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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 117
管理番号 1108424 
審判番号 取消2003-30371 
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-01-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-03-31 
確定日 2004-11-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第2697062号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2697062号商標(以下「本件商標」という)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成4年3月13日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同6年10月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品中『被服』についての登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証の1及び2を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「被服」について、継続して3年以上日本国内において、使用した事実がないから、上記商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第11号証の1(後記のように、「請求書/2年8月31日締切分」)は、「2年8月31日締切分」、「今月御請求額」という表示のとおり、平成2年8月分の集計計算書である。集計された金額は8月20日に引き渡された「JAWS」Tシャツの加工代としての「¥132,542」のみである。
乙第11号証の2(後記のように、「請求書/2年8月20日」)は、乙第11号証の1の内訳であり、これによると平成2年8月分は、8月20日に納品された商品のみで、結局、証拠としては、乙第11号証の2のみということになる。
そして、加工されたTシャツの枚数は、平成2年8月中に加工された63枚だけである。以後の使用の証拠はない。63枚では商標法が期待する「使用」には該当しない。
また、乙第11号証の1及び2には、「JAWS」Tシャツとあるが、「JAWS」が果たして本当に表示されていたのか、表示されたとしてもどのような態様であったのかが不明である。特に、本件商標は、英語「JAWS」の「W」の部分が装飾化されるとともに、全体に色彩が付加されたものであるが、果たしてこうした態様で表示されたのかどうかも不明である。
さらに、乙第11号証の1及び2が発行された平成2年8月の時点では、本件商標は存在していない。この事実から、表示された商標の態様は、模様化された「W」を有するものではないと思われる。
(2)平成16年3月15日付け答弁書(第2回)に添付された証拠について
(a)乙第1号証ないし乙第10号証
乙第1号証ないし乙第6号証までが株式会社マッシュ(「有限会社マック」は誤記と認める。以下「マッシュ」という。)、乙第7号証ないし乙第10号証まで株式会社ウエストポイント(以下「ウエストポイント」いう。)と宛先が異なっている。乙第11号証の1及び2の宛先は、被請求人である。
これら企業がいかなる取引関係にあるのか、特に本件商標との関係では全く不明である。商標の使用では出所が大切である。被請求人は本職は役務に属する「テレビやラジオ番組の企画制作」であって、被服のメーカーでも問屋でもない。出所表示、品質保証といってもそれはテレビ・ラジオ番組の企画制作者としての出所表示や品質保証が目的であるはずで、商標としての出所表示機能を果たしているとはいえない。時流に乗った経営の多角化を主張しているが、確たる証拠もなく到底納得できるものではない。
乙第1号証ないし乙第10号証及び乙第11号証の1及び2の証拠価値には疑義を感じている。使用しているのであれば、2000年ないし2002年の請求書の提出がなぜそんなに遅れたのか疑問に思う。駆け込み使用ではないかとの疑義も起こる。
(b)商標の使用の態様について
被請求人は、「Tシャツ等に使用されているものは本件商標と同一のもの」として、現物写真AないしMを提出している。本件商標とTシャツ等に使用されている標章とはかなり異なる。確かに、一部は本件商標と同一らしきことは認められるが、被請求人等の使用は、商標的使用というより著名なジョーズのキャラクターを借りた意匠的使用の色彩が強い。意匠と商標が根本的に異なることは論じるまでもない。Tシャツのワンポントマークは、デザインであり商標ではないという理由で使用の証拠提出を拒否された例もある。この点からも、被請求人の主張する商標の使用は、商標法上の使用には該当しない。
(c)本件取消審判の事情
