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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z18
管理番号 1103308 
審判番号 無効2002-35233 
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-10-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-06-04 
確定日 2004-08-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第4286837号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4286837号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4286837号商標(以下「本件商標」という。)は、「CALRO」と「VALENTINO」の文字を上下二段に書してなり、平成10年6月16日登録出願、第18類「原革,原皮,なめし皮,毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類、第24類 「 織物(畳べり地を除く。),畳べり地,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳,シャワーカーテン,織物製トイレットシートカバー,布製ラベル,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、平成11年6月25日に設定の登録がされたものである。

第2 請求人の引用する登録商標
請求人が本件商標の商標法第4条第1項第11号の無効の理由に引用する登録第1297389号商標(以下「引用A商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の文字を横書きしてなり、昭和49年10月1日登録出願、第16類「織物、編物、フエルト、その他の布地」を指定商品として、昭和52年9月5日に設定登録、その後、2回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
同じく、登録第852071号商標(以下「引用B商標」という。)は、「VALENTINO」の文字を肉太に横書きしてなり、昭和43年6月5日登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、昭和45年4月8日に設定登録、その後、3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
同じく、登録第1415314号商標(以下「引用C商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の文字を横書きしてなり、昭和49年10月1日登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、昭和55年4月30日に設定登録、その後、二回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
同じく、登録第972813号商標(以下「引用D商標」という。)は、「VALENTINO」の文字を横書きしてなり、オランダ国への1969(昭和44)年10月16日にした出願に基づく優先権を主張して、昭和45年4月16日登録出願、第21類「宝玉、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和47年7月20日に設定登録、その後、当該指定商品中の「かばん類、袋物」については、商標登録の一部放棄を原因とする一部抹消登録が平成2年6月25日になされ、さらに、当該指定商品中の「洗面用具」については、商標権の一部取消審判によりその商標登録を取り消すべき旨の審決が平成15年3月5日に確定しているものである。そして、3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に存続しているものである。
同じく、登録第1793465号商標(以下「引用E商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の文字を横書きしてなり、昭和49年10月1日登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、昭和60年7月29日に設定登録、その後、商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
同じく、登録第1786820号商標(以下「引用F商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の文字を横書きしてなり、昭和49年10月1日登録出願、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、昭和60年6月25日に設定登録、その後、商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第71号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標は商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は商標法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。
