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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Z16
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない Z16
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z16
管理番号 1103015 
審判番号 無効2003-35213 
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-10-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-05-28 
確定日 2004-08-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4366729号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4366729号商標(以下「本件商標」という。)は、「仙臺四郎」の漢字を標準文字により書してなり、平成10年11月9日に登録出願、第16類「写真立て,文房具類」を指定商品として、同12年3月10日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(平成15年11月26日付の審判事件弁駁書に添付された甲第1号証ないし甲第4号証は、その甲号証の表示が重複しているので、甲第14号証ないし甲第17号証として取り扱う。)を提出している。
1 請求の理由
(1)商標法第4条第1項第10号について
<四郎の謂われ>
“四郎様”は江戸末期から明治にかけて仙台に実在した人であり、少し知恵おくれで“櫓下(やぐらした)四郎”“四郎馬鹿”“しろばか”と呼ばれていたが、当時の人々は四郎の純粋な心と笑顔を愛し大切にしていた。
商売繁盛をもたらす商売の福の神様としてや、更には子育て等のご利益をもたらすありがたい福の神様として、“明治の福の神様”と言い伝えられ、仙台の老舗等では“仙台の福の神様”として四郎の写真が大切に飾られてはいたが、その存在や謂われすら忘れ去られ、一般市場における仙台四郎商品は全く流通していなかった(甲第7号証及び甲第12号証)。
<四郎ブーム>
請求人等は円高不況の時期、「仙台四郎」を昭和60年後半からの仙台四郎のポスターとグッズの販売に始まり、昭和61年4月初旬の各新聞にも掲載されている通り、斉藤実デザイン研究所の発想で「福の神・仙臺四郎」が生まれ、三瀧山不動院に御本体を奉納し、仙台市中央通り「佐々重ビル」にて仙臺四郎祭を開催(4月3日から4月6日までの4日間)した。
この請求人等が開催した「仙台四郎祭」や「御本体の奉納」が人々の話題を呼び、マスコミ等の取り上げるところとなって最初の「仙台四郎ブーム」が興った。
当時の“四郎祭り”の開催実施目録にもある通り、「仙台四郎祭」の開催は斉藤実デザイン研究所の斉藤実所長とその所員である高橋氏・門間氏(I・Dファクトリー)や鳳山酒造(株)と三瀧山不動院加藤住職並びに請求人の四社が主体に執り行った。
それ以前に請求人は斉藤実デザイン研究所より四郎のデザイン(写真を基にした独自の図柄と文字他)使用権を認められ、三瀧山不動院加藤住職と相談の上、各種四郎商品の製作と販売に入っている。
次に二度目の「四郎ブーム」であるが、やはりバブル崩壊後の不況が長く続く時期で、平成5年頃からと思われるが、マスコミ等で「福の神・仙台四郎」が再び脚光を浴び、2度目の「仙台四郎ブーム」が興り、特に朝の人気テレビ番組による特集を組んだ放映にて、仙台四郎の知名度が全国的に知れわたった。これにより全国の一般消費者から問い合わせと注文がくるようになり、仙台四郎商品(グッズ)は全国的にて販売されるようになった(甲第8号証)。
請求人は、「福の神/仙臺四郎」ロゴの権利保全のため、平成5年6月22日に商標「福の神/仙臺四郎」並びに商標「商売繁盛/仙臺四郎」として特許庁に商品区分毎に多数商標出願をした。
どてらに縞の半纏を着て、腕組みしてにこやかに座っている姿の四郎さんは、ご利益ある福の神様(福の神/仙臺四郎)としての人気は現在でも続いており、二度の四郎ブーム(昭和61年頃からと平成5年頃から)の後も、新聞・テレビ・雑誌・アニメ映画・音楽等のマスコミにて再三再四取り上げられた。つまり、“福の神仙臺四郎”に関する新聞の報道や書籍も多数出版され、また、アニメーションによる映画化も企画されるようになり、さらには、プロの歌手による「歌」もレコーディングされ発売されている。平成5年頃からの二度目の四郎ブーム以降の平成6年から平成7年頃には、仙台四郎の知名度は全国的に定着している。
