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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 119
管理番号 1103187 
審判番号 取消2003-30876 
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-10-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-07-07 
確定日 2004-08-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第2201814号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2201814号商標の第19類「家庭用浄水器及びその類似商品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2201814号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和62年12月24日に登録出願され、「アクアテック」の片仮名文字と「AQUATECH」の欧文字を上下二段に書してなり、第19類「家庭用汚水浄化そう、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、「家庭用浄水器及びその類似商品」についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証を提出している。
1 本件商標が取り消されるべき理由
本件商標は、過去三年以上前から現在に至るまでの間、本件商標権者が本件商標をその指定商品中「家庭用浄水器及びその類似商品」について使用している事実は認められない。又、商標登録原簿上使用権者の存在は認められないところである(甲第2号証)。更に、未登録の使用権者が本件商標をその指定商品中「家庭用浄水器及びその類似商品」について使用している事実もまた認められない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者・専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品中「家庭用浄水器及びその類似商品」について使用している事実は認められないところであるから、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「家庭用浄水器及びその類似商品」についての登録はこれを取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
被請求人は平成15年9月19日付けの答弁書において、乙第1号証ないし同第4号証を提出し、本件審判請求人の主張に対して、本件請求に係る登録商標の使用をしている旨述べている。
しかし、乙第1号証と同第2号証は、いずれも業務用浄水装置のパンフレットと認められ、特に乙第2号証に至っては、1995年の印刷と認められるなど、登録商標の使用の事実を検討するまでもなく本件取消審判に関係しない書類と認められる。更に、乙第3号証も平成14年10月に浄水装置の宣伝を行ったことは認められるもの、いずれも業務用の浄水装置と認められ、本件取消審判の請求に係る指定商品「家庭用浄水器及びその類似商品」には該当しない。一方、乙第4号証は、家庭用・業務用浄水器「パイセルフ503」に関するホームページの写しと認められるものの、本件商標の商標権者との関係が不明であり、又本件登録商標の使用の事実も認められない。
したがって、本件審判の被請求人は、請求に係る指定商品について、本件登録商標の使用をしているものとは認められないため、本件にかかる商標登録は取り消されるべきである。よって、本件審判請求の趣旨に求める審決を求める次第である。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。と答弁しその理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第8号証を提出している。
1 答弁の理由
(1)本件商標の取消理由
請求人は、本件商標は過去3年以上前から現在に至るまでの間、本件商標権者が本件商標をその指定商品中「家庭用浄水器及びその類似商品」について使用している事実は認められない。又、商標登録原簿上使用権者の存在は認められないところである(甲第2号証)。更に、未登録の使用権者が本件商標をその指定商品中「家庭用浄水器及びその類似商品」について、使用している事実もまた認められない。したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者・専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品中「家庭用浄水器及びその類似商品」について使用している事実は認められないところであるから、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「家庭用浄水器及びその類似商品」についての登録はこれを取り消されるべきものである。として甲第1号証及び同第2号証を提出している。
(2)前澤工業株式会社は、昭和12年7月創業時より「水とともに」を理念に、上水道用諸機械器具の販売を開始し、その後、昭和22年より上水道用諸機械器具の製造販売を、昭和45年より上・下水機械装置の製造及び販売を開始するなど、今日まで着実に業務の拡大をはかってきている東証一部上場企業である。
