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審決分類 審判 一部無効 称呼類似 無効としない Z03
審判 一部無効 観念類似 無効としない Z03
管理番号 1103318 
審判番号 無効2003-35352 
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-10-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-08-26 
確定日 2004-08-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第4576551号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4576551号商標(以下「本件商標」という。)は、平成13年6月18日に登録出願され、「シルバーパール」の文字と「ソフィーナ」の文字を上下2段に横書きしてなり、第3類「せつけん類、香料類、化粧品、歯磨き」を指定商品として、平成14年6月14日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用する商標
請求人は本件商標の登録の無効理由に以下の2件の登録商標を引用した。
(1)登録第421554号商標(以下「引用商標1」という。)は、昭和26年9月22日に登録出願され、「パールシルバー」の文字を横書きしてなり、第3類「香料及び他類に属しない化粧品」を指定商品として、昭和28年2月23日に設定登録された。
(2)登録第393134号商標(以下「引用商標2」という。)は、昭和24年11月19日に登録出願され、「パール」の文字を縦書きしてなり、第3類「香料及び他類に属しない化粧品」を指定商品として、昭和25年10月24日に設定登録された。その後、指定商品については、平成12年6月27日にした書換登録申請により、第3類「化粧品(化粧用染料・化粧用顔料・染毛剤を除く。)、香料類(薫料・香精・天然じゃ香・芳香油を除く。)、吸香、におし袋」及び第30類「食品香料(香精のもの・精油のものを除く。)」として平成12年9月20日に書換登録された。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中の「香料類、化粧品」の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第7号証を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とされるべきものである。
1 本件商標と引用商標との類否
(1)本件商標は、外観については、「シルバーパール」の片仮名文字7文字を上段に、その文字列より少し小さな「ソフィーナ」の片仮名文字5文字を上段の文字列よりも2行分程度離して下段にそれぞれ配し横書きしてなることから、需要者又は取引者において上下段の各文字列を容易に各々分離して認識することができるものである。また、観念については、本件商標の上下2段全体から特段の観念を生じるとは認識されないものと考えられる。さらに、称呼については、「シルバーパールソフィーナ」と一連に称呼した場合には全体の音数が12音とかなり冗長であり、また特段の観念を生じないことから「シルバーパールソフィーナ」と一連に称呼する特段の事情も存在しないものと考えられ、さらに本件商標が前述のような外観構成であることを考慮すると、少なくとも本件商標からは「シルバーパール」と「ソフィーナ」との2つの称呼が生じると考えるのが自然である。
以上の外観、観念及び称呼についてみると、本件商標は「シルバーパール」及び「ソフィーナ」の各文字列部分が各々独立して自他商品識別標識として機能するものと考えられる。
本件商標の「シルバーパール」については、「銀色」との意味合いを有する英単語として非常によく親しまれた「silver」の表音である「シルバー」と、「真珠」との意味合いを有する英単語として非常によく親しまれた「pearl」の表音である「パール」とを結合させてなる結合商標であり、これに接した需要者又は取引者をして容易に「銀色の真珠であること」という意味合いを認識させるものである。
一方、同「ソフイーナ」については、これに接した需要者又は取引者をして特段の観念を認識させ得ない造語と考えられる。
(2)引用商標1について
引用商標1は、「パールシルバ一」の片仮名文字を横書きしてなる外観上の構成を有しており、「パールシルバー」との称呼を生じる。また、「パールシルバー」は、「真珠」との意味合いを有する英単語として非常によく親しまれた英単語「Pearl」の表音である「パール」と、「銀色」との意味合いを有する英単語として非常によく親しまれた英単語「silver」の表音である「シルバー」とを結合させてなる結合商標であり、これに接した需要者又は取引者をして容易に「真珠が銀色であること」という意味合いを認識させるものである。
