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審決分類 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Y16
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Y16
管理番号 1098469 
審判番号 無効2003-35168 
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-07-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-04-25 
確定日 2004-05-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第4617553号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4617553号の指定商品中、第16類「印刷物」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標登録の無効の審判
1 本件商標
本件商標登録の無効の審判に係る、登録第4617553号商標(以下「本件商標」という。)は、「スピード ラーニング」の片仮名文字と「SPEED LEARNING」の欧文宇とを2段に横書きしてなり、平成14年1月23日に登録出願され、第16類「印刷物,紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,型紙,紙製テーブルクロス,紙製テーブルナプキン,紙製タオル,紙製手ふき,紙製のぼり,紙製旗,紙製ハンカチ,紙製幼児用おしめ,裁縫用チャコ,荷札,書画,写真,写真立て,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印刷用インテル,印字用インクリボン,活字,こんにゃく版複写機,自動印紙はりつけ機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,装飾塗工用ブラシ,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,封ろう,マーキング用孔開型板,郵便料金計器,輪転謄写機,観賞魚用水槽及びその付属品」を指定商品として、同14年11月1日に設定の登録がされ、現に有効に存続しているものである。
2 本件商標登録の無効の審判
本件商標登録の無効の審判は、本件商標が商標法4条1項10号及び同15号に違反して登録されたものであるとして、同法46条により本件商標の登録を無効にすることを請求するものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第58号証(枝番を含む)を提出した。
1 請求の理由
(1)本件商標は商標法4条1項10号及び同15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法46条1項の規定により無効とされるべきである。
(2)請求人は、語学学習教材の開発、製造及び販売を目的として1984年5月10日に設立された株式会社である。請求人は、1989年6月、独自の理論に基づいて開発した英語学習教材に「スピードラーニング」という商標を付して販売を開始し、現在もその販売を継続している。この英語学習教材は、ネイティブスピーカによって話される英会話及びその日本語訳を録音したカセットテープ或いはコンパクトディスクと、これらの英文及び日本語文を記述した教材テキストとからなる。
請求人は、上述した英語学習教材の発売当初から、「スピードラーニング」及び「SPEED LEARNING」の商標をこの教材に使用してきた。教材テキストの表紙のデザイン、或いはカセットテープやコンパクトディスクのラベルのデザインは時代の変遷に応じてマイナーチェンジを重ねてきたものの、自らの商品を表象する「スピードラーニング」及び「SPEED LEARNING」という標識は、一環して使用し続けてきた(甲第3号証ないし同第18号証)。
(3)請求人は、各種媒体を通じて英語学習教材「スピードラーニング」を積極的に広告してきた。そして、請求人の積極的な広告戦略と教材自体の洗練されたカリキュラムの魅力とにより、販売当初からの累計で約60万件を超える購入申し込み数を獲得するに至っており、「スピードラーニング」といえば請求人の販売する英語学習教材を示す標識であるとの認識が需要者に形成された。つまり、「スピードラーニング」の商標は、請求人の業務に係る英語学習教材を示すものとして周知著名化していたものである。
