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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200225215 審決 商標
不服200265061 審決 商標
不服200265040 審決 商標
不服20025170 審決 商標
不服20038369 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z031433
管理番号 1108515 
審判番号 不服2002-65044 
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-08-05 
確定日 2004-10-12 
事件の表示 国際登録第755300号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第3類「Bleaching preparations and other substances for laundry use;cleaning,polishing,grease removing and abrasive preparations;soaps;perfumery goods,essential oils,cosmetics,hair lotions;dentifrices.」、第14類「Precious metals and alloys thereof other than for dental use;jewellery,jewellers’goods and precious stones;timepieces;chronometric instruments.」及び第33類「Alcoholic beverages except beer.」を指定商品として、2000年8月21日付けFranceにおいてした商標登録出願を基礎としたパリ条約第4条による優先権を主張し、2001年(平成13)年2月20日を国際登録の日とするものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品に普通に使用されるボトル(包装容器)の立体的形状を容易に認識するものである。したがって、本願商標は、単に商品のボトル(包装容器)の形状を認識させるにすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(3)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、透明な球状の胴体に注ぎ口を付け、内容物を保持する部分を赤色の円錐状にした容器であると容易に理解させるものであって、本願の指定商品との関係においては、例えば、化粧品、香水類及びアルコール飲料等を収納する容器の形状又は装飾品を表したと認められるものであるから、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の収納容器又は商品の形状と認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
(4)請求人は、「本願商標は、透明な球体の中に映し出されている円錐形もその構成要素を成し、球体内の円形が浮かんでみえるという、従来まったく存在しない斬新なデザインからなるもので、需要者の注意を極めて強く惹く、あたかもオブジェあるいはおもちゃのようにさえ見えるものである。したがって、本願商標をその指定商品について使用しても、指定商品の瓶(包装及び又はケース)の単なる形状であると認識されるべき筋合いのものではなく、需要者が特定の出所に係る商品について使用されているものと認識することが十分可能であり、また、その指定商品について本願商標を出願人に独占的に使用させても、他人の自由な引の妨げとなる恐れはないので、何ら不利益を与えることはないものである。」旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品中の化粧品、香水類及び洋酒等の商品においては、商品の形状をその商品との機能、効果等から特定の形状にしなければならない必要性が薄く、商品等の外観上の特徴が需要者の購買心理、選択意欲、消費行動等に重要な影響を与えると考えられ、その商品に市場における流行や需要者の用途、嗜好等に合わせた各種の特徴的な変更、装飾等が施される実情が認められる。
加えて、本願の指定商品中の装飾品等の商品においては、商品の外観上の特徴が直接に需要者の購買心理、選択意欲に重要な影響を与え、各種の特徴的な装飾等が施される実情が認められる。
その場合、立体的形状に施されたその種の変更、装飾等は、外観上同種の商品等の形状と比較し特徴的なものと認められるとしても、それらは専ら需要者が商品を選択するに際して、外観上の美感、若しくは魅力的な形状という嗜好上の意味合いを与えているにすぎず、それは未だその商品等の形状であると認識するに止まるものである。
したがって、そのような変更、装飾等は自他商品の出所を表示する識別標識として機能しているものとは認められないものであるから、その立体商標の形状の全体を観察しても識別力を有するものとは認められない。
そして、本願商標は、前記認定のとおり、その形状が特徴的なものであっても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであり、商品等の形状を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであって、その形状に特徴をもたせたことをもって自他商品の識別力を有するものとは認められないことは(1)で述べたとおりである。
また、請求人は、「本願商標は、包装容器の形状として一般的に採用されている形状ではなく、現に取引上使用され、又は公知にされた事実はまったくない。」旨主張するが、商標法第3条第1項第3号の商品の品質・形状等を表示する標章とは、商品の品質・形状等を表示する標章として認識されるものであれば足り、その標章が現実に使用されていることは必ずしも要求されないものと解すべきであるから、請求人の該主張も採用することができない(東京高裁昭和52年(行ケ)第82号判決参照)。
(5)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2004-05-10 
結審通知日 2004-05-18 
審決日 2004-06-01 
国際登録番号 0755300 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z031433)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 矢澤 一幸 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 早川 文宏
岩崎 良子
代理人 青木 博通 
代理人 足立 泉 
代理人 中田 和博 
代理人 柳生 征男 

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