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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200589032 審決 商標
無効200489069 審決 商標
無効200135424 審決 商標
無効200135265 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効 商8条先願 無効としない Z16
管理番号 1103315 
審判番号 無効2003-35425 
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-10-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-10-08 
確定日 2004-09-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第4615734号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4615734号商標(以下「本件商標」という。)は、「せんだい自遊人クラブ」の文字を横書きしてなり、平成13年11月21日に登録出願、第16類「雑誌,新聞」を指定商品として、同14年10月25日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4685253号商標(以下「引用商標」という。)は、「自遊人」の漢字を標準文字により書してなり、平成13年10月22日に登録出願、第16類「雑誌・書籍その他の印刷物」を指定商品として、同15年6月20日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番を含む。)を提出している。
1.請求の理由
(1)先後願について
引用商標は、平成13年10月22日に出願され、平成15年6月20日に設定登録されたものであるのに対し、本件商標は、平成13年11月21日に出願され、平成14年10月25日に設定登録されているものであるから、引用商標は先願となり、本件商標は後願となる。
(2)商標の類似について
本件商標は、ひらがなと漢字及びカタカナの組み合わせにより「せんだい自遊人クラブ」と構成されているから、それぞれの構成により「せんだい」部、「自遊人」部、「クラブ」部と、それぞれ分離して認識される。
本件商標の構成のうち「せんだい」部は、その称呼から、宮城県の県庁所在地である「仙台」を想起させると考えるのが自然である。
甲第3号証で示したインターネット上の検索結果では、「せんだい」をキーワードにした検索結果の上位サイト中7割以上が「仙台」を意味しており、この事実からも「せんだい」と「仙台」との強い関連性が認められる。
また、「自遊人」なる語句は、辞書、事典等には扱われていない、造語であるから、「せんだい自遊人クラブ」の語句の中では、ひときわ強い印象を与える部分であって、識別標識としての機能を非常に強く有する部分だといえる。
さらに、「クラブ」部は「政治、社交、娯楽、あるいは学校の課外活動で、共通の目的によって集まった人々の団体。またはその集合所」としての意味を有している(広辞苑第五版:岩波書店)。したがって、「クラブ」部には、基本的には、単にこれにかかる語句の「集合体」を示しているに過ぎず、識別標識としての機能は弱い。
以上のように、本件商標の「せんだい」部は単に地名を、「クラブ」部は単に集まりであることを、それぞれ示している形容詞的語句であるから、商標としての識別標識機能を強力に発揮させる部分は造語である「自遊人」部にある。
一方、引用商標は「自遊人」の漢字3字のみからなっている。「自遊人」とは、前に述べたように、造語であり、一体で非常に強い識別力を有する語句である。「自遊人」の外観からは、「自由に遊ぶ人」「自ら遊ぶ人」等、漢字を組み合わせた造語ならではの幅広いイメージを喚起させる。
よって、本件商標において強力に識別標識機能を発揮している要部となる「自遊人」部は、引用商標と同一である。
したがって、本件商標の「せんだい自遊人クラブ」と、引用商標「自遊人」とは、識別性のきわめて強い要部が同一である。また、本件商標におけるその他の部分は識別性が弱いことから、本件商標と引用商標は、要部を共通とし、類似の観念を想起させる、観念類似である。
(3)商品の類似について
本件商標の指定商品は、第16類「雑誌、新聞」であるのに対して、引用商標の指定商品は、第16類「雑誌・書籍その他の印刷物」であるから、両者は類似である。
(4)使用の状況について
甲第5号証の1及び2に示すように、引用商標の所有者が発行している雑誌「自遊人」は、旅行や食に関連するテーマを中心に行っている。当初季刊年4回発行であったが発行数の好調な伸びにより、平成14年5月より隔月年6回発行となった。現在発行部数約20万部で、一定層の読者から強い支持を得ている。