英語学習教材「スピードラーニング」の広告は、専ら新聞や雑誌といった活字媒体を通じて行われてきた。教材購入者の実際の体験談を織り交ぜながらその効能を説明するいわゆる記事広告のスタイルは、請求人が英語学習教材「スピードラーニング」の販売を開始した当初から一貫するものである。
英語学習教材「スピードラーニング」は、読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞、毎日新聞、産経新聞等の主要な日刊新聞紙や東京新聞、中日新聞のような地方紙及び日刊スポーツ等に至るまで広告を掲載した実績がある(甲第19号証ないし同第48号証)。
また、サンデー毎日、週刊朝日、週刊読売、週刊文春、週刊新潮のような主要な週刊誌の他、ゴルフダイジェスト、まんがアクションランドといった雑誌にも広告を掲載した実績がある(甲第52号ないし同第55号証)。
エム・アール・エス広告調査株式会社の発表に係る新聞各社に掲載された広告出稿量の多い企業のランキングによれば、1995年から2001年までの請求人の順位は、1995年度は103位、1996年度は91位、1997年度は86位、1998年度は94位、1999年度は84位、2000年度は59位、そして本件商標が出願された2001年度は69位となっている。これは、東証一部上場の化粧品会社をも上回る広告出稿量である。
また、同社は、1990年から2001年までに主要日刊新聞紙が請求人の依頼を受けて掲載した広告の統計も開示している(甲第57号証)。
さらに、同社は、1990年から2001年までに主要週刊誌が請求人の依頼を受けて掲載した広告の統計も開示している(甲第58号証)。
英語学習教材「スピードラーニング」は請求人の業務に係る主力商品であり、請求人がこの商品を社会に浸透させるために如何に熱心な広告活動を行なってきたかは、上述した一連の統計資料から明らかといえよう。そしてこれらの広告により、本件商標の出願時において、商標「スピードラーニング」及び「SPEED LEARNING」が請求人の業務に係る英語学習教材を示すものとして周知著名化していたことは明白である。
しかして、本件商標の出願日は、平成14年1月23日であるところ、商標「スピードラーニング」は、請求人による使用の結果、遅くとも本件商標の出願時には、取引者・需要者の間に周知・著名な商標と認識されており、その周知、著名性は現在においても維持されていると考えるのが相当である。
(4)商標法4条1項10号の適用について
本件商標は、「スピードラーニング」の片仮名文宇と「SPEED LEARNING」の欧文字とを2段に横書きしてなり、その指定商品には「印刷物」が含まれている。一方、英語学習教材「スピードラーニング」の販売内容には教材テキストが含まれており、この教材テキストにも「SPEED LEARNING」の欧文字を横書きした引用商標が付されていたことは前述の通りである。また、請求人は、英語学習教材「スピードラーニング」の購入者からの要望があればこの教材に含まれる教材テキストを販売していたので、英語学習教材「スピードラーニング」に含まれる教材テキストを破損又は紛失してしまった購入者はその教材テキストのみを請求人から購入することもできた。つまり、「SPEED LEARNING」を付した英語学習教材は、それ自体独立して取引の対象となりうる性質を有していた。このような事実に鑑みれば、「SPEED LEARNING」は、英語学習教材の出所を示す標識としてだけでなく、その教材に含まれる教材テキスト自体の出所を示す標識としても周知著名化していたと考えるのが相当である。
また、本件商標と、請求人が教材テキストに付していた引用商標とは、称呼、観念を共通にする類似商標であり、さらに教材テキストは、その原材料、品質、用途から見て「印刷物」に該当する商品であるとするのが相当である。 したがって、本件商標の指定中の「印刷物」については、商標法4条1項10号に該当する。
(5)商標法4条1項15号の適用について
引用商標が、請求人の業務に係る英語学習教材を示すものとして周知著名化していたことは、これまで提示した一連の証拠からも明白である。また、本件商標と引用商標とは、称呼、観念を共通にするものであり、その外観の違いも単なる字体の変更の範疇に含まれるものである。したがって、本件商標をその指定商品に使用した場合においては、たとえそのような指定商品が、請求人がこれまで引用商標を使用してきた商品と類似しないものであったとしても、需要者をして出所の混同を生ぜしめるおそれがあるとするのが取引の経験則に照らして相当であり、本件商標は商標法4条1項15号に該当するものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「請求人の主張は、これを認めない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べた。