(3)本件商標と引用商標1との類否について
本件商標の「シルバーパール」と引用商標1「パールシルバー」とは、「銀色」との意味合いを有する英単語として非常に親しまれている「silver」の表音である「シルバー」と、「真珠」との意味合いを有する英単語として非常に親しまれている「Pearl」の表音である「パール」の各文字を組み合わせてなるものであり、前者が「シルバー」の語の後に「パール」の語が配されているのに対し、後者が「シルバー」の語の前に「パール」の語が配されているもので、両商標は「シルバー」の語と「パール」の語とが単に入れ替わったにすぎないものである。
両商標に接する需要者又は取引者がこれらをその時と場所を異にして見聞きした場合、前述のように「シルバー」及び「パール」のいずれの語も非常に親しまれた語であることから、これらの語が前後入れ替わった場合でも「銀色の真珠であること」又は「真珠が銀色であること」という同じような意味合いであるかのように認識され、また称呼上も「シルバー」と「パール」の語がいずれも特段強く印象付けられる語でないことから「シルバーパール」と「パールシルバー」とを明確に識別することができないものといえる。
以上のとおり、本件商標と引用商標1とは、その観念及び称呼において相紛らわしく類似するものである。
したがって、本件商標は、その要部において引用商標1に類似しており、全体観察上も引用商標1に類似している。
(4)引用商標2について
引用商標2は、「パール」の片仮名文字を縦書きしてなる外観上の構成を有しており、これからは「パール」との称呼を生じ、また、「パール」は「真珠」との意味合いを有する英単語として非常によく親しまれた英単語「Pearl」の表音である。
(5)本件商標と引用商標2との類否について
本件商標は引用商標2と類似する。
本件商標の「シルバーパール」は、片仮名文字7文字を横書きしてなる外観上の構成を有している。しかし、同「シルバーパール」における「シルバー」部分は、「銀色」との意味合いを有する英単語として非常によく親しまれた「silver」の表音であり、本件商標における無効審判請求の対象である指定商品「香料類 化粧品」との関係では単にその商品の色合いの一種を直接的具体的に示すにすぎず、自他商品識別力に乏しい部分である。
このことは、指定商品「香料類 化粧品」との関係で、引用商標1「パールシルバー」及び請求人所有の「ホワイトパール」(甲第5号証)、「パールカラー/Pearl Colour」(甲第6号証)、「ニューパール/NEWPEARL」(甲第7号証)が類似するとして、平成8年の商標法改正前に存在した連合商標制度の下において連合商標登録されている事実が存在したことからも明らかである(甲第4号証参照)。
したがって、本件商標の「シルバーパール」における自他商品識別標識として機能する部分は「パール」部分である。
以上のことから、本件商標の「シルバーパール」の要部は「パール」部分であり、この要部について引用商標2との類否をみると、両商標からは「パール」という同一の称呼が生じることから両商標は類似する。
したがって、本件商標は、引用商標2と類似しているものである。
2 弁駁の理由
(1)本件商標と引用商標との類否について
被請求人は、本件商標中の「シルバーパール」と引用商標1「パールシルバー」との観念が異なると主張しているが、請求人も「シルバーパール」からは「銀色の真珠であること」という意味合いが、一方「パールシルバー」からは「真珠が銀色であること」という意味合い、或いは被請求人のいう「真珠のような銀色」の観念が各々生じ、厳密には「シルバーパール」及び「パールシルバー」からは異なる観念が生じるものであることも承知している。
しかし、両者は、上記のような異なった観念が生じたとしても、時と場所を異にして接した場合、迅速な商取引を尊ぶ商行為の場においてはその観念が熟考されることなく直感的に商標を把握する場合も多いことから、両者が同じような意味合いであるかのように混同する蓋然性が極めて高いものと確信している。
なお、被請求人が引用する、平成11年審判第8028号の審決例は、請求人の主張内容からみても妥当ではなく、しかも事実関係を異にしており、これに該当しない場合に本件商標中の「シルバーパール」と引用商標1とが類似でないと判断されるべきであるという根拠とはなりえない。
(2)色彩としての表示について
被請求人は、答弁書中において「シルバーパール」が「化粧品」について色彩又は品質表示に使用されている例があることを述べている。
