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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z25
管理番号 1100156 
異議申立番号 異議2002-90204 
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2004-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-04-05 
確定日 2004-06-21 
分離された異議申立 有 
異議申立件数
事件の表示 登録第4533195号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4533195号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第4533195号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成12年12月26日に登録出願され、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類」を指定商品として、平成13年12月28日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
本件商標に対して、株式会社ジュン(以下「申立人」という。)から、本件商標は、取り消されるべきであるとの登録異議の申立てがなされ、申立人は、要旨以下のとおり申立ての理由を主張した。
本件商標は、「服飾品の作られているあらゆる材料、原材料、素材」をさす語である「MATERiAL」の欧文字を普通に称呼観念できる程度に横書きしてなるから、これを本件商標の指定商品に使用しても単位商品の品質を表示するにすぎないから、商標法3条1項3号に該当する。

第3 本件商標に対する取消理由
当審は、上記登録異議の申立てについて審理をし、商標権者らに対して以下の取消理由を通知した。
申立人の提出に係る甲号証によれば、「material」の語は、「服地、生地(きじ)、織物」などを意味する英語であって(甲第1号証)、「マテリアル(material)」の語は、指定商品との関係においては、「材料、原料、素材」などを指す語として知られている基礎的な用語ということができるものである(甲第2号証ないし同第5号証)。
そして、本件商標の構成は、ややデザイン化されてはいるものの、欧文字の「MATERiAL」の文字を書してなるものと直ちに認識されるものであり、「i」の文字が小文字であるとしても、欧文字の、普通に用いられる表記方法の範囲を出ないものというべきである。
そうすると、本件商標に接する取引者・需要者は、これより、「服飾品用の材料、原料、素材」を指称する用語を標記してあると認識するにとどまり、これを自他商品の識別標識とは認識することはないとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
なお、本件登録異議申立人は、本件商標が商標法3条1項3号に該当するとの理由をあげているところ、本件商標は、前記条文に該当すると判断されるものであり、この理由は登録異議申立人が申し立てていない理由であるが、商標法43条の9第1項により、職権による審理を行った。

第4 商標権者らの意見の要旨
上記「第3」の取消理由に対して、商標権者らは、次のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第16号証を提出した。
1 「material」には、申立人の提出に係る甲第1号証にも記載されているとおり、「服地、生地(きじ)、織物」といった意味の他にも、「題材、人格的要素、人物、人材、物質の、物質上の、有形の、有体の、物欲的な、現世的な、世俗的な、肉体的な、感覚的な、官能的な、肝要な、本質的な、重要な、実質的な」といった衣料品とは何ら関係のない多様な意味が含まれており、一般の消費者、取引者等がブランドとして表示された本件商標を見聞して、これは服飾品用の材料、原料、素材を指称する用語であると認識するにとどまるとは到底断定できるものではない。
2 本件商標の審査段階においては、担当審査官より「MATERIAL」及び「マテリアル」を上下二段状に併記してなる先登録商標を引用されて商標法4条1項11号を理由にした拒絶理由通知がなされたが、商標法3条1項3号または6号に該当する旨の拒絶理由通知は全くなされていない。
審査段階における担当審査官のこの判断が正当であったことは、乙第1号証ないし同第4号証の「MATERIAL」及び「マテリアル」を表示した商標が登録されていたことからも充分窺い知れるところである。
3 さらに、商標権者らは、乙第5号証ないし乙第16号証に示すとおり、本件商標をブランドとしてこれまで広範にわたって使用してきており、その結果、指定商品である衣料品等の流通過程において自他商品の識別標識として充分に機能しているものであり、商標法3条1項6号に規定する「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標」には該当せず、優に登録要件を充足しているものであると確信する。
なお、上記の乙号証に示すもの以外にも、本件ブランド商品が記事として掲載された雑誌類は、「spring/スプリング」外多岐にわたっており、これらは必要に応じ提出する。
上記詳述したとおり、本件商標は本商標権者らの業務に係る衣料品等を表示するものとして一般取引市場において充分に商標本来の機能を奏しているものであり、本件商標に対する取消理由の「本件商標に接する取引者・需要者は、これより『服飾品用の材料、原料、素材』を指称する用語を標記してあると認識するにとどまり、これを自他商品の識別標識とは認識することはないとみるのが相当である」という点には何ら合理的理由がない。
4 また、本件商標は米国側商標権者であるシックスティエイト アンド ブラザーズ インク.に関係するアーティストのマーガレット・キルガレン氏がデザインした特殊形態の文字構成よりなっており、これを以って「普通に用いられる表記方法の範囲を出ない」とは到底云い得るものではない。
5 以上のように、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標には該当せず、商標法3条1項6号に違反して登録されたものではないので、商標法43条の3第2項の規定を以って取り消されるべき理由はないと確信する。

