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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z03
管理番号 1100166 
異議申立番号 異議2001-90875 
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2004-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-11-16 
確定日 2004-06-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第4500839号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4500839号商標の指定商品中「育毛料,その他の化粧品,せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,但し,フランス製のものを除く。」についての登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4500839号商標(以下「本件商標」という。)は、平成12年9月29日に登録出願され、別掲のとおりの構成よりなり、第3類、第5類、第42類の商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、同13年8月24日設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
本件商標は、フランスの首都名として世界的に著名であり、特に化粧品・香料類の本場として世界的に著名な地名となっている「PARIS」の文字をその構成中に有するものであるから、これを本件商標の指定商品中「パリ製以外の商品」に使用した場合には、該商品が恰も「パリ製の商品」であるかの如く需要者に商品の品質、産地、販売地について誤認混同を生じさせるおそれがある。したがって、本件商標の登録は、指定商品中「育毛料,その他の化粧品,せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,かつら用剥離剤,つけまつ毛用接着剤,義毛用の家庭用帯電防止剤,その他の家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」について、商標法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3.取消理由の要旨
平成14年7月12日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。その要旨は次のとおりである。
本件商標は、その構成中にフランスの首都として、また、高級な品質の「化粧品、香水等」を製造し、世界各国に輸出していることで需要者間に広く知られる地名である「Paris」の文字を有してなるものであるから、これを「育毛料、その他の化粧品、せっけん類、植物性天然香料、動物性天然香料、合成香料、調合香料、香料類、但し、フランス製のものを除く」に使用した場合には、該商品が恰もフランス製の商品であるかの如く、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4.商標権者の意見
商標権者は、前記取消理由に対し、意見の要旨を次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
(1)本件商標は、「Rene」「of」「Paris」(構成中「Rene」の4文字目「e」はアクサンテギュが付記されている。)は、外観上全て欧文字で同一の書体で同じ大きさで統一されて書き表されて、各語の間に半角程度のスペースがあったとしても、殊更「Paris」の部分のみ抽出して、この部分が指定商品の品質等を表示していると把握することは、構成上不自然である。
また、本件商標は「ルネ・オブ・パリス」と僅か3音節という簡潔な称呼となり、十分に一息に途切れることなく発音し得る長さである。
このように、本件商標は、その構成上からも発音上からも、一体不可分の商標であり、これに接した取引者、需要者は、「ルネオブパリス」と一連に称呼し、全体として特段の意味を生じない造語でなる、一つの識別標識として認識、把握するのが自然であり、この意味でも「Paris」の部分のみ抽出して、この部分が指定商品の品質等を表示していると把握することは、構成上不自然である。
(2)本件商標は、一体的な一つの商標を構成するものであるから、品質誤認を生ずるか否かを検討する場合は、全体的に観察されるべきであるところ、その構成全体として、仏和辞典、英和辞典はもとより各種用語辞典をみても掲載されておらず、「フランス製の・パリ製の」の意味はもちろんのこと「フランス」や「パリ」と関連づけられた意味観念を有する成語として確立されている事実はない。このように、本件商標はそれ自体では出願人が独自に選定使用している特定の観念を有しない造語であり、商標全体として特定の商品の品質を直接的に表示するものではない。同様に、「フランス製の商品」以外の商品に使用しても何らその品質に誤認を生じさせるおそれがないことが明白である。
(3)香水や香料類、あるいは口紅やアイシャドウ等メイキャップ用化粧品で、特に女性を対象としたものについて、わが国においてフランス製の商品が広く販売されていることは否定しないが、指定商品中「育毛料,その他の毛髪用及び頭皮用化粧品,シャンプー」については、パリで作った育毛料や毛髪・頭髪用化粧品が特に、製造地として有名であるとか、品質が優れているというわけではなく、わが国において有力なものというわけではない。
(4)商標権者は、乙第2号証に示す商標を欧州共同体登録第000070425号として適正に所有している。
また、「Rene of Paris社」は商標権者の現地法人であり、ドイツ、デンマーク、イギリス、アイルランド等の欧州各国で「Rene of Paris」商標を所有している(乙第3号証ないし乙第14号証)。これらは本件商標と同じ指定商品としているが、特に「フランス製の商品・パリ製の商品」と限定されることなく登録された。
また、登録第4233471号(乙第15号証)及び登録第4341184号(乙第16号証)の登録例も商標中に「Paris」の語を含むが商標法第4条第1項第16号に該当しないとして登録されている。