甲第12号証に、「仙台四郎」に関する過去に報道された新聞・雑誌記事のデーターベース、並びに出版された書籍の内容を示す。
条件「仙台四郎」にてタイトルと本文に含まれる文字列を検索した結果、87件もの記事が該当したが、甲第13号証にタイトルに仙台四郎が表示されているものを年代の古い順に示す。
以上の通り、標章又は商標としての「福の神/仙台四郎」は、平成5年頃(1993年)からの二度目の「四郎ブーム」から翌年の平成6年頃(1994年)に至って、マスコミ等によりその知名度は全国的に知れ渡った。(著名・周知性の獲得)
被請求人は、標章又は商標としての「福の神/仙台四郎」の知名度が仙台市並びに宮城県はおろか全国的にも認知された以降の平成10年頃(1998年11月9日)より商標の出願をしている。
被請求人の商標「仙台四郎」の出願・登録は、明らかに請求人の著名・周知商標(福の神/仙台四郎)に類似し、商品(福の神としての縁起物グッズとして流通)出所の誤認混同が生じているので、登録無効となるべき商標に該当すると思われる。
(2)商標法第4条第1項第11号について
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3362794号商標(以下「引用商標」という。)は、後掲のとおりの構成よりなり、平成5年6月22日に登録出願、第16類「紙袋,額入り書画」を指定商品として、同9年11月28日に設定登録されたものである。
<商標の類似>
引用商標と本件商標の外観は、観念を表す福の神を除いて全く類似している。商標の呼称では、「フクノカミセンダイシロー」「フクノカミ」「センダイシロー」「シロー」と、商標を口で発音したときの音が、「フクノカミ」を除けば完全に同じである。また、商標の観念をみると、仙台四郎は御利益がある神様を表す「福の神様」としての観念が全く同一である。
<商品の類似>
請求人は、商品区分第16類の指定商品「紙袋,額入り書画」で商標を取得している。一方、被請求人は、商品区分第16類の指定商品「写真立て,文房具類」にて商標を取得している。
<生産部門・販売部門・販売目的・用途・取引者・需要者が同一>
仙台四郎様は、請求人等が起こした二度の「四郎ブーム」にて、商売繁盛の福の神様や子育て等家内安全他の福の神様として全国的に有名になり、霊験あらたかでご利益がある福の神様なる縁起物にて販売されている。
販売するお店やこれを購入する需要者も、“仙臺四郎”と表示すれば、その商品はおのずと不景気の際ご利益のある“商売繁盛の福の神様(不景気の救世主)”あるいは“霊験あらたかな福の神様”なる縁起物(ご利益を期待する)として同一の商品として認識している。(商品の誤認)
今まで二度にわたる“仙台四郎ブーム”時昭和61年頃(甲第7号証)と平成5年頃(甲第8号証)の新聞・テレビ等のマスコミによる報道記事には、四郎グッズは工芸品の製造・販売メーカーである請求人が製作・販売しているとあり、業界関係者(物産系の卸問屋・小売店等)に広く知れ渡っている。
請求人の四郎商品ではない(額に入った写真のような物)にも関わらず、商品を購入した消費者から仙台四郎様の飾り方や祀り方等の問い合わせが何回も来ている。
(3)商品の出所の混同並びに品質の誤認のおそれが発生(甲第4号証)
(商標法第4条第1項第15号の「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」の使用に該当)
請求人と被請求人の両方が類似した商標(福の神/仙臺四郎等)を冠して、縁起物の仙台四郎商品(特に額縁に書画又は図形・文字・色彩等をほどこした模写写真を入れ)を販売することは、“仙台四郎様”そのものがご利益ある縁起物として存在し認知されているため、需要者たる一般消費者は請求人の商品と被請求人の商品の出所が同一営業主体の物だと誤認混同するおそれが大いにあり、請求人の得意先(販売店)からも問い合わせ(類似品が出回っている。)がきている現状である。(商品の混同)
すなわち、販売するお店やこれを購入する需要者も、“仙臺四郎”又は“**福の神/仙臺四郎**”と表示すれば、その商品はおのずと不景気の際ご利益のある“商売繁盛の福の神様”あるいは“霊験あらたかな福の神様”なる縁起物(ご利益を期待する)として同一に認識している。(商品の品質の誤認)
今まで二度にわたる“仙台四郎ブーム”時昭和61年頃(甲第7号証)と平成5年頃(甲第8号証)の新聞・テレビ等のマスコミによる報道記事には、四郎グッズは工芸品の製造・販売メーカーである請求人が製作・販売しているとあり、業界関係者(物産系の卸問屋・小売店等)に広く普及している。