第5 当審の判断
本件商標は、前記した構成のものであるところ、各文字の形状に沿って左下方向に細線を配して立体感をもたせるようにすることで、ややデザイン化されてはいるものの、全体として、欧文字の「MATERiAL」の文字を書してなるものと直ちに認識される構成であり、「i」の文字が小文字であるとしても、そのこと自体特異な表現方法ということはできず、欧文字「MATERiAL」を普通に用いられる表記方法の範囲を出ない方法で表したものというべきである。そして、本願商標「MATERiAL」の文字は、英語の「material」の語に通ずるとみて差し支えないものである。
しかして、申立人の提出に係る甲第1号証(ランダムハウス英和大辞典)には、「material」の語には、「服地、生地(きじ)、織物」の意味があることが認められ、また、「マテリアル(material)」の語について、甲第2号証(新家庭百科事典 第5巻)には、「材料、原料、素材。服飾品の作られているあらゆる素材をさす。」との記載があり、甲第3号証(日英仏語対照服飾辞典)には、「材料、原料、資料の意。服飾では服地を指すことが多いが、広義には服飾品を作るすべての材料を指す。」との記載がされ、甲第4号証(改訂版実用服飾用語辞典)には、「材料、原料、素材、服飾品の作られているあらゆる素材をさす。」と記載され、甲第5号証(新・実用服飾用語辞典)には、「材料、原料、素材、服飾品の作られているあらゆる素材をさす。」と記載されているところである。
してみれば、本件商標に接する取引者・需要者は、これより、「服飾品用の材料、原料、素材」を指称する用語を標記してあると認識するにとどまり、これを自他商品の識別標識とは認識することはないとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというべきである。
これに対して、商標権者らは、本件商標は、米国のアーティストがデザインした特殊形態の文宇構成よりなっているとするが、本件商標の構成は、前記したように一見して、欧文字の「MATERiAL」であることを理解させるものであり、その構成が特異であるとすることはできない。
また、商標権者らは、「material」の語には、「服地、生地(きじ)、織物」の意味の他にも、「題材、・・・」といった衣料品とは何ら関係のない多様な意味が含まれており、服飾品用の材料、原料、素材を指称する用語にとどまるとは到底断定できないと主張している。
しかしながら、甲第2号証ないし同第5号証に照らせば、本件商標が指定商品との関係で使用されるときには、甲第1号証に記載されている「服地、生地(きじ)、織物」の意味で理解されるとみることが妥当ではないとはいえず、本件商標の自他商品識別性は、甲第1号証のみで認定判断しているものではない。
さらに、商標権者らは、本件商標は審査時には、商標法3条1項3号または6号に該当する旨の拒絶理由通知は全くなされず、乙第1号証ないし同第4号証の登録例も存在すると主張している。
しかし、審査の段階において本件商標に対して商標法3条1項3号または6号に該当する旨の拒絶理由通知がなされなかったことをもって、本件商標が当該条文に該当しないということはできず、この点の商標権者らの主張は妥当ではない。また、商標権者らの提示する乙第1号証ないし同第4号証の登録例は、当該商品との関係で、「素材」の語が基礎的あるいは基本的用語として密接な関係を有する用語とはいえず、指定商品との関係で日常的にも親しまれている語とはいえないから、本件の場合とは、自他商品識別性の判断基準を同列に論ずることはできず、これらの事例をもって本件の判断の基準とするのは相当ではない。
商標権者らは、乙第5号証ないし乙第16号証をもって、本件商標は広範にわたって使用された結果、指定商品である衣料品等の流通過程において自他商品の識別標識として充分に機能していると主張している。
しかしながら、これらの乙各号証によっては、カタログ等の配布部数・配布範囲が不詳であり、本件商標が付された商品がどの期間、どの程度の販売量・額があったかも不明であり、本件商標が取引者・需要者間にどの程度知られていたかも把握できないから、本件商標が使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標ではないとするには充分ではない。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用するときには、指定商品に関する基礎的な用語を英語で表示してあると理解されるにとどまり、それをもって自他商品の識別標識を表示したとは認識されないというのが相当であって、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法3条1項6号に違反して登録されたものといわざるを得ず、商標法43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別掲】
本件商標

異議決定日 2004-02-05 
出願番号 商願2000-139307(T2000-139307) 
審決分類 T 1 651・ 16- Z (Z25)
最終処分 取消  
前審関与審査官 橋本 浩子 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 山本 良廣
宮川 久成
登録日 2001-12-28 
登録番号 商標登録第4533195号(T4533195) 
権利者 シックスティエイト アンド ブラザーズ インク. 株式会社レキシントン
商標の称呼 マテリアル 
代理人 長谷川 洋一 
代理人 八鍬 昇 
代理人 八鍬 昇 

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