請求人は、米国法人で商標「JOE’S」について、被服その他に関し出願中(02-27823号)である。JOE’Sは「明日のジョー」のジョーであり、鮫のJAWSではない。出願の前代理人は、商標自体の類否については論議することなく本件審判を請求したものである。請求人は、米国の法人格を有した被服、かばん等の服飾用品のメーカである。万一、かかる商標の使用の主張をもってその存続が認められ、請求人の商標「JOE’S」の登録が認められないとすれば、商標選択の自由を著しく阻害するものとしてきわめて遺憾である。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、「請求書/2年8月31日締切分」及び「請求書/2年8月20日」、写真AないしM、並びに乙第1号証ないし乙第11号証を提出した(なお、乙第11号証には、上記「請求書/2年8月31日締切分」及び「請求書/2年8月20日」と同一のものが添付されているので、便宜上、「請求書/2年8月31日締切分」を「乙第11号証の1」とし、「請求書/2年8月20日」を「乙第11号証の2」とする。)。
1 被請求人は、本件商標を「被服」についても、登録以来現在に至るまで継続して使用している。
2 乙第11号証の1には、本件商標と同一の欧文字「JAWS」が記載されていると共に、商品として「Tシャツ」が記載されている。
実際の「Tシャツ」や「トレーナー」や「ジャンパー」に使用しているものは、本件商標と同一のものである(現物写真AないしM参照)。上記請求書のものも上記写真Mのものと同一である。なお、上記写真A、Eのように「w」の部分を装飾化せず、かつ色彩を付加していないものでも、社会通念上同一と認められるものである。
3 被請求人は、テレビやラジオ番組の企画制作に限らず、各種イベントの企画制作及び運営、キャラクター商品の企画や販売、衣料品・寝装寝具・文房具・玩具・日用雑貨品等の販売等も取り扱っており、本件における使用に係る商品もその一環として扱っているものであり、多角経営を目ざしている。
本件商標を付した写真AないしMの商品は、乙第1号証ないし乙第10号証(御請求書)に示すように、複数の販売会社を通じて販売されている。
また、本件商標を付した写真AないしMの商品は、上記販売のみならず、テレビ・ラジオ番組や各種イベントや商品広告等の現場等において、出演者、協力者、顧客、消費者等に配布しており、実際の商品流通量ははるかに大量である。
それゆえ、本件商標は、商標本来の出所表示機能や広告宣伝機能は充分に達成しているものである。
4 乙第11号証の1(請求書)の発行日「2年8月」の「2年」は、「2002年」であり、これは発行会社のコンピューターの請求書発行年月桁数の表示がコンピューターのソフト上からやむを得なかったとのことである(乙第11号証)。
5 以上のとおり、本件商標は、「被服」について使用されているものであり、商標法第50条の規定により取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 乙第1号証ないし乙第11号証、乙第11号証の1及び2並びに写真AないしMによれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第11号証の1及び2は、大阪市中央区に所在の有限会社エムジェイインターナショナル(TEL06-6966-7388、以下「エムジェイインターナショナル」という。)が大阪市北区に所在の株式会社クリエイティブジョーズ(被請求人、TEL06-6453-9011)に宛てた「2年8月31日締切分請求書」及びその内訳を示す「2年8月20日付け請求書」であり、その内容は、「JAWS Tシャツ63枚」の代金、「JAWS Tシャツ63枚」の「PT背2c」、「PT前3c」及び「仕上」の代金及び「版代」の代金が記載されている。
(2)写真C、D、J、K及びMに示されたTシャツには、その胸部、袖部、背中上部に本件商標と同一の態様の商標が表示され、また、写真Bに示されたトレーナーには、その襟の内側に、色彩を同一にすれば本件商標と同一の態様からなる商標が表示された織りネームが付されている。
(3)乙第1号証ないし乙第6号証は、2000年(平成12年)4月30日から2002年(平成14年)9月30日にかけて被請求人がマッシュに宛てた請求書であるところ、その内容は、「Tシャツ120枚」、「トレーナー140枚」、「ジャンパー50枚」等の各代金請求である。
また、乙第7号証ないし乙第10号証は、2001年(平成13年)4月30日から2002年(平成14年)9月30日にかけて被請求人がウエストポイントに宛てた請求書であるところ、その内容は、「トレーナー100枚」、「Tシャツ70枚」、「ジャンパー35枚」等の各代金請求である。
(4)乙第11号証は、エムジェイインターナショナルの代表者が被請求人の代表者に宛てた平成16年3月9日付けの証明書であるところ、その内容は、乙第11号証の1及び2に記載された「2年」は、「2002年」であり、これはコンピュータのソフトの仕様上の問題である旨を証明したものである。
2 前記1で認定した事実を総合すると、商標権者(被請求人)は、本件審判の請求の登録日(平成15年4月23日)前3年以内である2002年8月ころに、エムジェイインターナショナルから、装飾加工をしたTシャツ63枚の納品を受けたこと、被請求人は、上記納品を受けた前後を通して、いずれも本件審判の請求の登録前3年以内にTシャツ、トレーナー等をマッシュ及びウエストポイントに販売したことが推認される。そして、被請求人が取り扱うTシャツ、トレーナーには、本件商標と同一の態様よりなる商標が表示されていることが認められる。
