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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200589039 審決 商標
無効200589076 審決 商標
無効200489106 審決 商標
無効200589025 審決 商標
取消200230492 審決 商標

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審決分類 審判 全部取消 商53条使用権者の不正使用による取消し 無効としない 025
管理番号 1101634 
審判番号 取消2001-31305 
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-09-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-11-19 
確定日 2004-08-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第3340430号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3340430号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成7年7月17日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成9年8月15日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第28号証(枝番を含む。)を提出している。
1 請求の理由
(1)本件商標は、アルファベット大文字で「USBEAR」と書してなるところ、その通常使用権者が指定商品について登録商標に類似する商標の使用をすることによって、請求人の業務に係る商品と混同を生ずる行為をしているので、その登録を取り消されるべきものである。
以下にその理由を詳述する。
(2)被請求人は、上掲の「USBEAR」なる商標を、岐阜県本巣郡穂積町生津204番地の2所在の株式会社岐阜武に、その指定商品中「メンズアダルトアウター」について、平成12年1月24日付けで通常使用権の許諾をしている(甲第2及び第3号証)。
しかし、ここで注目すべきことは、被請求人は、本件商標が上掲のように「USBEAR」と書してなるに拘わらず、「USABEAR」と表示している。
これは、被請求人が、本件商標が「米国」を意味する「US」と「熊」を意味する「BEAR」を結合してなるところ、「US」は「UNITED STATES」の頭文字であり、「米国」を意味するも、「UNITED STATES OF AMERICA」と同義なので、「米国」の意味であることを明確に表示するために、「USBEAR」を「USABEAR」と変更使用したものと容易に認識される。
しかし、「US」は「UITED STATES」の頭文字を意味すると同時に、英語上「我々に」の意味も看取される一面がなくもない。つまり、本件商標からは、主として「アメリカ産のBEAR印」の意味が看取される一方、「熊を我々に」という意味合いにも看取されるといえよう。
そうであるとすれば、本件商標を「USABEAR」と変更使用することは、適正に登録商標を使用したものとは解されないものである。
(3)被請求人は、登録第4345622号商標「USABEAR/アズエーベー」の使用許諾を株式会社岐阜武に手渡している(甲第4号証中別紙(2))。
しかし、当該使用許諾は本件商標の類似範囲の使用とも認識されるから、本件商標を変更使用しているとも解されるものである。
被請求人は、使用権者に「USABEAR」を含む商標3件も使用許諾している(甲第4号証中別紙(1))。
被請求人との使用権許諾により使用権者は本件商標を変形した商標を商品「ジャケット」に使用している(甲第5号証)。
しかし、正確にいえば、本件商標と同一性のある商標についてしか使用許諾をする法的権限はないのである。
本件商標以外の商標については、使用許諾をするのではなく、単に黙認をするにすぎない。登録商標と類似範囲の商標の使用を黙認してもよい場合は、その類似範囲の使用が他人の登録商標に抵触しない場合においてのみ事実上認められるにすぎないものである。
しかし、被請求人が使用黙認させている範囲の使用が、請求人の業務に係る商品と混同を生じるから本件問題が生じているのである。
(4)請求人は、登録第2667318号商標、登録第4298088号商標、登録第4287330号商標、登録第4419412号商標及び登録第4345512号商標(甲第6ないし第10号証)のような登録商標を所有して、且つ使用している。