(1)商標法第4条第1項第8号違反について
請求人は、イタリアの服飾デザイナー「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァー二)氏の同意を得て、同氏のデザインに係る各種の商品を製作、販売しており、あるいは「VALENTINO GARAVANI」「VALENTINO」の欧文字からなるそれぞれの商標を上記各種商品について使用している者であるところ、上記の「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァー二)氏の氏名は単に「ヴァレンティノ」(VALENTINO」)と略称されており、この略称も本件商標の登録出願の日前より著名なものとなっているところである。
すなわち、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァー二)は、1932年イタリア国ボグヘラで誕生、17歳の時パリに行き「パリ洋裁学院」でデザインの勉強を開始し、その後フランスの有名なデザイナー「ジーン・ブンス、ギ・ラ・ロシュ」の助手として働き、1959年ローマで自分のファッションハウスを開設した。1967年にはデザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー」を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウイーク誌など著名な新聞、雑誌に同氏の作品が掲載された。これ以来同氏は、イタリア・ファッションの第1人者としての地位を確立し、フランスのサンローランなどと並んで世界三大デザイナーとして知られている。この「ファッションオスカー」は無彩色である白を基調にまとめた「白のコレクション」に与えられたものである。その後も同氏の作品は無地の服を得意とし、大胆な「白」「素材」を特徴とし、その服飾品は芸術に値すると賞賛されており、その顧客にはレオーネ・イタリア大統領夫人、グレース・モナコ王妃、エリザベス・テーラー、オードリ・ヘップバーンなどの著名人も多い。同氏のデザイン活動は婦人用、紳士用衣服を中心にネクタイ・シャツ・ハンカチ・マフラー・ショール・ブラウスなどの衣料用小物、バンド・ベルト・ネックレス・ペンダントなどの装身具、バッグ・さいふ・名刺入れその他のかばん類、その他サングラス、傘、スリッパなどの小物からインテリア装飾にも及んでいる。
我が国においても、ヴァレンティノ・ガラヴァー二の名前は、1967年(昭和42年)のファッションオスカー受賞以来知られるようになり、その作品はVogue(ヴオーグ)誌などにより継続的に日本国内にも紹介されている。昭和49年には三井物産株式会社の出資により同氏の日本及び極東地区総代理店として株式会社ヴァレンテイノヴテイックジャパンが設立され、ヴァレンティノ製品を輸入、販売するに至り、同氏の作品は我が国のファツンョン雑誌にもより数多く掲載されるようになり、同氏は我が国においても著名なデザイナーとして一層注目されるに至っている。
以上のとおり、ヴァレンティノ・ガラヴァー二は世界のトップデザイナーとして本件商標が出願された当時には、既に我が国においても著名であった。同氏の名前は「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァー二)とフルネームをもって紹介されることが多いが、同時に新聞、雑誌の記事や見出し中には、単に「VALENTINO」「ヴァレンティノ」と略称されてとりあげられたことの多いことは甲第七号証の一ないし同第七号証の三十二及び同第八号証、同第九号証ないし同第十二号証(審決謄本写し)をはじめとして、甲第十三号証の二、同第十五号証の二、同第十五号証の三、同第十六号証の二、同第二十二号証の二、同第二十五号証の三、同第三十号証の二、同第三十号証の三、同第三十号証の五、同第四十八号証(報知新聞)によっても明らかである。
しかるところ、本件商標は、その構成が、大きく横書きされた「CALRO」と「VALENTINO」の文字の下段部分である「VALENTINO」の文字が「ヴァレンティノ・ガラヴァー二」と称呼されるものであることは明らかであるから、本件商標は「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァー二)氏の氏名の著名な略称を含む商標であり、その者(他人)の承諾を得ずに登録出願されたことは明らかである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号に違反してなされたものである。
(2)商標法第4条第1項11号違反について