(4)請求人の商品周知性にたいする便乗行為
(商標法第32条の「先使用による商標の使用をする権利」と商標法第8条の「先願」に該当する商標の便乗使用)
請求人は、昭和61年4月初旬の各新聞に掲載の通り、斉藤実デザイン研究所の発想で「福の神・仙臺四郎」が生まれ、三瀧山不動院に御本体を奉納し、仙台市中央通り「佐々重ビル」にて仙臺四郎祭を開催(4月3日から4月6日までの4日間)したことで話題になり、マスコミ等(報知新聞・河北新報・読売新聞他)の取り上げるところとなって最初の「仙台四郎ブーム」が興った。特に、祭りに併せて請求人が寄進した御尊体(請求人カタログー甲第3号証に載っている三瀧山不動院の仙台四郎様)を三瀧山不動院に奉納したことが話題となり、マスコミ等の関心を呼んだ。
それ以前(昭和60年頃)に請求人は、四郎商品の制作と販売に入り(ポスターとグッズ)、仙台四郎グッズを請求人が製作・販売していることがマスコミ等で報道され、宮城県内の一般需要者並びに卸問屋や小売店等に広く知れわたった(甲第7号証)。
請求人は、バブル崩壊後の不景気が長く続く平成5年頃からと思われるが、マスコミ等(日経流通新聞・河北新報・仙台リビング他)で不景気の救世主として「仙台四郎」が再び脚光を浴び、2度目の「仙台四郎ブーム」が興った。特に朝の人気テレビ番組による特集を組んだ放映にて、仙台四郎の知名度が全国版で一般世間(一般需要者並びに卸問屋や小売店等)に広く知れわたった。当時の新聞記事(河北新報に掲載の三瀧山不動院加藤住職の記事)にもあるとおり、九州・関西・関東など全国より仙台四郎商品(グッズ)の注文が多数殺到し、これより全国規模にて卸問屋・通販会社・小売店等を通じて販売されるようになった。昨今では、全国の需要者(商売関係者や個人)から、小売店を通さず請求人に直接注文が来ている(甲第8号証)。
請求人としては、この時期に仙台四郎の商標又は標章としての“福の神仙臺四郎”のロゴ保全のため、平成5年6月頃より商標「福の神仙臺四郎」と「商売繁盛仙臺四郎」の二つにて、特許庁に商標の出願登録を申請した。この様に“福の神仙臺四郎様”の知名度は全国的に知られている。
また、縁起物等が流通する業界としては物産系が主な市場となるので、請求人としては物産市場の展示会や業界新聞等に度々出店或いは広告を出して“福の神/仙台四郎”様の普及と代理店や一般小売店の募集を図ってきたので、請求人の業界関係者にたいする周知度は全国の物産卸問屋・小売店に知れ渡っている。
<主な展示会並びに業界新聞の内容>
(ア)インターナショナルギフト・ショー((株)ビジネスガイド社主催)
2月と9月に東京・大阪で年2回開催される日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市
(イ)全国観光物産総合見本市((株)全国観光と物産新聞社主催)
2月と9月に東京で年2回開催される日本最大の物産系総合見本市
(ウ)全国観光と物産新聞-(株)全国観光と物産新聞社が発行(月刊)
全国の物産系の製造・卸問屋・小売店が主に購読
更に請求人は、全国の卸問屋・小売店を通して一般消費者に販売する際には、仙台四郎様の謂われが書かれた“栞”(甲第10号証)を付けて福の神である仙台四郎様の普及に努力してきたので、全国の物産業界関係者以外の商売関係者や一般消費者からも多数の個別注文や問い合わせ(被請求人の商品も含めて)が今日でも入っている。(商品の混同)
被請求人が、平成10年11月9日に“仙台四郎”にて商標出願した時点において、請求人の商標“福の神/仙台四郎”は既に全国的に周知になっていた。しかるに、被請求人は、請求人等(斉藤実デザイン研究所・三瀧山不動院・鳳酒造・請求人)が興した二度にわたる「仙台四郎ブーム」の後、景気低迷が長期にわたって続くご時世にあって、商売繁盛や福をもたらす福の神様として根強い人気に便乗したあやかり商法(模倣・便乗)なる行為を行っているわけである。
(5)請求人と被請求人の業態(営業目的)及び仙台四郎商品(グッズ)の表示
請求人は、縁起物商品に「福の神/仙臺四郎」の商標を冠し、商売の神様として商売繁盛・大願成就・家内安全等を付して、宮城県内の社寺等・土産店等を通して一般消費者に販売している。また、全国の卸問屋や通信販売会社への卸売りを通して、全国の一般消費者にも販売している(甲第3号証)。
被請求人は、縁起物商品に“福の神”や“福の神仙臺四郎”の商標を冠し、商売の神様として大願成就等を付し、“「仙台四郎」額”又は“福の神仙台四郎「招福額」”として全国の一般消費者向けに通信販売している(甲第4号証及び甲第5号証)。
