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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z15
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z15
管理番号 1101657 
審判番号 不服2001-17249 
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-09-27 
確定日 2004-08-04 
事件の表示 商願2000- 95724拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「JUNIOR KIT」の文字(標準文字による。)を書してなり、願書記載のとおりの商品を指定商品とし、平成12年8月31日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同13年7月18日及び同13年9月27日付け手続補正書をもって、第15類「楽器(弦楽器を除く。),演奏補助品,音さ,調律機」と補正されたものである。

第2 当審において通知した審尋
当審において、本願について改めて証拠調べを行った結果、本願商標をなお、商標法第3条第1項第3号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、商標法第56条において準用する特許法第150条の規定により、請求人に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した審尋書の内容は以下のとおりである。
本願商標は、「JUNIOR」の文字と「KIT」の文字とを1文字程度の間隔を空けて書してなるものであるから、2語からなるものであること明らかであり、「JUNIOR」は「年少者向きの、小型の、下級の」等を、「KIT」は「道具一式」等をそれぞれ意味する英語として一般に親しまれているところ、本願商標の識別性に関して職権で証拠調べを行った結果、以下の事実を発見した。
該事実によれば、本願商標の指定商品を取り扱う業界においては、商品の宣伝・広告等に「JUNIOR」、「KIT」の各文字、または、これらの外来語である「ジュニア」、「キット」の各文字が広く使用されていると認めることができる。
そうすると、本願商標の指定商品は、平成13年7月18日及び同13年9月27日付け手続補正書により、第15類「楽器(弦楽器を除く。),演奏補助品,音さ,調律機」と補正されているものであるが、本願商標は、これを補正後の指定商品中「年少者向けの楽器,小型の楽器」に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、「年少者向けまたは小型の道具一式」の意味合いを容易に認識し、商品の品質等を表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、かつ、これを前記した商品以外の商品に使用した場合には、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。

1.「ジュニアキット」の語について
「これはパールのドラムの中で一番安いクラスのセットです。ジュニアキットとしてラインナップされていたんですが、大人がjazzやる時にも丁度良いのです。」
(http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sakura/8053/siro.html)

2.「JUNIOR」、「ジュニア」の語について
(1)「JUNIOR Series ジュニア・シリーズは、スイスのアルペン音楽や、ポップスやロックバンドの軽快なライブに、ソプラノの高音が映える音質と持ち運びの便利さで人気です。軽量で、ジュニア・クラスや女性にも扱いやすいサイズでビギナー用として最適です。」
(http://www.xanadu.co.jp/H-junior.html)
(2)「ジュニアシリーズ For juniors ジュニアマリンバ ジュニアメタロフォン」
(http://www.saitogakki.co.jp/junior.htm)
(3)「ジュニアドラムセット リズムのレッスンにもってこいの練習用ジュニアドラムです。」
(http://web.infoweb.ne.jp/b_b_s/musical_instrument/Jr-drum_set.html)
(4)「ジュニアドラムセット」
(http://www.musiclabo.com/new/beginner/Drum/MX50.htm)
(5)「かわいいミニドラムセットです。単なるミニチュアセットではなく、しっかりしたサウンドが楽しめます! ラディックジュニアドラムセット」
(http://www.izutsugakki.com/dagakki/ljr105.html)

3.「KIT」、「キット」の語について
(1)「オプションKIT付き5点セット」
(http://www.gakkidonya.com/html_ex/ht513_26.html)
(2)「Training Kitsまた、基本をしっかり練習できるパール練習キットに、椅子・スティック・教則ビデオをセットしたオリジナルセット(TK-134CPH)をご用意致しました。」
(http://www.34musicstore.co.jp/catalog/drum/pearl/main.html)
(3)「Drum Kit」
(http://www.canopusdrums.com/Japanese/HTML/set-J.html)
(4)「TAMA Training Kit(Power Tower) ペダルキットを追加すれば2バストレーニングもOK! ●追加ペダルキット ●追加シンバルキット」
(http://34musicstore.co.jp/cgi/view.cgi?log=log18)
(6)「コストパフォーマンスの高いVドラムキットTD―8Kがリニューアルした。」
(http://www.musictrades.co.jp/products/2001_12/3.htm)
(7)「メッシュヘッドを張った練習用キットです。」
(http://www.rakuten.co.jp/meikyokudo/455392/)
(8)「世界的なスタンダード・クラリネット、ビトークラリネットが『トライアルキット7000αシリーズ』となって新発売!」
(http://www.global-inst.co.jp/products/clarinet/vito.html)
(9)「商品名:MAXTONE トレーニングドラムセット用2BASSキット トレーニングドラム用の2BASSキットです。」
(http://www.be-s.co.jp/MusicalIns/Percussion/Top.html)