また、甲第4号証の1で挙げた商願2002-098431、甲第4号証の3で挙げた商願2002-098430の出願人である株式会社自遊人倶楽部は、雑誌「自遊人」のタイアップ活動の母体として、株式会社カラツトが100%出資して設立したものである。
株式会社自遊人倶楽部は、印刷物及びその他のメディアにおいて、雑誌「自遊人」で紹介された商品の紹介及び販売を担っている。雑誌「自遊人」のコンセプトに合致した、厳選された商品のみを取り扱うものであり、雑誌「自遊人」がこれまで蓄積したグッドウィルを体現している。
これらの使用状況から、被請求人が本件商標をその指定商品に使用する限り「宮城県仙台市における『自遊人』の集い」という雑誌及び新聞の観念のみならず、「宮城県仙台市における、雑誌『自遊人』を愛好する人々の集まり」との観念が想起されるので、この意味からも本件商標「せんだい自遊人クラブ」と引用商標「自遊人」とは類似するものである。
(5)むすび
上述したとおり、本件商標は、類似となる先願の引用商標の存在により、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号によって無効とされるべきである。
2.答弁に対する弁駁
(1)商標の認識について
(イ)指定商品分野における地名の使用状況
甲第7号証ないし甲第9号証は、書店等において一般に流通している雑誌が、インターネット上に主宰するwebサイトの画面印刷物である。「TOKYO1週間」という名称の雑誌の関西版は「KANSAI1週間」、また「TokyoWalker」という名称の雑誌の関西版は「KansaiWalker」、横浜版は「YokohamaWalker」、「じゃらん」という名称の雑誌の東北版は「東北じゃらん」、東海版は「東海じゃらん」というように、名称の要部となる語句に地名を表す語句を付加して、発刊されている。内容を地域毎に編集した雑誌を発行し、その地域を名称に付加することで、需要者及び取引者の便宜をはかっているのである。例えば「東北じゃらん」は「主に東北地方について書かれている『じゃらん』」として、「東海じゃらん」は「主に東海地方について書かれている『じゃらん』」として、それぞれ認識される。
つまり、雑誌の分野において「地名」は、各雑誌の内容を表示したものとして一般に認識、理解されている。
(ロ)指定商品分野における「Club」「倶楽部」の使用状況
甲第10号証、甲第11号証は、雑誌「オブラ」に「オブラ倶楽部」、雑誌「SevenSeas」に「SevenSeasClub」というように、雑誌の名称自身と、雑誌の名称に「倶楽部」あるいは「Club」と付加した語句との関連性を示すものである。「オブラ倶楽部」は、雑誌「オブラ」の中にある読者の投稿欄、「SevenSeasClub」は、雑誌「SevenSeas」の読者が参加できる様々なイベント等を告知するページである。
これらは、雑誌の名称に「倶楽部」あるいは「Club」と付加した語句を用いることで、愛読者に向けて雑誌自体を強くアピールしていることを示している。「Club」「倶楽部」という語句が元々「共通の目的によって集まった人々」という意味を有することからも、各雑誌が「雑誌名+倶楽部」「雑誌名+Club」という場を設けることで愛読者ヘアピールするのは、至極当然のことであり、これは「クラブ」とカナ書きされた場合も同様の効果があるものと考えられる。
つまり、取引者や需要者にとっては、例え雑誌の名称と同書同大一連に書かれていたとしても、雑誌の名称に「クラブ」を付加した場合、中心となるのは雑誌の名称部分であり、「クラブ」部はその雑誌自体の愛読者に向けて何らかの働きかけをしていることを示す補助的な語句として、認識、理解されているといえる。
(ハ)本件商標と引用商標の要部について
上述のとおり、雑誌の分野において「地名」や「クラブ」は自他識別力の強い語句としては認められず、むしろ、それ以外の名称の要部部分に付加して使用されるケースが一般的である。
一方「自遊人」は辞書等に載っていない造語である。通常「ジユウジン」の称呼は「自由人」との表記を想起させる。被請求人でさえ、その答弁書において「せんだい自由人クラブ」と記載間違いするほどである。つまり「自遊人」とは、それほどまでに「ジユウジン」の称呼から連想される表記と異なる、特徴のある語句だといえる。
つまり「地名」や「クラブ」は、雑誌の名称の要部とは考えられず、本件商標「せんだい自遊人クラブ」においても、特徴のある「自遊人」が要部となっていることは明らかであり、「地名」や「クラブ」を省略して「ジユウジン」と称呼される可能性を否定できない。
(2)本件商標と引用商標との類似について