以上の通り、被請求人は新聞広告並びにインターネットホームページにて“「仙台四郎」額”又は“福の神仙台四郎「招福額」”なる表示にて、請求人の商標が指定する指定商品並びに類似商品(額入りの書画)を侵害する広告と通信販売並びに代理店の募集と卸販売をしている。
請求人と被請求人の両方が土産品等の卸売りとして、類似した商標を冠して縁起物の仙台四郎商品(特に額縁に書画又は図形・文字・色彩等をほどこした摸写写真を入れ)を販売することは、“仙台四郎様”そのものがご利益ある縁起物として存在し認知されているため、一般市場並びに物産市場では商品の出所が混同しているのが現状である。
(6)被請求人の商標権侵害行為(商標法第37条第1項第1号・同第2号)
被請求人は、本件商標にて請求人の引用商標を侵害するような広告と通信販売をしている。すなわち、被請求人は“福の神仙臺四郎”なる標語にて、「仙臺四郎額」又は「福の神仙臺四郎/招福額」なる縁起物商品として、広告と受注販売・通信販売並びに代理店募集等を行っている。
これは、被請求人が取得している本件商標(仙臺四郎)並びにその商標が指定する指定商品並びに類似商品(写真立て・写真・文房具)の効力が及ぶ範疇を越えた商標使用である商品の広告と販売行為であって、請求人が取得している引用商標(福の神仙臺四郎)並びにその商標が指定する指定商品並びに類似商品(額入り書画・書画・額縁)を侵害する行為である。
(7)むすび
全国の販売者(卸問屋・小売店)更には需要者たる一般消費者は、請求人と被請求人更には有限会社こま屋の三社による商標または標章「福の神仙臺四郎」による同一又は類似の縁起物四郎グッズの販売により、一般市場(特に物産系市場)では商品の出所が同一営業主体の物だと混乱(誤認混同)しており、三社の仙台四郎商品が同一業者からの出所のものと混同されている状況である。
請求人としては、ここに被請求人の本件商標の登録並びに使用行為は、商標法第4条第1項第10号・同第11号・同第15号と商標法第8条並びに商標法第37条第1項第1号・同第2号の規定に該当するので、商標法第46条第1項の規定により無効にされるべき商標であることを要求する。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べている。
<理由>
請求人は、「福の神/仙台四郎」ないし「仙台四郎」標章及び引用商標に基づき、本件商標の登録を無効にすべき理由として、(a)商標法第4条第1項第10号、(b)同法同条第1項第11号、(c)同法同条第1項第15号、(d)同法第8条、(e)同法第37条第1項第1号、第2号を挙げている。
これらの根拠条文のうち、(a),(b),(d)は、指定商品が類似することが要件となっている。しかしながら、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品である「額入り書画,紙袋」と類似しない。指定商品が互いに類似しないことは、本件商標の指定商品の類似群コードが26D01,25B01であり、引用商標の指定商品の類似群コードが26B01,25A01であって、互いに重複しないことからも明らかである。従って、本件商標は、(a)商標法第4条第1項第10号、(b)同法同条第1項第11号、(d)同法第8条の規定に該当するものではない。
また、これらの根拠条文のうち、(c)商標法第4条第1項第15号は、「他人の業務にかかる商品または役務と混同を生ずるおそれがある商標」であることが要件となっている。しかしながら、引用商標は、周知著名ではなく、本件商標は「他人の業務にかかる商品または役務と混同を生ずるおそれがある商標」ではない。「仙台四郎」は、「福の神」として広く知られているが、商標として、引用商標の指定商品である「額入り書画,紙袋」との関係では周知著名ではない。従って、本件商標は、(c)商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものではない。
請求人が根拠条文として挙げる(e)同法第37条第1項第1号、第2号は、商標法第46条に列挙されておらず、無効理由ではない。従って、本件商標は、(e)同法第37条第1項第1号、第2号を理由に登録を無効とされることはない。なお、被請求人は、引用商標の商標権を侵害していない。
以上の通り、本件商標の登録は、無効理由を有しておらず、登録性を有するものである。

第4 当審の判断
1 引用商標等の著名性について
請求人は、「福の神/仙台四郎」ないし「仙台四郎」標章及び引用商標(以下、纏めて「引用商標等」という。)が本件商標の登録出願時には、需要者の間に広く認識されていた商標であった旨主張し、証拠を提出しているので、この点について検討する。
