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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Z41 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Z41 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Z41 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Z41 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Z41 |
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管理番号 | 1106438 |
審判番号 | 無効2004-35060 |
総通号数 | 60 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-12-24 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-01-30 |
確定日 | 2004-10-12 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4453210号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4453210号の指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」についての登録を無効とする。 その余の指定役務についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4453210号商標(以下「本件商標」という。)は、「アクアサイズ」の文字を横書きしてなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,運動施設の提供,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,セミナーの企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,当せん金付証票の発売,音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその付属品の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与」を指定役務として、平成11年12月10日登録出願、同13年2月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)アクアサイズ等について アクアサイズ名称のアクアエクササイズ及びその団体日本アクアサイズ協会は、かつて、権利者の一人である小西薫が提唱し、水中運動健康法の一つとして努力されたものであることは否めない。しかし、小西薫は、現在では日本アクアサイズ協会とは何らの関係も有しない者である。 日本アクアサイズ協会は、現在では500人を超す当該協会認定の水中運動指導士が活躍し、その指導を受ける受講者は全国に多く存在している。 そして、本件商標の指定役務中の「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,スポーツ用ビデオの製作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,運動施設の提供,教育研修のための施設の提供,運動具の貸与」は、請求人が代表する日本アクアサイズ協会の業務と直接に関係する役務である。 (2)商標法第4条第1項第7号について 本件商標の権利者が「アクアサイズ」に表されるアクアエクササイズ運動の名称及び協会の略称を保有し独占使用することは公けの秩序を乱すものである。 請求人は、本件商標の商標権者の一人である小西薫より、「アクアサイズ」使用差止めを要求されている(甲第1号証の2)。 アクアサイズ運動は、確かに権利者の一人が研究、開発したエクササイズであっても、現在では多くの青少年、婦人等が参加して水中運動療法を受けているから、商標権を取得したからといって、これを差し止めることは善良な会員を路頭に迷わすことになる。何故、権利者の一人が当運動、当協会を離脱したかは全く民事の問題であるから、商標法で問疑することではない。しかし、例えば、商標登録を受けていないからといって、少年野球や水泳クラブの元主唱者が辞任したから名称まで使用するなと申すのは如何なものか。創業家の社長が退任したからといって、残る会社に名称差止めをすることが許されるであろうか。 名称自体に主催者が貢献したからといっても、すでに名称は広く社会的なものとなっており、個人の手をはなれたものである。商標法は私人の利益よりも公益を第一とするのは世界的な風潮であり、私人が何でも自由に独占することは社会正義にも反するといえる。 (3)商標法第4条第1項第8号について アクササイズは、水中運動療法、水中エクササイズ、スポーツの分野においてエクササイズ名と同時に日本アクアサイズ協会の略称として当業界で著名である。また、請求人は、本件商標の権利者に承諾を与えた事実はない。 「日本アクアサイズ協会」は、単なる社団であっても、立派に団体の名称といえるものである。 (4)商標法第4条第1項第10号について 請求人は、アクアサイズ、日本アクアサイズ協会に関し、未登録ではあるが、スポーツ関係、リハビリテーンョン分野で十分周知された商標である(甲第3号証)。権利者にとっては、他人の業務に係る役務として広く認識されている商標及び類似商標である。当協会受講者(全国)は、数万人、当協会の水中運動指導士(全国)で約500名である(甲第3号証)。 (5)商標法第4条第1項第15号について 前記(4)で述べたとおり、「アクアサイズ」は十分周知されており、かつ、すでに著名となっているから、本件商標に接する関係者は、日本アクアサイズ協会に係る役務であるかのように混同を生じることは明らかである。 (6)商標法第4条第1項第16号について アクアサイズの周知性、著名性からして、本件商標に接する者はあたかも日本アクアサイズ協会に係る役務であるかのように、役務の質について誤認を生ずるおそれがある。 4 被請求人の答弁 被請求人は、請求人の前記3の主張について、何ら答弁するところがない。 