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審決分類 |
審判 一部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y41 審判 一部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y41 |
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管理番号 | 1102964 |
審判番号 | 無効2003-35405 |
総通号数 | 58 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2004-10-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2003-09-29 |
確定日 | 2004-08-09 |
事件の表示 | 上記当事者間における登録第4630781号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4630781号商標の指定商品中「技芸・スポーツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4630781号商標(以下「本件商標」という。)は、「スピード ラーニング」の片仮名文字と「SPEED LEARNING」の欧文字とを上下二段に表してなり、平成14年1月23日に登録出願され、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,当せん金付証票の発売,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその付属品の貸与,映写フイルムの貸与,楽器の貸与,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与」を指定役務として、平成14年12月20日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 1.請求の理由 (1)利害関係について 請求人は、1989年6月、独自の理論に基づいて開発した英語学習教材に「スピードラーニング」という商標を付して販売を開始し、現在もその販売を継続している。また、請求人は、「スピードラーニング」の片仮名文字を横書きした商標について第41類に属する役務等を指定した商標登録出願を行い(商願2003-020075号)、この出願に係る商標が本件商標と抵触するものであるとの拒絶理由を含む拒絶理由通知を平成15年8月22日に受領しているから、請求人はる利害関係を有するものである。 (2)商標法第3条第1号第3号及び同法第4条第1号第16号について本件商標は、「スピード(SPEED)」と「ラーニング(LEARNING)」の2つの単語からなる。「スピード」なる英単語の本来の意味は「速度」や「速さ」といったものであり、「速い」といったような形容詞的意味合いは有していないが、「スピード写真」、「スピードくじ」、「スピード印刷」といった用法にも見られるように、我が国では「即効性がある」といった意味合いを持たせる意図で「スピード」という単語を接頭語的に用いることがよくある。 一方、「ラーニング(LEARNING)」は、「学ぶ」を意味する動詞「LEARN」を名詞化したものであり、これが「学ぶこと」や「学習」といった意味になることは一般に広く知られるところである。 以上のとおり、「スピードラーニング(SPEED LEARNING)」なる商標からは「即効性のある学習」といった観念が生じると考えるのが相当であるから、本件商標の指定役務中、「即効性のある学習法に関する知識の教授,即効性のある学習法に関する図書及び記録の供覧,即効性のある学習法に関する図書の貸与,即効性のある学習法に関するレコード又は録音済み磁気テープの貸与,即効性のある学習法に関する録画済み磁気テープの貸与,即効性のある学習法に関するおもちゃの貸与」に本件商標を使用する場合、単に役務の質を表示するにすぎず出所識別標識としての機能を果たし得ないことから商標法第3条第1項第3号に該当する。また、上記以外の役務に使用する場合、需要者をして役務の質を誤認せしめることから商標法第4条第1項第16号に該当する。 (3)上述した拒絶理由にも「本願商標は、全体として『速力のある学問』程度の意味合いを認識させる『スピードラーニング』の片仮名文字を書してなるところ、近年、『速学習』『高速学習』『超速学習』等と称して、視覚や聴覚を利用し右脳を刺激して、速読・速解等を行なう学習法を行い用いている知識の教授が存在することは、需要者・取引者間では周知の事実であるから、これをその指定商品及び指定役務中、『速力のある学習方法に用いる電気通信機械器具,速力の学習方法に関するプログラムを記憶させた記憶媒体,速力のある学習方法に用いる電子応用機械器具,速力のある学習方法に関するレコード,速力のある学習方法に用いる学習方法用の映写フィルム,速力のある学習方法に関する録画済みビデオディスク・ビデオテープ,速力のある学習方法に関する電子出版物,速力のある学習方法に関する印刷物,速力のある学習方法に関する知識の教授,速力のある学習方法に関するセミナーの企画・運営又は開催,速力のある学習方法に関する電子出版物の提供,速力のある学習方法に関する図書及び記録の供覧,速力のある学習方法に関する書籍の制作,速力のある学習方法に関する教育ビデオの制作,速力のある学習方法に関する図書の貸与,速力のある学習方法に関するレコード又は録音済み磁気テープの貸与・録音済みコンパクトディスクの貸与,速力のある学習方法に関する録画済み磁気テープの貸与・録画済み磁気ビデオディスクの貸与」に使用しても、単に商品の品質及び役務の質を表示するにすぎず、商品及び役務の出所識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品及び役務に使用するときは商品の品質及び役務の質の誤認を生じさせるおそれがあることから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」と示されている。 