しかし、「シルバーパール」からは「銀色の真珠」との観念が生じ、この観念は特定の色彩を表すものではないことから「シルバーパール色」であればともかく色彩表示としては使用されるものではない。被請求人の示す乙第6号証以下ではむしろ「化粧品」において「銀色の真珠」のような煌きを持たせるために用いられる成分表示として使用される例がいくつかある。
一方、被請求人は本件商標中の「シルバーパール」が「ソフィーナ」のサブネームとしての使用も考えられ自他商品識別標識として機能することがあることを被請求人も自認している。
このように「シルバーパール」が自他商品識別標識として機能する場合があるとの認識を被請求人自身が有していることからすると、例え成分表示としての使用例があるとしても、その事実をもって本件商標中の「シルバーパール」が引用商標1及び同2との類否判断の対象にならないとは言えない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標中の「シルバーパール」は、少なくとも引用商標1又は引用商標2のいずれかに全体観察上類似するものであり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当することが明らかである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第23号証を提出した。
請求人は、本件商標は、引用商標に類似する商標であって、その指定商品も同一又は類似の商品について使用するものであると主張している。
しかしながら、本件商標は、引用商標に類似しないものである。
1 本件商標と引用商標との比較
本件商標は上述の構成からなるので、その表示方法において、「シルバーパール」と「ソフィーナ」が常に一体不可分ではなく、それぞれより個々に観察されることがあることは認める。
したがって、以下、本件商標の構成中「シルバーパール」を引用商標との比較の対象とする。
(1)引用商標1との比較
外観について
本件商標と引用商標1とは、一見して明らかなとおり、商標に表した文字群における外観が相違するので、互いに非類似の商標である。
観念について
請求人は、本件商標の「シルバーパール」は「銀色の真珠」の意味合いを有し、引用商標1の「パールシルバー」は「真珠は銀色」の意味合いを有するから、観念が類似すると述べている。たしかに、英単語の語意を一つ一つ詮索して意味合いを抽出すればかかる意味合いが生じないこともないが、仮にそうであっても「銀色の真珠」と「真珠は銀色」とでは全く観念が異なる。
「銀色の真珠」は、たとえば「黒色の真珠」に対してのものであるのに比し、「真珠は銀色」というのは真珠に他の色彩のものもあることを考えると、この表現自体が誤りであるから、「真珠は銀色」はせいぜい「真珠は普通は銀色ですよ」という意味合い程度となり、両者の意味合いは明かに異なる。
そればかりか、「パールシルバー」からは、どちらかというと「真珠のような銀色」という意味合いを生ぜしめる方が自然である。
そうすると「銀色の真珠」と「真珠のような銀色」とでは、尚一層観念の相違は明かである。
「シルバーパール」が「銀色の真珠」であり、「パールシルバー」が「真珠のような銀色」であることと同じ表現は、たとえば「ブルースカイ」といえば「青い空」、「スカイブルー」といえば「空のような青さ(空色)」を意味するのと同じである。
また、本件商標の構成中「シルバーパール」と引用商標1の「パールシルバー」は、外見上は「シルバー」と「パール」とが倒置の関係にあるが、上述したように「シルバーパール」と「パールシルバー」とは、その意味合いが異なる。そして、倒置の結果意味合いの異なる関係は、類似とされない。類似とされるのは、倒置の結果においてもその意味合いを同じくする場合である。
このことは、請求人が本件商標に対して、登録異議の申立てをした際に、審決を引用して、「構成2語の配列において先後の違いはあるにしても、その相違により両者が一連の熟語的意味合いの語として別異の観念を生じさせる事情はなく、また、これに接する取引者、需要者が2語の配列を常に正確に記憶に留め、それぞれを明確に峻別し得るというよりは、むしろ、その先後に関わりなく、構成2語並びにその全体の意味合いをもって強く印象付けられる」(平成11年審判第8028号)場合は類似とされると述べていることからも明かである。
してみると、本件商標の構成中「シルバーパール」と引用商標1の「パールシルバー」とは意義を同一とすることなく、その意義も相紛らわしくないこと明かであるから、両商標は観念においては互いに非類似の商標である。
称呼について