上述のとおり、雑誌の分野においては、地名が名称の要部を補完して地域毎に制作されることや、「クラブ」が雑誌の名称の要部と組み合わされて展開されることは、取引者・需要者に共通する認識として広く浸透している。指定商品「雑誌、新聞」の分野において「地名」や「クラブ」が、取引者・需要者の心理には識別力のある語句として認識されていないことは明らかである。つまり、本件商標「せんだい自遊人クラブ」の要部は、「自遊人」であって、引用商標「自遊人」と同一であるから、本件商標と引用商標は類似する。
また、要部が同一であるがために、書店等の取扱の場において、取扱者及び需要者が「せんだい自遊人クラブ」を略称として「自遊人」と称呼する可能性は非常に高く、両商標は誤認混同を生じることになる。このように、取引の実状を考慮しても両商標は類似である。
以上のように、実際の状況に照らしあわせても、地名である「せんだい」、造語である自他識別力の強い「自遊人」、集まりを意味する「クラブ」、の結合である「せんだい自遊人クラブ」は、「せんだい自遊人クラブ」として一体不可分と認識し把握されるものとは認められず、それぞれの語句を結合しなければならない必然性を有しないものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出している。
1.答弁の理由
(1)先後願について
請求人主張の本件商標の出願日登録日、引用商標の出願日、登録日は認める。しかし、商標法第8条第1項の規定に該当するものではない。
(2)商品の類似について
本件商標の指定商品は、第16類「雑誌、新聞」であるのに対して、引用商標の指定商品は、第16類「雑誌・書籍その他の印刷物」であるから、両者の指定商品は類似である点は認める。
(3)商標の類似について
本件商標は、同書、同大、一連のものとして認識され、分離すべき特段の根拠はなく、一連に「センダイジユウジンクラブ」と認識される。
「せんだい自遊人クラブ」のうち、「せんだい」部を仮に宮城県の県庁所在地である「仙台」を想起させるとしても、この理由によって、本件商標の指定商品との関係で、そのうち、「せんだい」を分離して観察しなければならないという特段の理由に当たらない。
また、請求人は、甲第2号証に示すように、本件商標の所有者である株式会社仙台経済界は、宮城県仙台市をテーマにした雑誌「仙台経済界」を発行しており、「せんだい自遊人クラブ」は、雑誌「仙台経済界」のコーナーの一つとなっていること、甲第3号証で示したインターネット上の検索結果では、「せんだい」をキーワードにした検索結果の上位サイト中7割以上が「仙台」を意味しており、この事実からも「せんだい」と「仙台」との強い関連性が認められる、と主張するが、この部分に関する立証が不充分であり、上記同様の理由によって本件商標を分離観察しなければならない特段の理由はない。単にインターネット検索によることの結果事実をもって、分離観察をしなければならないとされる理由はない。
請求人は、「自遊人」と「クラブ」との関連において、前者及び後者の意味を披瀝し、後者は識別機能がないか又は弱いと主張する。しかし、本件商標は上記主張のとおり、同書同大一連のものであり、「自遊人」と「クラブ」を分離しなければならない理由はない。クラブの意味合いが請求人主張の通りであったとしても、本件商標と引用商標と類似判断において、「クラブ」部が常に識別力を有しないというのは、独自の見解である。
引用商標は「ジユウジン」以外の称呼を生じない。他方、本件商標は「センダイジユウジンクラブ」と一連に称呼される以上、要部が同一又は類似とされる根拠はない。
(4)商標の類似について
商標は商品又は役務の識別標識であるから、1個の商標は文字・図形・記号・色彩等が組み合わされたものである場合においても全体としては識別標識として一体をなすものであり、商標類否の判断は対象を全体的に観察した上でなされるべきであって、これを前提とせずにその構成要素の各部分のみを摘出比較するのみでは足りない。特に本件商標は「自遊人」の部分を特に強調したわけでもなく、色彩を施して需要者をして特に印象づけたもの、又は付加するような態様で表記していないから、本件商標の要部は「センダイジユウジンクラブ」であり、引用商標「ジユウジン」とは類似するものとすることはできない。
また、引用商標が著名商標であることを立証していないので、類似判断に際し、「ジユウジン」に、格別に強い識別力が付与されているものともいえない。

第5 当審の判断
本件審判請求は、請求人がその無効理由とするところは、大旨、本件商標の登録出願が引用商標の登録出願より後の登録出願に係り、本件商標と引用商標の指定商品は同一又は類似のものであり、かつ、本件商標「せんだい自遊人クラブ」の要部は、「自遊人」であって、引用商標「自遊人」と同一であるから、両商標は類似する、として本件商標は商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであると主張しているのに対し、被請求人は、大旨、先後願に係る点、及び両者の指定商品が同一又は類似のものであるとの点は認め、しかし、本件商標は、同書、同大、一連のものとして認識され、分離すべき特段の根拠はなく、一連に「センダイジユウジンクラブ」と認識されるから、引用商標とは非類似のものである、と答弁している。