請求人は、審査官と面談し、この拒絶理由の根拠を問うたところ、「SPEEDLEARNING」が高速学習法の1つを示す名称であることを明示した外国のサイトが存在する旨の指摘を受けた。そこで、検索エンジン「Google」を用いて「SPEEDLEARNING」を検索キーとして検索を行なったところ、確かにそのような説明を掲載した英文のサイトが存在することを確認したため(http:www.worldofolternatives.com/speed-learnig.htm 甲第3号証)、商標法第3条第1項第3号に該当するとの判断に承服した。 さらに、請求人は、平成1年11月8日にも、「スピードラーニング」の片仮名文字と「SPEED LEARNING」の欧文字とを2段に横書きしてなる商標について玩具及び録音済みカセットテープ等を指定商品とした出願を行っており、同出願は拒絶の処分を受けている。この出願について庁審査官より通知された拒絶理由(発送日平成3年4月12日)は「本願商標は、『早く学べること』を直感させる『SPEED LEARNING』の文字と『スピードラーニング』の文字を2段に書してなるところ、指定商品との関係においては、教育用おもちゃや語学学習用の録音済みテープなどの商品、あるいは運道具においても上達を目的とした練習用の商品があるから、これをその指定商品に使用するときは単に商品の品質を表示するにすぎない。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」(甲第4号証) 以上の事実によれば、「スピードラーニング」及びこれを欧文字表記したにすぎない「SPEED LEARNING」は、少なくとも上記に列挙したような役務に使用する限り、単なる役務の質を表示するにすぎない、あるいは役務の質を誤認させる表示であるにすぎないとるすのが庁の一貫した判断であるとするのが相当である。 (4)とすれば、本件商標が「スピードラーニング」の片仮名文字と「SPEE DLEARNING」の欧文字とを2段に横書きしてなり、かつその指定役務中に「技芸・スポーツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与」を含む本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、商標法第46条第1項の規定によって無効とされるべきである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、本件の審判請求について、答弁しない。 第5 当審の判断 本件商標は、上記のとおり「スピード ラーニング」と「SPEED LEARNING」の文字とを上下二段に表してなるところ、近時、録音テープ又はCDを利用した聴覚による速読・速解等を行なう学習法が存在することは、この種需要者・取引者間では周知の事実であるといえるから、本件商標よりは全体として「手早くできる学習」程度の意味合いを認識させるものとみて差し支えない。そして、本件商標の登録異議申立(異議2003-90156)において、請求人(異議申立人)の提出した証拠によれば、請求人は、自己の販売する英語学習教材に「スピード ラーニング(SPEED LEARNING)」を使用し、1989年以降、本件商標が登録されるまでに新聞(全国紙、地方紙、スポーツ新聞)、週刊誌等を通じて、この商品について相当多量の宣伝広告を継続して行った事実が認められる。 しかし、「スピード ラーニング」及び「SPEED LEARNING」の文字は、速読・速解等を行なう学習法ないし学習教材との関係において上述のとおり「手早くできる学習」との意味を容易に想起させるものと認められ、本来的に自他商品の識別機能が強いというほどのものではない。そして、請求人の英語学習教材の宣伝広告においても、「高速英語学習法『スピードラーニング』」などと英語学習方法であるかのような説明も多くなされており、また、広告中の「スピードラーニング」の文字も通常の書体により表されているものであって、括弧内に記載されている場合が多いがそうでない場合もあり、格別に需要者の注意を惹く態様のものではなく、加えて、請求人以外の事業者においても英語学習方法の一として「スピード ラーニング(SPEED LEARNING)」の文字が使用されている実情が窺える。 してみれば、「スピード ラーニング」及び「SPEED LEARNING」の文字により構成される本件商標は、その指定役務中の学習に関する「知識の教授,図書及び記録の供覧,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与」に使用する場合、「手早くできる学習」との意味合いを理解し、速読・速解等を行なう学習法ないし学習教材を認識するに止まるもの、すなわち、単に役務の質を表示するにすぎず、最早、自他役務の識別標識として機能しないといわざるを得ない。また、語学学習に関する上記以外の「知識の教授,図書及び記録の供覧,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与」に使用する場合、需要者をして役務の質を誤認させるおそれがあるというべきである。 したがって、本件商標は、その指定役務中の「知識の教授,図書及び記録の供覧,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-06-08 |
結審通知日 | 2004-06-09 |
審決日 | 2004-06-28 |
出願番号 | 商願2002-4128(T2002-4128) |
審決分類 |
T
1
12・
272-
Z
(Y41)
T 1 12・ 13- Z (Y41) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 大渕 敏雄 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
高野 義三 椎名 実 |
登録日 | 2002-12-20 |
登録番号 | 商標登録第4630781号(T4630781) |
商標の称呼 | スピードラーニング、スピード |
代理人 | 千ヶ崎 茂樹 |
代理人 | 松本 隆 |
代理人 | 川▲崎▼ 研二 |