請求人は、平成9年頃から上掲の各登録商標を使用した「ジャケット、ティーシャツ」などを日本に輸出しているところ(甲第11ないし第14号証)、被請求人の使用権者が本件商標を変更して同じ「ジャケット」に使用したため、日本での輸入業者、小売業者及び一般消費者の間では、請求人の「ジャケット」と混同を生じており、市場に混乱を起こしてきたものである。
請求人は、このような類似商品が出回り、商品流通業界に多大な迷惑・被害を受けているので、取引者・消費者に注意を喚起するため、業界新聞「繊研新聞」に偽物に注意するよう呼びかけた(甲第15号証)。
さらに、請求人は、平成12年10月19日付けで書留内容証明郵便物として警告書を被請求人の使用権者に送付した(甲第16号証)。
同時に、被請求人を債務者とし、商標権侵害に基づく差し止め仮処分申請を平成12年10月18日付提出した(甲第17号証)。
請求人は、前記仮処分申請書の中で、請求人の各登録商標が「ベアー」と称呼され、「熊」と観念され、被請求人の使用権者が使用する「USABEAR」は、その中「USA」が商品の産地表示を意味するにすぎず、自他識別機能を発揮しないから、後半の「BEAR」が商標として機能するため、これより「ベアー」の称呼及び「熊」の観念が生ずる旨述べた。
被請求人の代理人は、本件商標を「USABEAR」と使用しても、社会通念上登録商標と同一性の範囲の使用と認められる旨の見解書を出しているが、本件商標は、それ自体をみても、「USABEAR」の部分が「アズエーべー」と発音することが不可能である。「米国」を意味する「USA」と「熊」を意味する「BEAR」を結合してなる商標と直感されるから、「ユーエスエーベアー」と発音されるものである。
いわんや、「USABEAR」だけを抽出して使用された場合には、当然「ユーエスエーベアー」と発音され、且つ、「USA」は自他商品識別機能を発揮しないから、請求人の各登録商標と同様に「ベアー(熊)」と称呼、観念されるものである。
この件に関しては、被請求人の代理人の見解書(甲第4号証)でも、「『USA』の文字は、識別力を有しない文字である。」と述べているから、本件商標が「ベアー」と略称され、「熊」と観念されることを容認しているものである。
したがって、被請求人による「USABEAR」の「ジャケット」等への使用が「USBEAR」の変更使用と認識され、且つ、請求人の業務に係わる商品と出所の混同を生じさせる行為になるものである。
しかるところ、岐阜地方裁判所からは、請求人の主張を全面的に認めた決定が平成13年6月25日に出された(甲第18号証)。
(5)したがって、本件商標は、いわゆる使用権者による登録商標の変更使用(不正使用)のため、請求人の業務に係る商品と混同を生ずる行為をしたことになると同時に、被請求人は、本件商標を積極的に変更使用をさせたものであるから、使用権者が変更商標を使用することを知悉していたことは多言を要しないところであり、弁解の余地はない(甲第4号証)。
以上の次第で、本件商標は、商標法第53条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、株式会社岐阜武に本件商標の使用許諾をしていない旨主張している。また、本件商標中「US」が「アメリカ産」を意味するものでもない旨主張している。
しかし、被請求人は、他の使用権者である株式会社トーヨーに使用許諾をしているが、その使用の仕方は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずる恐れが多分に存するので、以下その点について述べる。
(2)すなわち、請求人は、本件商標登録に対し、別途不使用に基づく取消審判請求(取消2001-31222審判事件、以下、単に「取消審判」という。)をしているところ、被請求人から証拠資料なるものが提出されたが、不正な変更使用と目されるものが散見されるものである。
たとえば、甲第19(前記取消審判請求書では乙第1、以下証拠資料の括弧内は同請求書での号数)、第20(第8)、第21(第9)、第22(第10)、第23(第11)、第24(第12)、第25(第13)、第26号証(第15号証)で提出された資料をみると、そこに表示された本件商標は「US」と「BEAR」が分離して書されているから、「US」すなわち「米国産」の「BEAR」印の商標と看取されるものである。殊に、甲第26号証(乙第15号証)においては、「US」の次に黒丸が付され、「US.BEAR」と表示されているがごときは完全に請求人の業務の商品に近づけた不正な使用であることが明白である。
さらに、甲第27号証(乙第16号証)では、本件商標を「熊」とおぼしき図案と結合して使用し、且つ、上段に大きく「アメリカ生まれのカジュアルブランド日本に上陸」を表示していることと併せて考えても、「USBEAR」(ここでも「US」と「BEAR」の間が若干分離して表示されている。)は、「米国産のベア(熊)」印の商品という意味合いに看取されるものである。
被請求人は、「米国」を意味する場合には「U.S.」と表示される旨主張するも、現に被請求人は、同じ甲第20号証(乙第8号証)の中の「見積原価」に、「US$.40」と表記しているのである。これは明らかに「US」だけで「U.S.」すなわち「米国」を意味すると充分に知悉していることを証明するものである。