1 請求人の主張は、本件商標は商標法4条1項10号及び同15号に該当するというものである。
しかしながら、提出された証拠から明らかなように、本件商標の指定商品とは非類似の商品について宣伝広告しているものであるから商標法4条1項10号に該当しないし、「スピードラーニング」は周知商標とは到底認められないから商標法4条1項15号に該当しないこと明らかである。
2 申立人が、「スピードラーニング」を宣伝広告していることを示す甲第19号証ないし同第53号証には、活字が大きく目立つ記載として、「超高速英語学習法『スピードラーニング』」、「英語は高速学習法が効果的!話題の高速学習法『スピードラーニング』で英語がグット身近になる!」、
「『スピードラーニング』は素晴らしい学習法ですね!」、「『スピードラーニング』はSALTと呼ばれる加速学習法の理論を応用したすばらしい学習法です」、「『スピードラーニング』はブルガリアのロザノフ博士が開発した高速学習法が基礎となっている」と記載されている。
この記載からは、「スピードラーニング」というのは、高速英語学習法というメソッドを意味するものであり、商品や役務を表す商標ではないと大多数の人は理解する筈である。従って、この一事をもってしても、「スピードラーニング」が、特定の商品、役務についての周知商標でないこと明らかである。
甲第19号証ないし同第53号証の小さな活宇のところには、注意深く続むと「スピードラーニング入門セット」の記載がある。それから全ての証拠ではないが、証拠によっては、「英会話教材『スピードラーニング』」という記載もある。しかしながら、この広告に接した大部分の者は、この記載は読まない可能性が極めて高い。新聞1頁の隅から隅まで読まなければ気が付かないからである。特に英会話の学習に興味を持っている特定の者が気付く可能生のある記載にすぎない。
いずれにしても、この広告を全部読んでも、「スピードラーニング」は高速学習法というメソッドを意味するものであると共に、「スピードラーニング入門セット」といった場合は、「スピードラーニング」を実施する教材を意味すると理解する筈であり、単に「スピードラーニング」といった場合は、教材ではなく高速学習法を意味すると理解する筈である。
しかも、「スピードラーニング入門セット」には、テープが何巻か含まれるだけで、テキストは含まれていない。テキストは、入門セット到着後1カ月後に配布される。最初からテキストをつけると、テキストを見たり、辞書を引いたりと過去の勉強法に戻る恐れがあるからということである。
したがって、最初に送られてくる「スピードラーニング入門セット」にはテキストが含まれていないことと、全てテープであり、テープを聞くだけで英語が話せるようになることを宣伝文句としていることから、本件商標の指定商品中の「印刷物」とは明らかに非類似の商品である。仮にテキストも「スピードラーニング入門セット」に含まれると解釈できると仮定しても、「スピードラーニング入門セット」はテープ類を主体として販売されるものであるから、本件商標の指定商品「印刷物」とは非類似の商品であることに変わりは無い。
請求人は、このテキストにも「スピードラーニング」という文字が記載されていると証拠を示して主張しているが、甲第19号証ないし同第53号証には、このテキストが「スピードラーニング」ということはどこにも記載されていない。したがって、テキストを直接「スピードラーニング」の名で宣伝広告していないので、テキストの名前として「スピードラーニング」が周知となっていないこと明らかである。しかも、テキスト自体独立して取引の対象となるものでもないので、商標法上の商品ではないから、いずれにしても周知商標とはなり得ないものである。
したがって、このような宣伝広告の仕方によっては、印刷物の取引者・需要者に「スピードラーニング」と言えば請求人の販売する印刷物の標識であるとの認識が形成されることはあり得ないというべきであるから、印刷物についての周知商標には該当しないので、本件商標が商標法4条1項10号に該当しないこと明らかである。
請求人は、「スピードラーニング」の広告が主要な日刊新聞紙や週刊誌に多数回掲載されたと主張しているが、いかに多数回宣伝広告しても、これを読む者に印刷物の名前として「スピードラーニング」を宣伝していると認識されない限り、商品「印刷物」についての周知商標とはならないこと明らかである。