第3 審尋に対する請求人の回答
請求人は、平成16年1月14日付け意見書をもって、当審が示した前記審尋に対し、要旨次のように意見、回答を述べ、反論している。
1 本願商標は、「JUNIOR KIT」の欧文字からなる構成で、この「JUNIOR KIT」から「年少者向けまたは小型の道具一式」という意が看取されたとしても、この意味合いは意味不明な抽象的概念であって、これが具体的商品の品質等を直接的に記述していない。
さらに、本願指定商品中、例えば「楽器(弦楽器を除く。)」に関して、「JUNIOR KIT」というような一般的用途用法例を未だかって見聞したこともないから、該文字が商品の品質等を直接表示したものと理解されることはない。
2 本願商標を構成する「JUNIOR」が「年少者向きの、小型の、下級の」等を意味し、「KIT」が「道具一式」等を意味するが、これを結合した「JUNIOR KIT」が指定商品につき品質等の表示として普通に採択使用されてはいない以上、これに接する需要者取引者がこれより直ちに「年少者向けまたは小型の道具一式」→「年少者向けの楽器、小型の楽器については品質表示」であるという観念の直感連想作用が生ずることはない。
したがって、「JUNIOR KIT」から「年少者向けまたは小型の道具一式」という抽象的概念を看取させるに止まるから、これが商品の品質表示と受け取られることはなく、「JUNIOR KIT」印の商標として理解され認識されるとするのが自然である。
3 審尋において、前記の事実を発見したとしているが、本願商標の「JUNIOR KIT」またはそのカナ表記「ジュニアキット」の各文字の使用例として審尋において言及しいるのは、唯一個人のホームページ「どらむー考」の下位ページにおける「これはパールのドラムの中で一番安いクラスのセットです。ジュニアキットとしてラインナップされていたんですが、大人がjazzやる時にも丁度良いのです。」という記述(審尋の1.)のみである。
また、この記述における「ジュニアキット」が具体的に何を指すのか(商標なのか品質等の表示か、品質等の表示であれば具体的にいかなる商品を指すのか)が全く明らかではないから、この事例をもって、「JUNIOR KIT」が業界において品質等を表示するものとして普通に用いられているということは到底できない。
さらに、審尋にて示されているウェブサイトにおける事例は、1の事例を除いて「JUNIOR/ジュニア」または「KIT/キット」の語が他の語と結合して使用されているものであり、「JUNIOR KIT」が品質等を表示するものとして普通に用いられているか否かとは直接には関係がないものである。
4 近年、個人作成のものを含めて爆発的に増加しているウェブサイトにあって、審尋において言及された計15例をもって、業界において広く使用されているか否かを判断することは早計と思われる。
5 以上のとおり、本願商標はその指定商品中いずれに使用するも、自他商品の識別機能を十分に具備しているものであるから、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号には該当しない。

第4 当審の判断
本願商標について、当審においてした証拠調べ結果に基づく上記審尋は妥当なものであって、その認定の不当性を述べる請求人の主張は以下の理由により、いずれも採用の限りでなく、さきの認定を覆すに足りない。
本願商標は、前記1のとおりの構成よりなるところ、本願商標の前半の「JUNIOR」の文字部分は、「年少の、下級の、年少者向きの、」を意味する英語として親しまれているものである。また、後半の「KIT」の文字は「道具一式」を意味する英語として親しまれているものであるから、全体をして「年少者向けの小型の道具一式」を認識するものである。
そして、本願指定商品を取り扱う業界おいて、「JUNIOR KIT」を片仮名で表したものと認められる「ジュニアキット」の文字が前記第2の審尋書の「1.」において「これはパールのドラムの中で一番安いクラスのセットです。ジュニアキットとしてラインナップされていたんですが、大人がjazzやる時にも丁度良いのです。」と記載され、暗に当該商品が「年少者向けの、小型のドラム」であることを示していること、同じく審尋書の「2.」において、「JUNIOR」及び「ジュニア」の文字が広く使用され、認識されているとともに、ジュニア(年少者)用の商品が開発、商品化され、かつ、該商品であることを特徴とした宣伝・販売が広く行われていること、同じく審尋書の「3.」において、「KIT」「キット」の文字が「道具一式」を意味するものとして取引上普通に使用されていることが認められる。
以上よりすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、上記実情からしても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「年少者向けの小型の道具一式」であると認識し、商品の品質を表示したものと理解するにとどまるものであるから、本願商標は、結局、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
また、本願商標を前記に照応する商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
なお、請求人は、「『JUNIOR KIT』の文字が、指定商品について商品の品質等を表すものとして普通に採択使用されておらず、また、ウェブサイト上の15例をもって業界において広く使用されているか否かを判断することは早計である。」旨主張するが、商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきであるから、この点の請求人の主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-04-21 
結審通知日 2004-05-14 
審決日 2004-05-31 
出願番号 商願2000-95724(T2000-95724) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z15)
T 1 8・ 272- Z (Z15)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 修 
特許庁審判長 小川 有三
特許庁審判官 早川 文宏
岩内 三夫
商標の称呼 ジュニアキット 
代理人 秋元 輝雄 

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