してみると、本件審判請求の無効理由における両当事者の争点は、本件商標「せんだい自遊人クラブ」の構成中「自遊人」の文字部分が分離、抽出されて、独立した取引指称として認識されるか否かにあるといえるから、この点について判断する。
1.本件商標について
本件商標は、上記のとおり「せんだい自遊人クラブ」の文字を同じ大きさで等間隔に一連に横書きしてなるところ、構成文字がひらがなと漢字及びカタカナの組み合わせによりなり、その字種に違いがあるとしても、これが視覚上、格別に構成各文字間に軽重、主従の差がある構成態様になるものといい難いから、本件商標のかかる構成は、外観上まとまりよく一体的に看取し得るものである。また、本件商標の構成文字に相応して生ずる「センダイジユウジンクラブ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものといえる。
そして、本件商標の構成中「せんだい」を「仙台(宮城県仙台市)」と理解し、「自遊人」を「自由」の読みに掛け洒落たものとして捉えれば「自由に遊ぶ人」の意味合いを想起することができ、及び「クラブ」は「政治、社交、娯楽、あるいは学校の課外活動で、共通の目的によって集まった人々の団体。またはその集合所」としての意味を有するから、本件商標は、その「せんだい自遊人クラブ」の構成文字全体をもって、抽象的になるといえ「仙台の自由に遊ぶ人の集まり(団体)」程の観念を生ずるものとみて差し支えないものである。
そうすると、「せんだい自遊人クラブ」の文字により構成される本件商標は、構成文字全体を一連一体に看取し得るというべき外観、「仙台の自由に遊ぶ人の集まり(団体)」程の観念、及びその構成文字に相応して生ずる「センダイジユウジンクラブ」の称呼をもって、一体不可分の造語よりなるものと認識し把握される固有の商標とみるのが相当である。
2.請求人の本件商標に対する主張について
(1)構成文字間における分離
請求人は、本件商標はその構成文字における字種の違いにより、それぞれ分離して認識され、「せんだい」の文字は単に地名を、「クラブ」の文字は単に集まりであることを示す形容詞的語句であるから、商標としての識別標識機能を強力に発揮させる部分は造語である「自遊人」の文字にある旨述べている。しかし、上記1.で認定したとおり、本件商標は、構成文字全体をもって、一体不可分の造語よりなる固有の商標とみるのが相当であって、構成中の「自遊人」の文字自体を捉えれば「自由に遊ぶ人」の意味合いを想起する造語であること以上に、これを分離ないし抽出して、独立した識別標識として認識しなければならない格別の事情とはいえない。
(2)指定商品分野の地名ないし「Club」「倶楽部」の使用状況
請求人は、一般に流通している雑誌がインターネット上で主宰するwebサイト情報によれば(甲第7号証ないし甲第9号証)、「TOKYO1週間」という名称の雑誌の関西版は「KANSAI1週間」、また「TokyoWalker」という名称の雑誌の関西版は「KansaiWalker」、横浜版は「YokohamaWalker」、「じゃらん」という名称の雑誌の東北版は「東北じゃらん」、東海版は「東海じゃらん」というように、内容を地域毎に編集した雑誌を発行し、その地域を名称に付加することで、需要者及び取引者の便宜をはかっており、雑誌の分野において「地名」は、各雑誌の内容を表示したものとして一般に認識、理解されている。また、雑誌「オブラ」中に「オブラ倶楽部」とする読者の投稿欄、雑誌「SevenSeas」に「SevenSeasClub」とする読者が参加できる様々なイベント等を告知するページがある(甲第10号証、甲第11号証)ことを挙げて、つまり「地名」や「クラブ」は、雑誌の名称の要部とは考えられず、本件商標「せんだい自遊人クラブ」においても、特徴のある「自遊人」が要部となっていることは明らかであり、「地名」や「クラブ」を省略して「ジユウジン」と称呼される可能性を否定できない旨主張する。