さらに、請求人が広告出稿量の多い企業にランキングされているということも、印刷物について「スピードラーニング」が周知・著名化しているかどうかとは直接関係が無い。
3 甲第19号証ないし同第53号証の宣伝の仕方からして、これを読む者は「スピードラーニング」が高速英語学習法というメソッドを意味すると理解する筈である。この広告を熟読する特定の取引者・需要者は、「スピードラーニング入門セット」という教材の名前をも意味すると理解するが単に「スピードラーニング」と言った場合は、どちらの意味で使用しているのか特定されるわけではない。しかも、「スピードラーニング」は創造標章でもなく、高速学習法を英語で表現したにすぎないものである。
現実に、「スピードラーニング」は、一般の人には殆ど知られていない筈である。新聞を良く読む特許庁の審判官でも、これを知っている人は殆ど皆無に近いと考えられる。まして、一般の我が国の印刷物の需要者に広く認識されていることはあり得ないというべきである。
さらに、請求人はあまり知られていない会社であるから、多角経営の可能性があるとも思われないので、請求人が使用してきた商品と非類似の商品について、請求人の兼業に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生じるということもあり得ない。
したがって、英語学習教材と非類似の商品について「スピードラーニング」を使用した場合に、請求人の業務に係る商品又は役務であると混同を生ずるおそれがある商標に該当しないこと明らかである。
4 以上詳述したように、本件に関する請求人の主張はいずれも全く理由が無い。

第5 当審の判断
1 請求人の使用する「スピードラーニング」、「SPEED LEARNING」の標章は、商品としての「英語学習教材」の商標として使用されていたといえるか
(1)請求人が提出した、甲第12号証ないし同第18号証に表示されたものは、その体裁からして印刷物と認められるところ、本文には、奇数頁に英語が、偶数頁に日本語が記載されており、該英語と日本語は、内容的に対応関係のある文章として見開き状態で表示されているところである。
そして、この英語と日本語の文章の対応関係及び表紙における「中級」、「Vol.9」等の表示からすれば、これが英語の学習教材と認識される内容のものと推認し得るところである。
(2)請求人が提出した甲第19号証の3葉目(読売新聞1990年4月23日付)は、「スピードラーニング」の標章を使用した英会話(英語)教材の広告記事と認められるところ、この頁の左下の「無料でサンプルテープ」「1本がプレゼントされる」との見出しによる文章中(1段目最終行から2段目にかけて)には、「テキストの配布はテープ到着の1カ月後。『最初からテキストを付けると完璧に分かろうとテキストを見たり辞書を引いたりと、過去の勉強法に戻ってしまう恐れがあります』と大谷氏。テキストは次のテープが届けられる時に同封される。」との記載があり、次いで、「入門セット初回頒布価格9800円……。次回からの配布予定(毎月テープ一巻とテキスト)教材費4280円……。」との当該教材の費用も明示されているところである。
これと同旨の、「スピードラーニング」の標章が使用された宣伝広告が、甲第20号証ないし同第55号証の、新聞(全国紙、地方紙)、週刊誌、雑誌に継続して掲載されていることが認められる。
(3)これらの甲各号証で宣伝されている、英語の学習方法は、或る一定の場所に受講者を集めて行う英語学習としての役務の提供ではなく、英語学習をしたいと思う者が、請求人の販売する英語学習教材「カセットテープ・コンパクトディスク・テキスト(英語教材としての印刷物)」を購入して学習するものと推認できる。
(4)上記(1)の印刷物としての学習教材は、上記(2)及び(3)のテキストに照応するものと推認できるところ、以上の(1)ないし(3)によれば、請求人の使用する「スピードラーニング」、「SPEED LEARNING」の各標章は、商品としての「英語学習教材」の商標として使用されていたといえるものである。
そして、上記の、英語学習教材は、「カセットテープ・コンパクトディスク・テキスト」が一組となって販売されるものであるが、「スピードラーニング」の商標が、「カセットテープ」、「コンパクトディスク」、「テキスト」それぞれの商標として使用されてはいないとすべき根拠はないから、「スピードラーニング」の商標は、英語学習教材テキストとしての印刷物に使用されていたと認めて差し支えないというべきである。
(5)被請求人は、請求人使用標章である「スピードラーニング」は、高速英語学習法というメソッドを意味するものであり、商品や役務を表す商標ではないものと理解されるから、請求人使用標章は特定の商品、役務についての商標ではない旨主張している。