本件商標と引用商標とを比較検討するに、本件商標は、「CALRO VALENTINO」の欧文字は、一つの語として知られているものではなく、その全体を称呼するときは「力ルロヴァレンティノ」の8音にも及ぶ冗長なものとなるばかりでなく、外観構成上「CALRO」の文字と「VALENTINO」の文字とが上下二段に表示されていることもあって、「カルロ」と「ヴァレンティノ」とがそれぞれ段落をもって称呼されるものであり、しかも、上記のデザイナー「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァー二)氏の氏名「VALENTINO」「ヴァレンティノ」が略称されて著名なものとなっていることとも相俟って、これに接する取引者、需要者に親しまれている「VALENTINO」の文字に相当する「ヴァレンティノ」の称呼をもって、取引に当たる場合が決して少なくないものとみるのが簡易迅速を尊ぶ取引の経験則に照らして極めて自然である。
したがって、本件商標は、「ヴァレンティノ」の称呼をも生ずるものといわざるを得ない。
一方、引用商標は、引用A商標ないし引用F商標が何れもその指定商品に使用された結果、全世界に著名なものとなっていることは甲第九号証及び甲第十号証(審決謄本写し)をはじめとして、同第六十二号証までの書証によっても明らかなところであって、引用B商標及び引用D商標は、いずれも「VALENTINO」の文字よりなるものであり、その構成上「ヴァレンティノ」の称呼を生ずるものであることは明らかである。
また、引用A商標、引用C商標、引用E商標及び引用F商標は「VALENTINO GARAVANI」の文字を書してなるものであるところ、その全体を称呼するときは「ヴァレンティノガラヴァー二」の称呼を生ずるが、この称呼は冗長なものであるので、上記デザイナー「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァー二)氏の氏名が「VALENTINO」(ヴァレンティノ)と略称されて著名なものとなっていることとも相俟って、引用A商標、引用C商標、引用E商標及び引用F商標は、その構成文字中、前半の「VALENTINO」の文字に相応する「ヴァレンティノ」の称呼をもって取引に資されている場合も決して少なくないのが実情である。すなわち、引用A商標、引用C商標、引用E商標及び引用F商標は、何れも「ヴァレンティノ」の称呼をも生ずるものであるといわざるを得ない。
してみると、本件商標は、引用A商標ないし引用F商標と「ヴァレンティノ」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、本件商標の指定商品は各引用商標のそれと抵触するものであることは明らかである。結局、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号違反について
請求人は、上記の各引用商標の指定商品以外の商品についても、多数の登録商標を使用しているところであって、これらのうち商標登録第1402916号(以下「引用G商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を書してなり、昭和49年10月1日登録出願、第27類「たばこ、喫煙用具、マッチ」を指定商品として昭和54年12月27日に設定登録されたものである。
しかして、請求人提出の甲第九号証ないし同第十二号証(審決謄本写し)、甲第十三号証ないし同第六十二号証のよって、引用C商標ないし引用F商標は、婦人服、紳士服、ネクタイ等の被服、バンド、ベルト、靴等について使用されていること及び引用G商標がライターについて使用されていること、各引用商標が本件商標の登録出願の日前より全世界に著名なものとなっていることは明らかである。
そして、本件商標と引用A商標ないし引用F商標がその称呼において類似の商標であることは上述のとおりであるから、同様の理由により、本件商標と引用G商標とは、類似する商標である。また、本件商標の指定商品と各引用商標が使用されている上記の商品は、何れも服飾品の範疇に属する密接な関係にある商品、いわゆるファッション関連の商品である。
したがって、本件商標は、これを商標権者がその指定商品に使用した場合、その商品があたかも審判請求人の製造、販売等の業務に係る商品であるか又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係にある者、すなわち姉妹会社等の関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ぜしめるおそれがあるものである。
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標法第4条第1項第8号違反について
(ア)被請求人は、「VALENTINO」(ヴァレンティノ)の名称はイタリアでは男子の名を表す名称としてよく使われていることを理由に引用商標「VALENTINO」が著名であるとすることはできないと主張する。
しかしながら、請求人は、引用商標「VALENTINO」が服飾品等のいわゆるファツンョン関連商品において我が国において周知・著名であることについて既に主張・立証したところであり、仮に「VALENTINO」(ヴァレンティノ)の名称はイタリアでは男子の名を表す名称としてよく使われているとしても、イタリアにおけるかかる事由が妨げる事由となるものでない。
(イ)被請求人は、「VALENTINO」の表示をもって直ちに著名人の「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァー二)の著名な略称と言うことはできない旨主張する。