確かに、近時、タウン(都市情報)誌と称する一定の都市・地域の催し物や生活・文化に関する情報を盛り込んだ雑誌(広辞苑第五版)が多種にわたり出版されていること、また、請求人の提出に係るwebサイト情報(甲第7号証ないし甲第9号証)の如く、同一出版社の発行になるところのいわゆるタウン誌が存すことは認められるし、この場合の都市・地域名称は雑誌の主たる編集内容(当該都市・地域の催し物や生活等に関する情報)を表示するものとして需要者等に認識させ、商品選択の際における重要な要因であるといえる。してみると、本件商標をその指定商品「雑誌,新聞」中のいわゆる「タウン(都市情報)誌」に使用する場合を想定してみても、精々、本件商標構成中の「せんだい」の文字部分を仙台地域の催し物や生活・文化に関する情報を編集内容として表示したものと理解する以上に、商品選択の際にこれを捨象するものといい難い。そして、読者の投稿欄や読者が参加できる様々なイベント等を告知するページの掲載箇所のタイトル(見出し)に「倶楽部、Club、クラブ」の各文字が使用されることがあることをもって、本件商標「せんだい自遊人クラブ」における「クラブ」の文字を省略して、中程の構成文字「自遊人」のみを分離し抽出して認識しなければならない事由といえないし、単にその称呼「ジユウジン」が生ずるとも認め難いものである。まして、「宮城県仙台市における、雑誌『自遊人』を愛好する人々の集まり」との観念が想起されるのであるとの主張も採用できないものである。
その他、請求人の主張及び証拠(甲各号証)によっても、また、次に述べる引用商標の使用状況を加味しても、本件商標の構成から「自遊人」の文字部分を分離し抽出して認識しなければならない特段の事情は見出せない。
3.引用商標について
引用商標は、上記のとおり、標準文字による「自遊人」の漢字によりなるから、その構成文字に相応して、「自由に遊ぶ人」の意味合いを想起し、かつ「ジユウジン」の称呼を生ずるものと認められる。
ところで、請求人は、「自遊人」は造語であり、「ジユウジン」の称呼から連想される表記(「自由人」)と異なる、特徴のある語句だといえるとし、また、請求人の発行に係る旅行や食に関連するテーマを中心に行っている雑誌「自遊人」(甲第5号証の1及び2)を当初季刊年4回(創刊号2001.1)、平成14年5月より隔月年6回発行し、現在発行部数約20万部で一定層の読者から強い支持を得ている旨述べている。しかし、「自遊人」の文字(語)が辞書等に載ってない造語であるとしても、これを取引指標として使用する場合、辞書に掲載されてる既成語と比して格別に記憶、印象を強くするものとまで認め難く、また、被請求人が引用商標に対して求めた著名性の立証についても明らかにするところもない。そうすると、請求人の提出に係る証拠(甲第5号証の1及び2)から、請求人の発行に係る雑誌「自遊人」が一定層の読者から強い支持を得ているとの実情は不明というほかないから、本件商標との類似において、雑誌「自遊人」に使用される引用商標を周知・著名なものとして、その判断に考慮することもできないものといわざるを得ない。
4.本件商標と引用商標との類似について
上述のとおり、本件商標「せんだい自遊人クラブ」は、「仙台の自由に遊ぶ人の集まり(団体)」の意味合い、及びその構成文字に相応して生ずる「センダイジユウジンクラブ」の称呼をもって、一体不可分の造語よりなるものと認識し把握され、構成中の「自遊人」の文字を分離ないし抽出して独立した識別標識として認識されるものでないから、「自由に遊ぶ人」の意味合い、と「ジユウジン」の称呼を生ずること明らかな引用商標「自遊人」とは、構成文字において、本件商標がひらがなと漢字及びカタカナの組み合わせによりなる全10字であるのに対し、引用商標が漢字3文字であって、両商標の外観は十分に区別し得るものであるというべきであって、また、本件商標より生ずる「センダイジユウジンクラブ」の称呼と、引用商標より生ずる「ジユウジン」の称呼とは、音構成及び音数に大きな差異があり明確に聴別し得るものであり、かつ、両者の想起される「仙台の自由に遊ぶ人の集まり(団体)」と「自由に遊ぶ人」の意味合いは、自ずと発想する事柄の印象を異にするものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛らわしい点はなく、両商標は類似するものとすることはできない。
5.まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものではなく、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-06-30 
結審通知日 2004-07-01 
審決日 2004-07-22 
出願番号 商願2001-104717(T2001-104717) 
審決分類 T 1 11・ 4- Y (Z16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 内山 進
高野 義三
登録日 2002-10-25 
登録番号 商標登録第4615734号(T4615734) 
商標の称呼 センダイジユージンクラブ、ジユージンクラブ、ジユーニンクラブ 
代理人 秋山 高 
代理人 船津 暢宏 
代理人 阪本 清孝 

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