本件商標の構成中「シルバーパール」からは「シルバーパール」の称呼を、引用商標1からは「パールシルバー」の称呼をそれぞれ生ずるのを自然とするものであり、その称呼が「シルバー」と「パール」の音が前後に逆転する倒置の関係にあったとしても、いずれも一連不可分に称呼の容易な音構成であるから、互いに相紛れることはない。
しかも、前述したように「シルバーパール」と「パールシルバー」は、明確に相違する語意を有する。
したがって、その語意はきわめて容易に脳裏にきざむことができるから、かかる語意と相俟って、聴者はこれを誤聴しない。
してみると、「シルバーパール」と「パールシルバー」の称呼において、両商標は非類似の商標である。
上述のように、本件商標と引用商標1とは、外観、観念、称呼のいずれにおいても類似しないことが明らかな互いに非類似の商標である。
(2)引用商標2との比較
外観について
本件商標と引用商標2とは、一見して明らかなとおり、商標を表した文字群における外観形象が相違するので、互いに非類似の商標である。
観念について
本件商標は、先に「シルバーパール」の項で述べたように「銀色の真珠」を意味する。一方、引用商標2は単純に「真珠」の意味合しか有さない。「銀色の真珠」は例えば「黒色の真珠」と区別されている。
いわば「銀色の真珠」も「黒色の真珠」も「真珠」とは下位概念と上位概念の関係を有し、このような関係にある場合は、意義が同一とはいわない。
また、本件商標の「シルバーパール」の「シルバー」は決して商品の色彩ではなく、これまで述べてきたように、たとえば「黒色の真珠」とを区別するための語である。
請求人は幾つかの色彩と思われる語と「パール」との結合商標を引用して、これらが引用商標2と連合商標として登録されていると述べているが、それは自らが「パール」のみを自他商品識別標識として理解し、色彩表示部分を商品の色彩を表すものとして理解していたからにすぎず、本件商標のように一の語意を有するとは理解しなかったことによるものと思われる。
したがって、本件商標は「シルバーパール」のみの観念を有する。
これまでの特許庁の審査をみても、「ローズパール」(登録第1094748号)、メタリックパール/METALICPEARL(登録第4136326号)、ブルーパール/BLUEPEARL(登録第4226863号)、チャコールパール(登録第4642666号)(乙第1号証ないし乙第4号証)のように「パール」と色彩とを結合した商標の場合であってさえも引用商標2とは非類似のものとして登録されている。
してみると、本件商標の構成中の「シルバーパール」は、引用商標2とは観念において非類似の商標である。
称呼について
本件商標の構成中「シルバーパール」からは「シルバーパール」の称呼を、引用商標2からは「パール」の称呼を生ずるのを自然とするものであり、両称呼は、明らかな音数の相違からこれを誤聴することはあり得ない。
ところが、請求人は本件商標の構成中「シルバーパール」から「パール」の称呼も生ずるという。しかしながら、観念において「シルバーパール」から「シルバー」を除外して「パール」と対比することの相当性のないことから、称呼においても「シルバー」を除外して「パール」と称呼する必然性はない。そればかりか、本件商標は、同書同大同間隔をもって一連不可分に書記されてなるものであり、このような構成の商標は、全体として結合度が強く、一連に称呼されるのが自然である。
してみると、「シルバーパール」と「パール」の称呼において、両商標は非類似の商標である。
上述のように、本件商標と引用商標2とは、外観、観念、称呼のいずれにおいても類似しないこと明らかな互いに非類似の商標である。
(3)色彩としての表示
本件商標の構成中「シルバーパール」は「銀色の真珠」との観念の他に、しばしば全体として商品の色彩としても使用される。
ここに提出する乙第5号証は、社団法人日本流行色協会発行書籍の「JAFCA.BASIC COLOR CODE(JBCC)」であるが、ここに色彩名としての「Silver Pearl シルバーパール」の記載がある。
さらに提出する乙第6号証以下は、インターネットからのコピーであるが、ここには、いずれも「シルバーパール」が色彩ないしは品質として化粧品に使用されている事実が掲載されている。
このように、本件商標の構成中「シルバーパール」は、本件商標の全体構成のように「ソフイーナ」をカサブランドとし、そのサブネームとしての使用のされ方、また、商品の色彩表示としての使用のされ方もあるのである。
したがって、世人は「シルバーパール」は「シルバーパール」としてのみ理解し、「パールシルバー」と称呼したり、観念することはあり得ず、また、「シルバーパール」中より「シルバー」を除外して「パール」と観念したり、「パール」と称呼したりすることはないのである。
したがって、かかる意味合いからしても、本件商標は引用商標1及び2のいずれにも類似しないということができる。