しかし、被請求人は、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァー二)が著名なデザイナーであることは認めるところ、通常、著名なデザイナーブランドの場合には、特に外国人の著名なデザイナーにあっては、そのデザイナーの略称により、そのデザイナーのデザインに係る商品を指すとともに、そのデザイナー自身を指すことがファッション関連商品を取り扱う我が国業界においてよくみられる取引の実情である。例えば、「ココ・シャネル」を「シャネル(CHANEL)」、「アンドレ・クレージュ」を「クレージユ(Courreges)」、「ジヨルジオ・アルマー二」を「アルマーニ(ARMANI)」、「マルセル・口シヤス」を「口シャス(ROCHAS)」、「クリスチャン・ディオール」を「ディオール」等は夙に知られるところである。「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァー二)は、被請求人も認めるとおり著名なデザイナーであり、上記著名なデザイナーと同様に、「VALENTINO」(ヴァレンティノ)」と略称され、そのデザインに係る商品を指すとともに、デザイナーの略称として我が国の取引者、需要者において周知・著名である。この事実は、請求人の提出した証拠に照らせば、明らかである。
(2)商標法第4条第1項第11号及び同第15号違反について
被請求人は、「VALENTINO」 の文字を商標中の構成に取り入れている多数の商標が引用商標とは類似しないとして有効に登録されている点からしても本件登録商標が引用商標に類似するというのは誤りである旨主張する。
しかしながら、「VALENTINO」の文字を含む結合商標が他に登録されていても、それらが、取引者、需要者によりイタリアの服飾デザイナー
「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァー二)のデザインに係る商品に使用される「VALENTINO」と明確に区別され、「VALENTINO GARAVANI」 とは関係のないものとして取引されているという事実はない。すなわち、「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品に使用される「VALENTINO (「Valentino」、「ヴァレンティノ」)の商標が「ヴァレンティノ」と呼ばれて、周知・著名である事実に照らせば、取引者、需要者が、「VALENTINO」の語を含む結合商標について、「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品を示すものであって、それの付された商品を、周知・著名な「VALENTINO (「Valentino」、「ヴァレンティノ」)ブランドないしはその兄弟ブランドであるなどと誤解している可能性も十分にあるというべきである。
のみならず、「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品に使用される「VALENTINO (「Valentino」、「ヴァレンティノ」)の商標が「ヴァレンティノ」と呼ばれて、周知・著名である事実に照らせば、「VALENTINO」の文字を含む商標であって、これと区別して認識されているものが、仮にあったとしても、そのことは、本件商標によって「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品の出所の混同のおそれの事実を何ら左右するものではないというべきである。
なぜならば、仮に、他の結合商標が、周知・著名な「VALENTINO (「Valentino」、「ヴァレンティノ」)ブランドと区別され、出所を異にするものとして理解されているとするならば、そのことは、「VALENTINO」の文字を含む商標が、「VALENTINO」とそれ以外の他の特定の文字とが結合したものとしてよく知られ、かつ、「VALENTINO GARAVANI」とは関係のないものとしてよく知られるに至っている等の特段の事情があることを意味するのであって、そのような場合にこそ、「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品に使用される「VALENTINO (「Valentino」、「ヴァレンティノ」)の商標と区別されると言い得るのである。
ところが、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が、「CALRO」と他の文字「VALENTINO」とが結合したものとして取引者、需要者においてよく知られ、かつ、「VALENTINO GARAVANI」とは関係のないものとしてよく知られるに至っている等の特段の事情は、全く認められないのである。
したがって、前記「VALENTINO」の文字を商標中の構成に取り入れている多数の商標が登録されていることによって、本件商標について「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品との出所の混同のおそれが減少するものということはできないのである。
(3)結語
以上のとおり、被請求人の答弁は、何れも理由がなく、失当であって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第46条第1項第1号の規定により、無効とされるべきものである。

第4 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第54号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、キリスト教の聖人、聖カロロと聖バレンチノの名前に由来して考案された商標である。