そうすると、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「Tシャツ、トレーナー」について本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたといわざるを得ない。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、乙第11号証の1及び2に関し、加工されたTシャツの枚数は、平成2年8月中に加工された63枚だけであるから、商標法が期待する「使用」には該当しない旨主張する。
しかし、上記請求人の主張は、以下のとおり、失当といわざるを得ない。
第一に、請求人は、乙第11号証の1及び2の日付が「平成2」であるとするが、大阪(06から始まる地域)の市内局番の3桁が4桁に変更されたのは、平成11年(1999年)1月1日である。そして、乙第11号証の1及び2に記載のエムジェイインターナショナル及び被請求人の電話の市内局番は、前記認定のとおり、4桁で記載されているところからすれば、請求書の「2年」は、「2002年」であるとみるのが自然である。
したがって、乙第11号証の1及び2に記載された日付は、「2002年8月」であるということができる。
第二に、被請求人に納品されたTシャツが乙第11号証の1及び2の取引のみに限られたものでないことは、前記認定のとおり、該取引以前にも、被請求人は、マッシュ及びウエストポイントに対し、Tシャツ等を販売していたと推認され、したがって、被請求人は、いずれかよりTシャツ等被服の納品を受けていたと推測される。
(2)請求人は、被請求人の本職は役務に属する「テレビやラジオ番組の企画制作」であって、被服のメーカーでも問屋でもないから、出所表示、品質保証といってもそれはテレビ・ラジオ番組の企画制作者としての出所表示や品質保証が目的であるはずで、商標としての出所表示機能を果たしているとはいえない旨主張する。
請求人の主張は、要するに、被請求人は「テレビやラジオ番組の企画制作」をする会社であって、被服のメーカー等ではないから、被請求人がする商標の使用は、テレビ・ラジオ番組の企画制作者としての出所表示や品質保証が目的であって、被服等についての本件商標の使用は、商標としての出所表示機能を果たしているとはいえない旨主張しているものと解される。
しかしながら、テレビ番組等の制作会社が、その制作に係る番組に登場するキャラクターを様々な商品に表示して販売することは、今日の取引社会の実情に照らしてみれば、格別珍しいことではなく、仮に被請求人がテレビ番組等の制作会社であり、自己の制作に係るテレビ番組等に関連するキャラクターをモチーフにした登録商標をTシャツ等に付して、これを販売したとしても、Tシャツ等に付された当該登録商標は、「テレビ番組等の制作」なる役務の出所標識として機能するのではなく、Tシャツ等被服の出所標識として機能するとみるべきである。
(3)請求人は、Tシャツに使用された商標は、商標的使用というより著名なジョーズのキャラクターを借りた意匠的使用の色彩が強く、Tシャツに付されたワンポントマークは、商標の使用ではない旨主張する。
しかし、Tシャツの胸部、袖部、背中上部に表示された、いわゆるワンポイントマークは、それ自体、商品の出所表示としての機能をも兼ね備えているばかりでなく、トレーナーの襟に内側に付された織りネームは、まさに商標として表示されているものである(昭和57年(ワ)第7959号・昭和58年(ワ)第5684号判決(東京地裁、平成2年1月29日判決言渡)参照)。
(4)その他、請求人が主張する本件取消審判の事情等は、商標法第50条の規定に基づく本件審判とは直接関係を有するものではない。
したがって、上記(1)ないし(3)についての請求人の主張は、いずれも理由がなく、他に前記2の認定を覆すに足る証拠の提出はない。
4 以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品中の「Tシャツ、トレーナー」について、本件商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の「被服」について、取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標


(色彩については原本参照)
審理終結日 2004-07-07 
結審通知日 2004-07-08 
審決日 2004-07-21 
出願番号 商願平4-27751 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (117)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小宮山 貞夫鈴木 茂久末武 久佳 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 内山 進
津金 純子
登録日 1994-10-31 
登録番号 商標登録第2697062号(T2697062) 
商標の称呼 ジョーズ 
代理人 鈴江 正二 
代理人 玉利 冨二郎 
代理人 木村 進一 

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