また、外来語辞典をみても、「US」だけで「United States」すなわち、「米国」を意味することは明白である(甲第28号証)。
そうであるとすれば、本件商標は、同書、同大、同色で一連不可分に書されてなるにもかかわらず、「US」と「BEAR」を分離使用してなり、請求人の「BEAR」「ベア」(熊)を要部とする商標を使用した商品と出所の混同を生ずる恐れが多分に存するものというべきである。
さらに、被請求人は、使用権許諾をしているわけであるから、使用権者のこのような不正使用の事実を知らなかったといえないことは明白である。
(3)以上の次第で、本件商標は、登録商標を忠実に使用せず、変更使用した結果、請求人の業務に係る商品と混同を生じ、請求人、請求人の商品の取引者、一般消費者は迷惑をしているものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第10号証を提出している。
1 請求人は、本件商標は、「USBEAR」と書してなるところ、その通常使用権者が指定商品について、登録商標に類似する商標の使用をすることによって、請求人の業務に係る商品と混同を生ずる行為をしているので、その登録は商標法第53条第1項の規定により取り消されるべきものと主張している。
しかしながら、被請求人は、以下述べる理由により請求人の主張事実を認めることはできない。
(1)本件商標の構成は、「USBEAR」の欧文字を横書きしたものである。
ところで、請求人は、被請求人が本件商標について株式会社岐阜武に通常使用権を許諾していると主張している。
しかしながら、甲第2及び第3号証に示された商標は、全く別の商標(登録第4345622号)であり、本件商標について、被請求人は通常使用権を許諾した事実は全くない。
(2)株式会社岐阜武が使用している図と一体となった商標(甲第5号証)は、本件商標と何等類似する商標ではない。
まず、本件商標は、一連不可分の商標であり、請求人が主張するように、「US」の部分が「アメリカ産」を表示するものではない。
即ち、請求人が主張する「UNITED STATES」を「US」で表す場合には、「U.S.」と表すのが一般的であり、しかも本件商標のように、「US」と他の文字を一連に表示することはない。
請求人の主張のとおり、本件商標の「US」が「アメリカ産」を表示するとすれば、当然指定商品も「アメリカ産の被服,アメリカ産のガーター,アメリカ産の靴下止め…」というようになる筈であるが、そのような事実もない。
さらに、本件商標は、「アスベア」というような一般的な称呼も生じるものであり、何等「アメリカ産」を表示するものではない。
このため、本件商標は一連の造語と捉えるのが一般的であり、株式会社岐阜武が使用している商標と観念上非類似であるばかりか、称呼上も明らかに非類似である。
また、株式会社岐阜武が使用している商標は、図と一体となっていることから、外観上も明らかに非類似である。
(3)以上述べたように、被請求人は、株式会社岐阜武に本件商標の通常使用権を許諾した事実は全くない。
また、本件商標と株式会社岐阜武の使用している商標とは、何等類似する商標でもない。
このため、請求人の業務に係る商品と混同を生じさせたか否かを検討するまでもなく、本件商標の取消については、商標法第53条第1項の要件を満たすものではない。
2 弁駁に対する答弁
請求人は、使用権者である株式会社トーヨーの使用は、不正な変更使用であると主張している。
しかしながら、被請求人は、以下述べる理由により請求人の主張事実を認めることはできない。
(1)請求人は、前記、取消審判の証拠が「US」と「BEAR」が分離されていると主張している。
しかし、請求人の主張する証拠は、手書きされた納品書や請求書等を根拠に両語が分離していると主張しているものにすぎない。
取消審判の証拠は、他にも実際に使用されている商品やラベルの写真、製品発注書等が証拠として提出されており、それらを見れば、請求人の主張が正しくないことは明らかである。
請求人の主張は、自己に都合のよさそうな証拠のみを、わざわざ抽出しており、不当なものである。
そこで、被請求人は、取消審判の答弁書の写しを乙第1号証として提出する。
納品書や請求書は、担当者がたまたま間を開けてしまったものであり、これのみをもって、不正な変更使用とは到底考えられないものである。
即ち、実際に市場に流通している商品は、前記商品やラベルの写真、製品発注書にあるような一連の表示のものであり、「US」と「BEAR」が分離した状態で流通しているものではない。
また、甲第27号証の広告を見ても、「US」と「BEAR」が分離しているとは到底考えられない。
このように、被請求人の通常使用権者は、本件商標を忠実に使用しているものであり、何等変更使用しているものではない。
(2)請求人の有する商標は、下記のように問題点を有するものであり、請求人の業務に係る商品と混同を生ずると主張すること自体、不当であると考えられるものである。