請求人は、「VALENTINO」「ヴァレンティノ」を含む商標はヴァレンティノ・ガラヴァー二氏の著名な略称を含む商標であるとするが、本件商標の由来するキリスト聖人の名前にも見られる事から始まり、ハリウッド無声映画時代の映画俳優ルドルフ・ヴァレンティノや、イタリア出身のマフィアの著名なボスのヴァレンティノなども存在したように、イタリア人の氏ないし名として極めて一般的なかつありふれたもので、日本に引き直して言えば.鈴木、田中、佐藤、十郎、太郎などに該当する。
「バレンティノ・ガラヴァー二」氏が特定の分野、例えばオートクチュールの分野で著名であることは認めざるを得ないが、他人の氏名の構成の一部として商標中に採択される「VALENTINO」を含む商標について、著名な略称を含むものとするには当たらないものである。
姓及び氏名が共通する有名デザイナーを新ファッションビジネス基礎用語辞典から抜き出すと「valentino garavani」「mario valentino」以外にも次の人物がいる。
クリスチャン ディオール (Christian Dior)1905〜1957 仏
クリスチャン ラクロワ (Christian Lacroix)1951〜 仏
ピエ一ル バルマン (Pierre Balmain)1914〜1982 仏
ピエ一ル カルダン (Pierre Cardin)1922〜 伊
カルバン クライン (Calvin Klein)1943〜 米
アン クライン (Annen Klein)1923〜1974 米
請求人は「VALENTINO」「ヴァレンティノ」が略称として著名であることは甲第8号証ないし同第12号証で明らかとし、確かに審決「VALENTINO」が著名な略称であると判断している。しかし、一方、請求人及びその関係者以外の商標で、下記のとり前記審決とは反対の審査例及び審判例が存在する。
MARIO VALENTINO(登録第1459366号)
RUDOLPH VALENTINO(登録第2097892号)
GIANNI VALENTINO(登録第2682254号)
ルドルフ ヴァレンティノ(登録第2677126号)
VALENTINOARDINO(登録第2721309号) (乙第3号証ないし乙第7号証)
甲第13号証の2は世界の一流品図鑑81で、商品「メッシュのショルダーバッグ」で「V.GARAVANI/ヴァレンティノガラバーニ」と表記されている。商品の紹介に「ヴァレンティノ」と表記しているが、これは先の表記を前提にして略称したものと認められる。
甲第15号証の2は世界の一流品図鑑85で、商品「婦人用スーツ」商標は「VALENTINO GARAVANI/ヴァレンティノ・ガラヴァー二」と表記されている。
甲第15号証の3では、商品は「紳士用革靴」で商標は「VALENTINO GARAVANI/ヴァレンティノ・ガラヴァー二」と表記されている。
甲第16号証の2は男の一流品大図鑑85で、掲載されている商品は「衣服用ベルト」で、商標は「VALENTINO GARAVANI/ヴァレンティノ・ガラヴァー二」と認められる。
甲第22号証の2に掲載された商品は「婦人用スーツ、手袋、衣服用ベルト」等で商標は「VALENTINO GARAVANI/ヴァレンティノ・ガラヴァー二」で商品の紹介文に「ヴァレンティノ」と表記しているが、これは自らの広告頁であり商標「VALENTINO GARAVANI」を前提とするものである。
甲第25号証の3に掲載された商品は「婦人用スーツ、婦人用ブーツ、スカーフ」等で商標は「ヴァレンテイノガラバーニ」である。ただ右下に「さすがヴァレンティノです」との記述があるが、これは自らの広告文で同じ頁の「ヴァレンティノガラヴァーニ」を前提とするものである。
甲第30号証の2は、ミス家庭画報に掲載された「ヴァレンティノ ガラヴァーニ ヴティック」の公告で、幅狭のスペースの関係で「ヴァレンティノ」「ガラヴァーニ」「ヴティック」が三段に配置されているにすぎない。
甲第30号証の3及び同第30号証の5については、添付がない。
甲第48号証1991年7月29日の報知新聞であるが、ここに掲載された「ヴァレンティノ」が「VALENTINO GARAVANI」であるとはいえない。例えば乙第8号証ないし第10号証に示すように、イタリア人の「マリオ ヴァレンチィノ」であった可能性もあり、またマリオ ヴァレンチィノ氏の息子であった可能もあるからである。
このように請求人のいう甲号証を仔細に検討しても「VALENTINO」(ヴァレンティノ)が略称として著名であるとの根拠とはなり得ない。
甲第3号証の2の旧第17類の「VALENTINO GARAVANI」商標は、甲第3号証の1の旧第17類の「VALENTINO」商標とは非類似として登録されている。また、甲第4号証の2の旧第21類の「VALENTINO GARAVANI」商標も、甲第4号証の1の旧第21類の「VALENTINO」商標とは非類似として登録されている。
さらには、甲第4号証の2の出願に対してマリオ・ヴァレンチィノ氏よりの異議申立に対する異議答弁書で本件審判請求人(ヴァレンティノガラヴァーニ)氏は次のように述べている。
