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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z30 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z30 |
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管理番号 | 1106687 |
審判番号 | 不服2002-15849 |
総通号数 | 60 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-12-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-08-20 |
確定日 | 2004-10-28 |
事件の表示 | 商願2001-33403拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本件商標登録出願 本件商標登録出願は、商標(以下「本願商標」という。)の構成を「のりものシリーズクラッカー」の文字を横書きしたものとし、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成13年4月11日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、平成14年1月25日付の手続補正書により、「クラッカー」と補正されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願商標は『のりものシリーズクラッカー』の文字を横書きしてなるものであるが、指定商品との関係からすると、これは『一連の乗り物型のクラッカー』との意味合いを認識させるに止まるものであるから、これをその指定商品中『乗り物の形をした菓子及びパン』に使用しても、単に商品の品質を表すにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法3条1項3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法4条1項16号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。 第3 当審の判断 1 本願商標は、上記のとおり「のりものシリーズクラッカー」の文字よりなるところ、その構成中、「のりもの」の文字は、人を乗せて運ぶもの、すなわち、電車、バス、飛行機、船などの乗り物を意味するものであり、また、「シリーズ」の文字は、「体系、一連」などを意味し、「続きもの、連続」を指称するときに「〇〇シリーズ」の用例でしばしば使用される語として広く一般に親しまれているものである。 2 本願の指定商品「クラッカー」は小麦粉を主原料としたビスケットの応用品の一つといえる商品であり、種々の品種があるとされるが、その原料及び製造工程からすれば、需要者(特に、子供)が好む各種の形状(例えば、乗り物、英文字、動物、)の商品を比較的容易に製品化し得る実情があることが認められる。 このことは、例えば、以下の新聞記事により認められるところである。 (1)中浦食品(松江市)は、県内を走る一畑電車と、レトロ調の「レイクラインバス」をかたどった缶入りクッキー「ぐるっと神話の旅」を発売した。3種類の缶にそれぞれチョコ味など3種類のクッキーが入り、1個550円。(毎日新聞 2003年2月20日付 大阪版夕刊3頁) (2)東日本キヨスクが、東京、上野両駅のギフトガーデンで、電車缶クッキー「JRトレインくん」2種(写真、各1万個限定)を発売した。「湘南新宿ライン」の運行開始を記念し、同線を走る電車をかたどった缶に、電車の形をしたミニクッキーを詰めた。(朝日新聞 2002年1月9日付 東京版夕刊 7頁) (3)「北斗星(EF?81)」(ミルク味)、「成田エクスプレス(253系)」(チョコレート味)をかたどった「JRトレインくん」の缶=写真手前=に、クッキー各14枚入り600円。各1万缶の限定発売。ほかにサブレの入った山手線、中央線、京浜東北線も。JR東京駅、上野駅の「ギフトガーデン」で販売。問い合わせは東日本キヨスク。(朝日新聞 2001年4月19日付 東京版夕刊 5頁) (4)神戸市交通局は26日から、来年7月に開業する地下鉄海岸線「夢かもめ」の車両と市バスをデザインした菓子缶箱「スウィートボックス」を地下鉄各駅で販売する。………市立王子動物園でのジャイアントパンダ公開を祝い、中にはパンダの顔をかたどったクッキー8個が入っている。缶箱は長さ12・5センチ、幅7センチ、高さ6・5センチ。夢かもめ車両、市バスとも2000個ずつ限定販売。価格は700円。 3 本願商標構成中の「シリーズ」の語と、商品「菓子」との関係についても、例えば、以下の新聞記事が認められる。 (1)「チョコレート特集:主要メーカーの動向=マスターフーズリミテッド」との見出しで「昨年度は、『スニッカーズ〈マイルドクリスプ〉』の好調によるブランドの全体的な底上げと映画『ハリーポッターと秘密の部屋』の大ヒットによる『ハリーポッター魔法のお菓子シリーズ』のヒットで、前年対比二〇%増と伸長した。」(日本食糧新聞 2003年10月31日付) (2)カンロ(東京都中野区)は、新しいヘルシーおやつシリーズ「素材菓子シリーズ」から、「おやつ蒟蒻ブルーベリー」を10月20日から関東地域限定で発売する。(日本食糧新聞 2003年10月20日付) (3)サンクスアンドアソシエイツは、オリジナル菓子シリーズ「いろいろテイスト」の強化に乗り出す。亀田製菓、三河屋製菓、ヤマザキナビスコの菓子メーカー3社と提携して開発した新商品18アイテムを新規に投入、全30アイテムとして9日に販売開始する。価格はすべて80円。(日刊工業新聞 2003年7月9日付 17頁) (4)カネボウフーズ(東京都港区)は、素材菓子シリーズ「枝豆 さやむいちゃいました」と「焼もろこし つぶとっちゃいました」を3月3日から全国発売した。(日本食糧新聞 2003年3月14日付) 4 加えて、商標法3条1項3号に列挙されている商品の特性を記述的に表示する標章を不登録とするのは、これらは通常、当該商品を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であって、何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから、特定人によってその独占を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないと解されるからである(昭和54年4月10日 最高裁第三小法廷 昭和53年(行ツ)第129号判決参照 判例時報927号233頁)。 5 そうとすれば、本願商標は、これに接する取引者・需要者をして、請求人(出願人)のいう一種の造語商標というよりも、容易に「乗り物の形をしたクラッカー」であることを記述的に表したものとして把握・認識されるにすぎないというのが相当である。 6 請求人は、過去の審査例を挙げているが、これとは逆の例も存するところであり(例えば、商標「どうぶつ」、指定商品「菓子、パン」の審決 昭和58年審判第24105号 特許庁ホームページ 特許電子図書館参照)、過去にされた審査例等は具体的、個別的な判断がされているものであって、具体的事案の判断においては、過去の審査例等の一部の判断に拘束されることなく検討されるべきものであるから請求人の主張は採用することができない。 7 してみれば、普通に用いられる方法で「のりものシリーズクラッカー」と表示してなる本願商標は、その指定商品中「乗り物をかたどったクラッカー」など「のりもの」の文字に照応する商品に使用しても、その商品の品質、形状等を表示するにすぎない商標といわなければならない。 また、本願商標を上記に照応する商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものと認められる。 したがって、本願商標を商標法3条1項3号及び同法4条1項16号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-08-30 |
結審通知日 | 2004-08-31 |
審決日 | 2004-09-13 |
出願番号 | 商願2001-33403(T2001-33403) |
審決分類 |
T
1
8・
272-
Z
(Z30)
T 1 8・ 13- Z (Z30) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 池田 佐代子 |
特許庁審判長 |
佐藤 正雄 |
特許庁審判官 |
宮川 久成 山本 良廣 |
商標の称呼 | ノリモノシリーズクラッカー、ノリモノシリーズ、ノリモノ |
代理人 | 山田 恒光 |
代理人 | 大塚 誠一 |