5.当審の判断
本件商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、我が国においてその構成中「Paris」がフランスの首都として一般に知られた英語及び仏語であるが、他方「Rene」は仏語で男子の名前を表すとしても、これが一般に知られているとはいえないから、両語を「〜の」の意味を有する英語「of」で結合したものにすぎない本件商標全体よりは、特定の観念等を想起し得ないものであり、他にこれを常に一体のものとして捉えなければならない特段の事情も存しないものである。
また、その構成中の「Paris」の文字は、本件申立に係る指定商品中「育毛料,その他の毛髪用及び頭皮用化粧品,シャンプー,香料類」を含む「化粧品,せっけん類,香料類」を取り扱う業界においては、「フランス製の・パリ製の」の商品であること、すなわち商品の製造地、販売地等商品の品質を表す語として広く使用され、一般にも親しまれている。
そうすると、本件商標は、これを本件申立に係る指定商品中「フランス製・パリ製以外の育毛料,その他のフランス製・パリ製以外の毛髪用及び頭皮用化粧品,フランス製・パリ製以外のシャンプー,フランス製・パリ製以外の香料類」に使用するときには、取引者、需要者をして、その構成中の「Paris」の文字部分より、該商品が「フランス製の・パリ製の」の商品であるかの如く商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものとみるのが相当である。
商標権者は、本件登録異議申立に係る指定商品中「育毛料,その他の毛髪用及び頭皮用化粧品,シャンプー」については、パリで製造された育毛料や毛髪・頭髪用化粧品が特に、製造地として有名であるとか、品質が優れているというわけではなく、フランス製の商品が我が国において有力なものというわけではない旨述べているが、前記認定のとおり「育毛料,その他の毛髪用及び頭皮用化粧品,シャンプー」は「化粧品,せっけん類」に含まれる商品であって、これを取り扱う業界において「Paris」が「フランス製の・パリ製の」の商品に広く使用されているから、商標権者の主張は採用できない。
また、欧州各国で本件商標が同じ指定商品として、特に「フランス製の商品・パリ製の商品」と限定されることなく登録された旨述べているが、商標制度は各国で異なり、それぞれの国で独立して審査、判断されるものであるから、商標権者の主張は採用できない。
さらに、商標権者は、他の登録例を引用し、本件商標は一体のものとして認識される旨述べているが、本件商標と他の登録例とは、商標の構成等事案を異にするものであるから、この点についても商標権者の意見は先の認定を覆すに足りない。
そして、本件登録異議申立に係る指定商品中「精油からなる食品香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,かつら用剥離剤,つけまつ毛用接着剤,義毛用の家庭用帯電防止剤,その他の家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」については、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあると認めるに足る証左が見当たらない。
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中結論掲記の商品について商標法第4条第1項第16号に違反してされたものと認められるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものであり、本件登録異議の申立に係る指定商品中その余の商品について同法第43条の3第4項の規定に基づき、登録を維持する。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別 掲
本件商標


異議決定日 2004-04-21 
出願番号 商願2000-107145(T2000-107145) 
審決分類 T 1 652・ 272- ZC (Z03)
最終処分 一部取消  
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 小林 薫
岩崎 良子
登録日 2001-08-24 
登録番号 商標登録第4500839号(T4500839) 
権利者 株式会社アデランス
商標の称呼 ルネオブパリ、レネーオブパリス、レネー 
代理人 海津 保三 
代理人 平山 一幸 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 

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