ア.甲第6号証「BeaR」登録第2667318号
東京高裁の判決(平成12年(ネ)第6252号 乙第2号証)によれば、「BeaR」は、特異な綴り(特に、末尾の「R」が大文字で強調されている)であり、英語の通常の表記とは異なるユニークな配列、表記である点で自他商品識別能力を具備し得たもので、「Bea」と「R」を組み合わせたか、又は「B」と「R」との間に「ea」を挟んだ造語ないし何等かの略称であると見ることも可能であり、「ベアー」の称呼及び「熊」の観念が確定的に生じるということはできないと判断している。 即ち、権利範囲が非常に狭いことを指摘している。
イ.甲第7ないし第10号証
上記乙第2号証の判決と同じ趣旨で「BeaR」の権利範囲が狭いことから、下記の他人の商標が無効でないと判断した判決が出ている。
登録第3335699号 (乙第3号証)
登録第3335700号 (乙第4号証)
平成13年(行ケ)第395号(乙第5号証)
平成13年(行ケ)第396号(乙第6号証)
このため、甲第7ないし第10号証の商標には、先願で明らかな類似商標である乙第3及び第4号証の商標が存在するため、本来無効理由が存在するものである。
甲第7ないし第10号証の商標には、下記に示すように、現に異議申立て、無効審判、審決取消訴訟などが請求されており、無効にされる可能性が極めて大きいものである。
登録第4298088号特許電子図書館資料(乙第7号証)
登録第4287330号特許電子図書館資料(乙第8号証)
登録第4419412号特許電子図書館資料(乙第9号証)
登録第4345512号特許電子図書館資料(乙第10号証)
このように、権利範囲が非常に狭い甲第6号証の商標が存在しても、その業務に係る商品と混同を生ずるとは考えられない。
また、甲第7号証ないし甲第10号証の商標自体、本来無効理由を有し、他人の乙第3号証及び乙第4号証の商標の権利者との間でこそ混同を生ずるというべきものである。

第4 当審の判断
1 通常使用権者について
被請求人の提出に係る乙第1号証(前記、取消審判の答弁書)中の商標使用許諾契約書(請求人の提出に係る証拠においては、甲第19及び第22号証)によれば、被請求人は、株式会社トーヨー及び株式会社サンフォードと商標の使用許諾に関する契約を締結していた事実が認められ、株式会社トーヨー及び株式会社サンフォード(以下「通常使用権者」という。)は、いずれも本件商標に関する通常使用権者であると認めることができる。
2 通常使用権者の使用商標とその使用事実
乙第1号証中の、以下のア.ないしカ.の「商標の使用の事実を示す書類」よりすれば、本件商標と同一態様からなる商標、別掲(2)のとおり、ややデザイン化した「USBEAR」の文字からなる商標(以下「通常使用権者使用A商標」という。)、別掲(3)のとおり「US BEAR」の文字からなる商標(以下「通常使用権者使用B商標」という。)及び別掲(4)のとおり「US.BEAR」の文字からなる商標(以下「通常使用権者使用C商標」という。)の商標がそれぞれ記載されていることから、通常使用権者は、本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用AないしC商標を使用していた事実が認められる。
また、上記証拠によれば、本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用AないしC商標を使用した商品は、「ティーシャツ」である事実を認めることができる。そして、本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用AないしC商標を使用した商品「ティーシャツ」は、本件商標の指定商品中の「被服」に含まれる商品と認められる。
ア.登録商標の使用説明書(2)のNO 95006ー14が表示された下げ札、タッグ及び「ティーシャツ」自体に本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用A商標が付された商品写真6葉
イ.登録商標の使用説明書(3)のNO 95007-14が表示された下げ札、タッグ及び「ティーシャツ」自体に本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用A商標が付された商品写真6葉
ウ.品番95006-14、品名 横附属使い刺繍入りTシャツ、ネーム「USBEAR」と記載され、デザイン画中に本件商標と同一態様からなる商標が表示されている98年12月17日付けの株式会社トーヨーの製品発注書
エ.品番95007-14、品名 切替ラグラン刺繍入りTシャツ、ネーム「USBEAR」と記載され、デザイン画中に本件商標と同一態様からなる商標が表示されている98年12月17日付けの株式会社トーヨーの製品発注書
