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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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取消200331101 | 審決 | 商標 |
審判199931384 | 審決 | 商標 |
取消200531137 | 審決 | 商標 |
取消200030710 | 審決 | 商標 |
取消200430916 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 101 審判 一部取消 商標の同一性 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 101 |
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管理番号 | 1106741 |
審判番号 | 取消2003-30345 |
総通号数 | 60 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-12-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2003-03-26 |
確定日 | 2004-11-01 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1289578号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1289578号商標の指定商品中第1類「化学剤及びそれに類似する商品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第1289578号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおり、「TRIMEC」及び「トライメック」の文字を上下二段に表してなり、昭和48年5月23日に登録出願され、第1類「除草剤、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和52年8月9日に設定登録され、その後、昭和62年8月20日及び平成9年6月10日に商標権存続期間の更新登録がされているものである。 第2 請求人の主張の要点 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第9号証を提出した。 1 請求の理由 被請求人は、本件商標の指定商品「化学剤及びそれに類似する商品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用していない。 よって、請求人は商標法第50条第1項の規定により本件商標の指定商品中「化学剤及びそれに類似する商品」についてこれを取り消す、との審判を請求する。 2 弁駁の理由 (1)権利濫用について 我が国商標法は、平成8年の法改正において不使用取消審判の請求人適格を「何人」と規定したものであるから、請求人に何ら利害関係を求めるものでもなければ、請求人が審判の請求に係る商標を使用可能か否かを要件とするものではない。 被請求人が請求に係る指定商品について使用していない以上、被請求人は何らの不利益を被るものでもなく、何ら被請求人を害する目的を有して本件審判を請求したものではないから、本件審判請求が被請求人を害することを目的とするような場合にあたらないことは明白である。 また、被請求人は、K株式会社が「トリメックス」を出願している旨等を主張しているが、請求人とは何ら関係のない事実であり、不知である。 (2)本件商標の使用について 被請求人の提出に係る乙第6号証ないし同第9号証及び同第11号証について精査するものの、本件商標は「除草剤」に対してのみ使用していることは認められるものの、「化学剤」として使用されている点は全く見出すことができない。 なお、そもそも本件商標は、「TRIMEC/トライメック」であって、被請求人が使用している旨主張する「トリメック」とは、商標法第50条第1項に規定された所謂「社会通念上同一と認められる商標」に該当しないことが明らかである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第11号証を提出した。 1 訴えの利益と商標権侵害について 請求人である村野親は、被請求人の調査によると、「特許資料各種撮影及び複写、国内外特許、実用新案、意匠、商標の図面および書類の清書、意匠写真および商標見本作成、国内外特許、実用新案、意匠、商標の調査、上記各号に付帯する一切の業務」を業とする有限会社エム・ディー・エスの代表取締役である(乙第1号証)。 本件審判請求に係る商品「化学剤及びそれに類似する商品」は、大掛かりな装置がないと製造できない商品であるから、請求人が商品「化学剤及びそれに類似する商品」について、本件商標を使用することは考えられないところである。 このように、自ら本件商標と同一または類似の商標を使用する意思のない者が、本件商標に不使用取消審判を請求することは、被請求人を害することを目的とした行為と認められるから、権利濫用にあたり許されるべきでない(乙第2号証)。 