本願商標は「VALENTINO GARAVANI」からなるものであるが、これを一連に発音した「ヴァレンティノガラヴァーニ」の呼称は全体で冗長ではないし、全体として語感も不自然ではなくまとまって印象づけられる。したがって、本願商標は「VALENTINO」及び「GARAVANI」が不可分一体に構成され、連続して発音されるものであってこれを分離するものとして把握するのは適当でない。さらに、本願商標の前半部「VALENTINO」はイタリア人の名前をして認識されるところから、本願商標はその全体で初めて強い識別力を発揮し、この意味からも本願商標は常に一体として呼称されるものであるとし、さらに氏名から採択したものであって、本願商標はこのデザイナーとの関連からも不可分一体のものとして認識されるとする。加えて、「バレンチーノ」、「ヴァレンティノ」の呼称を生ずる引用商標とは明確に区別される。さらに両商標が観念及び外観においても非類似の商標であることは言うまでもない」
この主張は異議決定(乙第12号証)でも支持されている。請求人は、この過去のヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏の異議答弁書での主張と本件審判請求での主張との整合性がない。請求人は、一般にイタリア人の名前として認識される「VALENTINO」が著名な略称として保護されるとするが、将来出現するであろう「VALENTINO」を含むイタリア等のデザイナーは自らの氏名の使用、登録もままならない不合理な結果となることから考えてもその主張の正当性を有しないことは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第11号及び同第15号について
本件商標は「CALRO」と「VALENTINO」の欧文字をバランスよく上下2段に横書きしてなるもので全体として人名のごとく一体のものとして把握でき、構成文字に相応して「カルロ ヴァレンティノ」の称呼を生ずるといえる。
引用商標と称呼について比較した場合、「ヴァレンティノ」を共通にするとはいえ前半部の「カルロ」と後半部に位置する「ガラヴァーニ」というこれらの差が全体に及ぼす影響が少ないとはいえず、全体として一連に称呼した場合においては、それぞれの語調、語感が異なり、両者は互いに聞き誤るおそれのない商標というべきである。
また、外観上も、見る者に異なった印象を与え、たとえ時と処を異にし隔離的に観察しても相紛れるおそれはないと判断できると思われる。
しかし、請求人は、甲第2号証ないし同第6号証で、旧第16類、旧第17類、旧第21類、旧第22類、旧第27類についての登録商標「VALENTINO GARAVANI」を使用しているとし、「ヴァレンティノ」の称呼も生じるとする。
これに対して、被請求人は、上記分類に加えて現行分類の一部についての「VALENTINO」関係商標の公告登録されている一覧を提示する(乙第13号証)。
また、請求人所有以外の「ヴァレンティノ」の称呼が生じる商標公報及び商標登録原簿を乙第14号証ないし乙第19号証として提出する。
加えて、最近の審判事例を明示するために、本件商標と同じ第18類、第24類、第25類の商品を含み、その商標構成態様中に「VALENTINO」を含む商標公報を乙第20号証ないし乙第37号証として提出する。
これらの登録されている商標の存在自体、本件商標が商標法第4条1項11号に該当しないことを明かす証拠方法であるといえる。
なお、請求人が主として「VALENTINO GARAVANI」商標を使用している服飾品の範疇に属する密接な関係にある商品、いわゆるファッション関連の商品について「VALENTINO」商標を使用すると他人の商標権(登録第852071号、登録第972813号)の侵害ということになる。
してみると請求人の主張は奇妙にも、自らの登録商標「VALENTINO GARAVANI」は他人の登録商標「VALENTINOI」と呼称において類似するものであると主張するに等しい。
請求人は、本件商標は冗長で、「ヴァレンティノ」の呼称が生じるとし、さらに、旧第16類、旧第17類、旧第21類、旧第22類、旧第27類についての自らの所有する登録商標「VALENTINO GARAVANI」「VALENTINOI」を使用しているとし、「ヴァレンティノ」が共通するので出所において誤認混同するとする。
さらに、請求人は「VALENTINO GARAVANI」は冗長で「VALENTINO」(ヴァレンティノ)と略称されて著名なものとなっているとするが、甲各号証を仔細に検討してもそのような事実は認められない。
甲第9号証ないし同第12号証として提出している無効審判の中で「VALENTINO」の文字が「VALENTINO GARAVANI」の著名な略称でもあると審決されているが、この審決の根拠となった甲各号証及びそれについての評価が記載されていないので、別途事件においてそのような判断が下された事実があったという以外の意味を有しない。
また、乙第38号ないし乙第54号証の通り付与後異議申立に関する商標登録異議決定では、いずれも「VALENTINO」の文字を含む氏名は商標としては一体として判断されるべきとされている例が多い。尚、このなかで乙第38号証ないし乙第49号証は、本件商標の登録と同じ第18類、第24類、第25類の審査例である。
これらの審査例の存在自体が直接、本件審判請求の理由のないことを雄弁に物語ると云える。
(3)以上述べたところから明らかなように、本願商標は、請求人のいう商標法の各条項に該当せず、本件審判請求は、成り立たないものである。

第5 当審の判断
(1)請求人商標の著名性について