しかるところ、請求人から被請求人所有の「アクアテック/AQUATECH」商標、指定商品「家庭用浄化そう、その他本類に属する商品」に対して「家庭用浄水器及びその類似商品」に商標が使用されていないとの理由で不使用取消審判を請求されたものである。
しかしながら、被請求人は該審判請求の登録前から「家庭用浄水器及びその類似商品」に本件商標を使用しているものであるから、以下に使用の事実を立証するものである。
被請求人は、上記の構成からなる商標を使用しているものであるところ、使用に当たっては、正方形よりやや縦長形状の方形内を、商品カタログの場合には水色で、雑誌広告などは黒塗りで、その中にそれぞれ「Aqua Tech」の欧文字と図形を上下二段に白抜きで表示しているものである。
そして、これらの両部分は観念的にみても何等の関連性もないものであって、上段の「Aqua Tech」の文字部分が、本件商標中の欧文字部分のみであるとしても、この語は造語であるところから特定の意味合いを生じないものであり、これより生じる称呼は上段の振り仮名とみられる「アクアテック」のみである。従って、分離して構成されているとしても、これは社会通念上同一と認められる範囲の使用であると思料され、自他商品の識別標識として充分な機能を果たせるものといえる。
なお、以下に示すように登録商標は商品カタログの表表紙左上欄もしくは雑誌広告右上欄に同一の構成態様をもって統一的な形式で明確に表示し、使用されているものである。
(3)本件商標に関する使用の事実
(イ)ここで、被請求人は、本件商標と社会通念上同一とみられる商標「Aqua Tech」の文字が表表紙に表示された2001年8月発行の膜利用型浄水装置(内圧式)(発行年月は裏表紙下欄参照)の個別商品カタログNO.334を、乙第1号証として提出する。
当該商品は、「中空糸型限外ろ過膜モジュール」を円筒状の容器に納めたものを、最大処理水量に応じた数のモジュールユニットとして設置するものである。このようなモジュールユニット形式を採用することによって、当該商品は、戸建て・マンション等に取り付ける家庭用浄水から業務用まで幅広い目的に対応する商品となっている。当該カタログの発行年月は裏表紙下欄に明記されている通り2001年8月であり、これは本審判請求の登録前3年以内であることは明らかである。
(ロ)上記商品をさらにコンパクトにして、家庭用等の小規模浄水に適応させた商品のカタログを乙第2号証として提出する。
この商品は、上記(イ)同様、「内圧式中空糸型限外ろ過膜モジュール」を採用し、上記(イ)よりもさらにコンパクトに設計されているため、戸建て、マンション等の屋内外に設置するだけでなく、車に搭載して運搬することが可能である。このような設計により、災害非常時等に近隣の水源から家庭内に飲料水を取り込むことが可能となる。
なお、当該浄水機の実証実験プラントキャンペーンカタログの発行年月は裏表紙下欄に記載されている通り1995年5月であるが、これはその当時から現在に至るまで当該商品の規格に変更がなく、また、当初の印刷部数が多く、これまで追加印刷を行う必要がなかったためであることを申し添えておく。一般の家電製品等とは異なり、このような商品について、規格の変更はさほど頻繁に行われるものではないというのが当業界の実情である。
(ハ)次に、戸建て(屋外)やマンション(屋上)等に取り付け、水道水の大元から全て浄水することができる商品「小規模浄水装置」の雑誌広告を乙第3号証として提出する。この商品はトラックで運搬可能な大きさであるにもかかわらず、大規模浄水場と全く同じ水処理が可能なため、浄水施設の完備されていない地域の簡易水道を大元から浄水することができる。この広告は、平成14年10月15日発行の月刊誌『水道』(全国簡易水道協議会)に掲載されている。従って、当該商品について、本審判の請求登録前3年以内に本件商標と社会通念上同一とみられる商標が使用されていた事実を明らかに示すものである。なお、当該広告上段には、上記(イ)の「膜利用型浄水装置」も記載されている。
(ニ)上記(イ)〜(ハ)にて使用事実を示した商品は、いずれも蛇口に取り付ける小型の「家庭用浄水器」ではないが、このような商品も「家庭用浄水器及びその類似商品」であることは昨今の取引事情に照らせば明らかである。
近年、日本国内でも水質汚染が深刻となり、水道水に対する十分な信頼性の確保が損なわれるにつれて浄水に対する意識が非常に高まっている。「家庭用浄水器」といえば蛇口に取り付ける小型の商品のみを指す時代はすでに過ぎ去り、流し台の下に据付ける「ビルトイン型」は今や新築マンション等の標準仕様となりつつある。さらには、各家庭の水道の大元から浄水を行い、風呂や洗面などにも浄水を使用できる元付け型が普及してきている。
ここで、乙第4号証として、最近の取引事情を示すインターネット資料を提出する。これらの商品広告を見ると、全ての蛇口にまるごと浄水を取り込むことのできる元付け型浄水器が、業務用と家庭用とに明確に区別されることなく取り引きされているという当業界の実情が看取される。昨今の趨勢として、浄水器を業務用と家庭用とに一律に区別するのではなく、水処理の内容や処理水量の別によってカテゴリー分けする傾向にあるといえる。
このような取引の実情の下、被請求人が使用の事実を立証した前掲商品が、「家庭用浄水器及びその類似商品」に該当することは明らかである。
