEN ON TV」の欧文字と「アズシーンオンティーヴィ」の片仮名文字を二段に書してなるものであるところ、請求人は、本件商標は、アメリカ合衆国、ヨーロッパ各国及び日本において、その出願前から各種の商品に普通に使用されている慣用商標である旨主張している。
ところで、ある商標が慣用商標であるというためには、当該商標を付した同種類の商品が、不特定多数の業者によって、相当の期間、相当の数量、反復継続して販売されてきたことを要するものと解される。
請求人が提出した上記甲第3号証ないし甲第15号証によれば、オークローンマーケティング社が、「AS SEEN ON TV」標章を、我が国において、本件商標の登録前の平成8年(1996年)2月頃から本件商標の登録査定前の同9年(1997年)2月頃まで、「通販新聞」に掲載した、自己の取扱いに係る商品及び自己の提供に係るテレビショッピングの広告において使用していたこと、並びに、外国においては、Sylmark社が紹介する健康器具「ABFLEX」及びいかなる商品であるのか不明であるが「microcrisp」なる商品の包装に同標章が使用されていたことが認められる。
しかしながら、我が国において、本件商標を使用したのはオークローンマーケティング社のみであり、使用期間も上記のとおり、平成8年(1996年)2月頃から同9年(1997年)2月頃までの約1年程度である(請求人は、その後も使用していたと述べているが、それを立証する証拠の提出はない。)。そして、本件商標を商品「しみぬき」及びオークローンマーケティング社が提供する通信販売のサービス自体の広告に使用していたことは認められるが、本件商標の指定商品「紙類,印刷物,タイプライター」等と同種類の商品について使用していたことは認められない。また、外国においては前記認定のとおりの事実が認められるところ、仮に、本件商標が、外国において慣用されているものであったとしても、その事実をもって、直ちに、我が国においても慣用商標であるという根拠とすることはできない。
そうすると、これらの証拠から、本件商標が、本件商標の指定商品と同種類の商品に付され、不特定多数の業者により、相当の期間、相当の数量、反復継続して販売されてきたことから慣用商標になっているとはいい難いものである。
(2)第3条第1項第3号について
請求人は、本件商標は、その指定商品に使用されても、単に「TV放映中」、「TVでご覧の通り」又は「TVで広告中」との意味合いを、一般的な広告文又は説明として直接表示するにすぎないものであるため、商品の特性を単に記述する品質表示としてのみ機能するものである旨主張している。
しかしながら、本件商標が上記意味合いを有する説明用語であるとしても、特定の商品の品質を、記述的、かつ、具体的に表したものとはいえないものであって、請求人の提出に係る甲各号証をみても、本件商標が、その指定商品の需要者、取引者間において、その商品の品質を表すものとして普通に使用されている事実は認めることはできないものである。
してみれば、本件商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものとはいえない。
(3)第3条第1項第5号について
請求人は、本件商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標である旨主張している。
しかしながら、本件商標は、前記のとおりの構成よりなり、仮名文字1字やローマ字の1字若しくは2字からなるものでないことは明らかであるから、その構成が極めて簡単で、かつ、ありふれたものではないことはいうまでもなく、請求人の提出に係る甲各号証をみても、該語(文字)が、我が国において広く一般に認識され、普通に使用されているものであるという事実を認めることはできないものである。
してみれば、本件商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章ということはできない。
(4)第3条第1項第6号について
請求人は、本件商標は、商品の出所を表示することができない、単なる広告文若しくは説明等のために使用されている記述的商標であり、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することはできない旨主張している。
しかしながら、本件商標から上記意味合いが生じ、請求人の提出に係る甲各号証によれば、本件商標と同じ綴りを含む標章が使用されていることが認められるとしても、我が国においては、オークローンマーケティング社1社のみが使用しているにすぎないものであり、また、その使用態様は、請求人が主張するような、広告文又は商品を説明する語としての態様で使用されているものとは認められず、その他不特定多数の取引者、需要者が、本件商標を広告文又は商品を説明する語として、普通に使用している事実も認められないものである。さらに、その他、本件商標が自他商品識別標識としての機能を果たし得ないとする証拠を見出すことはできないから、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるということはできない。
3.商標法第4条第1項第7号又は同第16号について
(1)第4条第1項第7号について
請求人は、本件商標は、テレビショッピングなどのテレビコマーシャルが行われている商品について、アメリカ合衆国、ヨーロッパ各国などにおいて広く一般的に継続的に多数の事業者によって使用されている記述的商標であるから、このような商標の日本国内での使用に対する権利行使は、公共の財産を制限して不当に利益を得る行為として、国家社会の一般的利益に著しく反するものである旨主張している。
ところで、ある商標が商標法第4条第1項第7号に該当するというためには、その商標が矯激、卑猥、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字、図形からなるものである場合、商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般道徳観念に反するような場合、あるいは、他の法律によって、その使用が禁止されている商標、国際信義に反するような商標である場合等を挙げることができる。
請求人が提出した甲第13号証ないし甲第15号証の1及び2によれば、アメリカ合衆国、ヨーロッパ各国において、本件商標が広く一般に継続的に多数の事業者によって使用されている事実を認めることができないものであるから、本件商標は、前記諸外国において広く使用されている記述的商標であるということはできない。
そうすると、被請求人が本件商標をその指定商品について独占的に使用することはもとより、本件商標の商標権に基づく権利行使が、公共の利益に反するものであるということはできない。
その他、本件商標は、矯激、卑猥、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字、図形からなるものでないことはいうまでもなく、他に公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に当たるとする格別の事由も見当たらない。
(2)第4条第1項第16号について
請求人は、本件商標は、「TV放映中」、「TVでご覧の通り」又は「TVで広告中」との意味合いを直接表示する商標であるため、この商標をTVにて放映又は広告していない商品について使用すると、品質誤認を生じることとなる旨主張している。
しかしながら、本件商標は、前記認定のとおり、商品の具体的な品質を表したものとは認められないものであるから、これをその指定商品中のいかなる商品について使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものである。
(3)本件商標の商標登録後における商標法第4条第1項第7号又は同第16号について(第46条第1項第5号)
請求人は、本件商標は、その商標登録後に商標法第4条第1項第7号及び同第16号に該当するものとなったから、無効とされるべきであると主張している。
しかしながら、請求人が提出した甲第16号証及び甲第17号証(本件商標の商標登録後における書証)によっては、本件商標の商標登録後において、本件商標が当該条項に該当するものとなったとする事実は認められないから、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
4.まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第2号、同第3号、同第5号、同第6号、第4条第1項第7号及び同第16号に違反して登録されたものでなく、また、商標登録がされた後において、第4条第1項第7号及び同第16号に該当するものとなったものではないから、その登録は、商標法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲 (1)
「AS SEEN ON TV」標章




別 掲 (2)
「テレビ放映中」標章




別 掲 (3)
「AS SEEN ON TV」標章


審理終結日 2004-10-08 
結審通知日 2004-10-13 
審決日 2004-10-26 
出願番号 商願平8-129590 
審決分類 T 1 11・ 272- Y (016)
T 1 11・ 13- Y (016)
T 1 11・ 12- Y (016)
T 1 11・ 16- Y (016)
T 1 11・ 22- Y (016)
T 1 11・ 15- Y (016)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 和田 恵美
三澤 惠美子
登録日 1998-10-23 
登録番号 商標登録第4201731号(T4201731) 
商標の称呼 アズシーンオンティービ、アズシーンオンティービー、アズシーンオンテレビ 
代理人 廣江 武典 
代理人 宇野 健一 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