請求人は、自己の商標の周知・著名性を理由に、本件商標の商標法第4条第1項第15号該当違反を述べているので、先ず、この点について判断する。
請求人提出の甲第7号証ないし甲第71号証(いずれも枝番号を含む。)によれば、次の事実が認められる。
(ア)「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)は1932(昭和7)年イタリア国ボグヘラで誕生、17才の時パリに行き、パリ洋裁学院でデザインの勉強を開始し、その後、フランスの有名なデザイナー「ジーン・デシス、ギ・ラ・ロシュ」の助手として働き、1959(昭和34)年ローマで自分のファッションハウスを開設した。1967(昭和42)年にはデザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー(Fashion Oscar)」を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウィーク誌など著名な新聞、雑誌に同氏の作品が掲載された。これ以来、同氏は、イタリア・ファッションの第一人者としての地位を確立し、フランスのサンローランなどと並んで、国際的なトップデザイナーとして知られるに至っていること。
(イ)我が国において、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の名前は、前記「ファッションオスカー」受賞以来知られるようになり、その作品は「Vogue(ヴォーグ)」誌などにより継続的に日本国内にも紹介されていたこと。昭和49年には三井物産株式会社の出資により同氏の日本及び極東地区総代理店として「株式会社ヴァレンティノ ヴティック ジャパン」が設立され、ヴァレンティノ製品を輸入、販売するに至り、同氏の作品は我が国のファッション雑誌や業界紙、一般新聞にも数多く掲載されるに至り、同氏は我が国において著名なデザイナーとして一層注目されるに至ったこと。また、請求人主張の全趣旨よりして、請求人会社は前記デザイナーのデザインに係る各種製品の製作・販売に携わる者であること。
(ウ)同氏の名前は、「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」とフルネームで表示される一方、同時に雑誌の記事や見出し中には、単に「VALENTINO」「ヴァレンティノ」と略称されてとりあげられており、この点は、例えば、甲第7号証(「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」に関するいずれも昭和51年発行の各種ファッション関連雑誌・同新聞広告のスクラップ記事)、甲第13号証(「世界の一流品大図鑑」1981年版)、甲第15号証(「世界の一流品大図鑑」1985年版)、甲第16号証(「男の一流品大図鑑」1985年版)、甲第22号証(「25ans,ヴァンサンカン」1987年10月号)、甲第30号証(「ミス家庭画報」1990年5月号)、甲第33号証(「ミス家庭画報」1994年6月号」)、甲第48号証(平成3年7月29日付「報知新聞」の取材記事)、甲第55号証(「エル・ジャポン」1997年8月号)、甲第56号証(「ドンナジャポーネ」1998年4月号)、甲第63号証(「服飾辞典」田中千代著同文書院1981年発行)、甲第64号証(「英和商品辞典」山田政美著株式会社研究社1990年発行)、甲第65号証(「世界人名辞典」岩波書店1997年発行)、甲第68号証(「non―no」株式会社集英社1989年12月5日発行)等の記載に照らし、「VALENTINO」「ヴァレンティノ」等に関する状況を十分窺うことができる。
(エ)以上の事実によれば、「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」は、世界のトップデザイナーとして、本願商標の登録出願時には既に、我が国において著名であったものと認められる。また、同氏の名前は、「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」とフルネームで表示され、このフルネームをもって紹介されることも多いが、同時に新聞、雑誌等の見出しの中には、単に「VALENTINO」「ヴァレンティノ」と略して採り上げれており、ファッションに関して「VALENTINO」「ヴァレンティノ」といえば同氏を指すものと広く認識されるに至っているというべきである。そして、同氏がデザインした婦人服、紳士服、アクセサリー、バック類、インテリア用品等のファッション関連商品は、「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」及びその略称として「VALENTINO」「ヴァレンティノ」の商標(以下、これらの商標又は前記第2において引用した登録商標を合わせて「引用商標」という。)をもって我が国の取引者、需要者の間に広く知られていたというべきであり、このことは、少なくとも本件商標の登録出願時である平成10年6月16日前においてすでに我が国の取引者、需要者間に広く認識せられていたものであり、また、その状況は本件商標の登録査定時である平成11年4月15日を含む現在に至るまでも引き続き同様とみて差し支えないものである。
(2)本件商標の構成並びに指定商品について