上述のとおり、乙各号証に基づきこれらを総合的に観察すれば、本件商標と社会通念上同一とみられる商標は、本審判請求に係る商品「家庭用浄水器及びその類似商品」について、審判請求の登録前3年以内に使用されていることが充分に立証されたものと思料する。
2 結論
よって、本件商標は本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人が、当該登録商標と社会通念上同一とみられる本件商標を取消請求に係る指定商品に使用していることは明らかであるので、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるものとはいえないから、答弁の趣旨どおりの審決を求めるものである。

第4 当審の判断
1 被請求人が本件商標の使用の事実を示すために提出した乙第1号証ないし同第3号証並びに答弁の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
(1)被請求人に係る2001年8月発行の「商品カタログ」によれば、その表表紙に「膜利用型浄水装置」、「内圧式」と、2頁目に「特長」の項で「3.コンパクト・省スペース」として、「凝集・沈殿池やろ過池が不要となり、しかも55ヘーホーメートルの膜モジュールを使用した装置なのでコンパクトで省スペースが図れます。」及び「7.建設工期の短縮」として、「装置はユニット化されており、建屋の中に据え付けるだけで済むため、工期を大幅に短縮します。」と、5頁目に「標準膜モジュールユニット」の項で「モジュール数(2系列とする)」の内「2本」の場合「ユニット寸法(m)」として「2.1×4×2.65」との記述及び6頁目に「実施例」として「簡易水道施設 岩手県三陸町綾里浄水場」の例の記載があること(乙第1号証)。
(2)被請求人に係る1995年5月発行の「商品カタログ」によれば、その表表紙に「膜利用型実証実験プラント」、「車載型UF膜ろ過装置」と、見開き部分に「ユニット寸法」として「2560×1550×2000」との記述及びその裏表紙に「車載型膜ろ過装置の運転例」として「(1)河川表流水を取水して運転を行う場合」及び「(2)源泉を循環して短時間の運転操作を行う場合」との簡単な運転例の図面が記載されていること(乙第2号証)。
(3)全国簡易水道協議会発行の雑誌「水道」の広告欄によれば、乙第1号証に示す「膜利用型浄水装置」及び「小規模浄水装置」の広告が掲載され、後者の宣伝文として「・浄水施設の完備されていない地域の簡易水道…・レジャー施設や作業現場の飲料水製造に…・非常時、緊急時の吸水に…」の記述があること(乙第3号証)。
2 以上の事実を総合勘案すると、「膜利用型浄水装置」、「車載型UFろ過装置」及び「小規模浄水装置」の商品は、商品仕様、商品説明、商品写真等に照らして比較的大規模な設備等を必要とする「浄水装置」の概念に属する商品とみるのが相当である。
この点について、請求人は、「浄水装置を取り扱う業界において、『業務用』『家庭用』の浄水装置は、共通する取引市場に流通しており、これらの区分けは、需要者が希望する処理水量に応じた商品を購入する際のある程度の目安として機能するのみであって、実際に商品を業務用に用いるか家庭用に用いるかは需要者の自由選択に委ねられているのが現実である。」旨主張し、乙第4号証ないし同第8号証を提出している。
確かに、「浄水器」といっても家庭用、業務用とその目的によって様々な商品があることは認められるにしても、乙第1号証ないし同第3号証に示されている商品は、例えば「ぜん,盆,はし,はし箱,ようじ,ようじ入れ,ふるい,ざる,ひしゃく……」等の商品の如く、生活用具として日常使用される器具的なもので主に台所用品の概念に属する商品としての「家庭用浄水器」の範疇に属する商品と認定するには困難がある。
また、乙第1号証ないし同第3号証に示されている商品は、前記したように「浄水装置」と判断され、これが「家庭用浄水器」の類似商品であるとも認められない。
してみれば、被請求人の提出に係る乙各号証をもってしては、被請求人が本件商標を本件審判の取消請求に係る指定商品「家庭用浄水器及びその類似商品」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内で使用していたものとは認められず、また、使用をしていないことについて正当な理由があったものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、指定商品中の「家庭用浄水器及びその類似商品」についての登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-06-25 
結審通知日 2004-06-29 
審決日 2004-07-13 
出願番号 商願昭62-144386 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (119)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐久 菊男飯山 茂 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 宮川 久成
山本 良廣
登録日 1990-01-30 
登録番号 商標登録第2201814号(T2201814) 
商標の称呼 アクアテック 
代理人 磯野 道造 
代理人 涌井 謙一 
代理人 渡邊 裕一 
代理人 鈴木 正次 

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