しかしながら、請求人により提出された上記の甲各号証によれば、「スピードラーニング」、「SPEED LEARNING」の各標章は、請求人の取り扱いに係る商品としての「英語学習教材」の商標として使用されていたと認められること前記のとおりであるから、被請求人の、上記主張は、採用することができない。
2 請求人の使用する「スピードラーニング」、「SPEED LEARNING」の標章の周知・著名性について
請求人が提出した甲各号証によれば以下の事実が認められる、
(1)1990(平成2)年初旬から2002(平成14)年末の間、全国新聞紙及び地方紙に、のべ500回を優に超えて誌面一面に、前記「1」で認定した、商標「スピードラーニング」を使用した、英語学習教材「カセットテープ・コンパクトディスク・テキスト」の広告が、継続してなされていること(甲第19号証ないし同第48号証)。
(2)1991年末から1999年末の間、主要週刊誌に、のべ90近い回数に亘って誌面三頁程度を割いて、前記「1」で認定した、商標「スピードラーニング」を使用した、英語学習教材「カセットテープ・コンパクトディスク・テキスト」の広告が、継続してなされていること(甲第49号証ないし同第54号証)。
(3)以上の(1)、(2)によれば、「スピードラーニング」の商標は、請求人により、商品「英語学習教材テキスト」に継続して使用された結果、遅くとも、これが本件商標の出願時である平成14年1月23日前には、請求人の取り扱いに係る商品「英語学習教材テキスト」に使用する商標として、広く認識されており、これが、登録査定時にも継続していたと判断するのが相当である。
そして、上記「英語学習教材テキスト」は、本件商標の指定商品中の「印刷物」と類似するものである。
(4)他方、請求人の提出した、証拠を総合して勘案しても、「スピードラーニング」の商標が、「英語学習教材テキスト」をはじめ、その他の商品・役務に使用された結果、これが取引者・需要者間において著名になっていたとまでは認定することができないというべきである。
なお、甲第56号証の2、同第57号証及び同第58号証は、広告の対象となった商標及び商品が明らかでないから、商標「スピードラーニング」、「SPEED LEARNING」の周知・著名性を認定する証拠として採用することはできない。
3 本件商標の無効事由
(1)請求人の使用する「スピードラーニング」、「SPEED LEARNING」の商標は、本件商標と類似するものであって、かつ、請求人の取り扱いに係る商品「英語学習教材テキスト」と本件商標の指定商品中の印刷物とは類似のものというべきである。
してみれば、本件商標の指定商品中の「印刷物」は、商標法4条1項10号に違反して登録されたというべきものである。
(2)そして、本件商標の指定商品中のその余の商品については、商標法4条1項10号証に違反して登録されたということはできない。
また、前記「2の(4)」で認定したように、「スピードラーニング」、「SPEED LEARNING」の商標の著名性を認定する証拠はないから、本件商標をその指定商品中の「印刷物」以外の商品に使用した場合、当該商品が請求人若しくは請求人と関係のある者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
してみれば、本件商標は商標法4条1項15号に違反して登録されたものではない。
4 したがって、本件商標は、商標法4条1項10号に違反して登録されたものであるから、同法46条1項の規定により、その指定商品中の「印刷物」についての登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-04-01 
結審通知日 2004-04-05 
審決日 2004-04-16 
出願番号 商願2002-4116(T2002-4116) 
審決分類 T 1 11・ 25- ZC (Y16)
T 1 11・ 271- ZC (Y16)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 米重 洋和 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 山本 良廣
宮川 久成
登録日 2002-11-01 
登録番号 商標登録第4617553号(T4617553) 
商標の称呼 スピードラーニング、ラーニング 
代理人 千ヶ崎 茂樹 
代理人 稲垣 仁義 
代理人 川▲崎▼ 研二 
代理人 松本 隆 

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