(1)請求人の提出に係る甲第3号証の商品カタログには、「福ノ神 仙臺四郎」の文字が表示されているが、その「福ノ神 仙臺四郎」の文字は、歴史上の人物と認められる「仙台四郎」(本名「芳賀四郎」)の人物像と一体となって、商品カタログに掲載されている「額入り書画」等(以下「使用商品」という。)の内容を表したものにすぎないから、その「福ノ神 仙臺四郎」の文字をもって、商品カタログに掲載されている使用商品の出所表示とは認められない。
(2)また、甲第7号証、甲第8号証及び甲第10号証等によれば、請求人の使用に係る使用商品が掲載されていた事実は認められるが、上記の証拠は、日付が不明なもの又は日付が手書きされたものであり、たとい日付の確認できるものであっても、それは請求人の使用商品に係る出所表示としての標識とはいい難く、むしろ、仙台の福の神としての「仙台四郎」に関する記事が掲載されているにすぎないというべきものである。
そして、甲第12号証ないし甲第17号証も、主として仙台の福の神としての「仙台四郎」に関する掲載内容とみられるものである。
(3)そうすると、請求人の提出に係る証拠によっては、仙台の福の神としての「仙台四郎」に関するものという以上に、引用商標等が本件商標の登録出願時に請求人の業務に係る使用商品の商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標の指定商品「写真立て,文房具類」は、引用商標の指定商品「紙袋,額入り書画」とは、その生産部門、販売部門、品質及び用途等が一致していないものであるから、両者は互いに非類似の商品といわざるを得ない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、商標において類似するとしても、上記のとおり商品において類似しないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
請求人は、「福の神/仙台四郎」ないし「仙台四郎」標章が広く認識されていたことを前提としているが、上述したように、「福の神/仙台四郎」ないし「仙台四郎」標章及び引用商標は、本件商標の登録出願時には取引者、需要者間に特定事業者等の商品の出所を表示するものとして、広く認識されていたものとは認められない。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、取引者、需要者が請求人の使用に係るものとしての引用商標等を直ちに連想又は想起するとはいい難いから、当該商品が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
4 結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号のいずれの規定にも違反して登録されたものではなく、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
なお、請求人は、本件商標が商標法第8条に該当する商標の便乗使用である旨述べているが、本条の趣旨は商標登録出願が競合した場合についての規定である。また、請求人は、本件商標が商標法第32条及び同法第37条第1項第1号、同第2号に、さらに、平成15年11月26日付けの弁駁書において、著作権法に該当する旨述べているが、これら商標法の各条項及び著作権法に関しては、商標法第46条第1項に規定の各号の一といい得ず、その商標登録を無効とすることについて審判の請求はできないものである。したがって、これら点に関する請求人の主張は採用の限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 <後掲>
引用商標


審理終結日 2004-06-11 
結審通知日 2004-06-15 
審決日 2004-06-29 
出願番号 商願平10-96524 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (Z16)
T 1 11・ 26- Y (Z16)
T 1 11・ 25- Y (Z16)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 高野 義三
内山 進
登録日 2000-03-10 
登録番号 商標登録第4366729号(T4366729) 
商標の称呼 センダイシロー、シロー 
代理人 須田 篤 
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