なお、色彩として使用される場合においては.その使用は、自他商品識別標識しての機能を有さないことになるから、自他商品識別標識としての類否の判断には馴染まない。
2 まとめ
叙上のとおり、本件商標は、引用商標1及び2のいずれにも、外観、観念及び称呼において類似しないものであるから、たとえ指定商品に抵触するものがあったとしても、この種商品の取引者、需要者は、両者を截然と区別することができるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効とすべきであるとする請求人の主張は排斥すべきものである。

第4 当審の判断
1 本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1の構成は、それぞれ前記したとおりであるところ、本件商標は、上下二段に表された「シルバーパール」と「ソフィーナ」の各文字は視覚的に分離され、また、語義的にも関連性がなく、それぞれが独立して商標としての識別力を有すると認められるものであるから、請求人と被請求人との間で争点となっている、本件商標の上段に書された「シルバーパール」と引用商標1の「パールシルバー」との類否について検討する。
両商標は、共に特定の親しまれた意味合いを表現した熟語的な語義を有するに至ったとは認められない一種の造語を表してなるといえるものであり、それぞれの構成文字は一連一体のものとしてまとまりよく表されているので、その文字に相応して、本件商標は「シルバーパール」、引用商標1は「パールシルバー」の各称呼を生ずることは明らかである。
そこで、本件商標より生ずる「シルバーパール」と引用商標1より生ずる「パールシルバー」の両称呼を比較すると、両称呼は、「シルバー」と「パール」の音が前後に入れ替わっているものではあるが、どちらもさ程複雑な音(語)の入れ替わりとは認められないものであるから、両者の構成音の上記の差異よりすれば、両称呼をそれぞれ一連に称呼しても、互いに相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
また、観念については、両商標は、一種の造語と看取し得るものであるから、相紛れるおそれのないものというべきであり、さらに、外観については、前記したとおり十分に区別し得る差異を有するものと認められる。他に、両商標を類似とすべき点は見当たらない。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても類似する商標ということはできない。
2 本件商標と引用商標2との類否について
同じく、請求人と被請求人との間で争点となっている、本件商標の上段に書された「シルバーパール」と引用商標2の「パール」との類否について検討する。
本件商標は、前項1で認定したとおり特定の意味合いを表現した熟語的な語義を有するに至ったとは認められない一種の造語を表してなるとみるのが相当であり、たとえ「シルバー」の文字(語)がときに色(真珠のような色彩)を表現するときに用いられることがあるとしても、一連に簡潔に表された本件商標のかかる構成においては、その構成文字に相応して、「シルバーパール」とのみ不可分一体に称呼されるものと判断するのが相当である。
しかして、本件商標より生ずる「シルバーパール」と引用商標より生ずる「パール」の両称呼は、音構成、構成音数において顕著な差異を有するものであるから、明らかに聴別し得るものである。
他に、本件商標と引用商標2について、類似とすべき点は見当たらない。
してみれば、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても類似する商標ということはできない。
3 むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その指定商品中「香料類、化粧品」についての登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-06-29 
結審通知日 2004-07-01 
審決日 2004-07-20 
出願番号 商願2001-55090(T2001-55090) 
審決分類 T 1 12・ 262- Y (Z03)
T 1 12・ 263- Y (Z03)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 小川 有三
富田 領一郎
登録日 2002-06-14 
登録番号 商標登録第4576551号(T4576551) 
商標の称呼 シルバーパールソフィーナ、シルバーパール、ソフィーナ 
代理人 小谷 悦司 
代理人 植木 久一 
代理人 宇野 晴海 

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