5 当審の判断 (1)甲第1号証-1、甲第3号証-1及び甲第3号証-2を総合すれば、以下の事実が認められる。 (a)「日本アクアサイズ協会」は、「アクアサイズ(水中運動)」の啓蒙と普及活動を行うことを目的として平成10年3月に設立された団体であり、上記目的達成のため、アクアサイズ指導者の育成や寝たきり予防運動推進等の事業を行っていること、日本アクアサイズ協会の前身は、「アクアサイズ普及会」として昭和63年に結成され、その代表者が本件商標の権利者の一人である小西薫であったこと、その後、日本アクアサイズ協会の設立に至るまで名称の変遷はあったものの、小西薫は、その会の代表者ないし理事長を努めたこと、請求人は、同15年6月1日現在、日本アクアサイズ協会の会長であること。 (b)日本アクアサイズ協会及びその前身の会(まとめていうときは、以下「日本アクアサイズ協会等」という。)は、「水中運動」を行うことにより、健康な人の体調を維持、増進させるだけでなく、中高齢者の身体機能の回復訓練などに効果があることを提唱し、1997年(平成9年)ころより、その指導員の養成のためのセミナーを行ってきたこと、日本アクアサイズ協会等が行う「水中運動」ないし「水中運動療法」の教授及びセミナーには、「アクアサイズ」の名称が使用され、該「アクアサイズ」は、水泳に関する専門誌のみならず、一般紙にも少なからず取り上げられ、このような掲載記事には、日本アクアサイズ協会等の名称も同時に掲載されたこと、そして、「アクアサイズ」は、造語よりなるものであること。 (2)以上によれば、「アクアサイズ」の表示は、請求人が会長を務める日本アクアサイズ協会が行う水中運動ないし水中運動療法の教授、若しくはその指導員を養成するためのセミナー等について使用され、本件商標の登録出願時には、水泳の教授及びこれに関連する役務に携わる者並びにその需要者の間に広く認識されていたとみるのが相当である。 (3)商標法第4条第1項第10号について 本件商標は、前記したとおり、「アクアサイズ」の文字を書してなり、第41類に属する役務を指定役務とするものである。 そうすると、本件商標は、日本アクアサイズ協会がその提供に係る役務「水中運動ないし水中運動療法の教授、若しくはその指導員を養成するためのセミナー」について使用され、その需要者の間に広く認識されている「アクアサイズ」の表示と同一の文字よりなるものであるから、該表示と外観、称呼を共通にする類似の商標というべきである。 また、本件商標の指定役務中の「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」は、日本アクアサイズ協会の提供に係る役務「水中運動ないし水中運動療法の教授、若しくはその指導員を養成するためのセミナー」と同一又は類似の役務と認められる。 (4)商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第15号及び同第16号について 前記(2)のとおり、「アクアサイズ」の表示が、日本アクアサイズ協会が行う水中運動ないし水中運動療法の教授、若しくはその指導員を養成するためのセミナー等について使用され、本件商標の登録出願時には既に、水泳の教授及びこれに関連する役務に携わる者並びにその需要者の間に広く認識されていたとしても、これが日本アクアサイズ協会の略称を表示するものとして、本件商標の登録出願前より著名であったという事実を立証する証拠の提出はない。 また、「アクアサイズ」の表示が、上記「水中運動ないし水中運動療法の教授、若しくはその指導員を養成するためのセミナー」と同一又は類似の役務の範囲を超えて、需要者の間に広く認識されていたという証拠も見出せないから、本件商標は、これをその指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」以外の役務について使用しても、日本アクアサイズ協会の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。 さらに、本件商標は、前記認定のとおり、造語よりなるものであり、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な文字又は図形からなるものでなく、また、本件商標を指定役務について使用することが社会公共の利益・一般道徳観念・国際信義に反するものとすべき事実は認められず、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認めることはできない。かつ、役務の質について誤認を生じさせるおそれもないものである。 (5)むすび 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、その指定役務中の「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」について、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものといわざるを得ず、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とする。 しかしながら、上記「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」以外の指定役務についての登録は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第15号及び同第16号に違反してされたものではないから、上記に関する請求は成り立たない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-07-21 |
結審通知日 | 2004-07-22 |
審決日 | 2004-08-03 |
出願番号 | 商願平11-113753 |
審決分類 |
T
1
11・
271-
ZC
(Z41)
T 1 11・ 222- ZC (Z41) T 1 11・ 22- ZC (Z41) T 1 11・ 25- ZC (Z41) T 1 11・ 23- ZC (Z41) |
最終処分 | 一部成立 |
特許庁審判長 |
茂木 静代 |
特許庁審判官 |
内山 進 津金 純子 |
登録日 | 2001-02-16 |
登録番号 | 商標登録第4453210号(T4453210) |
商標の称呼 | アクアサイズ |
代理人 | 須山 佐一 |
代理人 | 川津 義人 |