オ.登録商標の使用説明書(4)ないし(6)の品番2114 品名 「US BEAR」(通常使用権者使用B商標)2セットと記載された01年04月26日付けの株式会社サンフォードの納品書(控)、同(7)のNO.2114が表示された下げ札及び「ティーシャツ」自体に本件商標と同一態様からなる商標が付された商品写真4葉
カ.商品名「US.BEAR」(通常使用権者使用C商標)と記載された株式会社サンフォード宛の売上請求書
3 請求人の業務に係る商品との混同について
請求人の主張の理由及び甲第11ないし第14号証(雑誌「BOON」1996年10月号、雑誌「COOL」1999年11月号、雑誌「COOL」1999年12月号及び請求人の登録商標が使用された「ジャケット」)によれば、別掲(5)のとおりの構成よりなる商標(以下「請求人使用商標」という。)を付した請求人の販売に係るジャケットが、雑誌に宣伝広告されていた等の事実が認められる。そして、請求人使用商標は、その構成に照らし、「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生ずるものである。
他方、被請求人の提出に係る上記2のア.ないしオ.の「商標の使用の事実を示す書類」を総合勘案すれば、通常使用権者使用A及びB商標は、その使用態様に照らし、本件商標と社会通念上同一と認められるものであり、通常使用権者は、本件商標と同一態様からなる商標及び本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、指定商品「被服」に含まれる「ティーシャツ」について使用していたものと認められるものである。そして、本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用A及びB商標は、それぞれ一連一体のものとして看取され、「ユーエスベアー」の称呼を生じ、既成の観念は生じないものというべきものである。
そうすると、本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用A及びB商標は、請求人使用商標とは看者に与える印象が異なり、商品「ティーシャツ」に使用された本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用A及びB商標に接する取引者、需要者が、請求人使用商標を直ちに連想又は想起させるようなことはなく、その商品が請求人の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じたとはいえない。
また、同じくカ.の「商標の使用の事実を示す書類」に表示されている通常使用権者使用C商標については、売上請求書に手書きしたものと認められるものであって、商品に使用している実際の使用態様を確認することができないものであるから、この売上請求書のみをもって、直ちに商品の出所の混同を生じたとはいい難いものである。
4 結論
通常使用権者による商品「ティーシャツ」についての本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用A及びB商標の使用は、通常使用権者が指定商品についての本件商標と同一態様からなる商標及び本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用であり、また、通常使用権者使用C商標の使用は、商品の出所の混同を生ずる使用とまではいえないこと上述のとおりであるから、通常使用権者の本件商標と同一態様からなる商標の使用及び通常使用権者使用AないしC商標の使用は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたということはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第53条第1項の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標



(2)通常使用権者使用A商標



(3)通常使用権者使用B商標
「US BEAR」

(4)通常使用権者使用C商標
「US.BEAR」

(5)請求人使用商標


審理終結日 2003-06-18 
結審通知日 2003-06-23 
審決日 2003-07-11 
出願番号 商願平7-73017 
審決分類 T 1 31・ 5- Y (025)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村上 照美 
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 小川 有三
高野 義三
登録日 1997-08-15 
登録番号 商標登録第3340430号(T3340430) 
商標の称呼 アスベア、ユウエスベア 
代理人 塩谷 信 
代理人 菊地 栄 
代理人 足立 勉 
代理人 吉武 賢次 

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