不使用取消審判を請求する者は、通常、本件商標と類似する商標を出願している者であるから、本件商標と類似する商標の出願を調査したところ、K株式会社が「トリメックス」を出願していること(乙第3号証)、また、商標「トリメックス」を長年にわたり、正当な権原なく、商品「化学品」に使用していることが判明した(乙第4号証、同第5号証)。請求人とK株式会社との関係は今のところ明らかではない。 2 本件商標の使用について 本件商標は、本件商標の使用に係る商品「化学剤、除草剤」の日本の輸入代理店である東京都中央区明石町8-1聖路加タワーに住所を有するアリスタライフサイエンス株式会社、販売店である東京都台東区寿3丁目14番11号に所在する東洋グリーン株式会社、東京都中央区日本橋小伝馬町14番4号に住所を有する株式会社ニチノー緑化により、本件審判請求予告登録前3年以内に商品「化学剤,除草剤」に使用されているものである。また、被請求人により、インターネットを通じて、商品広告されているものである(乙第11号証)。 当該事実を証明する証拠として、アリスタライフサイエンス株式会社作成にかかる「製品安全データシート(2002年11月27日作成)」写し(乙第6号証)、東洋グリーン株式会社2000年5月10日作成商品カタログ写し(乙第7号証)、株式会社ニチノー緑化2001年1月作成商品カタログ写し(乙第8号証)、東洋グリーン株式会社発行株式会社東海グリーン宛2003年4月1日付納品書写し(乙第9号証)、被請求人のホームページから入手した商品広告を提出する。 本件商標と同一性のある「TRIMEC」、「トリメック」の商標が使用されているものである。 本件商標に係る商品は、乙第6号証にあるように、化学剤として輸入され、販売されるときに、化学剤・除草剤として販売されるものである。 一つの商品が、2つの商品概念に属する2面性を有することがあることは、判例も認めるところである(乙第10号証)。本件商標の使用に係る商品も、化学剤として、また、除草剤として、製造・販売されているものであり、化学剤及び除草剤両方の商品概念に含まれるものである。すなわち、もともと、化学剤である本件商標の使用に係る商品が、除草の効能もあるために、除草剤としても製造・販売されているものである。 混合物である「化学剤」が「除草剤」であり、原材料及び品質、生産部門、販売部門が一致するから、「化学剤」と「除草剤」は類似商品の関係にあることは明らかである。 このように、本件商標は、取消に係る商品「化学剤及びそれに類似する商品(除草剤)」について、本件審判請求予告登録日前より現在にいたるまで継続的に使用されていることは明らかであるから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当しない。 第4 当審の判断 1 権利の濫用について 被請求人は、「請求人が商品『化学剤及びそれに類似する商品』について、本件商標を使用することは考えられないところであり、自ら本件商標と同一または類似の商標を使用する意思のない者が、本件商標に不使用取消審判を請求することは、被請求人を害することを目的とした行為であるから、権利濫用にあたり許されるべきでない。」旨主張する。 しかしながら、商標法第50条第1項の規定には、不使用取消審判の請求人適格を「何人も」と規定していることから、請求人は本件審判請求の利害関係を立証する責めを負う必要はないと同時に、取消に係る商品の使用を要件とするものでもない。 確かに、前記法条は、請求人適格を「何人も」と規定しているが、当該審判の請求が被請求人を害することのみを目的としていると認められる場合にあっては、その請求を権利の濫用と認定し得る余地があるにしても、本件審判請求においては、提出された乙各号証を精査するもその事実を見出すことができない。 してみれば、本件審判請求は、権利の濫用にあたるとはいえないものである。 なお、K株式会社が商標「トリメックス」の商標登録出願をし、かつ、使用している事実は、本件審判請求の審理に何ら影響を与えるものではない。 2 本件商標の指定商品の使用について (1)被請求人の提出した乙第6号証ないし同第9号証及び同第11号証並び答弁の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 (ア)被請求人の輸入代理店である東京都中央区明石町8-1聖路加タワー所在のアリスタライフサイエンス株式会社作成の「製品安全データーシート」によれば、1.製品及び会社情報の項で「製品名:トリメックF液剤」2.組成、成分情報の項で「単一製品・混合物の区別:混合物」、「種類名:MCPP・MDBA・2,4-PA溶液」、「有効成分化学名(一般名):・α-(2-メチル-4-クロロフェノキシ)プロピオン酸ジメチルアミン(メコプロップ) ・2-メトキシ-3,6-ジコロロ-ジクロロ安息香酸ジメチルアミン(ダイカンバ) ・2,4-ジクロロフェノキシ酢酸ジメチルアミン(2,4-PA-ジメチルアミン)」と記載されていること(乙第6号証)。 (イ)被請求人の販売店である東京都台東区東区寿3-14-11所在の東洋グリーン株式会社の商品カタログによれば、その表紙に「広範囲の広葉雑草に卓効」、「芝生用除草剤」、「トリメックF液剤」(ただし、「液剤」は縦書き。)、「CCPP・MDBA・2,4PA液剤」、「トリメックは、アメリカPBIゴートン社が開発した広葉雑草専用の除草剤です。」と、次頁に「成分」としてMCPP〔α-(2-メチル-4-クロロフェノキシ)プロピオン酸ジメチルアミン〕…12.0% MDBA〔2-メトキシ-3,6-ジコロロ-ジクロロ安息香酸ジメチルアミン〕…2.5% 2,4PA〔2,4-ジクロルフェノキシ酢酸ジメチルアミン〕と記載されていること(乙第7号証)。 (ウ)同じく東京都中央区日本橋小伝馬町14-4所在の株式会社ニチノー緑化の商品カタログによれば、その表紙に「芝生用」、「育成期広葉雑草防除剤」、「日農」、「トリメックF液剤」と、次頁に「………MCPP、MDBA、2,4PAの理想的な三種混合により、相乗効果を発揮し広範囲の広葉雑草を防除する優れた除草剤です。」と、性質の項で、物理的化学的性質 有効成分:MCPP[α-(2-メチル-4-クロロフェノキシ)プロピオン酸ジメチルアミン]…12.0% MDBA[2-メトキシ-3,6-ジコロロ-ジクロロ安息香酸ジメチルアミン]…2.5% 2,4PA[2,4-ジクロルフェノキシ酢酸ジメチルアミン]…26.0%と記載されていること(乙第8号証)。 (エ)東洋グリーン株式会社が株式会社東海グリーンに商品「トリメックF液剤」を納品した納品書(控)の「備考、納入先」欄に「箱根園ゴルフ場コース管理課」と記載されていること(第9号証)。 (オ)被請求人のホームページに、英語で記載された商品広告中「TRIMEC」(ただし、「C」の文字の内側に「R」の文字を円輪郭を伴って配している。)の欧文字の下に「LAWN WEED KIKKER」の欧文字が記載されていること(乙第11号証)。 (2)以上の事実によれば、被請求人の日本における輸入代理店のアリスタライフサイエンス株式会社が輸入している商品「トリメックF液剤」の有効成分と販売店東洋グリーン株式会社及び同株式会社ニチノー緑化が芝生用除草剤として販売している「トリメックF液剤」の有効成分とは、MCPP、MDBA、2,4PA(一般名として「メコピロップ」、「ダイカンバ」、「2,4-PA-ジメチルアミン」)と一致している。そして、上記販売店2社のパンフレットによれば、「トリメックF液剤」の用途として「芝生用除草剤」であることが認められる。加えて、販売店東洋グリーン株式会社が発行した納品書(控)によれば、「トリメックF液剤」を箱根園ゴルフ場コース管理課に納品したこと、及び被請求人のホームページには、登録商標と認められる「TRIMEC」の文字の下に「芝生用除草剤」を意味する「LAWN WEED KILLER」の文字が顕著に表されていることを総合勘案すれば、商標「トリメックF液剤」の使用する商品は、芝生用除草剤と認められるものであって、化学剤とは認められない。 そして、芝生用除草剤は農業用薬剤に含まれる商品であって、化学品に含まれる化学剤とは、その用途が異なり類似する商品とは認められない。 3 本件商標の使用について 本件商標は、前記のとおり、上段に肉太のゴシック体の欧文字「TRIMEC」と下段に明朝体でやや小さめの片仮名文字「トライメック」の各文字を上下二段に表してなりるところ、上段の「TRIMEC」の文字は、一般に親しまれた特定の語義を有する語とも認められない造語よりなることから、下段の「トライメック」の片仮名文字が上段の「TRIMEC」の欧文字の読みを特定したものと把握、理解されるとみるのが相当である。 してみれば、本件商標は、下段に書された片仮名文字「トライメック」に相応して「トライメック」の称呼のみを生ずる商標であり、これ以外の例えば「トリメック」の称呼は生じないものといわなければならない。 そこで、被請求人の提出した乙第6号証ないし同第9号証及び同第11号証をみるに、乙第6号証ないし同第9号証には、「トリメックF液剤」との文字表記が認められ、これが「トリメック」の文字部分を要部とする「トリメック」の称呼をも生じる商標であるとしても、「トライメック」と称呼される本件商標とは称呼が異なるうえ、本件商標と外観において著しく相違することから、結局、前記各書証で示す商標の要部「トリメック」と本件商標とは、社会通念上同一の商標と認めることはできない。また、乙第11号証には、「TRIMEC」の文字が記載されているものの、全体が英語で表記される商品広告であり、日本国内の取引者、需要者を対象とした商品広告とは俄に認めることができないばかりか、この商品広告の使用時期が何時であるかも確認することができない。 してみれば、いずれの書証においても、本件商標と社会通念上同一の商標を日本国内で使用していたと認めることができない。 4 まとめ 以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても、その請求に係る指定商品「化学剤及びそれに類似する商品」について使用されていないものであり、また、使用されていないことについて正当な理由があるともいえないから、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別掲】 本件商標 |
審理終結日 | 2004-06-09 |
結審通知日 | 2004-06-11 |
審決日 | 2004-06-22 |
出願番号 | 商願昭48-82740 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(101)
T 1 32・ 11- Z (101) |
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
佐藤 正雄 |
特許庁審判官 |
宮川 久成 山本 良廣 |
登録日 | 1977-08-09 |
登録番号 | 商標登録第1289578号(T1289578) |
商標の称呼 | トライメック、トリメック |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 足立 泉 |
代理人 | 柳生 征男 |