本件商標は、前記第1のとおり、「CALRO」と「VALENTINO」の欧文字を上下二段に横書きしてなるものであって、視覚上、自ずと上下に分離して看取し得るものであり、かつ、全体をもって特定の意味合いの熟語的文字として把握し得るような事情はなく、また、その証拠も見出せないから、視覚上又は意味上においてこれらを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の理由は存しないものといえる。
そして、前記第5(1)の認定のとおり、「VALENTINO」は、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)氏に係る商品を表示するものとして周知著名なものになっており、これに接する取引者、需要者はその構成中の「VALENTINO」の文字に自ずと注意を惹かれ強く印象づけられるものと認められる。
しかも、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品とは、その用途又は需要者層を共通にする場合が多いといえるものであり、かつ、両者の商品は、共にファッション性を有する点でその性格を共通にするものである。
(3)出所混同のおそれについて
以上の(1)(2)の点よりして、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、引用商標と綴り字を同じくする「VALENTINO」の文字部分に着目し、容易に引用商標を連想・想起するとともに、本件商標が付された商品があたかもデザイナー「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)又は請求人会社に係る一連のデザイナーブランドであるかの如く誤認し、あるいは事業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。
してみれば、本件商標は、他人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるものというべきであるから、その登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ない。
(4)被請求人の主張について
(ア)被請求人は、本件商標は、構成中の「VALENTINO」の文字部分のみを分離・独立して称呼、観念しなければならないとする特段の事由はなく全体として一体のものであり、また、本件商標は採択者の氏名に由来する旨述べている。
しかしながら、本件商標が我が国において広く知られている等の特段の事情があれば格別、本件においてそのような事情はなく、証拠もないから、その採択事情をもって本件商標の不可分性の根拠とすることはできない。そして、本件商標は視覚上又は意味上において必ずしも常に一体のものとして把握されないこと前記認定のとおりであるから、被請求人の主張は採用することができない。
(イ)被請求人は、本件商標の由来するキリスト聖人の名前にも見られることから始まり、ハリウッド無声映画時代の映画俳優ルドルフ・ヴァレンティノや、イタリア出身のマフィアの著名なボスのヴァレンティノなども存在したように、イタリア人の氏ないし名として極めて一般的なかつありふれたもので、日本に引き直して言えば、鈴木、田中、佐藤、一郎、太郎などに該当する旨述べている。
しかしながら、「VALENTINO」(ヴァレンティノ)が、日本においては、ありふれた氏姓ないし名であるとは認め難いものであり、イタリアにおいてありふれた名前であるとしても、そのことが、日本において、商標として機能することを否定することにはならず、「VALENTINO」は、上記認定のとおり、我が国においてファッション関連商品に使用された結果、取引者、需要者に広く認識されている商標といえるものであるから、被請求人の主張は採用することができない。
(ウ)被請求人は、請求人及びその関係者以外の商標で、他人の登録が認められている旨述べている。
しかしながら、その登録事例の存在は認めるとしても、それらが引用商標との関係で混同を惹起させるものかどうかは、個別・具体的に決せられるものであって、本件事案とは直接関係がないから、当該商品分野における登録事情をもって本件における混同可能性を否定する根拠とするのは適切でなく、前記認定を左右するに足りない。
(エ)このほか述べる被請求人の主張及びその提出に係る乙号証をもってしては、前記認定を覆すことはできない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第46条第1項により、その登録は、これを無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-06-22 
結審通知日 2004-06-24 
審決日 2004-07-12 
出願番号 商願平10-50296 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (Z18)
最終処分 成立 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 小川 有三
富田 領一郎
登録日 1999-06-25 
登録番号 商標登録第4286837号(T4286837) 
商標の称呼 カルロバレンチノ、カルロバレンティノ、キャルロバレンチノ、キャルロバレンティノ 
代理人 末野 徳郎 
代理人 廣田 米男 
代理人 杉村 興作 
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